ハネ太

ハネ太

老境に差しかかった漫画家の日常生活を描く、作者であるちばてつや自身をモデルとしたエッセイ漫画。ひょんなことから大家族のペットとなった1匹の野良猫にまつわる騒動が、主人公の友人で同世代の漫画家たちとの交流とともに笑いとペーソスを交えながら綴られる。「コミックアルファ」2002年4号(5月22日号)から2003年13号(7月7日号)にかけて連載された作品。

正式名称
ハネ太
ふりがな
はねた
作者
ジャンル
エッセイ
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概要・あらすじ

漫画家である知多てつやの家に、てつやの三男である知多修が運転する車に跳ねられ、重症を負った野良猫が運び込まれた。家族のほとんどが猫アレルギーにも関わらず、動物好きの知多一家は、野良猫に「ハネ太」と命名し、家族の一員として迎えることとなった。ところがある日、まだ傷が完治していない、ハネ太が行方不明となってしまう。

そうとは知らず、てつやは締切が過ぎた原稿を放ったまま、友人の漫画家たちとゴルフと温泉の一泊旅行に出かけてしまうのだった。

登場人物・キャラクター

知多 てつや (ちた てつや)

知多家の主人で、三男二女の父親。かつて売れっ子として大活躍した漫画家で、初老となった今でも数名のアシスタントを抱える「知多プロダクション」を主宰している。草野球チーム「ホワイターズ」に選手として所属しており、時には仕事を抜け出して行くほどのゴルフ好きでもある。作者であるちばてつや自身がモデル。

ハネ太 (はねた)

かつては光ヶ丘公園一帯のボスだった、気性の荒いオスの野良猫。道路を横切ろうとした際に知多修が運転する車に跳ねられたことがきっかけで、知多家の飼い猫となる。一時は意識不明の重体だったが、少し快復すると勝手な行動をして知多家のみんなを慌てさせる。

知多 ユッコ (ちた ゆっこ)

知多家の専業主婦で三男二女の母親。九州から上京し、多忙な日々を送っていた漫画家・知多てつやの妻として、大家族をとりしきる働き者の女性。大の動物好きで、大怪我をしたハネ太を献身的に介護する。主婦仲間とのテニスやバンド演奏を趣味としている。

知多 コウゾー (ちた こうぞー)

知多家の次男。「コーやん」または「おサル」と呼ばれている。スケートボードが趣味で、長い茶髪に縞シャツ姿のチャラ男風の社会人。美人には目がない。脱サラし、現在は自宅でフリーのCGデザイナーをしている。猫アレルギーだが、一家のペットとなったハネ太のことはいつも気にかけている優しい性格。

知多 修 (ちた しゅう)

知多家の三男。額が広くニキビ面でメガネをかけた大学生で、知多家の5人きょうだいの中では父親である知多てつやにもっとも似た風貌をしている。次男の知多コウゾーとは一緒にドライブするほど仲が良い。しっかり者なため、コウゾーの兄と間違えられることが多い。ぜんそくの持病を持っている。

知多 ミチ (ちた みち)

知多家の次女。末っ子だが母親に似た勝ち気な性格で、そばかすだらけの顔でいつも兄たちをやりこめているおてんば娘。年頃の女性には禁句のはずのきわどい言葉も平気で口にするため、兄たちからは「オヤジギャル」と言われている。

横井チーフ (よこいちーふ)

知多てつやが主宰する「知多プロダクション」のチーフアシスタントを務める男性。ボサボサ頭に鉢巻を締めて首にはコルセットを巻き、「交通安全」のお守り袋をぶら下げてドテラを羽織った異様な風体で仕事をしている。神経質な性格で、てつやの原稿の遅れにいつもイライラを募らせている。

おばあちゃん

知多てつやの母親で、知多一家と同居している。85歳になる高齢者だが足腰は丈夫な元気者。ずぼらな息子のてつやをいつも叱りつけている。毎週2回の伝道集会への参加を欠かさない、某宗教の熱心な信者。

ノノ

知多家に12年も飼われているメスの黒犬。それまでは女王様気取りで知多家の中を自由気ままに歩き回っていたが、ハネ太が来てからは行動範囲を狭められ、ぞんざいな扱いをされるようになって少々グレ気味となる。

羽生院長 (はぶいんちょう)

「光ヶ丘犬猫病院」の院長を務める男性。重体で病院に運び込まれたハネ太を治療し、奇跡的に快復させた名獣医。少しおっとりした性格で、名前をもじって「ヤブ先生」と呼ばれている。顔や腕をハネ太にひどく引っかかれながらも献身的に加療する。

堀江 (ほりえ)

前任者と入れ替わり、新しく知多てつやが主宰する「知多プロダクション」の担当となった青年編集者。新任の挨拶に訪れた初日早々、締切が過ぎているのに自由奔放な行動を取るてつやに翻弄され、雲隠れしたてつやを追いかけて大汗をかく羽目になる。

高井 研一郎 (たかい けんいちろう)

知多てつやの友人の漫画家で、「イージー会」のメンバー。手品が得意で150以上のネタを持ち、ゴルフ場でも自慢のマジックを披露してキャディーを驚かせるいたずら好きな61歳の男性。酒好きでもあり、焼酎を土産に知多家を訪れる。実在の人物、高井研一郎がモデル。

北見 けんいち (きたみ けんいち)

知多てつやの友人の漫画家で、「イージー会」のメンバー。ボサボサ頭にヒゲ面という風貌の58歳の男性。野球好きで、てつやの所属する草野球チーム「ホワイターズ」のライバルチーム「ヤンキース」を率いている。実在の人物、北見けんいちがモデル。

古谷 三敏 (ふるや みつとし)

知多てつやの友人の漫画家で、「イージー会」のメンバー。小太りな体型だが、ゴルフの際にはイタリア・ファッションで決めて出かけるおしゃれな61歳の男性。イージー会の中では最も酒と食べ物にうるさい。実在の人物、古谷三敏がモデル。

藤子 不二雄A (ふじこ ふじおえー)

知多てつやの友人の漫画家で、「イージー会」のメンバー。64歳の男性で会の年長者だが、芝目を読んでゴルフをする本格派で、ハンデはゼロというイージー会では一番の腕前の持ち主。「○○にゃの」という口ぐせがある。実在の人物、藤子不二雄Aがモデル。

つのだ じろう

知多てつやの友人の漫画家で、「イージー会」のメンバー。会一番のご意見番といわれるうるさ型の62歳の男性。ゴルフの岡本綾子プロに心酔しており、クラブのスイング時には彼女の名を口にしてタイミングを取る癖がある。実在の人物、つのだじろうがモデル。

さいとう たかを

知多てつやの友人の漫画家で、「イージー会」のメンバー。大柄な体格で、イージー会の中では最もゴルフに燃えている62歳の男性。口ひげを生やしてサングラスをかけ関西弁を話す強面だが、手のひらは赤ん坊並に柔らかいという特異体質の持ち主。実在の人物、さいとうたかをがモデル。

松野 泉 (まつの いずみ)

藤子不二雄Aの女性マネージャーで、「イージー会」のメンバー。イージー会ではいつも紅一点で参加するマスコット的存在となっている。ゴルフコンペのメンバーの組み合せを決めたり、スコアを集計したりと、イージー会の雑務を担当している。

西尾 (にしお)

知多てつやの父親の古い友人。九州出身で酒とバクチが好きな背の低い男性。草笛が特技で、昔の国民唱歌を奏でれば周りをしんみりさせるほどの腕前を持つ。光ヶ丘公園で知り合ったハネ太とは、一対一で会話できるという不思議な雰囲気を持つ老人。

集団・組織

イージー会 (いーじーかい)

知多てつやら漫画家仲間が集まって開催される、幹事もちまわり制の親睦会。またはこの親睦会に参加するメンバーたちのことを指す。会の名は「安易」という意味の「EASY」と、「いい爺」をかけて命名された。毎月1回のペースでゴルフコンペや温泉旅行を開催しており、すでに10年以上も続いている。会の開催中は、参加者は仕事の話をしないことが、ルールとして厳格に定められている。

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