概要
ラノア王国のラノア魔法大学に通う少女。父親が魔族迎合派との政争に負けてシャリーアへと左遷させられたミリス教の司祭で、フィリア自身も敬虔(けいけん)な信者。そのため、ロキシー・ミグルディアと同学年でクラスメートなのだが、魔族である彼女のことを、それだけを理由に忌み嫌っている。治療魔術の授業の際に、初級の治療魔術を使えるロキシーに対して、魔族が治療魔術を使うのは汚らわしいと、言いがかりをつけて対立。その後、どちらが先に中級の治療魔術を習得できるかを競い合うこととなった。当初は中級の治療魔術である「エクスヒーリング」の練習のため、父親が経営する治療院で手伝いをしていたが、ある日、治療院を頼ってきた獣族の男性が追い返され、それを見た住民が現在の治療院の方針に不満と懐疑心を抱いているのを耳にしてしまう。フィリアも魔族とは異なる獣族に対して手を差し伸べられないことに、ひそかな罪悪感を覚えていたため、治療院ではせめて獣族だけでも見られるようにできないかと父親に直談判している。しかし、魔族に対して非常に頑固な考えを持ち、獣族も同じように汚らわしい存在として考える父親に申し出を一蹴されるどころか、自分が屋敷を追い出される事態を招いてしまう。このように葛藤を抱えながら、冒険者ギルドで冒険者として働こうとしていたところ、偶然にも預金を降ろしに来ていたロキシーに見つかってしまうと同時に、獣族の冒険者が大ケガを負って担ぎ込まれる場面に遭遇してしまう。患者が獣族ということもあって手出しのできないフィリアに対し、ロキシーは当初、初級の治癒魔術である「治療(ヒーリング)」で応援が来るまで凌(しの)ごうとするが、状況は悪化するばかりで好転せずにいた。そこでロキシーは、一か八か習得していない「エクスヒーリング」を試みるも、連続して失敗してしまう。そのことに負傷した冒険者の仲間が激昂し、期待させるなと心ない罵声が飛び交う様子を見たフィリアも、この時ばかりは我慢できずにロキシーを庇(かば)う声を上げている。そして、ロキシーはその次の瞬間には「エクスヒーリング」を成功させ、負傷者の傷を癒やした。しかし、冒険者は重傷だけでなく毒も負っていることが判明し、「解毒」の治癒魔術を使えないロキシーでは手の出しようがない事態であることが判明する。フィリアはその時、ロキシーに「解毒」が使えるかを尋ね、使えないことを確認すると、それまでの主義信条をねじ曲げ、獣族の冒険者に「解毒」の治癒魔術を使用し、負傷者を救うことに成功している。そのことで周囲の冒険者たちからフィリアは救い手としての喝采を一身に受けるが、内心はロキシーに負けたという、忸怩(じくじ)たる思いで満たされていた。その後、屋敷ではなく学生寮から通う生活を始めたフィリアは、ロキシーによって獣族と親しく会話する姿を目撃されている。また、シャリーア近隣の村で豪雨災害があった際には、獣族の男性を治癒魔術で癒す姿も目撃されていた。
登場作品
無職転生 ~ロキシーだって本気です~ (むしょくてんせい ろきしーだってほんきです)
理不尽な孫の手の小説『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~』のスピンオフ作品。原作におけるヒロインの一人であるロキシー・ミグルディアの過去に焦点を当てた物語で、彼女が故郷であるミグルド族の村を出てから... 関連ページ:無職転生 ~ロキシーだって本気です~