マキとマミ ~上司が衰退ジャンルのオタ仲間だった話~

マキとマミ ~上司が衰退ジャンルのオタ仲間だった話~

OLの森山マミは、とある乙女ゲームのオタクであることを周囲に隠していたが、同類である上司の間宮マキにその正体はバレバレだった。互いに自分の趣味をカミングアウトした二人は意気投合し、熱い思いを分かち合える仲間として、生き生きとしたオタク交流を開始する。世間に対する擬態やオタクならではのマナーなど、「大人のオタク」に関するあるあるネタをふんだんに盛り込んだ、オタクライフコメディ。基本は4コマ漫画だが、通常のコマ割りで描かれるシーンもある。KADOKAWA「ジーンピクシブ」で2017年12月から2020年7月まで配信。「WEBマンガ総選挙2018」第7位、「このマンガがすごい!2019」オンナ編第8位に選出されている。

正式名称
マキとマミ ~上司が衰退ジャンルのオタ仲間だった話~
ふりがな
まきとまみ じょうしがすいたいじゃんるのおたなかまだったはなし
作者
ジャンル
その他ゲーム・趣味・実用
 
ギャグ・コメディ
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あらすじ

第1巻

勤続3年目のOLの森山マミはある日、主任の間宮マキに、直々にランチに誘われた。マミは、クールでとっつきづらい上司のマキを前に、何かやらかしたかとビクビクしていたが、そんな彼女に対し、マキは一つのキーホルダーを差し出す。それはマミが自分のバッグに付けていたのと同じ、乙女ゲーム「どき☆ジェネ」のイベント会場販売限定のアイテムだった。こうして二人は互いに、公式にはすでに長いこと音沙汰のない「衰退ジャンルのオタク」であるという秘密を分かち合って意気投合。一見、二人になんの共通点もないことに首をかしげる同僚たちを尻目に、同志として親しい付き合いを開始する。(第1話「呼び出し」。ほか、12エピソード収録)

第2巻

年末、冬コミの3日目に参加した森山マミは、創作百合系作家「アオハル少年」の新作を買うため、寒風吹きすさぶ中、行列に並んで凍死寸前の状態にあった。命からがらようやく自分の番を迎えたマミは、目の前で本を頒布している人物が、カフェ「金木犀」のオーナーの真下透にそっくりであることに気づく。マミは、他人の空似ということもあると自分を納得させようとするが、当の本人が小さな声で、このことを間宮学から聞いたのかと口にする。こうして、アオハル少年の正体が、透その人であることが明らかになるのだった。そして透は、間宮マキは会場に来ているのかとおびえた様子でマミに尋ねる。透のそんな落ち着かない様子を見たマミは、その瞬間、彼の作品のヒロイン像がマキに酷似していることに思い至る。(第15話「マミと真下~コミケで並んだ神が知り合いだった話~ 前編」。ほか、12エピソード収録)

第3巻

森山マミは、秋に開催される乙女ゲームオンリーイベントに、久々に「どき☆ジェネ」本を出そうと決意。それに伴い、本を作っていっしょに参加してみないかと間宮マキを誘う。同人誌の制作は未経験のマキはとまどうそぶりを見せながらも、その場で瞬時に8ページの本の計画を立てる。先日初めてイベントに行ったマキは、作品と推しのために何か自分にできることはないかと考え、一つでもどき☆ジェネのサークルを増やすことがその手助けになるのではないかと、サークル参加を夢見ていたのである。その話を聞いた真下透は、自分が創作百合系の同人作家であると知らないマキに対し、お薦めの印刷所をはじめ、サークル参加するにあたっての講釈をうっかり語り始めてしまう。(第28話「マキさん、同人誌出しませんか?」。ほか、10エピソード収録)

登場人物・キャラクター

森山 マミ (もりやま まみ)

勤続3年目になるOLで、年齢は25歳。明るい茶髪のセミロングヘアで、後頭部にリボンを付けている。乙女ゲーム「どき☆ジェネ」の古参オタクで、ある日、会社の上司である間宮マキに呼び出されて同類のオタクであることをカミングアウトされ、以後は年齢差を越えて、互いに腹を割って話すオタク友達となる。ちなみにどき☆ジェネの推しキャラクターは、チャラい女好きに見えて、実は人数が不明なほど無数にいる弟思いな「因幡白兎(いなばはくと)」。自分がオタクであることは巧みに隠してきたつもりだったが、一般人とは比較にならない卓越したネットスキルの持ち主であることから、マキには早い段階でオタクであると見抜かれていた。ちなみに絵を描くことも得意で、「マミP」のペンネームで同人誌の執筆も行っている。なお、一番のレジェンド推しはどき☆ジェネだが、それ以外に関しては広く浅くというタイプで、ほかのジャンルにも色々と手を出している。それに伴ってSNSのサブアカウントを増やしているため、そろそろ管理しきれない状態。実は大食漢で、いつもとんでもない大盛りでものを食べているが、そのことに突っ込む人はいない。

間宮 マキ (まみや まき)

森山マミの上司のOLで、主任を務めている。年齢は34歳。黒髪ショートヘアの颯爽とした美人で、弟の間宮学と二人暮らしをしている。4年前に現在の会社に転職してきて以来、さまざまな仕事を的確に成功へと導いてきたやり手のキャリアウーマンで、会社の執行役員にすら一目置かれている。その美貌に加え、口数が少なく自分のことをあまり語らないため、マミを含めて周囲からはミステリアスでとっつきにくい人物と見られていたが、実際はマミと同じく乙女ゲーム「どき☆ジェネ」の古参オタク。ちなみに推しキャラクターは、何かと流血イベントの多い硬派系男子「茶釜文太(ちゃがまぶんた)」。ある日、マミが最後に行われたどき☆ジェネのイベントの、会場販売限定キーホルダーを持っているのを見て、自分と同じ衰退ジャンルのオタクであることを確信して声を掛けた。以後は年齢差を越えて、互いに腹を割って話すオタク友達となる。ネットでは「MAKI」のハンドルネームで、シリーズの展開が止まっているにもかかわらず、現在に至るまで長期にわたってどき☆ジェネに関する鋭い考察を発表し続けており、その正体を知らないうちから、マミにもその存在を知られていた。厳しい家庭に育ったため、これまで同人イベントには行ったことがなかったが、その事実を知ったマミの誘いで初参加を決意。この情報が広がった際には、「MAKIさんに会うためにその同人イベントに参加したい」と、どき☆ジェネオタク界隈がざわついたほどの知名度を誇る。間宮マキ自身はどき☆ジェネに対して一途だが、常々新しいジャンルにも手を出してみたいとは考えている。

間宮 学 (まみや まなぶ)

間宮マキと二人暮らししている弟で、年齢は29歳。放送作家を生業としている。明るい色の髪を無造作なベリーショートヘアにしている。マキとよく似たクールな印象の顔立ちで、あまり表情が変化しない。国営放送の「ごりょうしんといっしょ」をはじめとした幼児向け教育番組全般のオタクで、年に数回イベントのために遠征し、関連CD、DVD、書籍はフルコンプリートという筋金入りで、オタク歴は25年を数える。ネットでのハンドルネームは「マナ」で、その名は古参オタクの中にも轟いているほどのガチ勢。ただし個人情報は基本的に明かしていないため、活動歴が長い割に年が若く、頻繁に遠征していることから職業についても謎が多いなど、ファンのあいだではミステリアスな存在として知られている。供給過多なジャンルのオタクであることから、衰退ジャンルオタクであるマキには妬まれている。ただし間宮学自身は過去のオタク活動の経験から、現在は家への来客に幼児退行を疑われることを恐れ、グッズなどを極力集めたりしないように自重している。ごりょうしんといっしょに登場する、推しのマスコットキャラクター「とり彦」の担当声優が出演しているという理由で乙女ゲーム「どき☆ジェネ」をプレイし、これを薦めたのがきっかけでマキがどき☆ジェネにハマることとなった。

真下 透 (ました とおる)

間宮学の幼少期からの友人の男性で、年齢は29歳。飲料メーカー勤務のサラリーマンだったが、1年ほど前に脱サラしてカフェ「金木犀」をオープンした。黒髪ショートヘアで眼鏡を掛けた、優しそうな風貌の人物。幼い頃から学の趣味に付き合って幼児向け教育番組のイベントに同行していたが、19歳の時、ついに周囲の目にいたたまれなくなり、幼児向け教育番組オタクを卒業した。だが、その後も幼児向け教育番組のイベントについて熱く語ったりと、どこか未練がある様子をかいま見せることがある。ちなみに真下透自身もとあるジャンルのオタクだが、そのことは周囲にひた隠しにしていた。のちに森山マミと同人イベントで出くわし、創作百合系の同人作家であることが発覚。その正体は、「アオハル少年」のペンネームでSNSに2万人のフォロワー数を持つ人気作家であり、マミも大ファンであった。中学時代、鮮烈な金木犀の香りが漂う中で出会った黒髪の美少女「金木犀の君」を、自らの作品のヒロインのモデルとしている。その美少女こそ高校時代の間宮マキだが、その後、マキには自分のオタクジャンルについて、からかい交じりにしつこく詮索を受けてきたため、彼女自身に対しては何ら夢を抱いていない。そして、「金木犀の君」をマキとは切り離し、意図的に別人と認識することで自分の理想の女性像として確立する、屈折した状態となっている。ちなみに学はこのことを知っており、透が幼児向け教育番組のイベントに付き合っていたのは、それを周囲にバラされないためである。

真下 緑子 (ました みどりこ)

真下透の姉で、年齢は35歳。間宮マキとは幼少期からの知り合いで、学校の1年先輩にあたる。右目の下に泣きぼくろのある、和装の似合う楚々とした美人。快活な性格で学生時代には生徒会長を務めており、非常に正義感が強く、自分が正しいと思ったことは貫き通すうえ、時に先鋭的な手法を取ることも辞さなかった。現在はそのような過激な姿勢を見せることこそなくなったが、根本的な性質は変わっておらず、SNS上で炎上騒ぎを起こすこともしばしば。ちなみに学生時代は漫画研究部に所属しており、現在も執筆活動を続けている。実は最近になって乙女ゲーム「どき☆ジェネ」にハマり、「ミドリムシ」のペンネームで同人イベントにもサークル参加していた。そして、どき☆ジェネサークルとしては二度目のイベント参加時において、既刊新刊合わせて5冊も頒布するほどの情熱的なハマりっぷりを見せている。ちなみに推しキャラクターは、隠しルートで登場する後輩キャラクターの「下切雲雀(したきりひばり)」。どき☆ジェネに限らず、どんなジャンルにおいても認知度の低いマイナーキャラクターを推してしまうことが多いため、何かと苦労が多い。だが、不屈の闘志でマイナーなキャラクターやジャンルの界隈を開拓し、盛り上げることを楽しんでいる。

場所

金木犀 (きんもくせい)

真下透が1年ほど前に脱サラして始めたカフェ。森山マミや間宮マキの会社と自宅のちょうどあいだにあるため、彼女たちが仕事後のオタク活動の基地として使っている。また、決まった仕事場を持たない間宮学も、カフェ「金木犀」で仕事をしていることが多い。夜に店にいる客は基本的に彼女たちばかりだが、昼間はそこそこ繁盛している。

その他キーワード

どき☆ジェネ (どきじぇね)

学園を舞台にした、ドキドキ★青春恋愛乙女ゲームのシリーズ。正式タイトルは「どきどき☆ジェネレーション」。森山マミや間宮マキはこのシリーズの古参オタクで、現在も愛してやまない。シリーズ第1作目が発売されたのは1990年代で、当時絶大な人気を博し、OVAやスピンオフのゲーム、すごろくゲームなど幅広い展開を見せた。それから5年後、シリーズ第2作目の発売と同時に、初のリアルイベント「5周年感謝祭」が開催。シリーズ第3作目発売時には、シリーズで初めてTVアニメ化されたほか、携帯アプリとして第1作目が配信されたり、過去作が別のハードにも移植された。だが、2010年代にシリーズ第4作目が発売され、この時に最後のリアルイベントが開催されて以降は、シリーズの開発がストップ。以来、音沙汰のないまますでに5年以上が経過している。実はマキがこのゲームにハマったのは、弟の間宮学から薦められたことがきっかけで、学には「男がプレイしても楽しい乙女ゲーム」と評されている。ちなみに学がこのゲームをプレイした理由は、幼児向け教育番組「ごりょうしんといっしょ」に登場する、推しマスコットキャラクター「とり彦」のCV(キャラクターボイス)担当声優が出演しているためである。

ごりょうしんといっしょ

国営放送の幼児向け教育番組で、「ごりいつ」の略称で親しまれている。日本のTV界を代表する番組の一つで、その歴史は長く、放送は60年にもわたる。歌、ダンス、体操、コントから人形劇に至るまで、なんでもありの一大エンターテインメントであり、幼児はもちろんのこと、保護者をはじめとした大人のファンも多い。また、日曜を除く毎日、朝と夕方にTV放送があるほか、全国を行脚するコンサートが高い頻度で行われ、年に数回DVDやCDの発売、加えて毎月1回は新曲の発表が行われるなど、オタクとして非常に追いかけがいのあるコンテンツとなっている。登場するマスコットキャラクターにはニワトリの「とり彦」、クマの「くまちょん」、ウサギの「うーさん」などがいる。このうち、とり彦のCV(キャラクターボイス)は、「どき☆ジェネ」シリーズに登場する鶴織吹雪(つるおりふぶき)役のベテラン声優、川本愛彦(かわもとまなひこ)が務めている。

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