概要・あらすじ
間界王子・太臓は不恰好でデリカシーがなく、もてる要素が一切ない男。間界で女性にふられ続けた太臓は、実界で嫁探しをするため従者の悠を連れてドキドキ学園高等学校へ転校生として入学する。不良少年の阿久津宏海や、間界の領事を務める少女・あいすなど個性的な生徒と出会った太臓は、下品な言動が災いして多くの女子生徒から邪険にされるものの、楽しい学園生活を満喫していく。
登場人物・キャラクター
太臓 (たいぞう)
間界という異世界の王子。三角形の巨大な頭に小柄な体という不恰好な外見と、色欲にまみれた言動をくり返す人格によって、間界の女性に嫌われていた。物語の開始時点で2005人にふられたと言われていたが、その数字も太臓自身がふられたと認識して自らカウントした数字で、実質的には既に一万回以上ふられている。実界ならば自分の良さが分かる女性がいる、と信じて間界を旅立ち、従者の悠と共にドキドキ学園高等学校へ入学する。 実界でも女性たちに嫌われるが、不良少年の阿久津宏海や、間界の領事を務めるあいすの協力を受け、また間界人にもひけを取らない個性的な人間たちとの出会いもあって、楽しい日々を過ごすようになる。間界人たちには軽く見られているが魔力のポテンシャルは高く、精神テンションの上下で能力が激しく変動する。 主要な能力は、肛門に位置するアスタリスク・ゲートを通じて様々な能力を持った間界人を召喚することで、精神テンションが高い時はゴールドクラスの間界人をも召喚できる(太臓自身は最高であるプラチナクラス)。幼少期に一度、実界にホームステイした事があり、その時は京都にある百手矢射子の家に滞在した。 そのため家の姓を借り、実界では「百手太臓」と名乗っている。間界人からは「バアル・ゼバブ」と呼ばれることもあるが、これは間界において「王子」を意味する、称号のようなものと思われる。
悠 (ゆう)
太臓の従者を務める間界人で、太臓と同行して実界のドキドキ学園高等学校へ入学した。一見小柄な少年だが、正体は蛇の魔物である「ナーガ」、それも「蛇王」とも呼ばれる上位腫の「ナーガラージャ」で、間界でも相当上位とされる能力を秘めている。体中に「千の目」という多数の目を隠しており、それぞれに人の記憶を操作する、相手の能力をコピーする、といった多彩な能力を秘めている。 表向きは太臓を王子と呼んで立て、世話をしているが、忠誠心はほとんど見せない。むしろ太臓が酷い目に遭う、泣きわめくなどの醜態を楽しんでいるふしがあり、自分もそういった「面白いもの」を見るために仕えていると公言して憚らない。騒動が起きたときはなるべく話がこじれるよう立ち回り、ひと通り騒動を楽しんだあと、前述の「千の目」で事態を解決することが多い。 また阿久津宏海の太臓に対するツッコミを高く評価しており、弱味を握る形で実界における協力者に仕立て上げた。間界人ゆえ姓はなく、安骸寺という姓は間界人の敵である討魔師の総本山から無断借用したもの。実は「悠」も本名ではなく、真の本名は自分でも忘れており、そのため太臓とはアスタリスク・ゲートで召喚されるための契約を結んでいない。
阿久津 宏海 (あくつ こうみ)
ドキドキ学園高等学校に通う男子高校生。筋肉質で大柄な身体と、逆立った赤い髪(一部黒)が特徴の不良で、十二人の不良を三分足らずで全滅させる強さから校内の不良たちに「赤い悪魔」と恐れられている。誤解から転校生の太臓と悠が間界人であることを知り、悠に弱味を握られる形で実界における協力者へと仕立て上げられた。 ケンカ好きではあるものの女性や子どもに手を上げる事はせず、太臓たちと行動を共にするうちに好戦的な性格までもなりを潜め、主に太臓や間界人がらみの異常事態に対するツッコミの冴えで個性を確立した。異性に対する関心は薄いが気遣いに長け、無自覚に女性から好意を持たれることが多い。特に百手矢射子には、ピンチを救ったことから熱烈な片思いをされるも二年近くの間まったく気づかず、矢射子が卒業直後に告白してようやく恋人同士となった。 家族構成は、両親が離婚しており父親と二人暮らしだが、この父親の異常な溺愛ぶりに辟易している。その一方で、母に引き取られた妹の星出伊舞を常に気にかけており、伊舞に言い寄る男や危害を加える者には激しい動揺や怒りを露にした。
あいす
ドキドキ学園高等学校に通う女子高校生。正体は、間界から実界に来た間界人のトラブルを解決する間界領事であり、雪や氷を操る「雪女」「雪人」などと呼ばれる種族の間界人。校内でも有名な美少女で成績も優秀だが、性格は非常に冷淡で、言い寄ってきた相手には徹底的にこき下ろした末に振るため「氷の微笑女」と呼ばれている。 太臓に対しても軽蔑を隠さず、「早く嫁を見つけて間界に帰ってほしい」という理由から渋々協力するものの、太臓の(主に下品な)行動が目に余った時は、氷の棍棒などで容赦ない仕置きを与える。また、胸の大きさにコンプレックスを抱いており、この点を話題にされた時は特に容赦がない。間界人ゆえ姓はなく、ホームステイ先の老婆・佐渡ケサの姓を借りており、このケサにだけは肉親同然の情を見せている。 ただしケサの言によれば、かつては事務的な会話のみの関係だったが、太臓たちとの関わりに愚痴をこぼすことをきっかけとして距離が縮まったという。太臓や真白木宇月に対する厳しい態度も、次第に軟化を見せた。
百手 矢射子 (ももて やいこ)
ドキドキ学園高等学校に通う女子高校生で、太臓たちの一学年上。太臓の転入時点では二年生で生徒会長を務めていた。長身でグラマラスな身体の上、運動能力も高い。校内では気丈に振舞っているが、自宅の部屋ではヌイグルミとの一人芝居で弱気な自分を励ます一面も。小学生の頃は京都に住んでおり、そこで間界からホームステイに来た太臓と知り合うが、その時期のトラブルで家族や友達との関係が悪化し、太臓を非常に嫌っている。 その憎しみは強く、太臓を始末する術を得るため京都で修行し、討魔師になったほど。それゆえ普段から木刀や討魔師の武器・武装セイバーを持ち歩き、実界人でありながら間界や間界人の存在は認知している。阿久津宏海にはピンチを救われたことがきっかけで恋心を抱くが、己の立場や周囲の目を気にして告白することができず、片思いのまま妄想や嫉妬ばかりを募らせて奇行に走る時期が続いた。 卒業直後のスキー旅行中、ようやく宏海へ告白して恋人同士となったが、大学受験には失敗して浪人生となる。
麻仁 温子 (まに あつこ)
ドキドキ学園高等学校に通う女子高校生で、太臓の同級生(1年生時は別クラスだったが、2年生時は同クラス)。漫画『ジョジョの奇妙な冒険』の熱烈なファンであり、同作品第6部の主人公・空条徐倫を模した髪型をはじめ、身につける物や言動のほとんどが『ジョジョ』由来という重度のマニア。常に『ジョジョ』好きの仲間を増やそうとしており、勘違いから太臓たちと知り合う。 2年生時には『ジョジョ』普及のため生徒会長選に立候補し、3年生時にはジョジョ部を発足させた。容姿は「けっこうカワイイ」「あれ(『ジョジョ』好きが高じての奇行)さえなきゃ告ってたんだが」と言われるほどの美少女だが、当人は『ジョジョ』第3部の主人公・空条承太郎を理想視しており、現実の恋愛には全く興味を持っていない。 ただし、特別編に登場した「『ジョジョ』の作者・荒木飛呂彦が描いた太臓」には目がハート型になるほどのときめきを示した。太臓からの告白をハッキリと断わったが、太臓が懲りない性格であり、また『ジョジョ』を通じての仲間意識ができたため、友人として親しくなった。また阿久津宏海に対しては、空条承太郎など歴代『ジョジョ』主人公と体格が近いため、何かにつけコスプレをさせようと画策している。 乳首が星型になっているドラゴンガールの一人だったが、特に気にしてはいなかった模様。
木嶋 剣 (きじま けん)
ドキドキ学園高等学校に通う男子高校生で、太臓たちの一学年上。百手矢射子が会長を務めた生徒会では、副会長だった。眼鏡を着用した知的な面持ちから女生徒の人気が高く、ドキ高のもて四天王の一人に数えられる。その魅力は女生徒を物理的に引き寄せるほどで、自ら動かずとも女生徒を集める現象は「木嶋ゾーン」と呼ばれる。 自分でももてる事を鼻にかけており、在校生はもちろんドキ高OGとまで付き合いがあるが、本心では幼なじみである吉下千里に片思いしている。吉下が気にかけている太臓を敵視し、対立する事が多いが、概ね空回りした末に酷い目に遭う役どころとなる。卒業式後のイベントで吉下に告白するが、他の女性との縁は切れるのかという問いで撃沈。 しかし他の女性との仲を清算できれば希望があると考えて諦めず、吉下とは一定の距離を保った関係が続いている。卒業後は、吉下とは別の大学に通っている模様。
乾 一 (いぬい はじめ)
ドキドキ学園高等学校に通う男子高校生で、太臓たちと同学年。生徒会役員を務め、会長の百手矢射子を慕っており、同じく矢射子を慕う一口夕利とはよくコンビで行動する。重度のマゾヒストであり、矢射子に尽くし、いたぶられる事に快感を覚える。その好意を矢射子に利用され、半裸に犬型マスクの戦士・仮面ファイターわんわんに変身するサイボーグへと改造(実際はそう思い込まされただけで、生身のまま)された。 その性癖を知らない女生徒たちからは、母性本能をくすぐる可愛い容姿が評価されており、ドキ高のもて四天王の一人に数えられている。長らく、矢射子にいたぶられるだけの関係で満足していたが、矢射子の阿久津宏海への好意を知ってショックを受け、宏海に戦いを挑むも敗れる。 連載終了時には、自分が本当はサイボーグとして改造されてはいない事に気づいた素振りを見せていた。
大木 玲夜 (おおき れいや)
ドキドキ学園高等学校に通う男子高校生で、太臓たちと同学年。父親は大企業の社長であり、母親は間界人という、ハーフである。女性と見紛う美貌の持ち主で、ドキ高のもて四天王に数えられる上、男子生徒にも人気がある模様。姉の大木杉音を理想の女性として愛しており、姉を侮辱する、または姉に近づく者には激しい敵意を見せる。 その際の感情の昂ぶりがハーフ間界人ゆえの不安定な特殊能力と相まって、『ジョジョの奇妙な冒険』をはじめとするアクション漫画の絵柄に変貌し、同時に暴力性を発揮してしまう。ただし、『太臓もて王サーガ』全体でパロディが多用され、他の登場人物も別の絵柄に変貌することが普通になっていったため、この特徴は目立たなくなった。 翠の魔法と、連載終了時の発病(ハーフ間界人ゆえのものと思われる)によって2度、肉体が完全に女性化したことがある。
大木 杉音 (おおき すぎね)
ドキドキ学園高等学校に通う女子高校生で、太臓たちの2学年上。大木玲夜の姉。父親は大企業の社長であり、母親は間界人という、ハーフである。ゴリラのような顔と巨体を持つが、性格は奥ゆかしく成績優秀で、ケーキ作りと歌が得意。弟の玲夜からは、この世で最も美しい完璧な女性と思われている。政略結婚の相手との仲について太臓に相談したことから、友好的な関係となった。 その容姿から最初は太臓も邪険にしていたが、悠が「彼女は変態するタイプの間界人で、成長すると脱皮して絶世の美女となる」と嘘を教えたことで、太臓の未来の嫁候補に数えられている。ハーフ間界人ゆえ特殊能力の制御ができず、恥ずかしがると赤面して発火、身じろぎして摩擦熱で発火、手を振ると真空の刃が生じるなど、感情表現が過激に発動してしまう。 太臓たちの2学年上ゆえ早々に卒業し大学へ進学するが、大木家による間界人のみを招いたパーティーなどで、登場する頻度は高い。
笛路 紋 (ふえじ あや)
ドキドキ学園高等学校に通う女子高校生で、太臓たちの同級生。ただし1年生時の6月から翌年度までアメリカ留学しており、登場は太臓たちの2年生進級と同時期になった。中性的な雰囲気を持っており、ドキ高女子生徒からの人気が高く、女子でありながらドキ高のもて四天王に選出されている。体から特殊なフェロモンを出す特異体質で、女性を魅了し引き寄せるだけでなく、紋自身が興奮すると周囲の女性を凶暴化させてしまう。 この体質を改善させるのも、アメリカ留学の目的の一つであった。美的感覚が一般とは異なっており、太臓を理想像として可愛いと感じるが、男性に触れられると人格が激変して暴力を振るってしまうため、女子生徒の中で最も太臓に好意的であるにもかかわらず、仲が進展しないでいる。 グロテスク嗜好もあり、太臓を可愛いと思うあまり解剖したり剥製にしたいという願望を秘めているため、仲が進展しないのは太臓にとって幸いでもある。また、乳首が星型になっているドラゴンガールの一人であり、麻仁温子に出会うまでは仲間がおらず秘かに悩んでいたと思われる。以上の、特異体質やマイノリティ気質を多数抱えていたため、一般社会に対して自分をさらけ出す事には遠慮がちで押しに弱い。 一度、翠の魔法で身体が男性化した時は、女性化した大木玲夜と共に「究極の生命体」と呼ばれた。
吉下 千里 (よしもと ちさと)
ドキドキ学園高等学校に通う女子高校生で、太臓たちの一学年上。百手矢射子が会長を務めた生徒会では、会計役だった。三つ編みと眼鏡が特徴の目立たない女生徒だったが、木嶋剣の片思いの相手であること、太臓のバイタリティに注目して生徒会長への立候補を持ちかけたことによって登場頻度を増す。矢射子の、阿久津宏海に対する想いを察しており、卒業間際にはかなり熱心に後押しした。 木嶋に対しては、彼の情けない小学生時代を知っていることもあって冷静に、かつ自分に弟が2人いることもあって手のかかる弟のように見ているらしい。卒業式後のイベントで木嶋から告白されたが、他の女性との縁は切れるのかと聞き、実質的に保留のような状態になっている。 ドキ高卒業後は、木嶋と別の大学に通っているようで、同じゼミの烏丸という人物とは親しい様子。
真白木 宇月 (ましらぎ うつき)
ドキドキ学園高等学校に通う男子高校生で、逞しい体格と坊主頭が特徴の不良生徒。柴倫太郎、小城洋介という二人の舎弟を引き連れている。太臓たちの2学年上だったが、学力が足りず留年。さらにケンカでもう一年留年して、最終的には太臓たちと同学年になった。一度、阿久津宏海に敗れてから彼をライバル視していたが、あいすにひと目惚れしてからは彼女へのストーカーと化していった。 あいすへ真剣に恋しているものの、その愛情表現が度を越してしまい、あいすの氷結能力でお仕置きを受けることが多い。実界人であり間界人の存在は知らないが、物事を深く考えないためあいすの氷結能力にも特に疑問を抱かないままである。
柴 倫太郎 (しば りんたろう)
ドキドキ学園高等学校に通う男子高校生。小城洋介と共に、真白木宇月の舎弟的存在となっている。リーゼントと天然パーマの髪質が特徴。元々は太臓たちの1学年上だったが、ケンカで真白木、柴と共に留年。最終的には太臓たちと同学年になった。かつて天然パーマへのコンプレックスを解消されたことがきっかけで、真白木を慕っている。 特技は菱縄縛り。一時期、小城も真白木と同じくあいすに片思いしていると誤解していた。
小城 洋介 (こぎ ようすけ)
ドキドキ学園高等学校に通う男子高校生。柴倫太郎と共に、真白木宇月の舎弟的存在となっている。そばかすが特徴。元々は太臓たちの1学年上だったが、ケンカで真白木、柴と共に留年。最終的には太臓たちと同学年になった。ひょんな事から、真白木が実は阿久津宏海と相思相愛であると思い込み、二人の仲を成就させようと秘かに工作するが、ことごとく空回りに終わる。 かつて喫煙を止められたことがきっかけで真白木を慕うようになった。
一口 夕利 (いぐち ゆり)
ドキドキ学園高等学校に通う女子高校生で、太臓たちと同学年。小柄で童顔、左の髪だけ結んだサイドテールが特徴。同性愛志向があり、百手矢射子を強く慕っている。同じく矢射子を慕う乾一とはよくコンビで行動する。矢射子へ果敢な求愛を続けたが、実は矢射子の阿久津宏海への想いに気づいており、その決定的な証拠を見て涙するものの、結局は二人を見守る形になった。
佐渡 ケサ (さど けさ)
あいすの実界ホームステイ先の家主である、高齢の女性。あいすが実の祖母のように接し、心を許す数少ない人物。歳の割に男性からもてたいという意識は強いようで、特に太臓には積極的に色目を使う。乳首が星型になっているドラゴンガールの一人。
スピン
同じ作者の作品『無敵鉄姫スピンちゃん』の主人公であった、幼女型アンドロイド。極めて素直で従順な性格。製造者の部井一緒がロボットのレンタル業を営んでおり、依頼に応じて貸し出される。『太臓もて王サーガ』では女子高生相当のボディと換装できるようになっており、この状態では「まわる」と名乗っている。本来は性的な目的で製造されたが、一緒の孫娘・部井透瑠によってエロ防止装置が取り付けられ、性的な物事を感知すると自動的に攻撃する仕様になっている。 初登場では百手矢射子が太臓を倒すための囮として雇ったが、まわるのボディでは熱暴走が起こりやすく失敗。後に太臓にも正体が知れ、ドキドキ学園高等学校に生徒として転入することになった。 太臓たちとは同学年で、おそらく「部井まわる」の名で通学していると思われるが詳細は不明。
部井 一緒 (ぶい かずお)
同じ作者の作品『無敵鉄姫スピンちゃん』の登場人物でもある、老科学者。個人的かつ性的な目的で、美少女アンドロイドの開発を夢見ている。偶然スピンを製造し、『太臓もて王サーガ』ではスピンを女子高生相当のボディに換装できるようにしたが、孫娘の部井透瑠がエロ防止装置を取り付けたため手を出せないでいる。太臓と同じアパートに住んでおり、知り合ってたちまち意気投合した。 主にスピンをレンタルロボットとして貸し出すことで生計を立てているが、エロが目的のイベントでは採算を気にせずスピンや新装置で太臓たちに協力する。
部井 透瑠 (ぶい とおる)
同じ作者の作品『無敵鉄姫スピンちゃん』の登場人物でもある、女子高生。名門女子校に通っている。祖父の部井一緒にお仕置きするツッコミ役だが、一緒が製造したアンドロイド、スピンのことを妹のように可愛がっている。『太臓もて王サーガ』では、スピンが女子高生相当のボディに換装可能となり、一緒に手を出される危険が生じたため、自らエロ防止装置を開発してスピンに取り付けた。 胸のサイズでコンプレックスを抱いており、それを指摘する一緒や太臓には冷ややかに、かつ厳しい仕置きを与える。阿久津宏海にはツッコミ役として、あいすにはサディスティックな性格(と恐らくは胸の大きさ)でシンパシーを感じている様子。
茨木 (いばらき)
ドキドキ学園高等学校の学園長を務める、髪の毛の薄い中年男性。間界人であり、太臓のような間界からの留学生や間界人の教師を広く受け入れている。キャバクラ通いを経費で済ませようとしたり、生徒であろうとイケメンを嫌ったりと、公私混同が目立つ。『太臓もて王サーガ』連載当時の「週刊少年ジャンプ」編集長・茨木政彦がモデル。
谷 円 (たに まどか)
ドキドキ学園高等学校の前任美術教師が覗きで逮捕されたため赴任した、豊満な体格の女性教師。普段は眼鏡を着用し、外すことは学園長の茨木から禁じられている。性格は大雑把で太臓の下ネタも軽く流すが、茨木のセクハラには容赦ない。正体は間界人であり、眼鏡を外すと巨大なメイド姿の超人「アルティメイド」に変身する。
エロガード・エロリップ (えろがーどえろりっぷ)
太臓のアスタリスク・ゲートから、間違って召喚された間界人。トウガラシの実とドクロをかけ合わせたような頭部を持ち、この世から猥褻な物事を排除しようとしている。特殊能力は、物を別の物に変える「○○を××に変える力」。猥褻を排除し純真な少女を守るという使命感に燃えてはいるが、その判断は独善的かつ暴走しがちで、何でもない事にまで勝手に猥褻さを見出してしまい、守るべき少女からも迷惑がられてしまう。 後にドキドキ学園高等学校へ新任教師として就任し、その際は実界人に擬態して「色裂色番」と名乗った。
星出 伊舞 (ほしで いぶ)
阿久津宏海の妹。両親が離婚したため父や宏海とは別居し、姓も違っているが、宏海とは定期的に会い、父ともわだかまりなく接している。明るく無邪気な性格で、太臓の下ネタも意味が分からないまま流してしまうため、殆どの女性に嫌われている太臓にも兄の友人として友好的に接している。初登場時は中学生だったが、後にドキドキ学園高等学校へ入学。 太臓たちの一学年下となる。入学直後から、宏海があいすと秘かに交際していると思い込んでいた。翠と友達になるなど間界人とのつき合いは多いが、宏海の「妹には平和な生活を送らせてやりたい」という思いやりで、連載終了まで間界のことを知らないままでいた。
翠 (みどり)
間界人の少女で魔法を得意とする、いわゆる魔女。間界でひと目惚れした悠に心酔しており、太臓と共に実界へ行った悠を追って実界に現れた。発想が非常に性的で、言動がことごとく下ネタ。当初は太臓や阿久津宏海を、悠との仲の進展を邪魔する存在と考え排除しようとしたが、その性的な言動が太臓のテンションを上げてしまい、失敗に終わる。 後にドキドキ学園高等学校へ入学し勝手に行動するが、悠の言う事は聞くため魔法で太臓たちに協力する事が多くなった。ドキ高では太臓たちの一学年下で、同級生の星出伊舞と仲良くなる。男に対しては、悠を除き、誘惑して利用するだけだったが、伊舞との友情は本心からのものだったようで、間界に帰る事を決意した際、伊舞を悲しませまいと自分に関する記憶を消して、泣きながら秘かに別れることを選んだ。 首から提げているペンダント状の玉には、使い魔のオタマジャクシ・精子(しょうこ)が入っている。
字戸井 萌 (あざとい もえ)
太臓や阿久津宏海たちがスキー旅行で雪山に行った際、遭遇した美少女アイドル。宏海と百手矢射子が交際することになった場面に居合わせた。後にドキドキ学園高等学校へ入学し、太臓たちの2学年下となる。オフでは眼鏡を着用。入学直後に連載終了を迎えたため目立った活躍はなかったが、宏海に興味を持ち、矢射子から奪おうとする素振りを見せていた。
妖狐の陽子 (ようこのようこ)
太臓たちがスキー旅行で雪山に行った際に出会った、妖狐(化け狐)の娘。様々な人間に変身できるが、おしゃべりでうっかり者のためすぐボロが出る。語尾に「~っス」をつける口調が特徴的。人間社会でモテモテになる事を夢見て、あいすの面接を受けてドキドキ学園高等学校へ通うようになった。学年は太臓たちの2学年下で、校内での名は「居成陽子」。 アイドルの同級生・字戸井萌に憧れており行動を共にする事が多いが、その一方で麻仁温子の誘いを受けジョジョ部に入部する。母親もやはり妖狐で大きさは10mほど。
ドラクロワ
押上仁露、アストロロボ・モタと共にドキドキ学園高等学校へ入学した間界人の吸血鬼。太臓たちの二学年下となるが、横柄な態度で上級生たちを先輩扱いしない。ワイルドな風貌を持つ凄腕のもて師で、間界では1万人近くの女と付き合ったと豪語し、ドキ高でも次々と女生徒を落としていた。しかし、笛路紋には太臓の方がいいと言われ、あいすには女性遍歴を完膚なきまでにこき下ろされ、麻仁温子にはジョジョ部への勧誘で圧倒されると、ペースを乱されがちになっている。 仁露、モタとは太臓と同じアパートで同居しており、仲間意識はある様子。
押上 仁露 (おうかみ じんろ)
ドラクロワ、アストロロボ・モタと共にドキドキ学園高等学校へ入学した、間界人の男性。太臓たちの二学年下。眼鏡をかけており、普段は紳士的に振舞っているが、正体はいわゆる狼男。普段は自分を律しているが、ひとたび欲情すると変身して女性に襲い掛かる。麻仁温子を襲って未遂に終わった際、自分を全く恐れずむしろ賞賛した温子に何かを感じたらしく、ジョジョ部に加入した。 連載終了時の描写によれば、朝練に参加するなどジョジョ部の活動を真面目に行っている様子。
アストロロボ・モタ (あすとろろぼもた)
ドラクロワ、押上仁露と共にドキドキ学園高等学校へ入学した少年。太臓たちの二学年下。正体はロボットで、同じ作者の『無敵鉄姫スピンちゃん』ではアイドル性を持った万能アンドロイドとして登場し、スピンと勝負をした。『太臓もて王サーガ』では「間界で生まれた間界ロボット」として別のキャラクターに設定されていたが、間界がらみの説明が煩雑となるため、『無敵鉄姫スピンちゃん』に登場したモタと同一人物という描写になった。 かつての出会いからスピンに恋をしており、ドキ高への入学もスピンを探し再会するためであった。元は模範的な性格だったが、一度暴走して廃棄処分にされたため、現在は人間に対して冷めた態度をとっている。スピンとは再会を果たし、連載終了時の描写では一緒に通学する程度には仲良くなっている模様。
魔王 (まおう)
太臓の父。間界の王だが、間界でどの程度の権力を持っているかは不明。尖ったスキンヘッドが特徴で威厳ある風貌で初登場したが、その姿は実界を訪れるためのもので、間界で見せた真の姿は「王座に腰掛ける巨人の股間から、同じスキンヘッドの頭が生えている」というもの。太臓と同様に、好色で後先考えない性格。実界で太臓を訪問した際、あいすをナンパしようとするが失敗。 手酷い反撃を受けるが、それがきっかけであいすを気に入った様子。なお、妻、すなわち太臓の母については詳細不明。
集団・組織
ドラゴンガール
悠が太臓にした説明によれば、星型の乳首を持つ7人の実界人女性。その7人を集めればどんな願いでも1つ叶えられるという伝説があり、彼女らを見つけることが太臓の目標の1つになっている。麻仁温子、佐渡ケサ、笛路紋の3人が登場したため、悠の作り話でないのは確かだが、7人が登場する前に連載が終了したため、本当に願いを叶える効果があるのかは不明。 ドラゴンガール同士が初めて出会うと、共鳴によって乳首がうずく。
もて四天王 (もてしてんのう)
ドキドキ学園高等学校で最ももてる生徒4名が、「もてもて審査委員会」という組織に選出されて得る称号。太臓の在学中では大木玲夜、乾一、木嶋剣、笛路紋の4人。笛路紋は女生徒だが、あまりの女子人気に審査委員会が選んでしまったという。木嶋は他3名より一学年上のため先に卒業したが、その後、新たなメンバーが選出された描写はない。 この代の四天王は特にレベルが高いらしく、教育実習で来校した元もて四天王も、現役の4名には全く通用していなかった。
討魔師 (とうまし)
間界人を退治する事を生業とする者の総称。いわゆる妖怪退治屋のようなもので、間界人を見境いなく殺そうとする者から、世の中に害をなす者のみを相手にする者までスタンスは様々。日本では「日本討魔師連盟」という組織が京都に総本山を構えている。百手矢射子も、京都に住んでいた頃の経験で太臓を憎み、総本山に入門して討魔師となった。 様々な特殊能力を持つ間界人に対抗すべく、体術や遠距離攻撃、召喚を封じる結界、強力な剣・武装セイバーなどが開発されている。
ジョジョ部 (じょじょぶ)
麻仁温子が部長を務める、ドキドキ学園高等学校内の部活動。活動内容は、漫画『ジョジョの奇妙な冒険』のファン活動だが、しばしば運動部以上にハードな訓練が求められる。温子が3年生になってから設立したため彼女自身は3ヶ月しか活動できないが、目的はこれからのジョジョマニアと『ジョジョ』の作者・荒木飛呂彦のため、と主張している。 温子に誘われ、太臓、悠、阿久津宏海と、太臓目当てで笛路紋がバレー部との兼部で入ったが、いずれも3年生であるため設立は認められなかった。その後、翠、妖狐の陽子、押上仁露が入って「1・2年生が最低3人」という条件を満たしたため、正式な部と認められた模様。連載終了時の描写では、温子と仁露が朝練のため早朝通学していた。
場所
間界 (まかい)
「幻想と現実の狭間にある世界」とも呼ばれる、異世界。いわゆる神や悪魔、怪物、精霊などと呼ばれる者が住んでおり、彼らは人間の住む世界を「実界」と呼んでいる。その力量に応じて最高位「プラチナ」から「ゴールド」、「シルバー」、「カッパー」の4クラス、およびクラス外を意味する「スクラップ」に大別される。実界人は基本的に間界の存在を知らないが、この二つの世界は大昔から秘かに交流しており、実界には多くの間界人が人間に混じって生活しているという。 それでも間界と実界には若干のカルチャーギャップがあり、例えば実質的に不老不死な間界人は、年齢や誕生日の概念が無いも同然。また、国家や身分制度はあるが何よりも「自分の意思」が優先され、主従関係にあっても当人の意思を無視した強制はできないという価値観が浸透している。 名前が姓と名に分かれていないため、実界に来た時は適当な姓を名乗ったり、誰に対しても下の名を呼び捨てにするため誤解を招く、といった現象も起こっている。
実界 (じっかい)
普通の人間たちが暮らす普通の世界で、間界側からみた呼び名。実界人は基本的に間界や間界人を認知していないが、この二つの世界は大昔から秘かに交流しており、実際は多くの間界人が実界人に混じって生活しているという。
逢魔市 (おうまし)
間界から実界に来た太臓たちが暮らす小都市。大昔から交流のあった両世界の中継地として、多くの間界人が実界人に混じって生活している。間界領事・あいすなどの尽力で平和が保たれていたが、太臓や悠のような強力な力を持つ間界人が長期滞在したことで間界化が進行し、奇怪な現象や特殊能力を持つ実界人の増加が問題視された(ギャグ漫画ゆえのパロディやデフォルメ描写に、合理的な説明がなされたとも言える)。 後に特殊な結界が張られ、間界と実界の狭間にある「半間界都市」と位置づけられる。
ドキドキ学園高等学校 (どきどきがくえんこうとうがっこう)
逢魔市にある私立の共学高校。学園長の茨木が間界人であり、ほとんどの実界人生徒には秘密ながら、間界からの留学生や間界人教員を受け入れている。校訓の「毎日がドキドキの学園生活」が象徴するように、派手なイベントがよく催される大らかでノリのいい校風。
その他キーワード
アスタリスク・ゲート (あすたりすくげーと)
太臓の代表的な能力。太臓の肛門の位置に、実界・間界を問わずあらゆる空間へ通じる門を開き、そこから太臓が契約した人物や動物を召喚できる。召喚できる対象の力量は太臓の能力次第であり、精神テンションで能力が左右される太臓が強力な間界人を呼ぶ時には、(おもにエロチックな物を見て)テンションを高める必要がある。 なお、間界人が実界に長期滞在する場合は、このアスタリスク・ゲートではなく、逢魔市に開く「ヘキサグラムゲート」を通過する。
静かなる夜のショー (さいれんとないとしょー)
太臓の能力のひとつ。濃度の高い臭気ガスを無音かつ低風圧で尻から散布する、いわゆる「すかしっ屁」のような技。周囲の人間がこのガスを嗅ぐと、臭いと認識する前に意識を失ってしまう。密室で使われると被害は甚大となる。
千の目 (さうざんあいず)
悠が使う、体中にある千対の目を用いた特殊能力の総称。対象に1分間の幻を見せる「眼夢(がんむ)」、相手の精神を支配して操ったり記憶を操作したりする「眼×操奴(がんそうど)」、他人の動きをコピーする「貰い眼(もらいがん)」などが多用される。
武装セイバー (ぶそうせいばー)
百手矢射子が所有する、討魔師の武器。剣として使える上に、周囲の生物を取り込んで鎧にすることができる。多くの場合は近くにいる生き物を区別無く取り込むため、場所によっては害虫などを身に纏わせてしまうことにもなる。また、精神的なショックを受けた状態で用いると暴走状態となり、周囲の人間を次々と巻き込みながら徘徊する巨人となってしまった事もある。 鎧となった動物は、「キャストオフ」の声と共に矢射子の意思で解除することも、他人が手で一匹ずつむしり取ることも可能。
ゴンブトゼクター
基本形態は「蝶の羽根が生えた小さな半裸の男性」だが、宏海の腰部に張りついて腕を伸ばし巻きつける形で自らを固定させ、フンドシを着けたような形状となる。起動させると「クロックアップ」の声と共に超加速状態となる。百手矢射子の救出に使用されたが、あまりの高速で空気との摩擦が生じて服が燃え尽き、全裸になってしまうことが欠点。 討魔師もほぼ同様(形状や装着位置が異なる)のアイテムを持っており、そちらは「カタークゼクター」と呼ばれる。
『ジョジョの奇妙な冒険』 (じょじょのきみょうなぼうけん)
パロディの題材として非常に多用される作品。『太臓もて王サーガ』の作者・大亜門は、以前の連載である『無敵鉄姫スピンちゃん』でも『ジョジョ』のパロディを用いており、『太臓もて王サーガ』では更にマニアックなパロディがしばしば展開された。その範囲は第1部から、当時「ウルトラジャンプ」で連載中だった第7部(『スティール・ボール・ラン』)にまで及ぶ。 コミックスのおまけ漫画によれば、大亜門と『ジョジョ』の作者・荒木飛呂彦は連載開始前に面会しており、その後、忘年会パーティーや会食で良好な交友関係が示され、『ジョジョ』に関していわば「公認パロディ」とも呼べる作品となっていた。読者にも『ジョジョ』との関連性は強く認識されており、キャラクター人気投票では(『太臓もて王サーガ』には一度も登場してないにもかかわらず)第3部の主人公・空条承太郎が9位、作者・荒木飛呂彦が11位と上位に入った。
『無敵鉄姫スピンちゃん』 (むてきてっきすぴんちゃん)
『太臓もて王サーガ』以前に描かれた、同作者による連載漫画。元はそれぞれ独立した別の作品だったが、主人公のスピンがデザインを変えてまわるとして登場。この時点では「まわる=スピン」と明記されてはいなかったが、後に部井一緒、部井透も登場した上、まわるもレギュラー化。ファンサービス的な単発のリンクに留まらず、同一な世界設定での二作品というべき関係となった。