概要・あらすじ
容姿も普通、成績も普通、美術も体育も日常も、何もかもが普通な主人公の関谷なる。おとぎ話のヒロインに憧れ、平凡な日常から抜け出すことを夢見ているけど、相変わらず普通な毎日。でも自分から行動するのは臆病でできない。
そんな悩みを持ちつつも、平凡な日常を送っていた中学2年の始業式の日の夜、月光の下で華麗に舞う、和装で妖精のように美しい金髪の少女と出会う。その少女、ハナ・N・フォンテーンスタンドに、一緒によさこいを踊らないかと誘われた関谷なるは、戸惑いながらも誘いを受け、よさこいという非日常の世界に足を踏み入れる。
それは平凡な毎日との決別であり、また自分自身を輝かせるため、自分の意思で決めた第一歩であった。
登場人物・キャラクター
関谷 なる (せきや なる)
『ハナヤマタ』の主人公。由比浜学園中学の2年生でよさこい部の1人。容姿や成績など全てが普通で、自分には何の取り柄もないと思い込み、それに劣等感を抱いていた少女。反面、おとぎ話の映画の影響でヒロインに憧れている。 性格は気弱で、普通の毎日から抜け出す勇気を持てないでいたが、ハナ・N・フォンテーンスタンドと出会い、よさこいを知ったことで、自ら第一歩を踏み出す決心をする。 他人の目があると足がすくんでしまうという悩みを持っていたが、ハナ・N・フォンテーンスタンドとよさこい部を立ち上げてから部員とともに失敗を乗り越えつつ、悩みを克服していった。趣味は読書と漫画、ポエム、映画鑑賞など。 苦手な教科は数学と理科。また実父が営む道場の影響で居合を嗜んでいる。
大船 勝 (おおふな まさる)
よさこいショップ「勝」の店長。長身で体格が良く、スキンヘッドにサングラスを愛用するなど外見は強面。しかし実際は人情に厚く、面倒見が良く親切な男性で、よさこいを誰よりも愛している。 そのため、よさこい部を陰ながらバックアップしている。ハナ・N・フォンテーンスタンドからは「アニキ」、常盤沙里からは「ウミボーズ」と呼ばれている、常盤沙里のことが気になる独身の33歳。 関谷なるたちの名前の接尾に「〜っち」と付けて呼ぶのが特徴。
常盤 沙里 (ときわ さり)
由比浜学園中学の教師で、常盤真智の実の姉。教師としては新任であるが生徒からの信頼は厚く、「サリーちゃん」という愛称で呼ばれ親しまれている。ただし、フレンドリーに接してくれる生徒たちと、教師としての距離感に悩んでもいる。 初めは乗り気ではなかったものの、関谷なるたちよさこい部の面々の勢いに負け、多少強引ながらもよさこい部の顧問を務めることになる。 関谷なるたちのクラスの担任であり、担当する教科は英語。酒と演歌が大好きな独身の24歳。
小町 結香 (こまちゆうか)
由比浜学園中学の2年生。アマチュアバンドNeed Cool Qualityに所属し、ギター及びコーラスを担当している。少し天然なおっとり少女でポニーテールがチャームポイント。 愛称は「ゆっちん」。
梶原 亜里沙 (かじわら ありさ)
由比浜学園中学の2年生。アマチュアバンドNeed Cool Qualityに所属し、ベースを担当している。黒い長髪と抜群のスタイルが魅力で、隠れファンが多い。愛称は「あっちん」。
西御門 多美 (にしみかど たみ)
由比浜学園中学の3年生。よさこい部の1人で生徒会副会長。父親同士が友人同士という縁で、関谷なるとは幼馴染。大和撫子という表現がぴったりのお嬢様で容姿端麗、頭脳明晰に加えて優しく温厚な性格。 関谷なるにとっては憧れの存在であり、幼い頃から「タミお姉ちゃん」と呼んで慕っている。裕福な家柄の出身であり、厳格な父親の意向で数々の習い事をこなしてきたが、学生らしく遊ぶことにも憧れていた。 そして関谷なるたちの活動を目にして父親の示す生き方に疑問を持ち、さらに自分で新しい世界に挑戦したいと願ったことからよさこい部に参加することになる。父親に対しては過剰な愛情と憧れ、尊敬の念を抱いているが、親友である常盤真智にはファザコンと思われている。
Need Cool Quality (にーどるくーるくおりてぃー)
『ハナヤマタ』に登場するアマチュアバンド。メンバーは笹目ヤヤを筆頭に山ノ下祥子、小町結香、梶原亜里沙の4人。彼女たちのアマチュアバンドは由比浜学園中学で公認された正式な部活動ではなく、あくまで友人同士で結成された課外活動である。 現在はオーディションに出場することを目標に、独自で練習と努力を重ねている。なお、アマチュアバンドの愛称は「にくきゅう」。 これは、メンバーの1人である梶原亜里沙がボソリと発した「ある一言」に由来している。
常盤 真智 (ときわ まち)
由比浜学園中学の3年生。よさこい部の1人で生徒会会長を務めている。また、生徒会副会長の西御門多美とは親友同士でもある。同じ学校で教師を務める常盤沙里は実の姉だが、現在は軋轢があって仲が良くない。 ショートカットのメガネっ娘で非常に真面目な性格。正義感が強く負けず嫌いで、他人はもちろん自分に対しても非常に厳しく接するため付き合いにくい面があるものの、実際には甘い物やアイドル、可愛い物が大好き。 しかし、自分の印象とのギャップを気にして周囲には秘密にしている。当初は正式な部活動ではなく、顧問が常盤沙里のためよさこい部とは対立していたが、常盤沙里との和解から態度を軟化させ、西御門多美の後押しを受けて、後によさこい部に入部することになる。
笹目 ヤヤ (ささめ やや)
由比浜学園中学の2年生でよさこい部の1人。関谷なるとは小学校時代からの親友同士。関谷なるとは対照的に、才色兼備と呼ばれるに相応しい女の子。他にも秀外恵中、才貌両全と、彼女を褒め称える言葉を耳にするものの字が汚いことが欠点。 素直になれない性格で、常に関谷なるを気遣っているが、ついつい意地悪する事も多い。後に後悔するなど、ツンデレ要素も持っている。 また周囲の面倒見が良く、仲間たちや担任の常盤沙里からは頼りにされている。当初、よさこいに興味を示さずにいたが、真剣に打ち込み変化していく関谷なるを目にして、次第によさこいへの理解を深め、建前だけではあるがよさこい部に入部する。 アマチュアバンドNeed Cool Qualityに所属しており、ドラムを担当していた。
山ノ下 祥子 (やまのした さちこ)
由比浜学園中学の2年生。アマチュアバンドNeed Cool Qualityに所属し、リードボーカル及びギターを担当している、ショートカットの元気っ娘。愛称は「さっちん」。
ハナ・N・フォンテーンスタンド
由比浜学園中学に留学してきたアメリカ人の2年生でよさこい部の1人。性格は前向きで積極的、また活発で行動的だが、背が低いことを気にしている。幼少時に旅行で来日した際、日本で目にしたよさこいに魅了され、いつか自分も日本で踊りたいという夢のために留学を決意。 そして中学で関谷なるを誘ってよさこい部を立ち上げ、よさこい祭りに参加することを目標に活動を開始する。 小柄な割には食欲旺盛で運動が得意。アメリカにいた頃は「ニンジャ」に憧れてフリーランニングをしていたらしい。ルックスは長めの金髪と八重歯がチャームポイント。苦手な教科は国語と社会。 常に鳴子を持ち歩いており、出歩く時には着物を好んで身に付けている。
その他キーワード
よさこい
『ハナヤマタ』の登場人物である関谷なるが魅了され、始めることになる日本の踊りの1種で、元は高知県高知市を発祥とする「よさこい祭り」で舞われる踊りである。鳴子(なるこ。 穀物を狙う鳥獣を音によって追い払うために用いられた農機具)を持って踊るのが最大の特徴で、他に凝った衣装や派手な化粧も特徴である。当初は日本舞踏を元にした盆踊りスタイルで踊られていたが、楽曲を自由にアレンジすることが許されたため、様々な楽曲や振り付けなど、バリエーションが増えていった。 そして1992年に北海道札幌市で開催された「YOSAKOIソーラン祭り」を皮切りに、よさこい祭りは「YOSAKOI」として全国に広がっていく。 現在は各地でよさこい祭りが開催され、楽曲はロックやヒップホップ、演歌やサンバなど多岐に渡り、また振り付けも激しく複雑に、そして衣装も自由に個性あふれるものが生まれている。 同時に「正調」と呼ばれる昔ながらの伝統的なよさこい祭りも開催され、披露され続けている。