プリンセス・プリンシパル

プリンセス・プリンシパル

TVアニメ『プリンセス・プリンシパル』のコミカライズ作品。19世紀末、アルビオン王国のクイーンズ・メイフェア校に通う五人の少女たちは、ごくふつうの生徒として過ごしていたが、それは世を忍ぶ仮の姿で、真実の姿は王国と水面下で戦いを繰り広げるアルビオン共和国のスパイだった。個性豊かな少女たちがそれぞれの特技でスパイとして活躍する姿を描く、スチームパンクスパイアクション。「COMICリュウWeb」で2019年11月から配信の作品。

正式名称
プリンセス・プリンシパル
ふりがな
ぷりんせす ぷりんしぱる
原作者
Princess Principal Project
漫画
ジャンル
アクション
関連商品
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あらすじ

第1巻

19世紀末、アルビオン王国は浮遊技術のケイバーライトを開発・独占することで、世界に覇を唱えていた。しかし、ロンドン革命によって王国は分裂。王国よりアルビオン共和国が独立し、両国は緊張状態となる。停戦条約が結ばれ戦争は回避されたものの、両国は依然としてにらみ合っており、表面上は穏やかながら、水面下では両国のスパイ同士の抗争「影の戦争」が繰り広げられていた。そしてそれから10年後、共和国の少女スパイであるアンジェ・ル・カレは、アルビオン王国のプリンセスと瓜二つの外見を活かして、入れ替わるための作戦を遂行していた。プリンセスと同じ学校「クイーンズ・メイフェア校」に生徒として潜り込み、舞踏会を利用してプリンセスとの距離を一気に縮める。だが、アルビオン共和国の情報組織「コントロール」から緊急の指示が下され、その作戦を実行中にアンジェたちの正体はプリンセスにバレてしまう。プリンセスに弱みを握られ、共和国のスパイに自分が女王になる協力を要請する。取引に応じたコントロールの指示で、アンジェたちスパイとプリンセスは秘密の協力関係を築くこととなる。しかし実は、その騒動はアンジェとプリンセスが共謀して仕組んだものだった。そして世界は二人の少女のウソによって大きく変わっていく。

関連作品

TVアニメ

本作『プリンセス・プリンシパル』は、TVアニメ『プリンセス・プリンシパル』を原作としている。TVアニメ版は、2017年7月から9月にかけて、TOKYO MX、AT-X、BS-11ほかで放映された。制作はStudio 3Hzとアクタスが担当した。アンジェ・ル・カレを今村彩夏、プリンセスを関根明良、ドロシーを大地葉が演じている。

登場人物・キャラクター

アンジェ・ル・カレ

アルビオン共和国の情報組織「コントロール」に所属するスパイの少女。年齢は17歳。コントロールからは暗号名「A」と呼ばれる。表の身分は平民出身ながら抜群の成績を認められ、アルビオン王国のクイーンズ・メイフェア校に特待生として入学した学生で、眼鏡をかけた少女の姿をしている。冷静沈着で不愛想な性格ながらも、生徒として周囲に溶け込むためにそそっかしいドジっ娘を演じている。「黒蜥蜴星」という謎のキーワードを口癖としてつぶやき、よくウソをついてはその毒舌で仲間を煙に巻く。ふだんは眼鏡や髪型で印象を変えているが、実は顔の造形がアルビオン王国のプリンセスと瓜二つ。プリンセスと入れ替わる「チェンジリング作戦」の要として、学校に生徒として忍び込む。しかしプリンセスに正体がバレたため、彼女との取引に応じてお互いに利用し合う関係となる。その正体は、本物のアルビオン王女「シャーロット」その人。現在プリンセスとして振る舞っているのはスリの少女「アンジェ」で、10年前、城に迷い込んだ本物のアンジェと親交を深め、よく入れ替わって遊んでいた。だが、入れ替わったままロンドン革命に巻き込まれたため、アンジェと離れ離れとなってしまう。自分の身代わりになった本物のアンジェを助けるため、紆余曲折の末、スパイの身分を手に入れ現在に至る。プリンセスに正体をバラしたのもアンジェ・ル・カレ自身で、コントロールすら欺き、協力者として彼女とつながっている。プリンセスと再会後、彼女がかつての約束を果たそうとしているのを知り、その協力を約束する。プリンセスと二人っきりの時だけは、不愛想なスパイとしての顔を捨て、素の顔で接する。スパイ時は黒のシルクハットに専用の黒いスーツを身にまとい、Cボールを使って活動する。その姿が『不思議の国のアリス』を連想することから、王国側からはコードネーム「アリス」の名前で呼ばれる。

プリンセス

アルビオン王国の王女。年齢は17歳。流れるような金色の髪を長く伸ばした少女で、優雅で上品な雰囲気を漂わせている。王位継承権が第4位であるため、政治的なバックを持たず、「空気姫」と呼ばれるほど政治的な存在感はない。やさしげな風貌に似合わず、アンジェ・ル・カレがスパイであることを見抜き、アルビオン共和国の情報組織「コントロール」に取引を持ち掛けるなど、かなり肝が据わったところがある。女王になることを目指しており、共和国側のスパイとは利用し合う関係を構築する。その正体は、10年前に本物の王女「シャーロット」と入れ替わったスリの少女「アンジェ」。誰にも正体を明かせない状況の中、必死にプリンセスとして今日まで振る舞ってきたが、幼い頃にシャーロットと交わした人々を隔てる「見えないカベ」を破壊するという約束を果たすべく、女王を目指している。アンジェとはお互いに王室やコントロールすら欺く協力者同士で、二人っきりの時は本当の名前で呼び合い、王女でもスパイでもない素の顔で接する。

ドロシー

アルビオン共和国の情報組織「コントロール」に所属するスパイの女性。年齢は20歳。コントロールからは暗号名「D」と呼ばれる。スタイル抜群の黒髪の美女で、アルビオン王国のクイーンズ・メイフェア校に女子生徒として通っている。20歳にもかかわらず生徒を演じているため、アンジェ・ル・カレからはそのことをからかわれている。学校では不良学生を演じており、学内で喫煙をしていたり、ほかの女子生徒を威嚇したりしている。ただし喫煙はかなり無理をしているようで、喫煙をしたあとはよく隠れて咳込んでいる。アンジェの相棒だが、表向きは接点がない生徒同士であるため、隠れて連携を取り合っている。スパイとして活動中は、その抜群のプロポーションを利用した色仕掛けを得意とする。

ベアトリス

アルビオン王国の男爵の娘。年齢は15歳。栗色の髪をツーサイドアップにした少女で、小柄な体格をしている。クイーンズ・メイフェア校の生徒であるのと同時に、プリンセスの侍女を務めているため、学校でも私生活でもつねに彼女に付き添い、身の回りの世話を担当する。プリンセスに最も信頼されている友人で、ベアトリスもプリンセスに忠誠を誓っている。実は父親の男爵は「機械狂い」と呼ばれるほどの筋金入りのマッドサイエンティストで、幼い頃、父親に実験材料にされ、喉部分に機械が埋め込まれている。これによって声を変幻自在に変えることができるが、一時期、周囲からは見世物として迫害の対象となっていた。プリンセスがそんなどん底にいた自分に手を差し伸べてくれたため、彼女に多大な恩義を感じている。首元には埋め込まれた機械が露出しているため、リボンなどの装飾品でふだんは首元を隠している。アンジェ・ル・カレたち共和国側のスパイに協力することは快く思っておらず、当初はプリンセスそっくりなアンジェに対しても強い警戒心を抱いていた。しかし、プリンセスの意向に沿って彼女らに協力していくうちに、次第に打ち解けていく。

ノルマンディー

アルビオン王国の公爵で、内務卿の地位に就く初老の男性。温和そうな見た目に反し、合理的かつ冷徹な性格をしている。内務省保安隊公安部を率いる人物で、国内のスパイを統括する立場として、その辣腕を振るっている。アルビオン共和国側のスパイとは敵対関係にあり、目下、コードネーム「アリス」の存在を追っている。プライベートでは家族を大事にする優しい父親としての一面を見せる。最近は娘が嫁ぐことになっており、彼の仕事仲間は家族自慢と娘の結婚の愚痴を交互に聞く羽目となっている。

場所

アルビオン王国 (あるびおんおうこく)

ロンドン以南のアルビオン島と、ノルマンディーなどの大陸領を本土とする王政国家。現在は女王が王位に就いている。世界で初めてケイバーライトの技術を確立させたため、その技術で世界の三分の一を有するといわれるほど、植民地を獲得していた。覇権国家として邁進していたが、10年前に起きたロンドン革命によって分裂。ロンドンから西側がアルビオン共和国として独立してしまう。現在、王国と共和国は停戦条約を結んでいるが、お互いに一触即発の空気に包まれている。ロンドンの壁より東側が王国の領土となっており、王国領側のロンドンは「東側のロンドン」とも呼ばれている。ロンドン革命後は復古主義が台頭しており、国内では王権強化と階級制度の固定化が進められている。

アルビオン共和国 (あるびおんきょうわこく)

アルビオン王国より分裂した新興国家。10年前、アルビオン議会共和派「アイアンサイド党」主導のロンドン革命によって樹立する。ロンドンの壁より西側が共和国の領土となっており、共和国領側のロンドンは「西側のロンドン」とも呼ばれている。アルビオン王国よりケイバーライト関係の技術を吸い上げており、Cボールなど一部技術にかんしては独自発展させ、王国側よりも技術的優位に立っている。現在は政権を取っている共和派は穏健派だが、軍部の一部などには革命推進派も存在している。

ロンドンの壁 (ろんどんのかべ)

ロンドン革命のあと、ロンドンに築かれた巨大要塞。アルビオン王国によって築かれ、この壁より東側はアルビオン王国、西側はアルビオン共和国として扱われている。要塞は王国の威信を象徴とするモニュメントとも考えられており、軍事以外の施設も内包する難攻不落の施設となっている。人々の東西の行き来も著しく制限されているが、共和国側はこの要塞に敢(あ)えてスパイを潜入させることで、王国側の威信を低下させることを目論んでいる。

その他キーワード

Cボール (しーぼーる)

個人携帯用の小型重力制御装置。アルビオン王国が開発した高濃度「ケイバーライト」を利用しており、体温の微妙な温度変化によって重力の制御操作が可能。手のひらで持てるくらいのボール状の形で、装置を使うことで壁を垂直に歩いたり、高所からの落下の際の衝撃を中和したりといった使い方ができる。使い方によっては宙を飛んだりすることもできるが、連続使用をすると制御不能になる危険があるため、こまめな冷却が必要。アルビオン共和国の最高機密の一つで、重要任務に従事する限られたスパイにのみ支給されている。

ケイバーライト

浮遊機械の動力源として使われる物質。ケイバー博士が開発した物質で、熱エネルギーを加えることで無重力空間を発生させることができる。分裂前のアルビオン王国はこの技術を独占し、空中艦隊をそろえたことで覇権国家となった。分裂後はアルビオン王国とアルビオン共和国のそれぞれが秘匿し、独自の発展を遂げている。ケイバーライトは性質上、蒸気機関と相性がよいため、併せて使われることが多い。

ロンドン革命 (ろんどんかくめい)

10年前にアルビオン王国で起こった革命。ケイバーライト技術の独占によって当時のアルビオン王国は覇権国家となったが、貧富の格差や移民などの国内問題は内包されたままであったため、国民の不満は爆発。議会共和派のアイアンサイド党主導により革命が行われ、ロンドンの壁によってアルビオン王国は二分され、壁の東側はアルビオン王国、西側にはアルビオン共和国が新興した。王国と共和国は表向き停戦条約を結んでいるが、依然として一触即発の緊張状態であり、水面下ではスパイ行為の応酬による「影の戦争」が行われている。

クレジット

原作

Princess Principal Project

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