概要・あらすじ
ドラえもんが大切にしているひみつ道具、ネコあつめすずが何者かに奪われた。現在のすずに格別な思い入れがあると言うドラえもんのため、野比のび太はシャーロック・ホームズセットを借りて、すずのありかを推理する。その結果、現時点におけるすずの所在地がひみつ道具博物館であること、さらに奪った犯人が怪盗DXであることが判明。
ドラえもんはのび太と友人たちを伴い、すずを取り戻すためにひみつ道具博物館へと向かうのだった。
登場人物・キャラクター
ドラえもん
22世紀の世界から、時を超えて現代にやってきた猫型ロボット。ずんぐりとした体形をしており、耳をかじられたトラウマからネズミを大の苦手としている。現在は野比のび太のサポートを任されており、時に厳しく、時にやさしく彼を見守る。腹部には4次元ポケットと呼ばれる収納袋を備えており、その中にはひみつ道具と呼ばれるさまざまなアイテムが収納されている。 怪盗DXと呼ばれる謎の人物によって首輪に装着していたネコあつめすずを奪われてしまい、取り戻すためにひみつ道具博物館へ向かう。首輪にすずが付いていないのが不格好という理由で、現在はすずの代わりにレモンを付けている。
野比 のび太 (のび のびた)
ドラえもんと共に生活している小学生。努力を苦手としているため落ちこぼれに甘んじてしまっているが、実際はやればできるタイプの人間。ドラえもんとは兄弟のような関係で、時には彼の持つひみつ道具に頼ろうとしたり、それをとがめられたりすることはあるが、お互いをかけがえのない、大切な存在と思い合っている。ドラえもんが奪われたネコあつめすずのありかを推理するためシャーロック・ホームズセットを着用し、事件解決のためにひみつ道具博物館を奔走する。
源 静香 (みなもと しずか)
野比のび太のクラスメイト。誰に対してもやさしいクラスのマドンナ的存在だが、ストレスがたまるとおかしな行動を取ることがある。のび太の誘いに応じて、剛田武や骨川スネ夫と共にひみつ道具博物館へ同行。好奇心旺盛な面を多く見せると共に、シャーロック・ホームズセットを使い巧みな推理を見せるのび太を頼りにする場面もあった。
剛田 武 (ごうだ たけし)
野比のび太のクラスメイト。機嫌によって人格が大きく変わる気分屋で、時にはクラスメイトを見下したり乱暴をはたらくこともあるが、日常から外れた冒険においてはおおらかな性格と男気を見せることが多い。のび太の誘いに応じて、源静香や骨川スネ夫と共にひみつ道具博物館へ同行。未知の施設やひみつ道具の数々に胸を躍らせるが、スネ夫と共に誤って大型のガリバートンネルを潜り抜けてしまい、小さくなったまま戻れなくなってしまう。
骨川 スネ夫 (ほねかわ すねお)
野比のび太のクラスメイト。金持ちであるため珍しいものを見せびらかし、のび太を悔しがらせることがあるが、逆にドラえもんのひみつ道具を羨ましがることもある。のび太の誘いに応じて、源静香や剛田武と共にひみつ道具博物館へ同行。クルトの家に宿泊した際にB級グルメテーブルかけを使おうとしたところ、B級グルメに疎いため使いこなせなかったという一幕が見られた。
クルト
クルト・ハルトマンの孫。野比のび太と同年代の少年で、ひみつ道具博物館の案内役を務めており、訪れたドラえもんたちの案内を任される。ひみつ道具の開発を趣味としているが、その出来には問題があり、一般流通させられるものではないと言われる。しかし、どんな困難に直面しても絶対にあきらめてはならないという師匠の教えを胸に、常に前向きに励んでいる。 要領の悪い者同士であるとして、のび太と親近感を抱き合う。
フィークス
ひみつ道具博物館の館長。真面目な性格で、職務に忠実な中年男性。ひみつ道具開発の立役者であるクルト・ハルトマンを尊敬しているが、博士の孫であるクルトのことは半人前と見ており、厳しい目を向けている。怪盗DXによる被害に悩まされており、彼からの予告状が届いた翌日、博物館を臨時休館させるという苦渋の決断を下す。
クルト・ハルトマン (くるとはるとまん)
クルトの祖父で、どこでもドアの基礎理論を構築し、完成にまで至らせた偉大な科学者。盟友であるターメリック・ペプラーと共同で人工太陽を開発していたが、その最中にフルエネルギーという未知のエネルギーを発見。ひみつ道具の開発に大いに貢献したとして、22世紀における世界の偉人に名を連ねる。現在は故人だが、ひみつ道具博物館のエントランスには、彼の功績を称えて銅像が飾られている。
ゴンスケ
ひみつ道具博物館の一区画である「屋台村」にて、「ひみつ道具釣り」という出店を出しているブリキロボット。ドラえもんとは異なり、メカニカルかつ古風な外見をしている。客寄せのために「豪華なひみつ道具を釣れる」と言うが、ケチな性格であるためろくな道具を用意してないとクルトは推測している。藤子・F・不二雄の漫画作品『21エモン』の登場キャラクター。
ターメリック・ペプラー (たーめりっくぺぷらー)
初老の男性研究員。かつてクルト・ハルトマン(ハルトマン博士)の共同研究者として、人工太陽の研究、および開発に携わっていた。内心にハルトマン博士に対する劣等感を抱えており、焦りによるミスから人工太陽を暴走させかけてしまい、命の危機に晒される。ハルトマン博士の尽力で一命をとりとめ、惨事に至らなかったものの、責任を問われて追放処分を受けてしまう。 現在、表向きには行方不明とされているが、孫娘のジンジャー・ペプラーと共にある研究を進めている。
ジンジャー・ペプラー (じんじゃーぺぷらー)
クルトの同年代の友人で、ターメリック・ペプラー(ペプラー博士)の孫娘。ペプラー博士の研究を手伝っている。芯が強いしっかりもので、研究に掛かりきりの博士のために、シチューなどの料理の差し入れも行う。
怪盗DX (かいとうでらっくす)
ひみつ道具の窃盗を繰り返す、正体不明の怪盗。ドラえもんからネコあつめすずを盗み取った張本人である。盗みを働く相手に、予告状を送りつけるというポリシーを持つが、ドラえもんに予告状を送りつけた時は野比のび太が知らずに処分してしまっていた。ある目的のためにひみつ道具を狙っており、ひみつ道具博物館に潜入。 ネコあつめすずの奪還を狙うドラえもんたちと対決する。
初期型パトロールロボ (しょきがたぱとろーるろぼ)
西洋の甲冑を思わせるフォルムを備え、特徴的な一つ目を持つ巨大ロボット。かつてひみつ道具博物館の警備を担当していた。パワフルな見た目通りの怪力を発揮し、ミサイルまで搭載。そのあまりに強い攻撃能力を危険視され、現在はフルエネルギーを搭載した鎖で厳重に封印されている。
ポポン
クルトが発明をしている最中に、偶然出来上がった軟体状のひみつ道具。道具でありながら確固たる意思を持っており、生みの親であるクルトに懐いている。クルトもポポンを頼りにしており、彼が仕事のために外出する時は留守番を任せている。物体の中身だけを吸い取る能力を持っている。
場所
ひみつ道具博物館 (ひみつどうぐみゅーじあむ)
未来の世界に存在する、あらゆるひみつ道具が展示されている施設。人気ゆえに入館料は割高。西洋の城を思わせる外観が特徴で、4基の巨大なタケコプターに支えられることで浮遊しており、門はクルト・ハルトマンが開発した「どこでもドア第一号」が使用されている。内部はとてつもなく広いため、遭難を防止するために発信機の装着が義務づけられている。 自立機械型のひみつ道具が目玉のロボット館、現代(未来世界からいうと旧時代)の佇まいを見せる「屋台村」、タケコプターなどを用いて飛行を楽しめる「空館」、地球外において活用されるひみつ道具をそろえた「宇宙館」など、多くのパビリオンが存在する。
その他キーワード
ひみつ道具 (ひみつどうぐ)
22世紀における科学の産物たる便利アイテムの総称。一回きりの使い捨てから、永続的に利用できるものまであり、その効果もさまざまである。その大半はドラえもんが所有する4次元ポケットに収納されているが、なかには野比のび太の机と一体化していたりと、日常品と擬態、あるいは融合したひみつ道具も存在する。
4次元ポケット (よじげんぽけっと)
ドラえもんの腹部に搭載されているポケット。やや大型で、両手を同時に入れることができる。内部は4次元空間と直結しており、ひみつ道具を無限に収納することが可能。そのため現実では到底収めきれない数の道具が存在している。ドラえもんは、どの道具がどこにあるのか把握しているが、焦っている時などは取り出す道具を間違えることも少なくない。
どこでもドア
クルト・ハルトマン(ハルトマン博士)によって開発されたひみつ道具。行きたい場所を言葉にするか想像しつつドアを開くことで、実際にその場所に移動することができる。移動可能距離は10光年で、ドアに記録されてない空間(主に異次元やパラレルワールドなど)に移動できないという制約こそあるものの、その利便性と有用性からひみつ道具の中でもトップクラスの知名度を誇る。 なお、ハルトマン博士が作り上げた初期型の「どこでもドア第一号」は、城門を彷彿とさせる超大型のもので、現在はひみつ道具博物館の正門として利用されている。
シャーロックホームズセット
調査に特化した、4つのひみつ道具セット。手がかりレンズ、推理ぼう、レーダーステッキ、ズバリパイプが該当する。これらの道具は単体でも十分な効果を発揮するが、組み合わせることで、難事件を解決したり探し物を見つける大きな助けとなる。怪盗DXの足跡を追うために野比のび太によって活用された。モチーフとなっているのはアーサー・コナン・ドイルの小説に登場する探偵「シャーロック・ホームズ」。
推理ぼう (すいりぼう)
シャーロック・ホームズセットのひとつ。かぶったまま鍔を弾くことで使用者の頭が冴える、帽子型のひみつ道具である。本人が知りえないはずの情報を取得することもできるため、頭脳明晰になるというよりは帽子から知識を獲得すると言ったほうが正しい。知識を得る際には自動的に決め台詞らしき言葉を発声する仕組みになっており、野比のび太はこの道具を使う際に「のびビビーン」という言葉を発している。
レーダーステッキ
シャーロック・ホームズセットのひとつ。探したい人物を思い浮かべながらステッキを倒すと、その人物のいる方向を指し示す。ただし、効果範囲は3次元空間に限定されているため、それ以上の次元、例えばひみつ道具を使って異なる時代や異空間に逃げ込まれた際には、効果を発揮できない。その場合、ステッキは独りでに地面に立ったまま倒れないという結果に終わる。
ズバリパイプ
シャーロック・ホームズセットのひとつ。パイプの形状をしたひみつ道具だが、原理はシャボン玉に近い。捜査している事件の犯人を思い浮かべたままパイプを吹くと風船状の物質が発生し、その物質が犯人の頭上で割れる。ただし、犯人との距離があまりにも離れすぎている場合、吹いても風船は発生しない。
手がかりレンズ (てがかりれんず)
シャーロック・ホームズセットのひとつ。虫眼鏡の形状をしているひみつ道具で、覗き込むと事件の手掛かりが隠されている場所が映し出される。映像を投影するだけなので、レーダーステッキやズバリパイプと異なり、手掛かりとの距離が離れていたり、異なる時代や空間であっても効果は発揮される。ただし、映し出された場所に見覚えがない場合は、それがどこであるかを調べる必要がある。
ネコあつめすず
ドラえもんの首輪に常時着用されている、黄色い鈴の形状をしたひみつ道具。鳴らすことにより猫を集める音を発生させることができるのだが、現在ドラえもんがつけているすずはこの機能が故障してしまっている。にもかかわらず、ある理由によってドラえもんは現在のすずをかたくなに手放そうとしない。また、ドラえもんに限らず多くのネコ型ロボットにはこの道具がつけられている。 これは猫としての本能を抑制するためで、長い間装着しないままでいると本能を刺激され、さながら野良猫のような行動を取るようになってしまう。
タケコプター
竹とんぼの形状をしたひみつ道具。揚力と反重力を発生させることにより、装着したものを飛行させられる。手軽に使用できるうえに、人間には不可能とされる「飛行」を誰でも簡単に行えるため、どこでもドアと同等の知名度、有用性を誇る。ひみつ道具博物館には4基の巨大なタケコプターが搭載されており、その効果によって絶えず空を浮遊している。 また、ひみつ道具博物館におけるパビリオンのひとつである「空館」では、旧式のタケコプターが多数展示されており、実際に利用することも可能となっている。
太陽製造機 (たいようせいぞうき)
クルト・ハルトマンと、ターメリック・ペプラーが、人工太陽を作る研究の末に生み出したひみつ道具。自然からエネルギーを抽出して太陽の形に練り上げ、新たなエネルギー源とする役割を持つ。生態系に貢献する画期的な発明だが、一方で操作を誤ればエネルギーを暴走をさせてしまう危険性を秘めているため、扱いには細心の注意を払う必要がある。
ビッグライト
懐中電灯に近い形状を持つひみつ道具。物質を巨大化させる光を照射する。巨大化の割合は使用者によってコントロールすることができ、照射時間が長ければ長いほど、高い効果を発揮する。また、ガリバートンネルなど、別のひみつ道具を使用することで小さくなった物体を元に戻すという用途もある。
ころばしや
ロシア人形をほうふつとさせる形状を持つひみつ道具。背中の穴に10円を入れ、転ばせたい相手の名前を音声伝達させることにより、ターゲットの脚部を狙撃。転倒させることができる。狙撃のために用いられる銃はただ衝撃を加えるだけで、撃たれても痛みや後遺症を伴うことはない。ひみつ道具博物館に展示されていたところを、骨川スネ夫が剛田武をいたずらで転ばせるために使用した。
きこりの泉 (きこりのいずみ)
小さな池の形をしたひみつ道具。中心にある泉にものを沈めることができ、日用品やひみつ道具などのアイテムであれば、より高性能化した道具を、生物であれば性格、容姿共に「きれいに」なった者を伴って、泉の精と呼ばれる女性が現れる。その女性の投げかける質問に対し正直に答えることで、高性能化したものを入手することができるのだが、間違えたり嘘をついたりした場合、何も入手することができない。 また、いずれにしても、泉に投入した元のものは戻ってこないという致命的な欠点が存在する。
発信機 (はっしんき)
ひみつ道具博物館入館の際に装着が義務付けられている、バッジを模した形状のひみつ道具。レーダーの役割を果たしており、連動した地図を見ることにより着用者の所在地を確認できる。かつてひみつ道具博物館を訪れた観光客があまりの広さに迷ってしまい、1か月の間遭難したという事例が問題視され、この道具を義務化するきっかけとなった。
ショックガン
銃の形状を持つひみつ道具。引き金を引くことで相手をしびれさせる光線を発射する。身体を破壊したり、しびれることによる後遺症などはなく、飽くまで鎮圧、もしくは自衛のためのひみつ道具である。射撃を得意とする野比のび太が主に使用する。
空気砲 (くうきほう)
筒の形状をしたひみつ道具。利き腕に装着したうえで「ドカン!」と発声することにより、圧縮した空気を砲弾のごとく発射する。ショックガン同様、衝撃波そのものに殺傷能力はないが、重い物体を容易にまとめて吹き飛ばすことができる。そのため多数を相手取るのに適しており、組織的な暴徒の撃退や鎮圧などに非常に高い効果を発揮する。 また、形状が適しているためか、ドラえもんや剛田武が緊急時に使うことが多い。
B級グルメテーブルかけ (びーきゅうぐるめてーぶるかけ)
クルトによって作成された、テーブルを覆うほどの面積を持つ布状のひみつ道具。「グルメテーブルかけ」の亜種にあたる。この道具をテーブルにかけ、希望の料理を思い浮かべつつ広げると、実際に完成した料理が出現する。想像した料理が高価だと判断された場合、料理の素材のみが出てきてしまうという欠陥がある。とはいえ、安価でも美味である分には問題ないので、食料確保のためなら十分実用に足る道具と言える。
ガリバートンネル
トンネルの形をしているひみつ道具。潜り抜けることで体を縮小させることができる。ひみつ道具博物館に展示されていたガリバートンネルは調子が悪く一度縮小してしまうと元に戻れなくなっており、さらに縮小を解除するためのビッグライトも怪盗DXに奪われてしまう。そのため、知らずに入った骨川スネ夫と剛田武は、しばらくの間小さくなったままの行動を余儀なくされる。
食用宇宙服 (しょくよううちゅうふく)
板状のガムに近い形のひみつ道具。食べることによって、宇宙空間における真空や低温などに耐える体質を獲得することができる。また、熱や湿気、乾燥などに対しても効果があるため、特殊な環境に進出する際には宇宙服としての用途以外においても役立つ道具となっている。
スッポンロボ
防犯用に開発されたひみつ道具。その名前の通り、スッポンの形状を持ち、目に入ったものや近づいたものを手あたり次第に噛むという性質を持つ。ゴンスケが営む「ひみつ道具釣り」で野比のび太が釣り上げたが、釣れた途端に噛みつかれる。さらに、それをのび太が弾き飛ばした拍子にドラえもんの4次元ポケットの中に入り込み、ポケットに入った手を無差別に噛むようになってしまう。
コピーロボット
小さなマネキンのような形をしているひみつ道具。鼻を押すと本人そっくりに変身し、人格までも完全にコピーする。外見、能力共に本人と同等になるが、変身したコピーロボットには、変身した相手の記憶を引き継ぐものの、コピーロボットであるという自覚もある。藤子・F・不二雄の漫画作品『パーマン』に登場するアイテム。
フルエネルギー
クルト・ハルトマンが発見した未知なるエネルギー。ひみつ道具の動力源として採用された結果、未来世界の技術水準を大幅に引き上げている。しかし後になって、このエネルギーが有限であることが判明。いずれは尽きてしまい、ひみつ道具そのものが使えなくなる可能性が示唆されている。