ピーチクアワビ

ピーチクアワビ

若手映画監督として脚光を浴びていた主人公の女性の望月キナコが、挫折を味わい、どん底の中、AV監督にスカウトされ、その道を歩み始める。業界は男社会で、まだ男性経験のない主人公は困難な状況ながらも、懸命に自分の作品を作ろうと邁進し、人としても成長していく。AV業界を舞台にしたコミカルな青春群像劇。映画監督経験のある作者、岩田ユキの初連載作品。この作品は岩田ユキが、2006年から2007年にかけ、はと実鶴名義でストーリー原案を担当した、渡辺ペコ作画『キナコタイフーン』を改稿、改題したもの。双葉社「漫画アクション」2020年8/18号から連載。

正式名称
ピーチクアワビ
ふりがな
ぴーちくあわび
作者
ジャンル
青春
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概要・あらすじ

若手映画監督として脚光を浴びていた望月キナコ。周囲に押しきられ、思いどおりの映像が撮れないまま出来上がった作品を、新鋭女性監督たちが発表する「女たちのレンズ」完成試写会で上映した。キナコが撮った作品の評価は散々で、仲間からも哀れみの目を向けられる。キナコはライバルの女性の磯辺と喧嘩し、「ひがんでるんじゃない」と言う嫌みで高圧的なプロデューサーの柏田を突き飛ばして、自分のフィルムを持ってその場から逃げ出してしまう。突き飛ばした拍子によろけた柏田はケガをしたため、キナコは警察に捕まって留置所に入れられる。すると、キナコのファンだという見知らぬ男性が示談金を用意し、身元引受人になってくれた。「あなたのファンより」と書き添えられた名刺と花束を受け取ったキナコは、お礼を言いに名刺の住所へ行くと、そこは「ピーチクアワビ」という名のAV制作会社だった。キナコのファンだという社長のマコーレ安倍川に「うちで映画を撮ってみませんか」と誘われる。優しい誘いに痛い目を見ているキナコは、やんわりと断ってその場を立ち去った。だが傷害事件でバイトはクビになり、電気、水道、ガスも止められ、このまま死んで、誰かにまた迷惑をかけて嫌われると思った時、マコーレ安倍川の名刺が目に入る。フッとあふれるようにアイデアが浮かんできたものの、AVを撮るほど落ちぶれたと周囲からバカにされる自分を想像し、また悩む。数日後、キナコはボロボロの汚い身なりのまま、自分のファンだと言ってくれる桶田の働くビデオ屋を遠巻きに覗いていた。アダルトコーナーから嬉しそうに出てくる男性客。そこにはどんな世界があるのか。桶田に見つかってしまったキナコは逃げ出そうとするが、彼に声をかけられて立ち止まる。キナコは桶田に「どんなものでもずっと味方でいてくれるか」と尋ねた。彼は「もちろんですよ。ファンですから」と答えてくれた。キナコは涙ぐみ、それさえあればやっていけるとAVを撮る決心をし、ピーチクアワビの門をたたく。

登場人物・キャラクター

望月 キナコ (もちづき きなこ)

三垂美術大学出身の新人女性映画監督。べロリンで新人賞を受賞した若手のホープだったが、人間関係がうまくいかず、プロデューサーやスタッフから嫌われてしまう。自分の気持ちをうまく言葉に表せずに苦労している。髪型は強いくせ毛のショートカットで、背が小さくぽっちゃり体型。処女で精液を見ると吐いてしまう。桶田に淡い恋心を抱いている。

桶田 (おけだ)

望月キナコの学生時代からのファン。三垂美術大学時代、課題の講評上映会で教授たちから評価の低かったキナコの作品を絶賛してくれ、どれだけ感動したかをキナコ本人に熱く語る。背が高く甘いマスクのイケメン。ビデオレンタル店でアルバイトしており、キナコが好きそうな作品を店長に内緒で貸してくれていた。

磯辺 (いそべ)

新人女性映画監督で望月キナコのライバル。キナコも参加した「女たちのレンズ」完成試写会で自分の作品を評価され、テレビでも紹介された人気原作本の映画化の話をもらう。努力家でいろいろな現場で働き、経験を積む。髪型は黒髪ストレートのロング。マンションで暮らしている。キナコに会うたびに自慢したり、からかったりとちょっかいを出す。

マコーレ安倍川 (まこーれあべかわ)

AV制作会社「ピーチクアワビ」の社長。望月キナコの作品のファンで、キナコが傷害事件を起こした時に示談金を用意し、身元引受人になってくれた。背が高く、ひげが特徴的な男性。恥ずかしがり屋なのか、照明は自分ではなく相手側に向け、直接話さず、事務のおばさんが通訳をする。

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