概要・あらすじ
兎本ちゆは京都に住む小学6年生の女の子。突然、白くフワフワした物体が見えるようになったちゆは、医者のおばあちゃんに会いにいくため、上京する事に。東京のおばあちゃんの病院に着いたちゆは、待合室で泣いている同じ年頃の女の子、小野知美に話しかける。彼女の後ろからひょっこり顔を出したのは灰色の物体。思わず「灰色!?」と口に出してしまうちゆ。
ちゆが知美にアメをあげようとすると、知美の母が「娘に変なものをくれるな」とちゆに難癖をつけて、知美を外へ連れていってしまった。診察室から出てきたおばあちゃんがちゆを歓迎し、白い物体の正体を教えてくれた。白い物体は切り離された感情の迷子ブラットというもので、別名「悪ガキ」。心が不安定な思春期に、「こんな事を思ってはいけない」という感情が体から切り離され、浮遊しているのだと言う。
たいていは自然に消えるものだが、大きな感情が切り離され、傷ついたところにばい菌が入ると病気になってしまう。知美のブラットは灰色だったため、病気になりかけて弱っている模様。せっかくブラットが見えるのに、自分に何かできる事はないか、とおばあちゃんに尋ねるちゆ。
おばあちゃんは「ちゆはどうしたい?」と質問をし返し、「一応これをつけておきなさい」とちゆにブローチを渡した。おばあちゃんは説明の続きを後にして、寝不足のちゆに昼寝するよう促した。ちゆは興奮が収まらず、ブローチを付けて街へ繰り出した。京都も東京もブラットは変わらないなぁと思って見ていると、灰色のブラットがちゆに助けを求めてきた。
灰色のブラットに誘導された先には、病院で出会った知美が母親に叱られて街中で泣いていた。ちゆが声をかけようと知美に触ると、知美の傷ついた心の中が見えてしまった。「母親をいつも怒らせてしまう自分なんかいないほうがいいんだ」と。そこへ見知らぬ男の子が「単独での同調は禁止だ」とちゆを知美から引き離した。
その場に戻ってきた知美の母親が、ちゆと一緒にいる姿を見て「遊びに行くつもりか?」と勝手に誤解。さらに傷つける言葉を知美に投げかける。すると知美のブラットが発症し、知美の心はブラットに乗っ取られてしまった。風貌も変わり、凶暴化した知美はそのまま走り去ってしまう。ちゆは先ほどの見知らぬ男の子と一緒に知美を追った。
彼は木虎銀という名のブラット・ハンター。まだ半人前なので捕獲部隊が来るまで時間稼ぎをするという。橋の上で市民を襲い始めた知美と戦う銀。知美に引きずられた銀を助けようとしたちゆと銀が接近。ちゆの胸のブローチと銀の首元のブローチが接触し、二人は変身してしまう。同時にちゆの手には虫あみが、銀の手には手術用メスが持たされていた。
ブラットを銀が切って、ちゆが回収する役目を担うと理解した二人は、説明もないままブラットと戦う事になるのだった。
登場人物・キャラクター
兎本 ちゆ (うもと ちゆ)
明るく元気な小学6年生の女の子。困った人を放っておけないお人好しで人情派。京都出身で関西弁をしゃべる。突然、「ブラット」と呼ばれる小さな白い物体が見えるようになる。三つ編みのツインテールで、大きなリボンで髪を留めている。胸元にも大きなリボンをつけている。
木虎 銀 (きとら ぎん)
半人前のブラット・ハンター。細身で前髪の長い黒髪のストレート。なにもわからない兎本ちゆにブラットやブラット・ハントの説明をしてくれる。普段はクールでときおりさわやかな笑顔を見せる。戦闘中もちゆにケガをしてないか気遣う優しい人物。
小野 知美 (おの ともみ)
兎本ちゆの祖母の病院に来ていた女の子。優しくおとなしい性格で泣き虫。自分が母親に叱られるのは自分が悪いからだと自分を追い詰め、自分の意見を押し殺してしまう。母親のひどい一言がきっかけで、ブラットが発症し、心を乗っ取られてしまう。黒髪でアゴまでのボブカットが特徴。
その他キーワード
ブラット
お化けのような形状で浮遊している感情の迷子。心が不安定な思春期に「こんな事を思ってはいけない」という感情が体から切り離されたもの。形は卵型でしっぽがあり、目と口、手のようなものがある。別名「悪ガキ」。通常は白いが、心が弱ると灰色になり、弱ったところにばい菌が入ると、発症して黒くなる。発症すると、凶暴化して本人の心を乗っ取る。 普通の人には見えないが、兎本ちゆは突然、ブラットが見えるようになった。発症したブラットを捕獲するブラット・ハンターも存在する。
書誌情報
ブラット・ハント ちゅっ 3巻 講談社〈講談社コミックスなかよし〉
第1巻
(2018-11-13発行、 978-4065138588)
第2巻
(2019-03-13発行、 978-4065149027)
第3巻
(2019-07-12発行、 978-4065162644)