あらすじ
女子高校生の佐藤花琳は、エロマンガ家の母親が再婚したことから、新しい父親の子供で年の近い兄妹と一つ屋根の下で暮らし始める。しかし、義兄の佐藤光一はイケメンだが、デリカシーのかけらもないセクハラ男だった。妹の佐藤美咲も性格の悪いブラコン女で、花琳はいきなり彼女からキライ宣言されてしまう。花琳が鬱憤のあまり、亡くなった実父の冨田大地の墓前で涙を流していると、そんな彼女のことを幽霊となった大地が心配そうに見ていた。父親の墓で思いのたけをぶつけて少し吹っ切れた花琳は、光一を思い切り罵倒して留飲を下げる。花琳に思いっきり嫌われてしまった光一だったが、実は彼女に一目惚れしており、一連のセクハラじみた行動も花琳へのアプローチのつもりであった。だが、花琳は同じクラスの大沢智也と付き合い始め、光一は二人の旅行のカモフラージュに利用されてしまう。光一は落ち込むものの、それでも花琳のことをあきらめきれずにいた。そんなある日、光一と花琳は嵐の夜に家で二人きりとなり、少しでも汚名返上しようと光一は花琳のことを必死に気遣う。そんな光一の姿を見て、花梨はそれまでの認識を改め、同時に光一のことを意識するようになる。
登場人物・キャラクター
佐藤 花琳 (さとう かりん)
高校生の女子。父親の冨田大地が急逝し、母親が再婚したことから佐藤光一、佐藤美咲と義理の兄妹になる。光一と美咲の第一印象は最悪で、光一は「気持ちの悪いセクハラ兄貴」、美咲は「口の悪いブラコン女」と完全に嫌悪していた。しかし、幽霊になった大地の伝言を美咲が伝えてくれたことから、次第に彼女となかよくなっていく。母親の佐藤えみりや美咲のように大地の姿を見ることはできないが、母親の日記などから父親が幽霊になっていることは以前から薄々感づいていた。一方、光一とは長いあいだ打ち解けられずにいたが、嵐の夜に光一と二人きりになった際、彼なりに気を使ってくれていたことを知り、わだかまりを解き始める。もともと外見は好みのタイプだったこともあり、この日を境にして光一のことを異性として強く意識するようになる。同じクラスの大沢智也と付き合っていたが、彼と別れて光一の告白を受け入れる。
佐藤 光一 (さとう こういち)
高校生の男子。佐藤美咲の実兄。父親が再婚したことから佐藤花琳と義理の兄妹になる。父親の前妻の八千代を実の母と思って過ごしてきたが、父親と八千代が離婚することになった際、彼女と血のつながりがないことを知った。実母は自分が3歳の時に死んだと父親から聞かされているが、祖父の話などから自殺したと思っている。イケメンながら、好意を持つ女の子への言葉や態度を間違えて失敗することが多い。一目惚れした花琳に対しても、ウケ狙いで自分のオナニーネタを見せるなど、デリカシーを欠いた行動を取ったため、花琳に気持ち悪いセクハラ男と認定される羽目になる。その後もなかなか花琳と打ち解けられず、彼女が大沢智也と付き合い始めたことにショックを受けるが、それでも花琳のことをあきらめきれず、嵐の夜に花琳と二人きりになった際、これまでのことを必死に弁明した。これを機に彼女との仲は改善し、さらに花琳が智也と別れたことを知り、思い切って彼女に告白する。
佐藤 美咲 (さとう みさき)
アイドルを夢見る中学生の女子。佐藤光一の実妹。父親が再婚したことから佐藤花琳と義理の姉妹になる。父親の前妻の八千代を実の母と思って過ごしてきたが、父親と八千代が離婚することになった際、彼女と血のつながりがないことを知った。兄の光一と同じく実母は死んだと聞かされているが、霊感があるために母親の死の気配を感じないことから、実は生きているのではないかとひそかに思っている。幽霊となった花琳の父親、冨田大地の姿も見えているが、声は聞くことができない。光一との兄妹仲は良好で、当初は光一が好意を持つ花琳のことを露骨に嫌っており、花琳からもブラコン女と敵視されていた。しかし、手書きの五十音表を使って大地の伝言を花琳に伝えたことがきっかけで、次第に彼女となかよくなっていく。
佐藤 えみり (さとう えみり)
佐藤花琳の実母。エロマンガ家で旧姓は「前橋」。同じくエロマンガ家の冨田大地と結婚するが、大地に先立たれたあと佐藤父と再婚。佐藤光一、佐藤美咲と義理の母子になった。強い霊感の持ち主で、昔から幽霊と思しきモノをしばしば見ていた。波長の合う人の霊は特にはっきりと見える様子で、死後に幽霊となった大地の姿もはっきり見えており、声を聞くこともできる。そのため、再婚後もたびたび墓参りに来ては大地に現状報告をしている。大地からは、もう来なくていいと言われるが、成仏するまでは大地とコミュニケーションを取り続けようと心に決めている。
冨田 大地 (とみた だいち)
佐藤えみりの前夫で、佐藤花琳の実父。小学生の頃から女の子の絵を描くのが好きで、エロマンガ家として活動していたが、ハードワークがたたって急逝。成仏することができず、幽霊となって自分の墓で漂っている。えみりに霊感のようなものがあることは彼女と結婚する前から知っており、プロポーズの言葉は自分が先に死んだら見つけて欲しいというものだった。そのため、幽霊となった今もえみりとはコミュニケーションを取っているが、霊感のない花琳には自分の意志を直接伝えることができず、やきもきしながら娘のことを見守っている。
佐藤父 (さとうちち)
佐藤光一と佐藤美咲の実父。スタジオミュージシャンを生業としている。佐藤えみりと再婚したことから、佐藤花琳と義理の父娘になる。結婚は3度目で、光一と美咲は最初の妻とのあいだの子供である。まだ幼児だった光一と赤ん坊の美咲を抱えて、四苦八苦していたのを助けてくれた八千代と再婚。光一と美咲を八千代の実子として育てるが、離婚することになった際、二人が自分の連れ子だったことを子供たちに明かした。最初の妻とは光一が3歳の時に死別したと語っており、光一は自殺したと思っている。ただ、霊感を持つ美咲は実母が生きているのではないかと考えている。
草間 綾乃 (くさま あやの)
佐藤花琳と同じ高校に通う女子。映画が大好きな内気な眼鏡っ子で、見た映画の登場人物に自分がなる夢を見る癖がある。席替えで花琳と大沢智也の席のあいだというオジャマ虫ポジションになったのを機に、花梨とコミュニケーションを取るようになる。実はひそかに花琳に恋しており、以前から智也が途中でフェードアウトしたり殺されたりして、自分と花琳がハッピーエンドになるという夢をよく見ていた。やがて花琳の親友的なポジションに昇格して、彼女から悩みを打ち明けられたりするようになるが、自分の気持ちを隠して親友として振る舞うことに少ししんどさを覚えている。
大沢 智也 (おおさわ ともや)
佐藤花琳と同じ高校に通う男子。爽やかな性格で、花琳が佐藤家と家族になって半年ほど経った頃から彼女と付き合い始めた。いっしょに旅行したり、絵本の読み聞かせ会に行ったりするなど花琳との仲は良好だったが、やがて別の女の子のことが気になり始める。同時期に花琳も光一のことを意識するようになったため、特に揉めることもなく、あっさり彼女と別れた。
八千代 (やちよ)
プロの女性シンガー。佐藤父の前妻。佐藤光一と佐藤美咲は佐藤父の連れ子で血のつながりはないが、結婚した時はまだ二人が幼かったために実の子として育てた。佐藤父との離婚が決まった際、光一と美咲が自分の子ではないことを明かすが、二人との仲は今も良好で、現在もたまに会ったりしている。
あまね ちさ
絵本作家として活躍している女性。読み聞かせ会でのトークイベントで、自らの作品に登場する「ひかるくん」と「ハナちゃん」というキャラクターは自分の息子と娘がモデルだと語る。実は、夫以外の男性の子を身ごもったため、子供二人を捨てて家を出たという過去を持つ。
杏 (あん)
男性アイドル好きの女子高校生。彼氏の薫とは幼なじみで、小学6年生の時に杏の方から告白して付き合うようになった。今も薫のことは好きだが、最近は薫がエッチをしたいあまり、がっついた感を丸出しにしているため、少し怖いと思っている。通学時に佐藤光一と同じ電車を利用しており、彼のことをアイドル視してひそかにあこがれていた。ラッシュ時に偶然光一と密着してしまい、薫への罪悪感を抱きながらもドギマギするが、友人を介して光一から告白された際は薫の存在を理由に断った。
薫 (かおる)
杏と付き合っている男子高校生。杏とは幼なじみで、小学6年生の時に彼女から告白され、付き合うようになった。ぽっちゃり体型の穏やかな性格ながら、最近は早くエッチをしたいと思うあまり、自宅に泊まりに来るよう杏に再三勧めるなど、がっついた感を丸出しにしているため、ちょっと彼女に引かれている。ただし無理強いしようとはせず、どんな時も杏の意志を尊重している。
宮村 (みやむら)
佐藤光一が中学時代に好きだった女の子。コーヒー店で光一と偶然再会した際、中学時代に光一のことが好きだったと告白した。実は、光一も彼女からの好意を感じていたが、当時はどうアプローチすればいいかわからず、彼女から借りてそのまま返さずにいたハンカチを使ってオナニーするだけだった。