クリスタル☆ドラゴン

邪眼のバラーによって、女魔法使いアリアンロッドの村緑の原の一族は滅亡した。生き残った族長の娘ヘンルーダと共に、一族再興の誓いを果たすための旅に出ることになる。壮大なケルト・北欧(ファンタジー)作品。1世紀頃のアイルランドからローマまでのヨーロッパを舞台に物語が展開。ドラゴンやユニコーンなどの架空の生物が登場しながらも、実存した地名や歴史上の有名人が登場するという、虚構と史実を織り交ぜた形て描かれている。また、真実の名、誓い(ゲッシュ)などの共感魔術や、文化圏による慣習の違いなどが、巧みに物語に織り交ぜられている。外伝として、吟遊詩人、稀有のマーニを主人公にした『風の呪歌 射干玉の髪の姫君』がある。

正式名称
クリスタル☆ドラゴン
作者
ジャンル
アドベンチャー
 
ファンタジー
レーベル
ボニータコミックス(秋田書店) / 秋田文庫(秋田書店)
巻数
全12巻
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概要・あらすじ

邪眼のバラーによって、女魔法使いアリアンロッドの村、緑の原の一族は滅亡した。彼女は、生き残った族長の娘ヘンルーダと共に、一族再興の誓いを果たすための旅に出ることになる。旅の途中、自分が伝説で語られる「杖なき魔法使い」と知ったアリアンロッドは、伝説の竜の杖を求めて水晶宮の探索も始める。

長い旅の果てに竜の杖を手に入れるが、同時に邪眼のバラー竜の杖を持つ資格者だと判明する。

登場人物・キャラクター

アリアンロッド

緑の原の一族の出身で、賢者ドリスコルに育てられた女魔法使い(ドルイダス)。勝気で行動派。ケルトの民でありながらその頭髪は黒髪で、幼い頃は「妖精の取り換えっ子」と苛められたことも。魔法は得意ではなく、剣で戦う方が好み。一族を滅ぼした邪眼のバラーと戦う術を求め、水晶宮を探索の旅に出る。 伝承に語り継がれた「杖なき魔法使い」であり、竜の杖を持つことができる者として、闇と戦う宿命にある。

レギオン

アリアンロッドに「真実の名」を与えた名づけ親にして、邪眼のバラーと敵対する水晶の帷子を着こんだ戦士。剣の腕前は確かだが、矢面に立って戦うよりかアリアンロッドやソリルに道を示す導師のような役割を担う。その正体は、かつて闇に対抗しようとして水晶宮へとたどり着いた青年・夢見の夢から生まれた存在だった。 水晶竜が目覚めたことで、戦士のレギオンは消え、夢見のレギオンが世界に残ることになった。

パラルダ

風の精霊(シルフ)の王。レギオンと親しく、彼が目をかけているアリアンロッドのことを親身になって世話をし、自らの真の名前がパラルダであることまで明かしている。かつて闇に侵され、人間に敵対したことがあり、その時過去の世界に飛んだアリアンロッドに真の名をつけられたという経緯があった。 夢見に戻ったレギオンを凶刃から庇い命を落とす。

アラン

レギオンによって人の世にもたらされた世界樹の小枝から作られた竜の杖の精霊。好色で好奇心旺盛。すでに長い4つのパーツに分かたれたがために力が弱まったがというが、それでもなお強大な力を持っている。水晶竜を解き放ったために水晶宮で世界の夢を見ることに課せられたアリアンロッドに代わりに、小さな世界樹の姿で水晶宮に残った。

(やみ)

『クリスタル☆ドラゴン』に登場する敵ともいえる存在。アリアンロッドやレギオン、魔法使いたちと敵対する存在。明確な名称は無く「闇の御方」「魔」「影」など、様々な名で呼ばれている。世界に人間が増えすぎると大地の均衡が崩れ、瘴気が噴出する。その瘴気を受けた人間や精霊は異形の姿に変質し、他の人間を襲うようになってしまう。 この事例は、いままでもにも何度か起こったことであり、その度に夢見のレギオンや魔法使いの手で鎮圧されてきたという。

ヘンルーダ

緑の原の一族の族長・セドリックの娘。真の名は「フェリシア(幸福)」。金髪碧眼で見た目は華奢だが、気丈な性格をしている。アリアンロッドを追うための道具として、額を邪眼のバラーの血で汚され、以降様々な魔物に憑りつかれやすくなる。ローマ船で出会ったソリル・ニャールセンに惚れられ、彼の妻になる。

ソリル・ニャールセン (そりるにゃーるせん)

『クリスタル☆ドラゴン』に登場する、ヴァイキング族の狂戦士(バーサーカー)。筋肉質の偉丈夫で、体には多くの刀傷がある。「百の傷の武装戦士」という通り名も持つ。性格は好色、粗雑で礼儀知らずだが、狡知に長ける。ローマ人に捕らわれ人気の剣闘士になったが、貴族の不興を買い、船奴隷に身を落とす。後にヘンルーダを妻としたことから、アリアンロッドの旅に関わるようになる。 レギオンの導きにより、聖域に封印されていた破魔の聖剣を手に入れる。

邪眼のバラー (じゃがんのばらー)

『クリスタル☆ドラゴン』に登場するライバル。強い野心と残虐な心を持つ、深淵の谷の一族の長。前族長が死んだ折に姉、エラータの力を借り、族長の座に就いた。右目を常に眼帯で隠しており、外すと彼に憑りついている邪悪な闇が目を覚ます。戦いと騒乱を好み、それを楽しむためなら自分に不利な陰謀や事実があったとしてもワザと見逃すという癖がある。 本質はアリアンロッドに近く、魔法使いの才も持ち合わせているため、闇の側にいるが竜の杖を持つ資格者がある。

エラータ

深淵の谷の一族出身である女魔法使いにして、邪眼のバラーの姉。才能ある魔法使いとして将来を嘱望されていたが、弟を溺愛するあまり黒魔法に身を売る。そして邪悪な力を使い、邪眼のバラーを一族の長の座に据えた。戦い以外に興味を持たない弟に代わり、深淵の谷の一族を取り仕切っている。

グリフィス

深淵の谷の一族で、貴族階層に所属する赤毛の美青年。邪眼のバラーの副官として、また戦車の御者として常に側に仕えていた。邪眼のバラーからアリアンロッドを追う使命を受け、長き追跡の旅に出る。義理堅く、生真面目な性格をしており、鞭と剣の名手でもある。

ラズモア

邪眼のバラーに滅ぼされた沈黙の塚の一族出身の少年。名前は「狐の手袋」を意味する。細見で女顔だが、強い意志を持ち、惨殺された上王ミアーハの仇を討つべく、深淵の谷へと潜入する。探索の旅に出ていたグリフィスに代わり、邪眼のバラーの側仕えを務めることになる。後にウーナと恋仲になり、脱走を試みるが失敗。 毒を使って邪眼のバラーを道連れにしようとするが、バラーには毒が効かなかったために一人、絶命する。

ミアーハ

精霊と親交を保っている沈黙の一族の長にして、数少ないエリンの島の上王(アード・リー)。ヘンルーダの姉の子で、彼女より年上だが甥という関係にある。詩人にして予知者、歌と竪琴を愛する物静かな青年だが、邪眼のバラーの侵攻に対しても臆することなく戦い散る。 後にエラータの魔術により、その魂がラズモアに憑依する形で復活を遂げる。竪琴による清めの結界で、深淵の谷に蠢く瘴気を抑えている。

フランカ

深淵の谷で生まれた4人の異形の子供のひとりで、長い尻尾を持つ少女。名前は「ねずみ」を意味する。異常に成長が早く、自分たちが邪眼のバラーを警護するべく生まれたことを教えられることなく知っていた。他の異形の子供「岩(カリグ)」「獣の足(ウバ)」「四本手(ケーレ・ローブ)」が寡黙なため、意志表明役を担っている。 邪眼のバラーの夜伽の相手もしており、後に彼の子供を孕む。

ウーナ

邪眼のバラーのいとこにあたる、上王(アード・リー)、カメロンの娘。内気で大人しい少女だが、政略結婚で邪眼のバラーの妻にされてしまう。しかし、側仕えのラズモアと恋仲になり、その子供を孕む。ラズモアが殺された後、生まれた女の子を守るために薬や魔術を学ぼうとエラータに師事する。

フリーブ・アン・ティネ (ふりーぶあんてぃね)

『クリスタル☆ドラゴン』に登場するモンスター。深淵の谷で母馬の腹を食い破って生まれてきた黒い一角獣。炎の色のたてがみと漆黒の鱗、空を飛ぶことができる蝙蝠のような羽を持つ。馬の姿をしているが肉食。成長すると、戦車に代わる邪眼のバラーの空駆ける騎乗馬になった。名前は「炎の剣」を意味する。

ボリ

『クリスタル☆ドラゴン』の登場する深淵の谷に捕らわれていたヴァイキングの少年。谷では、ラテン語の通訳として働かされていた。ヘンルーダと共に深淵の谷から解き放たれた後、アリアンロッドたちの旅に同行するようになる。やがてレギオンのメッセンジャーや、ヘンルーダのお目付け役、情報収集役など様々な場面で活躍してきたが、アリアンロッドたちが再びアルペスに向かうあたって、同行せずにローマに残ることになった。

ギルス

ソリル・ニャールセンの兄弟にして、族長ホスクルドの正妻との間にできた唯一の息子。だが、肺に病を抱えており「病持ちのギルス」という通り名を持つがゆえに、族長を継ぐことができない。体力は無いが、巧みな剣術の腕を持つ。父・ホスクルドの葬儀後、ソリルがヘンルーダを追って村を出て行ってしまったために、族長の座に就くことになる。

サール

アルプスの山中にあるサリの末裔が住む村の少年。サリの啓示を受けた祖母の命令を受け、エフィデルの隊商を襲い、アリアンロッドを誘拐した。巫女としての才能を持ち、霊や精霊を見ることができる。アリアンロッドを奴隷として売った金をソリル・ニャールセンに奪われ、取り戻すべくローマへと向かうが、その後なし崩し的に仲間に入れらてしまう。 その後、水晶宮や常若の国への先導役を担った。

サリ

過去の世界で夢見のレギオンに付き従い、水晶宮を探す旅をした巫女。浄化の力を武器に乗せることができ、変化した人間や化け物を浄化することができる。レギオンに恋心を抱くがその想い叶わず、アルペス山中の水晶に映る夢見姿のレギオンを慕い続けた。水晶の宝庫にやってくるドワーフの生血を啜って長き時を生き延びてきたが、アリアンロッドが突き立てた水晶の破片で絶命する。

セクァヌ

ガリアのアレシアの街にある神殿の巫女姫。泉の精霊セクァヌの名を持つ。予知者で、的中率の高い水占いをすることで有名だった。エラータが放った使い魔に憑りつかれ、アリアンロッドとグリフィスを街を囲う結界に閉じ込めた。この使い魔は後にヘンルーダに憑りつき、セクァヌを名乗ってローマ皇帝・ネロの寵愛を得て策謀を巡らせる。 しかし、竜の杖を手にした、アリアンロッドの清めの炎で消滅する。

水晶竜 (くりすたる・どらごん、すいしょうりゅう)

『クリスタル☆ドラゴン』に登場する水晶宮で夢を紡ぐ巨大な水晶竜。現在の世界はこの竜が見る夢であり、竜が目覚めれば消えてしまうものだった。水晶宮を訪れた者は、ここで竜と共に眠ることを代償として、竜の夢を己が力として使うことができる。アリアンロッドは水晶竜を目覚めさせてしまい、力を得る対価に水晶竜の代わって水晶宮で夢を見るという責務を科せられる。

エフィデル

アルペスをまたぎ、ガリアとローマの間で通商していた商人。「インフィデリウス」とも呼ばれる。母親がローマ系の混血児だったために、金髪のガリア人らしい容姿を持つ。この姿故に母親に疎まれている。自身はローマ人のつもりだがローマ市民権は無く、容姿は北方系というということに劣等感を抱いている。 アルペスを山越えをしてローマに向かう途中、サールが率いる山賊に襲われて死亡する。

ラウリン

アルペス山中に住むドワーフたちの王。外見は浅黒い肌を持つ美丈夫で、ドワーフたちとは種族が違う。魔法の品が好きで、魔法の気配がある品を持つ旅人に取引を持ち掛けては蒐集している。その正体は世界の外で世界樹に生る生命の実を育てる庭師。魔法の品を集めるのは、世界を歪める=生命の実に悪影響を与える可能性があると判断したためだった。

リアム老 (りあむろう)

アルペス山中に住むドワーフたちの長。小さい体躯に大きな目を持つ小人。水晶の発掘場に救う悪鬼(老いたサリ)を退治した恩人として、アリアンロッドを歓待する。後に世界樹の小枝から新たな竜の杖を2本作ることになる。

海神 (まななん・まく・りーむ)

『クリスタル☆ドラゴン』の登場する冥府の神(ブラーン・マク・リール)の弟にして海の神。「ネプトゥーヌス」「アギール」「輝ける頭(バル・フィンド)」とも呼ばれる。

ペトロニウス

『クリスタル☆ドラゴン』の登場人物にして実在の人物。皇帝ネロのお気に入りといわれるローマ貴族。「美の判定者」とも呼ばれている。ローマへとやってきたグリフィスを客人として迎え入れたほか、騒動を起こしたアリアンロッドたちをかくまったりもしている。趣味人で、美しいもの、面白い騒動のためならば命を張ることも厭わない。 アリアンロッド曰く、「洗練された邪眼のバラー」。後にアリアンロッドたちをモデルにした、小説『サテリコン』を記す。

集団・組織

緑の原の一族 (ぐりあなん・くらーな)

『クリスタル☆ドラゴン』に登場するエリンの島にあった一族の名。ヘンルーダの父・セドリックが族長として統括していた。邪眼のバラーによって滅ぼされ、男は殺され、女は奴隷として深淵の谷に連れ去られた。

場所

深淵の谷 (どーむにゅー・がわん)

『クリスタル☆ドラゴン』の登場する邪眼のバラーの一族が暮らす谷。邪眼のバラーに代替わりしてから、奇怪な事象が多発し、残忍な戦いをするようになったために「魔の谷(アルハ・ガワン)」と呼ばれるようになった。事実、谷の奥底には闇の瘴気が澱んでおり、その影響で谷の住人は奇怪な姿へと変貌し、動物や人間すらも真っ当な姿で生まれなくなった。 さらには人や馬の影が勝手に動き始め、バラーに傅いて兵として戦うようになった。

水晶宮 (すいしょうきゅう)

『クリスタル☆ドラゴン』に登場する伝説の城。大陸中央にそびえるアルペス山中に存在している。入口は複数あり、夢見のレギオンは岩の隙間にあった花畑の見えない階段から城に入り、アリアンロッドは地下の水晶から魔力を制御して城の中へと入った。城の主はドワーフの王ラウリンで、その中には水晶竜が眠り、ラウリンが溜め込んだ魔力に満ちている。

常若の国 (てぃる・な・ぬぐ)

『クリスタル☆ドラゴン』の登場する伝説の土地。幻の波に乗ることで辿りつくことができる森に囲まれた国。その中心には樫の巨木世界樹がそびえ立っている。この国の住人は老いることのないエルフで、終わることのない宴を楽しんでいる。外からの来訪者は歓迎されるが、ここで出された食物を食べると元の世界には帰れなくなる。この常若の国を統べる王は海神(マナナン・マク・リーム)である。

その他キーワード

竜の杖 (りゅうのつえ)

『クリスタル☆ドラゴン』に登場する世界樹の小枝から作られた、魔法使いのための杖。通常の杖は魔法使い1人に仕え、主の死と共に消えるが、竜の杖は複数の魔法使いに使われてきた。夢見のレギオンが使用した竜の杖は、杖頭・柄・銀の車輪・留め具の4つに分かれて分散。アリアンロッドは当初この4つのパーツ集め奔走する。 後に常若の国で己のための新たな世界樹の小枝を入手。同時にグリフィスも小枝を手に入れたため、新たな竜の杖は「杖」と「剣」の2つが作られることになった。

世界樹 (せかいじゅ)

『クリスタル☆ドラゴン』に登場する常若の国の中心にそびえたつ樫の巨木。周囲の水の中は魔法が一切使えず、それが世界樹の守りになっている。巨木の精霊はアランと同じ姿をしている。この木の小枝が世界樹の小枝と呼ばれて竜の杖の素材となる。しかし、小枝は争いや変化を好むものは少なく、寿命が短くなる(世界樹のスケールで)ため、巨木から離れての旅を望むものは少ない。

書誌情報

クリスタル・ドラゴン 全12巻 秋田書店〈秋田文庫〉 完結

第1巻

(2003年8月発行、 978-4253178488)

第2巻

(2003年10月発行、 978-4253178495)

第3巻

(2003年12月発行、 978-4253178501)

第4巻

(2004年2月発行、 978-4253178518)

第5巻

(2004年4月発行、 978-4253178525)

第6巻

(2004年6月発行、 978-4253178532)

第7巻

(2004年8月発行、 978-4253178549)

第8巻

(2004年11月発行、 978-4253178556)

第9巻

(2005年2月発行、 978-4253178563)

第10巻

(2005年5月発行、 978-4253178570)

第11巻

(2005年8月発行、 978-4253178587)

第12巻

(2007年8月発行、 978-4253178594)

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