あらすじ
第1巻
ある日、甘戸めめが中学校から帰宅すると、いつの間にか「キュートピア」に迷い込んでいた。そこでかわいい容姿ながらも奇怪な行動をするリコピンと出会い、すぐにLINEのID交換をするほどの仲となる。すっかり意気投合したリコピンとめめは、リコピンの彼女のカロちゃんの誕生日プレゼントをいっしょに用意する事になった。めめはブクロウからキュートピアについてと、以前にも人間の女の子が迷い込んだ話を聞く。(エピソード「めめちゃんとリコピン」)
リコピンは再び「キュートピア」を訪れためめに対し、チョリスや自分の住民達を紹介する。リコピンとチアミンはめめの歓迎会を開催する事にしたが、声を掛けた住民達は優先順位の低そうな用事を理由に集まろうとしない。(エピソード「キュートピアのゆかいななかまたち」)
日曜日、めめは以前ブクロウからもらったコンパクトを開き、「キュートピア」にいるリコピンの様子を眺めていた。すると以前めめが忘れていったスマートフォンを勝手に操作したり、リコピンが崖から落ちて大ケガをしたりと、目が離せない状況が続く。(エピソード「ふしぎなかがみとリコピンのいちにち」)
「キュートピア」を訪れためめは、リコピンの自宅に遊びに行く。そしてリコピンパパの忘れ物を届けるため、リコピンといっしょにリコピンパパの職場へと向かう。リコピンパパの仕事は雲を造る夢のある仕事だったが、めめは厳しい労働環境に驚愕する。(エピソード「リコピンパパのおしごと」)
リコピンとめめ、チアミンは「文の泉」にやって来た。リコピンが試しにカロちゃんの私物を投げ入れてみると、そこに映し出されたのはアントシアンと浮気中のカロちゃんだった。ショックを受けたリコピンを連れ、めめは事情を聞くためにカロちゃんの家を訪ねる。(エピソード「ふしぎないずみとこいもよう」)
リコピンはプリンに潜んでいた寄生虫の影響で感染性腸炎になり、そのまま入院してしまう。お見舞いに行っためめとチアミンに対しリコピンは、大草原を越えた先にある「モンブランケーキ」が食べたいとおねだりする。(エピソード「リコピンさいごのねがい」)
めめちゃんパパは最近、めめが自分に対して興味がなく、さらに休日は一人でどこかに行ってしまう事を心配していた。めめちゃんパパは、こっそりめめのスマートフォンを覗き見し、めめの動向を探ろうと奮闘する。(エピソード「パパはめめちゃんがしんぱい」)
「キュートピア」を訪れためめは、リコピンとチアミンからタマゴリラが運営する「ゴリラくじ」をしないかと誘われる。空を飛べないチアミンは、飛べるようになるための薬の景品を狙うが、なかなか当たらない。一方のリコピンにも当たりが出ず、集まった住民達は次々と課金し始める。その状況に対し、めめはタマゴリラに詐欺ではないかと直訴する。(エピソード「くじとゴリラとやみ」)
リコピン、めめ、カロちゃんの三人に対し、「me a catz」のメンバーがライブに来ないかと声を掛けて来た。リコピンもカロちゃんも興味がなく、めめだけ一人で観戦する事にする。しかしライブ会場に行くと、そこには典型的なアイドルオタク姿に着替えたリコピンの姿があった。実はリコピンは「me a catz」の大ファンで、カロちゃんとのデートを抜け出し、ライブや写真撮影会に参加していたのである。(エピソード「キュートピアのアイドル」)
ある日、めめと歩いていたリコピンは、「あかんぼのたね」を拾う。リコピンはもじゃおと名付け、まるで弟のようにかわいがる。しかし、もじゃおはすぐに家に入らないほど大きくなり、さらに寒さが苦手な個体のため、本来生息している地域へ移り住む事になり、リコピンは悲しむ。(エピソード「あかんぼのたね」)
めめは連日「キュートピア」で遊んでいるため、テスト勉強をまったくしていない状況だった。このままではいけないと危機感を抱いためめは、リコピンとチアミンに、しばらくキュートピアには来ないと宣言。しかし、「キュートピア」の様子が気になるめめは、勉強中にもかかわらず、以前にブクロウからもらったコンパクトを開き、リコピン達の様子を眺めてしまう。(エピソード「めめちゃんはべんきょうができない」)
めめはとなりの家に住むお兄ちゃんに、淡い恋心を寄せていた。その話を聞いた「キュートピア」の住民達は、キュートピアでクリスマス時期に収穫される、運気がアップする特別な木の実をプレゼントしてはどうかと提案。恥ずかしいと断るめめに対し、カロちゃんは激しく背中を押す。(エピソード「かたおもいのクリスマス」)
めめちゃんパパは風呂上りに、めめが持つブクロウからもらったコンパクトに映り、全裸のまま「キュートピア」へ入り込んでしまった。そこでリコピンなど住民達と全裸のまま親交を深める。「キュートピア」にはクリスマスはあるものの、サンタクロースがプレゼントを配る文化がないと知っためめちゃんパパは、自身がサンタクロースになるサプライズを計画する。(エピソード「パパのだいぼうけん」)
登場人物・キャラクター
リコピン
トマトの苗から生まれたトイプードルで、トマトイプーという種類の犬。3歳の男の子だが人間の年齢では27歳だという。不思議の国キュートピアに住む。丸っこくてふわふわの毛で覆われている。頭にはトマトのヘタのようなものがつていて、ハンドスピナーのようにくるくる回る。楽器やお絵かきなど芸術方面の才能に秀でている。トマト果汁を体に吸収すると、体毛が生え変わり健康体になる。
甘戸 めめ (あまと めめ)
ふつうの女子中学生。ショートカットと大きな花の髪飾り、セーラー服が特徴。ある日の下校時、不思議な世界キュートピアに迷い込み、リコピンと仲良しになる。長老ブクロウにもらったコンパクトミラーで、キュートピアと現実の世界を行き来する。
カロちゃん
にんじんの苗から生まれたトイプードルでキャロットイプーという種類の犬。丸っこくてふわふわで白い体毛の女の子で、頭につけた大きなリボンが特徴。リコピンのガールフレンド。ギャル語やネット用語を多用する、現代的な女の子。自己中心的でわがままだが傷つきやすいという非常に面倒くさい性格。
ブクロウ
たまフクロウという種類の動物。鼻眼鏡と白い口ひげが特徴の丸っこいふくろう。キュートピアの長老。何年か前にキュートピアを訪れた人間の女の子に会ったことがあり、彼女が忘れていったコンパクトミラーを、甘戸めめに渡す。
チアミン
桃から生まれたモモンガ、モモモンガという種類の動物。大きなしっぽが特徴。3歳の雄で、キュートピアの森にある「森の友だち学園(森友学園)」に通う。リコピンと大の仲良しでいつも一緒にいる。
チョリス
パセリの苗から生まれたパセリスという種類のリス。非常に軽い性格をしており、ウェーイと挨拶をするなど、キュートピアの住民達からは「パーリーピーポー」として知られている。ユーチューブに自分のチャンネルを所持しているものの、登録者数は1桁。
アントシアン
ラディッシュの苗から生まれたテリアで、ラディッシュテリアという種類の犬。キュートピアの森にある「森の友だち学園(森友学園)」の理事長の息子。金持ちでイケメンのため、女の子にモテモテ。カロちゃんの浮気相手。
リコピンパパ
トマトの苗から生まれたトイプードルで、トマトイプーという種類の犬。リコピンの父親で、3Dソフトを使用して雲を制作する仕事をしている。なお、勤務している職場は休日出勤や時間外労働、残った商品の買取などが横行しているブラック企業。
タマゴリラ
タマゴの殻に入ったゴリラで、キュートピアの住民達を相手に阿漕な商売をしている。月に一度は「ゴリラくじ」というバナナと引き換えに引けるくじイベントを開催しているが、これは射幸心を煽った非常に悪質なもの。なお、この商売は自分が考えたものではなく、元締めの闇のドラゴンに雇われている。
闇のドラゴン (やみのどらごん)
キュートピアに住む大型ドラゴンで、闇より出でし破壊の化身。圧倒的な力と頭脳を持ち、キュートピアの住民達を相手に阿漕な商売の元締め役をしている。タマゴリラは忠実な部下。
もじゃお
ブロッコリーの苗から生まれたブロッコリュウという種類のドラゴン。ブロッコリュウは寒さに非常に弱く、キュートピアの熱帯地域にしか生息していない。また、固体によって大きさが異なり、全長10メートルに成長するブロッコリュウもいる。もじゃおはリコピンが偶然「あかんぼのたね」を拾って育てていたが、巨大に成長する個体だった事と寒さ対策のため、本来生息しているはずの地域に移り住む事となった。 離れ離れにはなったが、もじゃお自身は永遠の別れだとは思っておらず、暖かい季節になってリコピンと再会するのを楽しみにしている。
めめちゃんパパ
甘戸めめの父親。めめのことが大好きな超親バカの40歳。アフロヘアーからショートカットにしたことを、めめちゃんに気づかれなかったことから、めめが反抗期なのかと心配する。
お兄ちゃん (おにいちゃん)
甘戸めめのとなりの家に住む高校3年生の男子。大学受験のため、深夜まで勉強をしている。めめとは幼なじみであり、実兄ではないものの「お兄ちゃん」と呼ばれている。めめから淡い恋心を寄せられているが、気づいていない。
集団・組織
me a catz (みーあきゃっつ)
キュートピアのアイドル3人組。ドントタッチミー、ハグミー、キスミーの3人の女の子からなる、穴掘り系アイドル。ライブ会場は地下深くにある。「U・N・K・O(うざい奴 なのに 恋に 落ちた)」などの持ち歌がある。あるとき、センターのキスミーがツイッターで裏アカウントのつぶやきを誤爆。彼氏がいることがバレて脱退。代わりに新メンバーのテルミーが入った。
場所
キュートピア
どこにあるのかわからない不思議な場所。色とりどりのマカロンが木々に実っていたり、チョコフォンデュの噴水、わたあめの雲など、メルヘンチックな世界。住人はファンシーでキュートな不思議な動物ばかり。人間がキュートピアにやってきたのは、甘戸めめが2人目だという。めめが持つコンパクトミラーで行き来することができる。
文の泉 (ふみのいずみ)
キュートピアの森の中にある美しい泉で、別名「センテンススプリング」とも呼ばれている。泉の中に物を投げ入れると、その持ち主が今何をしているのかが映し出される。その性質から「キュートピア」の住民らは主に浮気調査に活用しており、その後、浮気をした側が「文の泉」近くで謝罪文を読む姿が目撃される事が多い。
その他キーワード
あかんぼのたね
キュートピアの生き物の生まれたばかりの姿で、まるで植物の種のような形をしている。「あかんぼのたね」を土に埋める事で植物が育ち、その実としてキュートピアで暮らす不思議な生き物が誕生する。「あかんぼのたね」の頃は言葉を話す事はできないが、周りの音や言葉は聞こえており、生まれてすぐに土の中で聞いていた、いくつかの単語を話す。 なお、「あかんぼのたね」そのものができる方法については、大きくなってから保健体育の授業で習うため、リコピンは知らない。
書誌情報
トマトイプーのリコピン 9巻 集英社〈ジャンプコミックス〉
第7巻
(2023-01-04発行、 978-4088832401)
第8巻
(2023-08-04発行、 978-4088834993)
第9巻
(2024-10-04発行、 978-4088838342)