概要・あらすじ
薬師丸未来路は、血の繋がった母親から存在を否定されたため、自分自身や自分の持つESPを否定して生きてきた。住み慣れた京都を離れて東京に引っ越し、心機一転、まっさらな気持ちで、生活を再スタートさせようと心に誓う。その日の夜、未来路はマンションのベランダから、うっかり缶ビールを落としてしまう。それが通行人の少年に当たり、彼に怪我をさせたうえ、記憶を失わせるという事態を招く。
そして少年の正体を探るため持ち物を調べた結果、彼は誘拐された少女を助けに行く途中だったことが明らかになる。
登場人物・キャラクター
薬師丸 未来路 (やくしまる みくろ)
ESP保持者の青年。物体浮遊の能力があり、自分自身を含む人や物を宙に浮かせることができる。大学生だが、現在は休学中。実家は京都にあり、東京で一人暮らしを始めたばかり。あまり社交的ではなく、口下手なこともあって、友人や知人は極端に少ない。血の繋がりはないが、代理母として自分を生み育ててくれた京都の母を、1人の女性として愛している。
パメラ
ESP保持者の少女。人や物を宙に浮かせる物体浮遊、バリア機能のシールド、触れている相手と意思疎通する接触テレパスなどの能力が使える。アメリカ在住で、超能力研究機関「EPIA」に所属している。チョコレート色の瞳と、日本語を話すときには男言葉になるのが特徴。3歳のときに実の母親に捨てられ、自由の女神の下で保護された、という過去を持つ。
美音 (みね)
ESP保持者の少年。アメリカ在住で、黒髪にげじげじ眉、獅子鼻が特徴。超能力研究機関「EPIA」に所属しているが、どちらかというと落ちこぼれ。薬師丸未来路のせいで記憶喪失になる、というアクシデントに見舞われた結果、研修試験に落第してしまう。
レイモンド=ヴィジョン (れいもんどゔぃじょん)
ESP保持者の青年。アメリカ在住で、超能力研究機関「EPIA」に所属している。パメラや美音よりも「EPIA」の内部事情に詳しい。会ったことはないものの、ESP保持者である薬師丸未来路の存在についても知っている。人に待たされることを極端に嫌う。
絹小町 ともこ (きぬこまち ともこ)
京都在住の女性。薬師丸未来路の友人。未来路とは過去に肉体関係を持ったことがある。京都の母や薬師丸北斗などには、未来路の恋人だと思われているが、実際はそこまでの関係ではない。ただ、絹小町ともこ自身は、未来路に対して密かに好意を抱いている。未来路が抱いている想いを、京都の母に明かしたせいで、彼らの関係を危うくしてしまったことに、罪悪感を感じている。
京都の母 (きょうとのはは)
薬師丸未来路と薬師丸北斗の母親。未来路の受精卵を代理出産したため、血の繋がりはない。実はESP保持者。かつては超能力研究機関「EPIA」とも関わりがあったが、未来路を生んだ後に縁を切った。ESPを持っていることは、未来路には隠している。
東京の母 (とうきょうのはは)
薬師丸未来路の受精卵を提供した女性。訳あって自分では出産せず、京都の母に代理出産を依頼した。未来路がESPを持っていることを嫌がり、育てることを拒絶した。自身はESPは持っていない。
薬師丸 北斗 (やくしまる ほくと)
薬師丸未来路の兄。血の繋がりはないが、とても弟思いの兄で、未来路を心配している。未来路にESPがあることも、すべて知っていて受け入れてくれる。
笠間 春彦 (かさま はるひこ)
薬師丸未来路の希少な友人の1人。黒髪に浅黒い肌をしている青年で、口元のほくろが特徴。薬師丸北斗とも面識があり、絹小町ともこは未来路の恋人だと思っている。明るくてにこやかで社交的。
場所
EPIA (いーぴーあいえー)
超能力者の研究を行い、その能力を政治に役立てるための機関。本部はアメリカにあり、正式名称は「国際連邦科学情報局」。強いESPを持つ者に対しては、味方に引き入れられない場合は大きな脅威になると考え、特に強引な勧誘をする。
その他キーワード
ESP (いーえすぴー)
いわゆる超能力。人や物を宙に浮かせる物体浮遊の能力もあれば、パワーを放出して物を破壊したり他人を傷つける能力もあり、使える能力の種類やその強さには個人差がある。コントロールするには訓練が必要。