概要・あらすじ
新学期を迎えた三浦アキラたちの前に怪しげな風貌の教師、黒場新太が現れた。黒場は持参したケースから大量の札束を取り出すと、アキラたちに金持ちになりたくないかと問いかける。困惑するアキラたちを前に黒場が語るのは生々しいお金の話。教育機関が教えてくれない苛酷な現実に打ちのめされたアキラたちは、黒場の語る「M.I.Q.」を高めるために、さまざまな課題に取り組んでいくのだった。
そして、授業を通して少しずつ「M.I.Q.」を高めていったアキラたちは、自分たちのアルバイト先である「カフェPupil's」の経営を立て直すために奔走する。
登場人物・キャラクター
黒場 新太 (くろば しんた)
三浦アキラの通う高校に赴任してきた新任男性教師で、「情報」の科目を担当する。本来は腕利きのトレーダーだが、和渕初治の頼みで教壇に立つことを決意した。睨みつけるような三白眼に長い金髪、顎鬚が特徴で、海賊巻きにしたバンダナ、金のピアスにネックレス、サングラス、アロハシャツに短パンという出で立ちを好む。授業に臨む際もそのスタイルを崩すことはない。 黒場の授業は「M.I.Q.」の向上を目的としたもので、生徒にデイトレード(ごく短期間での株の売買)を実践させるなど内容も奇抜。初回の授業では現金2億円を持参して生徒たちの度肝を抜いた。第2シーズンではアキラたちの相談役として登場し、「カネモチの公式」という新たなキーワードを授ける。 なお、サーフィンを趣味としており、場所や時間に縛られることを何よりも嫌う。プロのトレーダーになった理由も気ままに波乗りの旅に出かけられる自由な職業だからである。
三浦 アキラ (みうら あきら)
高校2年生の少年。前髪をかき上げ、制服をやや着崩している。ノートパソコンを購入するべく、大手コンビニチェーン「コダマート」の店舗でアルバイトをしており、そこから「コンビニ」のあだ名で呼ばれることもある。危機意識に欠けているところがあるものの、黒場新太の授業を通してチャート(株の値動きを表にしたもの)を見るようになると、秘められたパターン認識能力が開花。 黒場からトレーダーとしての道を提案される。第2シーズンでは「コダマート」を辞めて「カフェPupil's」でのアルバイトを開始。店が経営難に直面すると、小田ナオコ、八木トモヒコとともに状況を打開するべく動き始める。
小田 ナオコ (おだ なおこ)
三浦アキラのクラスメイトの女子で、海外経験の豊富な帰国子女。セミロングの髪とサイドに止めたヘアピン、大きな胸が特徴。性格はやや天然だが、核心をついた鋭い発言をして周囲を驚かせることも多い。第2シーズンでは「カフェPupil's」でのアルバイトを開始。その危うい経営状況を知ると仲間たちを鼓舞し、店の復興に動き出す。
八木 トモヒコ (やぎ ともひこ)
三浦アキラのクラスメイトの男子。弁護士を目指している優等生で、アキラとは犬猿の仲。黒場新太の授業内容には嫌悪感を持っており、頻繁に食ってかかって論戦を繰り広げることになる。第2シーズンでは青井ヒトミにパソコンの手ほどきをするため、「カフェPupil's」に通い始める。やがて「カフェPupil's」が経営難である事実が発覚すると、再生のための具体的な計画を立案する。
和渕 初治 (わぶち はつじ)
黒場新太に株を教えた初老の紳士。細い目で、髪は後ろに流して口髭を生やし、作務衣を着ていることが多い。一流の投資家として鳴らしており、飲食店の入ったビルやサーフショップなどを幅広く経営。山奥に建てた邸宅にはトレード施設が完備されている。好々爺ではあるが、ビジネスに関してはドライに考えており、情に流されて動くことはない。 また、小柄ながら合気道の心得があり揉め事にも強い。日本を良くするためには「読み、書き、そろばん」ではなく「英語、コンピュータ、マネーの知識」が必要だと考えており、黒場に次の時代を創る若者の育成を託した。
青井 ヒトミ (あおい ひとみ)
「カフェPupil's」のオーナーを務める妙齢の女性。ロングヘアーで口元にホクロがあり、三浦アキラいわく「いい香りがする」。厨房には頻繁に顔を出しており、時には賄いとして亡き料理人の青井ヒトミの父から受け継いだ秘伝のナポリタンを振る舞うこともある。人当たりの良さも相まって、従業員からの信頼は非常に厚い。 一方で、不注意によって27000円もする高級グラスを割ってしまった従業員をとがめなかったり、新人アルバイトに時給1500円の高待遇を約束するなど、お金の扱いに関しては甘い面もある。
宮本 (みやもと)
「カフェPupil's」付近に開店した「マリオズ」新店舗の店長。オールバックで眼鏡をかけた壮年男性で、物腰は柔らかいがしたたかな性格。店作りの段階から「カフェPupil's」の雰囲気を真似ており、メニュー内容に至るまで完全にコピー。そのうえで商品を低価格で提供し、「カフェPupil's」を閉店に追い込もうと企んでいる。
店長 (てんちょう)
三浦アキラがアルバイトをしていたコンビニ「コダマート」の店長。眼鏡をかけた太った中年男性で、処分費用削減のために廃棄弁当の暴食を日課としている。アキラの勤務時間中に万引きが発生したことで逆恨みし、アキラの給料から被害額を天引きするなど、事あるごとにアキラと衝突する。第2シーズンでは「カフェPupil's」の一口オーナーになり、意中の女性を連れて来店。 普段のケチな姿からは想像できない羽振りの良さを見せ、小田ナオコにあることを気付かせる。
青井ヒトミの父 (あおいひとみのちち)
青井ヒトミの父親。ヒトミが中学生の頃に脱サラして小さな洋食屋を始めるも、開業からわずか1週間で居眠り運転の自動車に轢かれて死亡した。これにより店は閉店を余儀なくされ、土地も人手に渡ってしまった。彼がヒトミに振る舞っていた得意料理のナポリタンが、時代を超えて「カフェPupil's」再生のきっかけとなる。
三浦アキラの父 (みうらあきらのちち)
三浦アキラの父親。真面目なサラリーマンだが、過去に株で大失敗した経験がある。黒場新太の影響で株に興味を持ち始めたアキラを叱責しつつ、株から完全に離れたわけではなく、現在進行形で密かに取引を継続している。
場所
カフェPupil's (かふぇぴゅーぴるず)
第2シーズンの舞台となるイタリアンカフェ。青井ヒトミが株で稼いだ資産を元手に開業した店で、コンセプトはスローライフ。契約農家で収穫された有機野菜や本場お取り寄せの調味料など食材にこだわり、調度品や食器もイタリア製のものでまとめられている。高級な雰囲気を安価に味わえることから繁盛しており、諸経費を差し引いて1日3万円前後の利益をコンスタントに出している。 しかし、初期投資に莫大な金額がかかっており、借金額は約8000万円。1日あたり2万7000円という高額な利子の返済がのし掛かり、どれだけ営業しても元本を減らせない悪循環に陥っている。なお、立地は代官山の一等地。かつて青井ヒトミの父が料理店を営んでいた場所でもある。
マリオズ
「カフェPupil's」の近所に出店したイタリアンカフェ。全国展開しているチェーン店で、日本最大の商社「都丸商事」を運営母体に持つ。店長の宮本が考案した赤字覚悟の価格破壊を圧倒的な資金力によって実現しており、「カフェPupil's」再生の大きな障害として立ちはだかる。
その他キーワード
M.I.Q. (えむあいきゅー)
お金に関する知識のこと。「M.I.Q.」を高めてマネーの世界の変革に上手く乗ることができれば、親や社会、国家にさえ頼ることなく、世界中の何処に行っても生きていける本当の自由が手に入るとされている。和渕初治が提唱し、弟子の黒場新太にその波及を託した。内容は国家の経済から個人的な株の売買まで多岐に及ぶが、作中では主にデイトレードのノウハウと「カネモチの公式(収入と支出、資産と借金から成る)」に絞って解説されている。
パターン認識能力 (ぱたーんにんしきのうりょく)
抽象的な図形やグラフなどから意味のあるパターンを読み取る能力のこと。株を売るべきか買うべきかの判断を秒単位で求められるデイトレーダーにとって最強の武器とされる。黒場新太は素人の三浦アキラが株の値動きのチャートから直感的に先を予測して見せたことで、高いパターン認識能力を持っていることを確信。将来性に期待し、目をかけるようになる。
クレジット
- 原作
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マスヤマコム
- 構成協力
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冨田 かおり