概要・あらすじ
芸能事務所ワイドシャロウの櫻田遼平は、島根との県境にある、広島県北広島町に来ていた。折しも町は祭りの真っ最中、神事である神楽が行われる中、超一級の舞いを見せる2人がいた。八重町高校2年の胡清春と、同校1年・日向蓮である。櫻田は清春を芸能界にスカウトに来たプロデューサーであった。清春にアプローチしたのかと尋ねる同行者に、自分の仕事は終わっていると言い放つ櫻田。
ビールを片手に舞いを見る櫻田の目に、ふと蓮の姿が光って見えた。翌日、飯屋を探す櫻田は、上級生を殴りつけ財布から金を抜き取る蓮と出くわす。周囲が呆気にとられるなか、蓮に歩み寄った櫻田は、うまい飯屋の場所を尋ねるのであった。櫻田は、蓮に案内されたお好み焼き屋で、清春と蓮が幼馴染でずっと一緒に神楽を舞っていること、ケンカでの息もピッタリで、2人揃えば最強無敵を自負していることなどを知る。
そんなとき、蓮の同級生が息せき切ってお好み焼き屋に駆け込んでくる。清春、蓮と、過去に因縁のある最凶の双子が、徒党を組んで清春を襲おうとしているというのだ。急いで現場の学校屋上へ駆けつける蓮。
神楽の舞のようにピッタリ息があった2人は、双子の兄弟たち全員を返り討ちにする。ケンカの帰り、町を一望できる高台に2人はやってきた。ここでずっと2人で神楽を続けていきたいと考える蓮に対して、清春の考えは違っていた。生まれ育った町は好きだが、何かが足りないと感じているという。そしてこの日を境に清春の姿は見えなくなった。
清春がいなくなってから1か月、神楽の練習もやる気が起きず、家でゴロゴロしていた蓮の目に飛び込んできたのは、テレビで歌を歌う清春の姿だった。愕然とする蓮。いつのまにか、清春はアイドルグループ「ゴールド」の主力メンバーになっていたのだ。翌日、学校は清春の話で持ちきりだったが、自分に黙っていなくなってしまった清春への不満で、蓮は爆発寸前だった。
その頃、ワイドシャロウの櫻田は、ひょんなことから蓮の自宅に招かれていた。櫻田は軽い気持ちで、「蓮は芸能界に興味があるか」と家族に尋ねるが、その言葉を盗み聞きした蓮は自分がスカウトされたものと思い込む。翌日、東京に戻るために新幹線に乗り込んだ櫻田の前に大きなリュックを背負った蓮が現れた。
登場人物・キャラクター
日向 蓮 (ひなた れん)
八重町高校1年の男子。茶髪のツンツン頭が特徴。胡清春とは幼なじみ。小学1年生のときから神楽を始め、清春とともに舞うことに楽しみと生きがいを感じている。一方で「八重町の悪童」の異名をとるほどケンカっぱやい。突如姿を消し、アイドルになった清春を追いかけて上京する。
胡 清春 (えびす きよはる)
八重町高校2年の男子。金髪のロングヘアが特徴。日向蓮の幼なじみで、神楽では超一級の舞いを見せる。蓮とは神楽のみならず、ケンカでも息がピッタリ。自分の住む町、住む世界を小さく感じて上京。アイドルグループ「ゴールド」のメンバーとして芸能界デビューする。
櫻田 遼平 (さくらだ りょうへい)
芸能事務所ワイドシャロウのプロデューサーを務める男性。パーマがかかった長めの黒髪とあごひげが特徴。胡清春をスカウトした人物。清春の父である胡瑛太、事務所の社長・広瀬旺志郎と3人でアイドルデビューを目指していた過去を持つ。
胡 瑛太 (えびす えいた)
胡清春の父。短髪に無精髭が特徴の無愛想で無口な男。芸能事務所ワイドシャロウの社長・広瀬旺志郎、同プロデューサーの櫻田遼平と3人グループでアイドルを目指していたがデビュー直前に脱退、グループも解散となった。
広瀬 旺志郎
芸能事務所ワイドシャロウ代表取締役社長。浅黒い肌、あごひげが特徴の男性。同社プロデューサーの櫻田遼平、胡清春の父・瑛太と3人グループでアイドルを目指していた過去を持つ。