概要
ロキシー・ミグルディアの魔術の先生を務める女性。「ブラッディーカント」という長い名前を縮めて「カント」とも呼ばれている。冒険者としての最高ランクである「Sランク」に登り詰めた人物で、世界中を旅して魔大陸を訪れていた頃、リカリスの町で噂を聞いた珍しい種族「ミグルド族」に会うため、その集落であるロキシーの故郷を訪れた。世界中を旅してきた経験豊かな冒険者として、達観した人生観と豊富な知識を持ち合わせているが、生来の気質なのか、いい加減なところがあり、ミグルド族の村を訪れようとした際も、外壁の外で行き倒れになっているところを、ロキシーが偶然に見つけたという状況だった。村で過ごしているあいだは命の恩人ということもあり、またミグルド族の中で唯一「念話」の使えなかったロキシーと言葉を交わせる貴重な存在として、いっしょに行動することが多かった。ロキシーに「魔術」を教えたのもブラッディーカントであり、この出来事はロキシーが魔術師として大成していく、貴重なきっかけとなっている。ロキシーはブラッディーカントを「師匠」と呼びたがっていたが、自身は旅中の身の上であり、ロキシーに対してそこまでの責任を持てないと固辞し、仕方なく「先生」と呼ばれるようになった。一期一会を大切にしていたブラッディーカントだったが、ロキシーが初級魔術のウォーターボールを成功させた時には、魔術の師匠が弟子に行う慣習を大事にして、初めて魔術を成功させた弟子に師匠が送るとされる魔術師の杖を渡している。また、旅立つ際には魔術のことが書かれた初心者向けの教本をロキシーのために残しており、ここに描かれていた魔術が冒険者としてロキシーが活動する際に大いに役立った。ミグルド族の村をあとにしてから数年後には故郷のアスラ王国へ戻り、世界中を旅したことで手に入れた知見をもとに書かれた紀行本「世界を歩く」の執筆に取りかかった。しかし、執筆の最中に自分が話した旅の出来事がもとで、チルカ族という部族が滅ぼされたことを知り、執筆が滞るようになる。この時、冒険者としてアスラ王国を偶然訪れていたロキシーが、ブラッディーカントの原稿の担当であるアルレリアに出会ったことで、ブラッディーカントのもとへロキシーが原稿の催促に来るようになった。当初はロキシーのことを忘れた素振りを見せつつ、冷たく当たるブラッディーカントだったが、懲りないロキシーに次第に絆(ほだ)されていく。また、偶然にもチルカ族の生き残りと出会えたことで、彼らの村が滅んだ原因が、とある本に残されていた誤記のせいだと知らされる。チルカ族の頭に生える花は、「不死の妙薬」になると本には記されていたが、実際には「痔(じ)の妙薬」で、事の真相と共に噂が広まらなくてもいつかは誰かが知るという言葉を、チルカ族の生き残りからブラッディーカントは与えられる。そして、罪悪感を持つなら今書いている本にしっかりと「痔の妙薬」と記すことを条件に許すと言われ、これによって執筆に対する躊躇いを解消されている。その後、執筆を再開したブラッディーカントは、旅を再開しようとするロキシーに、自分のお古である三角帽子とラノア王国にあるラノア魔法大学への推薦状をしたため、餞別(せんべつ)として渡している。
登場作品
無職転生 ~ロキシーだって本気です~ (むしょくてんせい ろきしーだってほんきです)
理不尽な孫の手の小説『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~』のスピンオフ作品。原作におけるヒロインの一人であるロキシー・ミグルディアの過去に焦点を当てた物語で、彼女が故郷であるミグルド族の村を出てから... 関連ページ:無職転生 ~ロキシーだって本気です~