あらすじ
4歳児の誠司の父さんは無職。昼間から家で酒を飲みながらテレビを観てゴロゴロしている。誠司が「父さんの仕事って何?」と聞くと、父さんは「透明人間だ」と答える始末。詭弁、屁理屈、でたらめを繰り返すダメな父親と息子の漫才のような、愉快で少し切ない毎日は続く。
作家情報
『お父さんは○○』で2012年に第62回ちばてつや賞・奨励賞を受賞。その作品をを改題し、『ドーナツ父さん』として連載開始。本作がデビュー作。
登場人物・キャラクター
父さん (とうさん)
43歳の男性。大きなメガネをかけた、垂れ眉の冴えない外見。無職。名前は作中に出てこない。息子の誠司と小さな団地で暮らしている。妻も同居しているようだが、漫画の中には姿を現わさない。どうやらこの家族の家計は妻が支えている様子。いつも適当なウソや口から出まかせをしゃべっているが、時に人生訓のような深みのあるイイ事を語ったりもする。
誠司 (せいじ)
父さんの息子。4歳の男の子。いつも野球帽をかぶり、上半身は裸んぼう。目がくりっとした可愛い顔立ちで、母親似。父さんとは似ても似つかない。キュートな見た目に反して、ませていて辛口。とても4歳とは思えない大人びた口をきき、父さんの屁理屈やデタラメを正論でやり込める。無職で無気力な父さんに呆れ気味だが、馬鹿にはしていない。
高梨 凛 (たかなし りん)
父さんと誠司と同じ団地の一階に住む家族の娘。誠司が好きで、ラブレターを渡してきた。そして夫婦となる約束を交わした。
曜子 (ようこ)
長い髪を三つ編みにまとめているメガネの若い女性。不動産屋で働き始めたばかりの新米。初めて接客する相手が誠司と凛のカップルだった。
五郎 (ごろう)
父さんの親戚の中年男性。テレビ局に勤務して番組制作をしている。カーディガンを背中に羽織って両袖を胸の前で結ぶ、古いテレビマンのファッションを貫いている。
カズシ
誠司と同い年ぐらいの少年。メガネをかけている。俳句が好きなようで、しゃべる言葉は全て五七五調になっている。
徳川 義信 (とくがわ よしのぶ)
父さんと誠司の住む団地の住人。ロンゲの若者。結婚寸前だった彼女が出て行ってしまった。苗字が「徳川」なので、埋蔵金が埋まっていると思いこんだ父さんと誠司に、たびたび部屋に侵入されそうになる。
優 (ゆう)
誠司の友達の男の子。坊主頭にランニングシャツ姿。意外と英語に強い。父親は工場長。
麻斗丸 (まとまる)
誠司の近所に住む悪ガキの男の子。まだ小学校に行く年齢ではないが、いとこからのお下がりのランドセルをしょっている。その中にはおそろしいゴーモン器具がどっさり入っているという噂。他の子どもを泣かせたりイタズラをしかけたりする。
あかり
誠司の家の隣に住む女の子。誠司が好き。趣味は花札。凛にとっては恋のライバルで、二人がはちあわせるとケンカが絶えない。
銀太朗 (ぎんたろう)
誠司の友達の男の子。誠司と同い年くらいだが、大人に憧れており、付けヒゲまでつけて大人ぶった態度をとろうとする。将来の夢はサラリーマン。