ヴィンランド・サガ

父の仇を付け狙う少年トルフィンは、仇相手を別の人間に殺されてしまったことで生きる望みを失う。だがその後、農業を通じて作る喜びを見出して成長。虐げられし者たちを救うため、新天地・ヴィンランドを目指す物語。10世紀末~11世紀末に実際にあったヨーロッパ人によるアメリカ大陸植民地化を描いた文献資料『グリーンランド人のサガ』、『赤毛のエイリークのサガ』をもとしたフィクションで、その時代のヨーロッパ情勢が物語内に反映され、壮大でスリリングな展開となっている。

概要・あらすじ

アイスランド出身の少年・トルフィンは、父親をアシェラッド兵団の団長・アシェラッドに殺され、仇を討つためにアシェラッド兵団に居着いていた。それから10年の時が流れ、トルフィンらアシェラッド兵団は、デンマーク王・スヴェンのイングランド遠征に参戦し、捕虜となっていた王子クヌートを救出。

クヌートに王の才覚を見出したアシェラッドクヌートに忠誠を誓うが、アシェラッドクヌートにより殺害されてしまう。思わぬ形で仇を奪われ激昂したトルフィンクヌートに刃を向け、その咎で奴隷として売られ、デンマークの大地主ケティルの農園で働くことになった。そこで出会った同じ奴隷のエイナルより、奪うのではなく生み出す喜びを教えられたトルフィンは暴力と決別。

虐げられし者達の楽園を作るため、幼き日に聞いた豊穣の土地・ヴィンランドを目指すという目的を見出すのだった。

登場人物・キャラクター

トルフィン【侠気の】 (とるふぃん)

11世紀初頭に北アメリカ大陸東部を開拓したヨーロッパの探検家・ソルフィン・ソルザルソンをモデルとしている。アイスランド出身。幼い頃にアシェラッド兵団の団長・アシェラッドに目の前で父親のトールズを殺害され、敵を討つためにアシェラッド兵団に居着く。小柄ではあるが父親の形見の短剣を巧みに操り、侠気のトルフィンとあだ名されるほどの猛々しい戦士として育った。 数々の戦を転戦し、功を挙げるたびにアシェラッドに決闘を挑むが、まったく相手にならず、最終的にアシェラッドはデンマーク王国の王・スヴェンの次男・クヌートの手により殺害され、生きる目的を失う。その後、奴隷に身を落とし、大地主・ケティルの農園で森を切り拓き、農地として開墾する作業につき、命の奪い合いがまったくの無益であり、新たに何かを生み出すことの喜びを知った。 そして、虐げられている者達が暮らせる楽園を作るため、幼いころに聞いた西海の果てにあるという恵まれし草原の地、ヴィンランドへの渡航を決意する。

トールズ

トルフィンの父。かつてデンマーク王国のエリート軍・ヨーム戦士団に所属していた勇敢な戦士で、ヨームの戦鬼(トロル)のあだ名を持つ。妻を娶り、娘を授かったことで戦いに虚しさを覚え、死を偽装して軍を抜けた。その後、アイスランドの小さな村で静かに暮らし、トルフィンを授かる。 だが、トールズが生きていることがヨーム戦士団に知られ、村の安全を保証する代わりに再び戦地へと赴くことに。そして、トールズに恨みを抱くヨーム戦士団の小隊長・フローキからトールズの暗殺を依頼されたアシェラッド兵団と戦闘。団長のアシェラッドとの決闘には勝利したものの、村に手を出さないことを約束させたのちに大量の矢を受けて絶命した。

レイフ

10世紀末に初めてアメリカ大陸に渡ったとされるヨーロッパ人・レイフ・エリクソンをモデルとしている。海と戦う勇敢な船乗りで、幼いころのトルフィンに自身の若いころの冒険譚を聞かせ、草原の地・ヴィンランドの存在を示唆した。律儀な性格をしており、トルフィンが村を出て行方不明になってからも彼を探し続ける。 1度目にトルフィンに再会した時には、アシェラッドへの復讐に取り憑かれ、連れ帰ることは叶わなかった。が、ケティルの農場にて奴隷となったトルフィンに会ったときには顔の険が抜けていたため、アイスランドへ連れ帰る。その後、トルフィンが願うヴィンランドへの渡航のよき理解者となり、協力を約束。

アシェラッド

傭兵集団アシェラッド兵団の団長。トルフィンの父・トールズを殺害し、以後、仇としてトルフィンから命を狙われるようになる。デンマーク出身だが、自身の心の置きどころは母親の故郷であるイングランドのウェールズにあり、先祖の英雄アルトリウスを信仰している。 鋭い剣さばきを見せる戦上手で頭も切れ、デンマーク王国の王・スヴェンの次男・クヌートに君主の資質を見出し、忠誠を誓った。クヌートを真の王にするためによく補佐していたが、スヴェンから心の故郷であるウェールズを取るかクヌートを殺すかと迫られ、衆目の前でスヴェンを殺害。アシェラッドによって救われたことを察したクヌートに心の内では感謝されながらも、その場で反逆者として処断された。

クヌート

1016年にイングランド王として即位したクヌート1世をモデルとしている。デンマーク王・スヴェンの次男。女性のような優しい顔立ちをしており、臆病な性格をしている。父に従ってイングランド遠征に出向いていたが、イングランドのトルケル軍の捕虜となり、単身敵の中に飛び込んだアシェラッド兵団のトルフィンに救出された。 アシェラッド兵団内では、そのままトルフィンが護衛につくこととなった。慕っていた従者ラグナルの死と、キリスト教の修道士のヴィリバルドと愛の本質についての問答をしたことで、神に頼るのではなく自らの手で楽園を作ることを決意。その瞬間から顔つきも凛々しく変貌し、覇道を進む王の才覚を見せるようになる。 その後、アシェラッドを腹臣として、スヴェンから王の座を奪うために権謀術数の世界に飛び込み、スヴェンを殺害したアシェラッドを処断することで、王の座を継ぐことを高々と宣言した。その際にアシェラッドを仇と狙うトルフィンが激昂、斬りつけられて左頬に大きな傷を負う。

スヴェン

10世紀末のデンマークの王・スヴェン1世をモデルとしている。デンマーク王でクヌートの父。権力の保持と拡大のためにイングランド遠征を主導する。王位継承で内乱が起こることを防ぐため、クヌートを遠征に伴い、戦死させようと目論んでいたが、クヌートが戦場で大きな変貌を見せ、その目論見は外れてしまう。 その後、クヌートの腹臣であるアシェラッドを半ば脅迫して裏切りを持ちかけクヌートを殺害させようとするが、逆にアシェラッドの手により殺害され、その生涯を閉じた。

トルケル

戦場をその身の置所とする生粋の戦士。片手斧を両手に持ち、豪快に振り回して戦う。かつてデンマーク王国のエリート軍・ヨーム戦士団に所属していたが、金でイングランド側に裏切りロンドンの守備につく。トルフィンの父、トールズとも旧知の仲であり、自身が唯一勝てなかった勇者と認めていた。 アシェラッド兵団と激突し、トールズの子であるトルフィンを気にかけながらも激突。トルフィンの短剣により右手の小指と薬指を切断されたが、まったく動じることのない豪胆さを見せた。さらにトルフィンとの決闘に敗北し、その時に左目を失ってしまう。その後、クヌートの目にトールズと似た気高い輝きを見たことで、クヌートの配下となった。

ケティル

トルフィンとエイナルを奴隷として買った、デンマークの大地主。柔和な性格をしており、トルフィンとエイナルに対し、森を農地に開墾させる代わりにそこで得た利益で自分を買い戻せば自由になれることを約束した。かつては軍に所属し、鉄拳のケティルというあだ名で知られた猛将とされるが、実はそれは同姓同名の別人物。 引込みがつかなくなり、そういうことにしてしまっている。奴隷のアルネイズを愛人にしており、彼女の前では嘘偽りない弱い自分を晒す。デンマーク王位継承者候補となったクヌートに、その広大で肥沃な土地を狙われ、戦うこととなる。

スヴェルケル

デンマークの大地主・ケティルの父で、先代の当主。隠居して離れの小屋で住みながらも農業をやめない偏屈な人物だが、トルフィンとエイナルを気に入り、仕事を手伝わせる代わりに馬と重量犂を貸し与え、食事も振る舞った。大きすぎる富は災いをもたらすと感じており、さらなる富を求めるケティルの経営方針を非難。 その不安は現実となり、デンマーク王位継承者候補となったクヌートに、その広大で肥沃な土地を狙われる。

エイナル

奴隷としてデンマークの大地主・ケティルに買われた、農業に詳しい明るい性格の男性で、自由を手にするためにトルフィンとともに森を切り拓き農地として開墾する。無愛想なトルフィンにも積極的に話しかけ、農業や日々の暮らしを通じてトルフィンの心に大きな影響を与えた。トルフィンがエイナルの憎むべき対象の戦士であったことを知るが、人は変われると告げて拒絶することなく受け入れ、無二の親友となる。 虐げられる者たちを救いたいというトルフィンの考えに同調し、恵まれし草原の地、ヴィンランドへの渡航をともに決意する。

アルネイズ

大地主・ケティルに買われた奴隷で愛人。明るく気さくな性格で、トルフィンやエイナルにも愛想を振りまき、エイナルに一目惚れされる。やがてケティルの子を妊娠。同じ奴隷で、別の農場に売られていた夫のガルザルが、主人を殺害して逃亡してくる。トルフィンらの助力によりふたりで逃げようとするが、ガルザルは死に、アルネイズも捕縛されてしまう。 それを聞き乱心したケティルに棒で乱打されて瀕死の重傷に。その後トルフィンらが馬車で連れ出し、一時的に意識を戻したものの、辛く生きるよりも死を選び、そのまま帰らぬ人となった。

トルフィン

レイフが行方不明になったトールズの息子トルフィンと間違えて購入した奴隷。背格好はトルフィンに似ているが、彼に比べると目が大きくギョロ目と呼ばれる。レイフの養子となり、恩を返すかのようによく働く。市場でデンマークの大地主ケティルの息子、オルマルと諍いをおこし、レイフとケティルを引きあわせた。 それがきっかけとなり、レイフはケティルの農場にいるトルフィンと再会を果たした。

グズリーズ

11世紀初頭に北アメリカ大陸東部を開拓したヨーロッパの探検家・ソルフィン・ソルザルソンの妻、グズリーズ・ソルビャルナルドーティルをモデルとしている。船乗りに憧れる女性で、船乗りは男にしかなれないという言葉に対して、自らの長い髪の毛を切ってしまうほどに男勝りで豪快な性格。 船乗りであるレイフの弟のもとに嫁いだが、夫に先立たれてしまう。その後、レイフの家と懇意にしたい隣町の資産家・ハーフダンの息子・シグルドと再婚することとなったが、新婚初夜にシグルドの太腿にナイフを突き刺して逃走した。

場所

ヴィンランド

『ヴィンランド・サガ』に登場する土地。アイスランドから大西洋を遥か西に渡った先にある大地。ヴィンランドとは「草原の地」という意味で、若き日にその地に到達した船乗りのレイフがそう名づけた。草原が生い茂げ、果物が実る肥沃な土地で、虐げられし者達が行き着く場所としてトルフィンが目指している新天地。なお、現在の北米大陸の北の方を指し、カナダの一部ではないかと言われているが、正確は場所は諸説ありわかっていない。

書誌情報

ヴィンランド・サガ 既刊2巻 講談社〈講談社コミックス〉 連載中

第1巻

(2005年7月発行、 978-4063635591)

第2巻

(2005年11月発行、 978-4063635805)

ヴィンランド・サガ 既刊19巻 講談社〈アフタヌーンKC〉 連載中

第1巻

(2006年8月発行、 978-4063144239)

第2巻

(2006年9月発行、 978-4063144284)

第3巻

(2006年10月発行、 978-4063144338)

第4巻

(2007年2月発行、 978-4063144406)

第5巻

(2007年10月発行、 978-4063144734)

第6巻

(2008年6月発行、 978-4063145106)

第7巻

(2009年2月発行、 978-4063145441)

第8巻

(2009年9月発行、 978-4063145816)

第9巻

(2010年6月発行、 978-4063106725)

第10巻

(2011年4月発行、 978-4063107364)

第11巻

(2012年1月発行、 978-4063878011)

第12巻

(2012年11月発行、 978-4063878509)

第13巻

(2013年7月発行、 978-4063879094)

第14巻

(2014年2月発行、 978-4063879568)

第15巻

(2014年10月発行、 978-4063879995)

第16巻

(2015年6月23日発行、 978-4063880625)

第17巻

(2016年1月22日発行、 978-4063881097)

第18巻

(2016年8月23日発行、 978-4063881707)

第19巻

(2017年4月21日発行、 978-4063882513)

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