プティトゥ・ペッシュ!

プティトゥ・ペッシュ!

『桜蘭高校ホスト部』を代表作とする葉鳥ビスコ初のグルメ漫画。「料理」と「友情」をテーマにしている。深夜のみ営業するカフェ「ペッシュ」を舞台に、店長の椛山たつ子と雑誌編集者の阿野依子が料理を通じて友情を育んでいく姿を描いたハートフルグルメコメディ。白泉社「AneLaLa」創刊号である2013年7月号から2015年8月号にかけて連載された作品。

正式名称
プティトゥ・ペッシュ!
ふりがな
ぷてぃとぅ ぺっしゅ
作者
ジャンル
グルメ
 
友情
レーベル
花とゆめコミックス(白泉社)
巻数
全1巻完結
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料理を通じて深まる友情

本作は不器用女子の依子と超マイペース女子のたつ子の友情が深まっていく様子を描いたグルメ漫画。作中に登場する料理は、料理家の大原あゆ美とminokamoが監修しているため、クオリティもオリジナリティも高い料理が提供されている。コミックスには料理のレシピも掲載されているため、実際に作ることもできる。また、作者の葉鳥ビスコはもともと料理イラストを描くのが好きだったことから、友人に料理家を紹介してもらって本作を描いたという経緯がある。特に料理が美味しそうに見える描写には情熱を傾けており、中には制作に3日かかった料理イラストも存在する。

魅惑の深夜カフェの秘密

ティーン向けファッション雑誌で編集者として働く依子は、心身共に疲れ切ったある日、仕事帰りに偶然見つけたカフェに足を踏み入れる。その店は深夜のみ営業するカフェ「ペッシュ」で、客から「桃ちゃん」と呼ばれるミステリアスな美女が店長を務めていた。そして依子が桃ちゃんにおまかせを頼むと、疲れた自分にぴったりな滋養強壮によさそうな美味しい料理が運ばれてきた。それ以降、依子はカフェに通い詰めるようになるが、提供される料理はいつも依子がその日に食べたいと思っているものばかり。深夜のみ開店していることもあり、依子は桃ちゃんが人の心を読むことのできる魔女に違いないと考えるようになる。すると編集者である依子の記者魂に火がつき、店長の正体を探るべく店に足しげく通うようになる。

美女店長の意外な素顔

依子が深夜カフェ「ペッシュ」に通い詰めるようになると、年下のイケメンに世話を焼かれていたり、謎の中年男性とアイコンタクトでやり取りしていたりと、店長のたつ子のミステリアス具合にさらに謎が深まっていく。たつ子の正体を推測しながら、依子はすっかり店の常連化していたが、ある時、依子が店を訪れると開店時間にもかかわらず店は閉まったまま。しかし店に灯りは点(つ)いており、不信に思った依子が中を確認すると、たつ子が倒れていた。実はたつ子は料理以外は無頓着なダメ人間で、依子が「年下のイケメン」と思っていた弟に世話を任せっきりで、辛うじて生活していたのだった。また、依子が「謎の中年男性」と思っていた人物も単なる商売敵で、依子に提供された料理もたつ子が適当に選んだものだった。たつ子に抱いていた幻想がガラガラと音を立てて崩れ落ちながらも、依子は自分とは正反対の性格のたつ子に親しみを覚え、友情を育んでいく。

登場人物・キャラクター

阿野 依子 (あの よりこ)

ティーン向けファッション雑誌の編集を務める女性。年齢は25歳で、血液型はB型。黒髪を頭の上でお団子状にしてまとめ、眼鏡をかけている。好奇心旺盛な理屈屋で、自分や周囲の出来事を分析して文章にまとめている。編集者にうってつけの性格ながら、型破りな行動力が災いして明後日の方向に向かったり、物事を悪い方に考えてドツボにはまったりと、空回りすることが多い。仕事が多忙で食事も満足に摂(と)ることができずに疲れ切っていた際、偶然に深夜カフェ「ペッシュ」を訪れる。おすすめ料理を頼んだところ、店長のたつ子が依子自身の食べたいものをピンポイントで提供してくれるため、ミステリアスな店長に興味を抱くようになる。たつ子がいつも自分の好みの料理を提供できるのかを想像しつつ、半ば意地になって連日店を訪れては彼女の正体を探っている。その後、「桃ちゃん」ことたつ子がただの料理が得意なだけのズボラ女子で、たつ子の汚部屋を見て彼女に抱いていた幻想が木っ端みじんに砕かれるのと同時に、食の好みが合う友人として一気に親近感を抱くようになる。その後は片付けができないたつ子の部屋を掃除しながら、交友を育んでいる。

椛山 たつ子 (かばやま たつこ)

深夜カフェ「ペッシュ」で店長を務める女性。明るい茶髪を長く伸ばしている。見た目は大人びているが、年齢は25歳。穏やかな物腰でお客さんに数々の絶品料理を提供している。店名の「ペッシュ」がフランス語で「桃」を意味し、いつしかお客さんから「桃ちゃん」の愛称で呼ばれるようになる。黙っていればミステリアスな雰囲気を漂わせた美人ながら、実はズボラなダメ人間。料理だけが得意な残念女子で、部屋は汚部屋化しており私服も無頓着でダサイ。ペッシュが深夜営業なのも朝起きるのが苦手なだけで、それを見かねた世話焼きの弟のお陰で辛うじて営業できている。仕事中は無口になるが、これは弟から「しゃべるとアホだとバレる」と言われているため。超マイペースな性格で、自分の好き勝手できるという理由でペッシュを営んでいる。依子とは正反対の性格ながら食の好みが合うことから、意気投合して友人となった。

書誌情報

プティトゥ・ペッシュ! 全1巻 白泉社〈花とゆめコミックス〉

第1巻

(2015-09-04発行、 978-4592195979)

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