あらすじ
第1巻
30歳の女性漫画家である花は、4本の漫画のネームを出版社の連載コンペにかけるものの、もろくも玉砕。さらに、化粧もせずにボロボロの姿でいた花は、そこに現れた彼氏に散々に罵倒され、付き合って4年になる交際に終止符を打つこととなった。落ち込みながらも、せめておいしいものを食べて気分を上げたいと考えた花は、顔を見知った近所の店を避けながら歩くうちに、いつしか新大久保にたどり着く。そして花は、甘い匂いに誘われてたどり着いたホットク屋で、ピンク色の髪をした派手な容姿の美少年と出会う。彼に勧められるまま木の実ホットクを購入した花は、今まで知らなかった韓国グルメに魅了され、同時にピンク色の髪をした少年が、実際はエマという女性であることを知るのだった。そして、社交的なエマに気に入られた花は、その後も彼女の紹介でさまざまな新大久保の韓国グルメに触れていく。エマとの触れ合いの中で失恋やスランプによる傷を癒した花は、自ら積極的に新大久保の街を楽しむようになり、その中で、日本の漫画やアニメオタクのイケメン韓国人であるミンギや、韓流アイドルを目指す男子高校生のクロといった、韓国にかかわりのある新たな友人を得るのだった。
第2巻
新大久保で出会って共にSNSグループ「チーム新大久保」に参加した、エマ、ミンギ、クロという新たな友人ができた花は、三人を主人公にした新たな漫画の構想を練っていた。心の底から自分が描きたいと思う題材を見つけた花は手ごたえを感じ、主人公役の三人も自らの役柄を快諾。だが、連載を勝ち取るためには編集者へのプレゼンを通さねばならず、人の意見に流されがちな花にとって、自分の思いどおりの内容で連載を勝ち取るためには越えるべきハードルが高かった。そんな、不安そうな表情を浮かべる花に対し、クロは自分の持てるメイク技術を駆使して、韓流のオルチャンメイクを施す。まるで生まれ変わったような自分の姿に自信を得た花は、仲間たちの応援を胸にプレゼンへと臨む。そして、編集者の提案にも必要なところはしっかりと反論して自らの思いを通し、紆余曲折はありながらも、みごとに連載を勝ち取るのだった。一方のエマ、ミンギ、クロもそれぞれに自分の夢への課題と向き合い、チーム新大久保の仲間たちの手助けを借りながら、壁を一つ一つ乗り越えていく。
登場人物・キャラクター
花 (はな)
漫画家を生業とする女性で、年齢は30歳。エマが立ち上げたSNSグループ「チーム新大久保」のメンバーの一人。ロングヘアでそばかすのある、少々地味な顔立ちをしている。漫画家歴12年になるが、現在は8ページの隔月連載を1本抱えるのみで、そろそろ貯金も底をつきそうな状態。そのため、なんとか新連載を獲得しようと精力的に励んでいるが、うまくいかずにいる。そんな中、4年間付き合っていた彼氏に、漫画制作中の化粧もせずにいる姿を罵倒されて破局。落ち込んだまま、おいしいものでも食べようと外に出て新大久保へと行き着き、そこでモデル志望の女子学生のエマと知り合った。以降、新大久保に通い詰めるうちに多くの韓国好きな人や韓国の食べ物と出会い、それらに魅せられながら、どんどん前向きになっていく。かつての彼氏に罵倒されたことがトラウマで、自分のことをブスだとさげすんでいるが、年の割に肌はきれいで、エマにも驚かれるほど。のちに、チーム新大久保の協力を得て、大手出版社の交談社で連載を持つ看板売れっ子作家となる。
エマ
芸能系の専門学校に通っているモデル志望の女性で、年齢は19歳。自ら立ち上げたSNSグループ「チーム新大久保」のメンバーの一人。身長178センチのスレンダー体型、刈り上げたピンク色のショートヘアで、整った中性的な顔立ちをしており、花には出会った当初は完全に男性だと思われ、「ピンク頭くん」と呼ばれていた。明るく屈託のない性格で、コミュニケーション能力が非常に高く、誰とでも初対面ですぐになかよくなれる。かつて、バレンタインデーにもホワイトデーにも縁のない人が、黒い服を着て黒いものを食べたり飲んだりするという韓国の非公式記念日のブラックデーに、新大久保で泣きながらジャジャン麵を食べていた姿を、クロに目撃されていたことがある。これは、「個性がない」と言われてモデルのオーディションに落ちたことが原因だったが、この日を境に吹っ切れて今の個性的な姿になったという経緯がある。目標に対して非常にストイックな努力家で、のちにモデルとして大成し、ネオ韓流スタイルのガールクラッシュモデルとして、その名を国外にまで轟かせるようになる。
ミンギ
新大久保にあるデザートカフェで働く韓国人の青年。エマが立ち上げたSNSグループ「チーム新大久保」のメンバーの一人で、フルネームは「カン・ミンギ」。黄緑色に染めたショートヘアのクールなイケメンだが、非常に不愛想でSっ気が強く、それは客を相手にした場合でも変わらない。実は日本の漫画やアニメが大好きで、日本に来たのも現地でそれらに触れたい、というのが理由。自分の推しキャラと同じにするために頭皮に血がにじむまで4回もブリーチして髪染めをしたり、「恋人」と評して美少女フィギュアを持ち歩いているほどの筋金入りである。客として店に現れた花に対しても、当初はぶっきらぼうな塩対応で接していたが、花の描いた絵を見て彼女が漫画家と知るや、ホミビン(台湾式かき氷)の食べ方を丁寧にレクチャーしたりと、必要以上の敬意を持って彼女に応対するようになった。実は料理が得意で、韓国でポピュラーなレッドベルベットケーキの自作もお手の物。また、かわいらしいイラストを描くこともできる。ちなみに韓国人ながら、K-POPや韓流アイドルについては疎い。チーム新大久保のメンバーとの交流を経て、将来は自分の好きな漫画を置いて、かわいいラテアートやおいしいデザートを提供する漫画カフェを開くことを夢見るようになり、のちにその夢を実現させる。
クロ
花が新大久保で出会った男子高校生。エマが立ち上げたSNSグループ「チーム新大久保」のメンバーの一人で、花たちにはずっと内緒にしていたが、本名は「工藤ロメオ」。かわいらしい外見をしているが、人見知りで、つねにトレーナーのフードを目深にかぶっている。韓流アイドルが好きで、自分もあのようになりたいとあこがれているが、そのせいで学校では浮いており、毎日学校に行くふりをして新大久保を訪れ、路上でダンスをしていた。ダンススクールに通ってK-POPダンスを習っていることもあって、その技術は確かなもの。そのため、かわいい顔に似合わず、脱ぐと非常に筋肉質な体をしている。かつて、バレンタインデーにもホワイトデーにも縁のない人が、黒い服を着て黒いものを食べたり飲んだりするという韓国の非公式記念日のブラックデーに、新大久保で泣きながらジャジャン麵を食べていた、今とはまったく違う外見をしたエマの姿を目撃しており、当時の彼女にほのかな思いを寄せていた。その際に彼女が忘れていったイヤリングをいつか返そうと、大事に持ち歩いている。新大久保で花と知り合い、クロのことを心配した彼女と行動を共にするうちに悩みを打ち明け、夢へ向けてのアドバイスをもらう。以降、前向きになって根気強く夢への努力を重ねるようになっていく。もともと、将来の夢は両親にも内緒にしていたが、のちに、日本最大のK-POPカバーダンスイベント「ドリームオン」に参加し、その舞台を見た両親にダンスの道を認めてもらうことに成功。さらに韓国のオーディション番組への出場が決まり、単身渡韓する。その後の2年間で身長が一気に30センチも伸び、チーム新大久保の花、エマ、ミンギらと再会した際には、誰一人としてクロであるとわからないほどに様変わりする。メイクが得意だが、これは韓流メイクの練習をするうちにいつの間にか腕が向上していたという経緯がある。
パク・ジソン
新大久保にあるエマの行きつけの韓国料理店で働く、韓国人の青年。黒髪ショートヘアの切れ長の目をしたイケメンで、気さくな性格をしている。エマとは店員と客というより、まるで友人のように親しい。
シム
韓国人の男性スターモデル。甘い表情のイケメンで、エマにとって小学生時代からのあこがれの存在だった。もともと日本に留学していたこともあって、日本語が堪能で新大久保にも詳しい。気さくな性格で、自らがスターであることを自覚していながらも、それをいっさい鼻にかけない。モデルの仕事でエマと共演したことをきっかけに、彼女の努力と人柄を認め、連絡を取り合う仲になる。また、エマが立ち上げたSNSグループ「チーム新大久保」についても、面白そうだと興味を持っている。
集団・組織
チーム新大久保
エマが立ち上げた、SNSグループ。エマのほかに花、ミンギ、クロが参加しており、いずれも花を介して知り合ったメンバーとなっている。仕事で忙しい花のためにクリスマスパーティーを企画したり、SNSで拡散されたために変に人気が出てしまい、店の厄介者扱いされ始めたミンギを守るために客対応を手伝ったりと、チーム新大久保をベースに四人はさらに交友を深め、仲間意識を強めていく。さらに仲間と協力し、切磋琢磨し合って、それぞれが自分の夢を実現していく礎にもなっていく。