概要・あらすじ
神林兵悟は、佐世保海上保安部所属の新米潜水士。やる気満々の彼が、ある日、現場では対応しきれない海難事故に遭遇する。そこへ駆けつけた海難救助のスペシャルチーム、特殊救難隊(トッキュー)が見事な救助を魅せる。トッキュー第三隊隊長真田甚に憧れた兵悟は、トッキュー入りを目指す。
熱血漢で真っ直ぐな兵悟は、時には空回りしながらも、困難な現場に立ち向かいながら、プロのレスキューとして一歩一歩成長してゆく。
登場人物・キャラクター
神林 兵悟 (かんばやし ひょうご)
長崎県佐世保市出身。佐世保海上保安部の巡視船「しらせ」所属の新米潜水士。20歳。大家族の長男坊。10歳の時、漁師の父親を海で亡くしている。また、その頃、カナヅチなのにも関わらず、溺れている橋本ユリを助けようとした。それらの経験から海難救助の道に進んだ。 頑張り屋だが、無鉄砲ですぐ周囲が見えなくなる。体力はずば抜けていて、視力もとても良い。人助けに生きがいを見つけていて、酒もタバコもやらず無趣味で、いまだ童貞。仕事現場で出会った特殊救難隊の真田甚の雄姿に感銘を受け、トッキュー入りを目指す。その後、管区合同の潜水救難技術競技会で存在感を示し、念願のトッキュー配属となり、上京した。
橋本 ユリ (はしもと ゆり)
長崎県佐世保市出身。遊覧船船長の父と病弱な母を持つ。一人娘。ストレートのロングヘアが特徴。かなりの巨乳で、Fカップ。幼少時に神林兵悟に溺れているところを助けてもらった経験がある。居酒屋でアルバイトをしているときに兵悟と再会し、何事にも真っ直ぐな彼にじょじょに惹かれていく。 佐世保を離れた兵悟に会いに行くなど積極的な態度を取るが、ニブい兵悟はユリの想いになかなか気づかない。短大で保育士の資格を取る勉強をしていたが、人命救助に身をささげている兵悟の姿に影響され、自分も人に手を差し伸べられるようになりたいと思い、看護師を目指すことにした。
真田 甚 (さなだ じん)
特殊救難隊第三隊隊長。神林兵悟の先輩坂崎太一郎と同期。数々の記録を塗り替え、最速で隊長になったエリート。出動した現場で助けられなかった要救助者はいない。そこから「神兵(しんぺい)」という異名を持つ。新米潜水士神林兵悟の憧れの存在。ふだんはクールで精密機械のようだが、救助のために無茶をすることもある。 右眼だけが二重。長崎ちゃんぽんが大好物。遊覧船救助の現場で兵悟に助けられたことがあり、それ以来兵悟に一目置いている。
櫻井 佳弘 (さくらい よしひろ)
佐世保海上保安部の巡視船「しらせ」所属の潜水士。短髪に大きい鼻、武骨な体格。新人潜水士の神林兵悟と2人1組で行動するバディを組んで、海難救助の基礎を兵悟に教えた。兵悟が赴任してくるまでは班の中でトッキュー入り最有力候補と言われていたが、ハートが少し弱い。 その後、後輩の兵悟がトッキュー入りを果たしたことに刺激され、奮起する。ルービックキューブが得意という、地味すぎる趣味を持つ。彼女なし。
坂崎 太一郎 (さかざき たいちろう)
佐世保海上保安部の巡視船「しらせ」潜水班の班長。背が高くやせ型でメガネをかけている。神林兵悟の上司。自分の命令に背いて暴走する兵悟に苦労させられ、小言を欠かさない。妻あり、2児の父。新築のローン返済中。既婚者だが合コン好き。カラオケの十八番は西条秀樹の「ブルースカイブルー」。 特殊救難隊の真田甚とは潜水研修の同期であり、自身もトッキュー入りを目指していたが、要救助者救出中に腰を痛めてしまい、その目標はあきらめた。無鉄砲だが情熱あふれる兵悟をトッキューに送り出すため、猛特訓を課した。理想論で突っ走る兵悟には危なっかしさを感じているが、その純粋さに惹かれていることも確か。
石井 盤 (いしい めぐる)
佐賀県出身。消防士から海上保安庁に転職してきた変わり種。福岡海上保安部の巡視船「らいこう」に所属する潜水士。前髪がグリーンのメッシュ。黒縁メガネをかけている。なまりの強い佐賀弁で話す。「羅針盤の盤と書いてメグルです」が自己紹介の決まり文句。消防士時代に仕事現場で出会った特殊救難隊の真田甚の雄姿に惚れこみ、トッキュー入りを目指す。 レスキューのスキルはあるが、個人主義で、協調性は高くない。自分と変わらぬ浅いキャリアの神林兵悟が真田甚から一目置かれていることを知り、対抗心を燃やす。価値観の違いから、二人はたびたび対立し、ライバル関係となる。 五十嵐恵子機長に惚れるが、相手にされず。
佐藤 貴充 (さとう たかみつ)
小樽海上保安部の巡視船「ゆきしろ」からトッキューへ転属となった潜水士。坊主頭に濃い眉毛、たくましい筋肉のごつい体格。出身地の北海道では敵なしのアマレス選手だったので体力には人一倍自信があった。しかし、新人として配属されたトッキューでの、今までとはレベルの違う厳しい訓練に、一度は自信喪失を味わった。 外見に反して内向的な性格。少々ルーズな点もある。
大羽 廣隆 (おおば ひろたか)
広島海上保安部の巡視船「あらかぜ」からトッキューへ転属となった潜水士。水中での呼吸停止時間は5分を誇る。きつい目つきで、歯が尖っていて、とっつきにくそうな外見。広島弁を使い、気性は少し荒いが、ジブリアニメ好きという一面も。一番好きなジブリ作品は「耳をすませば」。
星野 基 (ほしの もとい)
横浜海上保安部の巡視船「おず」からトッキューへ転属となった潜水士。第三隊隊長の真田甚とは地元が同じ。中学でも高校でも海上保安大学でも、真田の残した伝説を聞き、彼に憧れ、同じ職場で働くことを目標としてきた。物腰は柔らかく静かだが、胸の奥には熱い情熱を持つ。 しかし緊急時に緊張から冷静な判断を下せず、訓練で失敗を繰り返してしまい、トッキューからは除隊される。失意の底にいたが、真田から、後方支援をする救急救命士の資格を取るように勧められ、そちらの道を目指すこととなる。
嶋本 進次 (しまもと しんじ)
特殊救難隊第三隊副隊長。小柄で天然パーマの男性。背は低いが動作は俊敏で優秀なレスキュー。「鬼軍曹」と呼ばれる厳しい態度で、トッキューに配属されてきた神林兵悟たち新人をしごく。豊富なボキャブラリーを駆使し、関西弁で新人たちを罵倒する。第三隊隊長の真田甚を尊敬している。 真田がインドネシアへ派遣された後、同隊の隊長に昇進した。
五十嵐 恵子 (いがらし けいこ)
羽田航空基地勤務。ヘリコプター「わしたか」機長。出動した特殊救難隊を現場へと空路で運ぶ職務。凛々しい顔つきの女性。背も高く体育会系のような印象だが、休日には家で漫画を一気読みしたりするインドア派。真田甚とは海上保安大学での同期。
一ノ宮 一陽 (いちのみや かずあき)
名古屋出身。既婚。スキンヘッドが特徴的な男性。飄々とした雰囲気のベテラン。嶋本進次が隊長となった特殊救難隊第三隊で副隊長に就任。新隊長の嶋本に激励の意味も込めてプレッシャーを与える存在。人当たりが良く優しそうだが、トッキュー入りを果たした新人神林兵悟を常に細かくチェックし、厳しく鍛え上げる。
大口 誠治郎 (おおくち せいじろう)
特殊救難隊第三隊所属。同隊入りを果たした神林兵悟の1年先輩にあたる。目鼻立ちのはっきりした青年。専門分野はレンジャー。人なつっこく、快活な性格。
集団・組織
トッキュー
『トッキュー!!』に登場する組織。正式名称は「海上保安庁特殊救難隊」。潜水士の中でも一握りしか所属できない海難救助のスペシャルチーム。わずか36名・全6隊で構成されている。各地の現場レベルで対応しきれない困難な海難事故が起きた場合、羽田航空基地から空路で現場に駆けつける。オレンジ色のベレー帽と制服は海難救助関係者にとって羨望の的である。 モデルとなっているのは実在の組織「第三管区海上保安本部羽田特殊救難基地」である。