意識低い系アラサーOLの残念グルメ
本作の主人公の基子は、大学生の頃は漫研サークルに所属。サークル内のオタク男子たちからチヤホヤされて輝いていた、オタサーの姫だった。しかし、アラサーになった現在は、仕事に追われる日々を送り彼氏もいない。周囲の社員は横文字ばかりを使う意識高い系ばかりで、後輩ですら上から目線で、まったく馴染めずにいる。そんな基子の楽しみは、日々のズボラな食事と録りためたアニメを見る怠惰な生活ぐらいである。本作は、そんな意識低い系のアラサーOLが、我慢せずに好きなときに好きなものを美味しそうに食べる姿を描いた、異色グルメコメディである。
日々の怠惰な食事
本作に登場する料理の特徴は、「電子レンジで作る」「まぜるだけ」など、簡単にできること。また、健康やダイエットは度外視で、ボリューム満点なジャンク飯であることも重要なポイントである。例えば、第1話の料理は、味噌味の袋麺。何もアレンジせずにシンプルなラーメンを、鍋から直に食べた後、残り汁に電子レンジで温めたご飯を入れてかきこむ。また、意識高い系の後輩に誘われてパスタランチを食べた際は、1500円なのに量が少なく、味も薄いことに大いに不満を抱く。そこでその夜のメニューは家パスタ。電子レンジで大量のパスタを茹で、納豆、鶏そぼろ、ゆで卵、食べるラー油、醤油をかけてぐちゃぐちゃに混ぜ、味が濃く背徳感あふれる「まぜパスタ」を作った。
個性あふれる女性たち
本作の魅力の一つは、基子を中心とした個性あふれる女性たちの存在である。中途入社してきた吉永凛は、基子と同い年のクールな女性。会社で牛丼をむさぼり、間食も多い基子の食事にダメ出しをしまくり、焼き肉の会では「健康にいいから」という理由で、肉の3倍の野菜を食べることを強要する。そんな凛だが、じつはコスプレイヤーの趣味を持ち、会社では周りに合わせて意識高い系を演じているが、家では基子と同じくだらしない食生活を送っていた。また、高校の同級生で小説家の萩尾なゆは、料理を作ったこともなく自堕落な生活を送る女性。しかし、男性にモテる彼女は、天性の貢がれ体質でたくさんの男友達に食事をおごってもらっている。
登場人物・キャラクター
姫川 基子 (ひめかわ もとこ)
デザイン会社に勤務する27歳の女性。眼鏡とロングヘアーが特徴で、自宅ではツインテールにしていることが多い。大学時代は漫研に所属し、周囲の男子からチヤホヤされ、「ヒメ」の愛称で呼ばれていた。意識高い系の同僚たちにうんざりしながら、自宅ではズボラで堕落した食生活を満喫している。
吉永 凛 (よしなが りん)
基子が勤めるデザイン会社に中途入社してきた27歳の女性。黒のボブヘアーが特徴。しっかり者で、基子に厳しい態度ばかり取るが、じつはゴスロリ好きの隠れコスプレイヤー。自宅ではズボラでだらしない食生活を送っている。
書誌情報
ヒメの惰飯 全3巻 KADOKAWA〈カドカワコミックス・エース〉
第1巻
(2016-06-30発行、978-4041044179)
第2巻
(2016-11-04発行、978-4041052167)
第3巻
(2017-05-02発行、978-4041055397)







