レネ

ラノア王国のラノア魔法大学に通う猫の獣族の少女。剣などの武器を使わず、拳で戦う戦闘スタイルの持ち主で、対人戦闘ならばほかを圧倒してみせるほどの強さを誇る。ラノア魔法大学に通っている多くの獣族の男性から言い寄られており、発情期のシーズンになると、習わしに則（のっと）って結婚を前提とした決闘を数多く申し込まれながら、そのすべてを撃退している。また、気に入った人物はレネ自身の下僕として群れの中に囲う考え方を持ち、在学中に100人の下僕を作ることを目標としている。大学を辞めたランレッタと、入れ替わりでロキシー・ミグルディアの学生寮におけるルームメイトとなり、奔放な考え方をするレネに対して、生真面目な性格であるロキシーとのあいだでは確執が生まれる。ロキシーとはルームメイトになる以前に一度、修練場で勝負をしており、その時はロキシーが魔術の詠唱を唱え終わる前に接近し、一撃で地面に押し倒して勝負がついている。このこともロキシーがレネを認めがたい原因の一端を担っていた。しかし、レネが闘技場で自らをコテンパンにしたパーティーへリベンジする手伝いを、ロキシーに頼んだことをきっかけに関係性が変わっていく。ロキシーの手助けもあり、闘技場での戦いに勝利したレネだったが、その見返りとして頼まれた迷宮での魔物との闘いにおいて、レネは拳で戦う自分のスタイルが魔物にはまったく通用しないことを痛感する。ロキシーの足を引っ張ってばかりで、弱い者は要らないとされた過去のトラウマを思い出すこととなる。レネは幼い頃、獣族を虐げた人間の剣術を忌み嫌う父親によって、半ば虐待のような形で拳法を仕込まれた過去があり、自分は強くなくてはいけないという強迫観念と共に、これら過去の出来事が原因で剣を握ることに恐怖心を抱いてしまう。しかしルームメイトであり、自分も強くならなければという思いを抱いていたロキシーによって葛藤を見抜かれると、ロキシーがかつて見たという爪を硬化させて戦う魔族から発想して、武器屋で特注して作られた専用の籠手（こて）を与えられる。この武器によって魔物にも有効打を与えられるようになったレネは、打って変わって精神的に立ち直り、一回り強く成長することとなる。この事件以後、レネはロキシーに対して大切な下僕という意味合いが強くなったのか、下僕内で設けられていたランク付けにおいて、ロキシーが最も高い位置を占めるようになっている。これは下僕たちのあいだでも自分たちの「姉御」であるレネをより一層強く、魅力的にしてくれたロキシーに対して感謝の念を抱いているという意味合いでもあった。この出来事のあとはルームメイトとしてもなかよく過ごしていたが、卒業を間近に控えたロキシーに対してさまざまな精神的な圧迫が加えられ、彼女を追い詰めていたことがきっかけとなり、レネとの別れも穏当な形で迎えることは叶わなかった。ロキシーが卒業後も手助けのできる距離にあるラノア王国の首都、シャリーアにいることを疑わないレネに対して、卒業後はアスラ王国で職を探すとするロキシーとのあいだで齟齬（そご）が生じたことも大きかった。このすれ違いを正す間もなく、ロキシーが卒業を迎えた日にレネはロキシーが群を離れていかないように、下僕たちと共にラノア魔法大学の校門で彼女を迎え撃っている。しかし、魔術師として成長したロキシーを前にレネは敗北を喫してしまい、手助けのできない場所へロキシーが旅立ってしまうのを号泣して見送ることしかできなかった。