あらすじ
四人の結婚したい独身女性と謎の組織「ピーナッツバターサンドウィッチーズ」
森本美晴、片桐沙代、松岡茜、山下美和の四人はいずれも独身のOLで、強い結婚願望を抱いている。そんな四人は好条件の男性陣から合コンの誘いを受けるが、直前に残業を理由にキャンセルされてしまう。せっかく四人がそろったもののやることもなく、そのままナンパで有名なスポットに出かけるが、そんなに都合のいい出会いもなく不発に終わる。こうして今日のところは男性との出会いをあきらめた四人は、それぞれの近況と結婚観を語り出す。そんな四人の話に、結婚を希望する女性を研究するチーム「ピーナッツバターサンドウィッチーズ」の小林と椿が聞き耳を立てていた。
お見合いパーティーで婚活
松岡茜と片桐沙代は二人でお酒を飲む機会があり、お金持ちがよく出没する茜の行きつけのバーに行く。その場で話が盛り上がり、二人は婚活パーティーに参加することになる。そして当日、沙代はメイクもファッションも気合いを入れて会場に向かうものの、参加している男性に好みのタイプはおらず、なんの収穫もなく終了する。一方の茜は、コミュニケーション能力が高いこともあり、参加している男性陣から圧倒的な人気を集める。そんな茜に対して沙代は尊敬の念を抱きつつも、今日のお見合いパーティーに対する茜の本音は辛辣なものだった。
マッチングアプリで婚活
涼太との交際記念日に食事に誘われた森本美晴は、プロポーズではないかと期待に胸を弾ませていた。しかし涼太は、職場の人といっしょに行った安くておいしい大衆的な居酒屋に行きたかっただけで、さらに美晴との交際記念日もすっかり忘れていた。涼太に対する不信感を募らせた美晴は、新しい出会いを得ようとマッチングアプリに登録することを決意。そこで美晴は片桐沙代と共に、既にマッチングアプリを利用している山下美和から、アドバイスを受けることとなる。こうして沙代は浩二と出会うが、価値観がまったく合わずにすぐに関係は終了する。一方の美晴は時田と出会い、お互い好感を抱く。そして二人はデートを重ねる中で、美晴は時田に心惹かれていくが、やはり涼太のことが頭から離れないでいた。
それぞれの恋愛と、茜と美和の衝突
このままでは時田に心を奪われてしまいそうな危機感を抱いた森本美晴は、彼に交際相手がいることを正直に伝え、連絡をいっさい無視するようになる。そんな中、美晴は涼太との関係を修復し、結婚に向けて行動を起こそうとしていた。一方、片桐沙代は入社して以来ずっとあこがれていた先輩の笹山と急接近し、新たな恋の予感を感じていた。しかしそんな沙代の様子を見て、後輩の青木は会社の先輩としてだけでなく、女性としても魅力を感じてあこがれているため、複雑な心境を抱えていた。さらに松岡茜は、学生時代に学校の人気者だった五十嵐と再会し、まるでその当時のトラウマを払拭するかのように、彼に思わせぶりな態度で接近していた。それぞれの恋愛が動き出す中、山下美和は相変わらず都合のいい女を演じ続けているため、相手の男性からの扱いはますますひどくなっていた。さらに美和は太りやすい体質を気にしており、男性から嫌われないために過度なダイエットにのめり込んでいく。茜はそんな美和を心配して声を掛けるが、美和は男性にモテる茜には自分の気持ちはわからないと言い放つ。
時田に本気になっていく美晴
ひょんな出来事から、森本美晴は涼太が夏実と浮気しているのではないかと疑惑を抱く。その疑惑は確信へと変わり、ショックを受けた美晴はこれまで無視していた時田に連絡を取ってしまう。チケットが入手困難で有名な音楽イベントに参加していた時田だったが、すぐに美晴のもとへと駆けつけ、それがきっかけとなって美晴は時田に対して完全に心を許してしまう。そんな中、涼太と連絡を取り合っている片桐沙代は、彼の浮気騒ぎが誤解であること、そして涼太が美晴に近々プロポーズをしようとしていることを伝える。
メディアミックス
TVドラマ
2020年4月から、本作『ピーナッツバターサンドウィッチ』のTVドラマ版『ピーナッツバターサンドウィッチ』が毎日放送「ドラマ特区」枠ほかで放送された。キャストは、森本美晴を瀧本美織、片桐沙代を堀田茜、松岡茜をNiki、山下美和を筧美和子が演じている。
登場人物・キャラクター
森本 美晴 (もりもと みはる)
看護師として働く独身女性で、年齢は29歳。7年間交際し、同棲している彼氏の涼太からは結婚の話がまったく出ず、このまま付き合っていていいのかを思い悩んでいる。涼太のことは好きだが、彼から異性として意識されていないことにも気づいている。将来的に、結婚もできずに、破局したときのことを考えると怖くなり、ひそかに婚活をスタートさせる。マッチングアプリで時田と出会い、彼の優しさに心惹かれていく。口癖は「このままでいいのかな?」。片桐沙代、松岡茜、山下美和とは婚活女子仲間で、定期的に集まって近況報告をし合っている。
片桐 沙代 (かたぎり さよ)
大手IT企業に勤務している独身女性で、年齢は29歳。いわゆるキャリアウーマンで、同年代の女性よりも年収が高い。現在恋人はいないが、ごく最近まで不倫をしていた。ただし望んで不倫をしていたわけではなく、既婚者であることを隠されての交際で、発覚してからはすぐに相手と縁を切った。「ふつうの相手とふつうの結婚をしたい」と望んでいるが、片桐沙代自身の望んでいる「ふつう」のレベルが非常に高いことに気づいておらず、結婚からますます縁遠くなっている。口癖は「ふつうでいい」。森本美晴、松岡茜、山下美和とは婚活女子仲間で、定期的に集まって近況報告をし合っている。
松岡 茜 (まつおか あかね)
一般企業で社長秘書を務めている独身女性で、年齢は29歳。社長秘書になる前は、銀座のクラブで働いていた。スタイル抜群で華やかな雰囲気を漂わせており、これまで社会的地位の高い男性とばかり交際していた。しかしどんな相手とも長続きせず、現在恋人はいない。社交的な性格で、コミュニケーション能力も高いが、気の合う仲間の前では毒を吐くことが多い。さまざまな恋愛を経験しているが、そろそろ結婚をして落ち着きたいと考えている。しかし、悠々自適な専業主婦をさせてくれる裕福な男性としか結婚しないと決めており、出会いがあっても理想が高いことからうまくいかないでいる。周囲からはただお金に執着しているだけのように思われがちだが、貧乏な家庭で生まれ育ったことでいじめを受けていた学生時代がトラウマとなり、結婚相手に対する理想を下げるつもりはない。口癖は「つまらない人生なんて罪だと思う」。森本美晴、片桐沙代、山下美和とは婚活女子仲間で、定期的に集まって近況報告をし合っている。
山下 美和 (やました みわ)
信用金庫に勤務している独身女性で、年齢は29歳。現在恋人はいないが、仲のいい森本美晴、片桐沙代、松岡茜の中では結婚願望が一番強い。自己評価が非常に低く、好意を抱いている相手に嫌われたくない思いから、尽くし過ぎてしまうところがある。そのため、本命視されている男性からも軽く扱われ、正式な交際へは至らず、体だけの関係が続いている。太りやすい体質で、学生時代はそのことで周囲から見下されてきた過去がトラウマになっており、スタイルを維持するために人一倍気を使っている。「レオ」という名前のネコと暮らしている。口癖は「喜んでくれるかな」。美晴、沙代、茜とは婚活女子仲間で、定期的に集まって近況報告をし合っている。
小林 (こばやし)
結婚を希望する女性を研究するチーム「ピーナッツバターサンドウィッチーズ」に所属している男性。対象サンプルとして選ばれた森本美晴、片桐沙代、松岡茜、山下美和の四名を尾行し、情報を集めている。椿の先輩にあたり、仕事では彼女とコンビを組んでいる。基本的に業務にはまじめに取り組んでいるが、権田に甘いものを食べに行こうと誘われて、調査を椿一人に任せることもある。
椿 (つばき)
結婚を希望する女性を研究するチーム「ピーナッツバターサンドウィッチーズ」に所属している女性。対象サンプルとして選ばれた森本美晴、片桐沙代、松岡茜、山下美和の四名を尾行し、情報を集めている。小林の後輩にあたり、仕事においては彼とコンビを組んでいる。業務に対しては非常にまじめに取り組んでおり、権田や小林から面倒なことを押し付けられることも多い。
権田 (ごんだ)
結婚を希望する女性を研究するチーム「ピーナッツバターサンドウィッチーズ」に所属している中年女性。チームではリーダーの役割を担っており、小林と椿からの報告を取りまとめている。つねに甘いものを食べており、国から支給されている研究費を使い込んでいる疑惑が掛けられている。特にピーナッツバターをパンにたっぷりぬって食べるのがお気に入り。小林と椿からは「権田所長」と呼ばれている。
涼太 (りょうた)
森本美晴と7年間交際をしている男性で、現在は美晴と同棲している。美晴に対しては女性としてではなく、家族のように接している。また、結婚に関する話題を極端に避けており、美晴がマッチングアプリで時田と出会うきっかけをつくってしまう。時田の存在にも気づいておらず、また美晴が自分との将来の不安から、ひそかに婚活をしている事実も知らずにいる。美晴には打ち明けていないものの、実は結婚の意志はある。だが、美晴の方が収入が高いことを気にしており、涼太自身は、収入が美晴と同等になったらプロポーズをしようと決めている。片桐沙代とは面識があり、お互いに連絡を取り合っている。
時田 (ときた)
森本美晴とマッチングアプリを介して出会った独身男性で、美晴より年下。数回デートを重ねていく中で美晴に好意を抱き、真剣に交際を申し込む。美晴から涼太という恋人がいるとカミングアウトされてからもあきらめることなく、メッセージを無視されても一途に美晴を思い続けている。マッチングアプリの扱いには慣れておらず、美晴が初めて会った女性でもある。趣味は音楽鑑賞で、マニアックなバンドにも詳しい。マッチングアプリの登録名は「TOKI」。
夏実 (なつみ)
キャバクラ嬢として働くシングルマザー。金髪のロングヘアに濃いメイクを施し、何もしなくても目立つタイプ。涼太が学生時代に所属していた部活のマネージャーを務めていた。涼太が勤務しているキャバクラ店に会社の接待で訪れたことで再会する。森本美晴からは涼太の浮気相手だとカンちがいされているが、夏実自身は涼太にまったく興味はない。性格もあっけらかんとしており、思ったことをすぐ口に出すトラブルメーカーでもある。
ユカ
森本美晴と同じ病院に勤務している看護師の独身女性。サバサバとした性格で、恋愛経験も豊富。美晴と親しく、顔を合わせるとプライベートなことを報告し合っている。美晴になかなかプロポーズしようとしない涼太には否定的な立場で、早く別れて時田と交際することを勧めている。現在はイタリア人のレオナルドと交際している。
浩二 (こうじ)
片桐沙代とマッチングアプリを介して出会った独身男性で、年齢は43歳。実際に会ってすぐに、沙代のことを気に入る。初回のデートで「好みが分かれる料理の店を事前の相談なしに選ぶ」「付き合っていない女性は完全に割り勘にする」という押し付けや自分なりの独自のルールを披露し、沙代から避けられるようになる。年齢のわりには若く見えるが、中身は年相応。浩二自身と沙代とのジェネレーションギャップが生じる話題もお構いなしで、相手に対しての配慮も欠けている。
笹山 (ささやま)
片桐沙代と同じ大手IT企業の営業部に所属している独身男性。入社した頃に沙代をフォローしたことがあり、それ以来尊敬されている。社内で企画された飲み会で沙代とあらためて会話をしたことで親しくなり、個人的に二人で食事に行く関係となる。整った顔立ちで爽やかな印象を与え、仕事もできることから、会社内でも女性からの人気が非常に高い。沙代からは「笹山先輩」と呼ばれている。
青木 (あおき)
片桐沙代と同じ大手IT企業に勤務している独身男性で、沙代の後輩にあたる。社内で企画された飲み会で、泥酔してしまった沙代を自宅に泊めて介抱したことで親しくなる。自宅で介抱する以前から仕事ができる沙代のことを尊敬しており、女性としても魅力的だとあこがれていた。しかし、沙代からは異性として認識されておらず、沙代自身が笹山にあこがれていることも堂々と打ち明けられている。
五十嵐 (いがらし)
松岡茜と同じ出身中学の独身男性。自らが勤務している会社と茜の会社は取り引きがあり、接待の場を通じて偶然再会する。その後、茜から連絡を受け、たびたび食事に行くようになる。学生当時、茜を貧乏だからといじめていた女子から好意を抱かれており、その女子への復讐のために茜から積極的な行動を取られているが、五十嵐自身は気づいていない。なお、五十嵐は茜へのいじめには関与しておらず、彼女が嫌がらせに遭っていた事実も知らない。明るく人当たりのよい誠実な人柄で、学生時代は学校中の人気者だった。現在も素直で飾らない性格で、茜に対しても本音で接している。
集団・組織
ピーナッツバターサンドウィッチーズ
日本政府が秘密裏に立ち上げたプロジェクトチームの一つ。「キャリア重視の女性」「セカンドライフを楽しむ女性」「妊娠を希望する女性」と、さまざまなカテゴリーの女性のサポートと研究を行い、幸せに導くことを目的としている。「ピーナッツバターサンドウィッチーズ」は、「結婚を希望する女性(婚活女子)」のサポートと研究をするために立ち上げられた。その対象サンプルとして森本美晴、片桐沙代、松岡茜、山下美和が選ばれている。
書誌情報
ピーナッツバターサンドウィッチ 3巻 講談社〈KC KISS〉
第1巻
(2020-03-23発行、 978-4065196212)
第2巻
(2020-04-13発行、 978-4065196229)
第3巻
(2020-05-13発行、 978-4065196236)