無職女性の穏やかな日常
無職さんの日常は、基本的には何も起こらない。当初はゴミの日だけは早起きしていたが、次第にその日さえも昼過ぎに起きることが増えていく。節約しなければと思いつつも、蛍光灯を買いに行った際に掃除機を購入したり、コンビニでの支払いのついでにおでんの誘惑に負けたりと、些細な出来事がまるで大事件のように大袈裟に描かれる。自堕落になっていく自分に対する呆れ、好きなことだけをして過ごせる満足感、そして周囲への後ろめたさを抱えながら、無職さんは誰にも気を使うことなく、穏やかな生活を楽しんでいる。
静かな日々と蘇る過去の記憶
無職さんは、一人で部屋に閉じこもり、ただゴロゴロと過ごしながら、食事や家事をこなす日々を送っていた。しかし、そんな単調な日常だからこそ、ふとした瞬間に過去の反省や嫌な記憶が蘇り、その思考から抜け出せなくなることがある。そして、自身の過去の行いや家族としての在り方を深く見つめ直さざるを得なくなるのだ。無職さんの過去は詳細には語られず、断片的な描写から想像するしかないが、ふだんの穏やかな日常の中に垣間見える切なさが、作品に深みとリアリティを与えている。
無職生活に押し寄せる現実と決断の時
無職生活が半年を過ぎると、それまで目を背けていたさまざまな問題が次々と押し寄せてくる。社会復帰に向けた情報収集や、生活リズムの乱れによる体力低下の解消、独身を心配する同僚からの合コンの誘いや、母親からの見合い話など、挙げればきりがない。周囲の言葉をもっともだと理解しつつも、そうした正論に疲れ果てて無職を選んだ無職さんが、これからどのように生きていくのかを決断する場面が、この物語の大きな見どころとなっている。
登場人物・キャラクター
無職さん (むしょくさん)
無職の女性。年齢は34歳で、黒髪のショートヘアに眼鏡をかけている。勤務していた会社の倒産をきっかけに、1年間無職で過ごすことを決めた。元同僚とは今でも良好な関係を保ち、節約生活を送りながら時おり飲みに出かけている。現在は独身だが、過去に結婚経験があり、元夫とのあいだに娘がいる。娘は元夫といっしょに暮らしているが、無職さんは彼女のことを大切に思っている。しかし、クリスマスや実家への帰省の際には、娘に対して手を上げたり、厳しい態度を取ってしまうことがあり、家族関係をうまく築けないことに悩んでいる。離婚後も娘のことで元夫と連絡を取り合っているが、そのたびに過去のトラブルや嫌な記憶が蘇っている。
無職さんの娘 (むしょくさんのむすめ)
無職さんの娘。小学生で、黒髪をセミロングにしている。日曜日の朝に放送される女児向けアニメのファンで、エンディングのダンスを画面を見ながら楽しそうに踊っている。性格は優しく、つねに笑顔を絶やさないものの、無職さんに叱られることを恐れている一面もあり、無職さんが大きな音を立てると怯えた様子を見せる。それでも、無職さんのことを心から慕っており、クリスマスプレゼントとしてもらった大きなクマのぬいぐるみを大切にしている。
書誌情報
34歳無職さん 全8巻 KADOKAWA〈MFコミックス フラッパーシリーズ〉
第1巻
(2012-02-23発行、978-4040665153)
第1巻
(2012-02-23発行、978-4840144261)
第2巻
(2012-11-22発行、978-4040665160)
第2巻
(2012-11-22発行、978-4840147569)
第3巻
(2013-06-22発行、978-4040675701)
第3巻
(2013-06-22発行、978-4840150729)
第4巻
(2014-02-22発行、978-4040662848)
第5巻
(2014-09-23発行、978-4040668567)
第6巻
(2015-05-23発行、978-4040675237)
第7巻
(2016-01-23発行、978-4040678825)
第8巻
(2016-07-23発行、978-4040682914)
34歳無職さん KADOKAWA
(2016-04-23発行、978-4040682143)
34歳無職さん ひとり暮らし満喫中 KADOKAWA
(2016-08-27発行、978-4040685601)
34歳無職さん とりあえず現実逃避中 KADOKAWA
(2017-02-23発行、978-4040691121)
34歳無職さん 次のステップを思案中 KADOKAWA
(2017-03-23発行、978-4040691138)







