概要・あらすじ
離島に住んでいた空木雫は、中学まで実家のラーメン屋の手伝いばかりをしていた。そんな雫の行く末を心配した母親は、「3年間青春してきなさい」と告げ、半ば追い出すように雫を本土の高校へと進学させる。そんな入学初日、雫はラクロス部の部活動説明会に参加し、行われた催し物で驚異的な瞬発力を見せる。ラクロス部はすぐさま雫をスカウトし、雫もまたそこで出会った優しく楽しげな人々に惹かれて、入部を決意するのだった。
登場人物・キャラクター
空木 雫 (うつぎ しずく)
筑紫学園高等部女子ラクロス部に所属している1年生。中学生の頃はラーメン屋を営んでいる家の手伝いばかりをしていた。出前のラーメンをこぼさないように、それでいて早く届けるという経験を積んだためか、ラクロス初心者にも関わらずボール運びが異様に上手い。離島で育った環境からか少々のんびりとした性格で、カーテンを開けっ放しのまま、窓の前で着替えたりする天然系少女。
木皿儀 二奈 (きさらぎ にな)
筑紫学園高等部女子ラクロス部に所属している1年生。かつて四極燈子にその身を助けてもらった過去を持ち、彼女のいるラクロス部に入部することを決めていた。中学時代から燈子のファンで、体育祭での激しい応援ぶりから、ラクロス部のメンバーからは「団長」というあだ名を付けられている。ボールへの執着心が強く、何があっても諦めないプレイスタイルの持ち主。 パワーに優れ、運動量も豊富。
七瀬 文 (ななせ ふみ)
筑紫学園高等部女子ラクロス部に所属している1年生。スポーツの経験が少なく運動神経も悪いためはじめは入部を渋っていたが、先輩たちに励まされたことで入部を決意した。基礎体力はないが、柔軟な身体の持ち主で、整ったフォームから優しく的確なパスを出す優れた資質を持っている。
長廻 來未 (ながさこ くみ)
筑紫学園高等部女子ラクロス部に所属している1年生。小学生の頃は男子に混ざって野球のチームに所属していたが、成長するにつれて男女の体格の差を感じてチームを去った。この経緯から、自分は団体競技に向いていないのだと思い込んでいる。ラクロス部のメンバーに懇願される形で、助っ人としてチームに参加する。蝶が身体に止まっても気づかないほど、普段はぼーっとしている。
八重垣 和葉 (やえがき かずは)
筑紫学園高等部女子ラクロス部に所属している2年生。 竹を割ったような性格で、チームメイトにあだ名を付けるのが好き。実家がスポーツショップを営んでおり、筑紫学園のラクロス部の備品は八重垣和葉の店から購入している。八重垣和葉自身もまた父親に負けず商魂がたくましく、怪しい裏稼業で小遣いを稼いだりしている。
水篠 六菜 (みずしの ろくな)
筑紫学園高等部女子ラクロス部に所属している2年生。身長や身体能力、精神的な面で他のメンバーたちに一歩劣っているが何事も器用にこなす。そうした性質のせいか、他のメンバーたちのサポートに回ることが多く、悩める1年生に的確なアドバイスを与えるなどフォローが上手い。八重垣和葉と仲が良く、学内外問わず、行動を共にしている。
悟桐 皐 (ごとう さつき)
筑紫学園高等部女子ラクロス部に所属している2年生。ラクロス部のメンバーで一番の体格を持つゴーリーで、パワープレイが得意。見た目によらずボールコントロールも上手く、その能力はキャプテンである四極燈子も認めている。実家が剣道の道場を営んでいるため、その手伝いで部活動に参加できないことも。
雨相 志穂 (あまあい しほ)
筑紫学園高等部女子ラクロス部に所属している2年生。一見すると綺麗で優しそうな女性だが、その実、かなりの毒舌家。物事の核心を突くのが得意で、相手が隠したがってることを平然と口にすることがある。甘い物を食べると酔うという変わった体質。
四極 燈子 (しはつ とうこ)
筑紫学園高等部女子ラクロス部のキャプテンを務める3年生。ラクロス部で一番の運動能力を持つうえに容姿端麗、成績優秀の文武両道を地でいくスーパーガール。欠点らしい欠点が見つからない人物。その並外れた運動能力は、四極燈子一人でチームを勝利に導いたことが何度もある。後輩たちに経験を積ませるため、そして昨年に起きたとある事件が原因で力をセーブしている。
市崎 睦花 (いちざき むつか)
筑紫学園高等部女子ラクロス部の副キャプテンを務める3年生。優しくおっとりとした性格で、陰でチームを支える母親役としてメンバーたちに頼られている。異性と接することに慣れておらず、ジャーナリズム研究会の取材では赤面してなかなか質問に答えることができなかった。四極燈子と学校の内外問わず、行動を共にしており、心身共に燈子をサポートしている。
山東 かんな (さんとう かんな)
筑紫学園中等部女子ラクロス部に所属している3年生。その足の速さと、父親の愛車がミニクーパーSであることから、双子の妹である山東やよいと共に「筑紫最速のミニクーパー」と呼ばれている。木皿儀二奈と共に応援団を務めて以来、二奈を慕っており、二奈の言うことなら何でも聞く。やよいとの違いとして、率先して物事を決める、前髪の左側を結んでいる、黒のハイソックスを着用している点などが挙げられる。
山東 やよい (さんとう やよい)
筑紫学園中等部女子ラクロス部に所属している3年生。その足の速さと、父親の愛車がミニクーパーSであることから、双子の姉である山東かんなと共に「筑紫最速のミニクーパー」と呼ばれている。木皿儀二奈と共に応援団を務めて以来、二奈を慕っており、二奈の言うことなら何でも聞く。かんなとの違いとして、かんなの言葉に付き従う、前髪の右側を結んでいる、黒のオーバーニーソックスを着用している点などが挙げられる。 双子の一人としてではなく、個性を尊重してくれる雨相志穂に懐いている。
箱崎 詩乃 (はこざき しの)
筑紫学園女子ラクロス部のメンバーの多くが暮らしている、筑紫荘の寮母さん。彼女自身が筑紫学園のOGでもあり、元は男子ラクロス部のマネージャーを務めていた。噂によると、箱崎詩乃のファンクラブがきらめき商店街に存在するという。
箱崎 悠乃 (はこざき ゆうの)
箱崎詩乃の娘の女子小学生。しっかり者で、小学生でありながら寮のお手伝いをしている。詩乃の夫がラクロスの選手であることや寮生たちにラクロス経験者が多いことから、箱崎悠乃もまたラクロスに親しみを持っている。小学生ながら、すでに優れたラクロスセンスを持つ。
土井 伸太 (どい のぶた)
筑紫学園高等部女子ラクロス部の顧問兼コーチを務める男性。現代国語の教師でもあり、過去に筑紫学園大学の男子ラクロス部に所属していた経験がある。そのためラクロス関係者の間では顔が広く、他校の監督やコーチたちとも顔見知り。性格は温厚で、「楽しくプレイする」をモットーに指導を行っている。
今池 覚 (いまいけ さとる)
商店街で模型店を経営する男性。過去に筑紫学園大学の男子ラクロス部に所属していた経験があり、土井伸太の1年先輩にあたる。大学のラクロス部時代は「筑学のナパーム」と呼ばれるほどのパワーシュートを持っており、その腕前を見込まれて合宿中に女子ラクロス部の臨時コーチとして呼ばれる。通称「歩く成人指定」。
猿渡 宗介 (さわたる そうすけ)
筑紫学園ジャーナリズム研究会の会長を務める男子。江口浩太郎の提案で筑紫学園高等部女子ラクロス部の取材をはじめるが、自身は乗り気ではなかった。しかし空木雫のラクロスへの情熱を聞き、密着取材を決意する。過去に恋愛で痛い目を見たせいで、恋愛に対して奥手になっている。
江口 浩太郎 (えぐち こうたろう)
筑紫学園ジャーナリズム研究会に所属している男子。「生徒に伝えるに足るものをとことん追求する」をモットーに上質な記事のネタを探して日々邁進している。八重垣和葉と同じクラスで、彼女と会話をするといつも妙な盛り上がりをみせる。性格に若干の難はあるものの、ジャーナリズムへのこだわりは確かなもので、筑紫学園高等部女子ラクロス部の実情を記事にしようと努力している。
島津 斉美 (しまづ なりみ)
筑紫学園を卒業したOGで、在籍時には女子ラクロス部に所属していた。四極燈子と市崎睦花の1年先輩で、卒業後は小倉中央高校女子ラクロス部の外部コーチを務めている。OGという繋がりから、小倉中央高校と筑紫学園との合同練習を組むことがある。学生たちが青春を謳歌するさまが大好きで、喧嘩や口論などはそれも青春と言って笑って済ませてしまうことが多い。
陣原 沙矢 (じんのはら さや)
小倉中央高校女子ラクロス部のキャプテンを務める3年生。四極燈子との対戦経験が豊富で、1年生の頃から名勝負を繰り返してきた。そうした経験からか、燈子のことをライバル視している。負けず嫌いな性格で、よく木皿儀二奈と子供っぽい口喧嘩をしている。
熊西 清十郎 (くまにし せいじゅうろう)
西日本に広くスポーツショップを展開している、ウエストベアーコーポレーションの会長。孫娘がラクロスをはじめたことをきっかけにラクロスを知り、九州地区のラクロスの普及に私財を注ぎ込んでいる。演説の締めにスパッツへの愛を語るなど、無類のスパッツ好きでもある。
瀬高 千夏 (せたか ちなつ)
大野城高校女子ラクロス部に所属している1年生。スポーツ系アイドルユニット「セタミィ」の「セタ」の方でもある。実力や容姿は申し分ないが、1年生であることでのやっかみから、陰口を言われることが多い。そうした陰口に対しても、真正面から向き合う、礼儀正しい性格。元々は陸上の短距離の選手で、足の速さが売り。
御井 留美佳 (みい るみか)
大野城高校女子ラクロス部に所属している1年生。スポーツ系アイドルユニット「セタミィ」の「ミィ」の方でもある。基本的に暗い表情をしており、感情を表に出すことはあまりない。しかし瀬高千夏の前では素直に自分を表現できる。元々はテニス部に所属しており、クロスの扱いに長けている。
田主丸 寛子 (たぬしまる ひろこ)
大野城高校女子ラクロス部のキャプテンを務める3年生。アイドルということでチームの和を乱す懸念がある瀬高千夏と御井留美佳を、実力があるからとスタメン入りさせる冷静な判断力を持つキャプテン。ディフェンスが得意で、善導寺あかりと羽犬塚結とのトリオで「赤きグレートウォール」を自称している。
善導寺 あかり (ぜんどうじ あかり)
大野城高校女子ラクロス部に所属している3年生。明るい性格で、大野城高校女子ラクロス部のムードメーカー的存在。瀬高千夏と御井留美佳に声掛けをするなど、率先してチームを盛り上げようとしている。田主丸寛子と羽犬塚結とのトリオでディフェンス「赤きグレートウォール」を自称している。
羽犬塚 結 (はいぬづか ゆい)
大野城高校女子ラクロス部に所属している3年生。前髪で両目が隠し、一見すると暗そうな印象だが実はひょうきん者。くだらないギャグを言ったり、投げキッスをしたりとノリも良い。背が高く、ディフェンスの要となっている。田主丸寛子と善導寺あかりとのトリオでディフェンス「赤きグレートウォール」を自称している。
風磐 アニス (かぜいわ あにす)
天神高校女子ラクロス部に所属している1年生。九州最強チームと名高い天神高校女子ラクロス部に、1年生ながらベンチ入りを果たした才能を持つ。ハーフで、父親が日本人、母親がラクロスの強豪国であるオーストラリア人。自由奔放で、本能のおもむくまま好き勝手にプレイする。重く硬い木のクロスを使用して、見た目からは想像もできないようなパワフルなプレイを得意としている。
竜ヶ水 麗香 (りゅうがみず れいか)
天神高校女子ラクロス部のキャプテンを務める3年生。九州最強チームである天神高校女子ラクロス部を率いる九州で一番のゴーリー。中学の頃は剣道を嗜んでおり、同じく剣道をやっていた悟桐皐とは顔見知り。風磐アニスと同様に1年生の頃からベンチ入りを果たしていた。全力でプレイする筑紫学園高等部女子ラクロス部と戦いたいという理由から、試合中に筑紫学園女子ラクロス部の1年生たちにアドバイスを送った。
銀水 綾女 (ぎんすい あやめ)
天神高校女子ラクロス部に所属している3年生。おもにディフェンスを行っており、竜ヶ水麗香と共に天神高校の守備と攻撃の切り替えの要を担っている。寡黙な性格で、筑紫学園高等部女子ラクロス部の1年生にアドバイスを送った際も、そっと一言添えるだけだった。
小城 健治 (おぎ けんじ)
百道高校女子ラクロス部顧問の男性。前任の顧問が退職された際に臨時教師として採用され、ラクロス部の顧問も任された。美人を見るとすぐに口説こうとする軽薄な性格だが、生徒からの信頼は厚い。信頼の裏返しとして、生徒たちからは「ヘタレ」と呼ばれている。
伊万里 仁美 (いまり ひとみ)
百道高校女子ラクロス部に所属している2年生。昨年の公式戦後に顧問に暴力を振るい、1年間の部活動禁止処分を受けていた。九州地区の2年生の中では一、二を争う実力の持ち主で、高いジャンプから繰り出すシュートは強烈な破壊力を誇る。
穴生 真智 (あのう まち)
百道高校女子ラクロス部に所属している1年生。筑紫学園高等部女子ラクロス部との公式戦で初っ端にファールを冒し、ラフプレイの多い百道高校女子ラクロス部の中でも特に素行に問題のある選手。だが、運動量も豊富でその当たりの強さでチームの中心的な存在。目立ちたがりで、同じチームメンバーの伊万里仁美を目の敵にしているが、勝利のために脇役に徹することもある。
折尾 歩 (おりお あゆむ)
百道高校女子ラクロス部のキャプテンを務める3年生。元は優等生だったが、高校受験の日にインフルエンザにかかって受験に失敗して、滑り止めで受けていた百道高校に入学した。とある先輩との出会いがきっかけでラクロスを始める。おとなしい性格ながら、腕を握るだけで穴生真智を黙らせるだけの握力を誇る。
香春 薫 (かわら かおる)
百道高校女子ラクロス部に所属している3年生。膝の故障が原因で、ラクロス部ではおもにマネージャーとして活動している。相手の動きに合わせてパスを出すのが得意。姉御肌な性格で、ヘタレを見るとついどうにかしたくなってしまうという理由から、ヘタレは嫌いだと公言している。
集団・組織
筑紫学園高等部女子ラクロス部 (ちくしがくえんじょしらくろすぶ)
筑紫学園の女子ラクロス部。九州地区のベスト4常連チームで、1年前は歴代のベストチームと呼ばれていた。空木雫が高等部に入学した年はメンバーの半分が新人であり、その内2人が中等部という非常に若々しいチームだった。メンバーは12人で試合に出られるギリギリの部員しかいない。
きらめき商店街 (きらめきしょうてんがい)
筑紫学園の近くにある商店街で、八重垣和葉の実家であるスポーツ用品店がある。商店街の男性たちは箱崎詩乃をアイドルのように扱っていて、詩乃が商店街を訪れるだけで「詩乃さん祭」と呼ばれるタイムセールが巻き起こるほど。詩乃のおかげできらめき商店街はシャッター街にならずにすんでいると言われている。
セタミィ
めんたいこプロダクションに所属している瀬高千夏と御井留美佳の歌って踊れるスポーツ系アイドルユニット。アニメ「超時空ラブクロス」に登場するアイドルで、子供たちに大人気。メンバーの2人は大野城高校の現役女子校生でもあり、ラクロス部に所属している。
場所
筑紫学園 (ちくしがくえん)
九州にある中高大一貫の学校。スポーツに非常に力を入れており、中等部から大学にかけて一貫して選手を育てる環境を持ち、専用の練習場もある。新聞部の他にジャーナリズム研究会が存在するなど、運動部だけではなく文化部にも力を入れている。