紫電改のマキ

紫電改のマキ

人と会話ができる戦闘機に乗る少女が、制空権を巡る学校同士の争いの中で、自由に飛べる空を目指して活躍する姿を描く。「チャンピオンRED」2013年10月号から連載中。2017年4月現在で単行本8巻が発行されている。

正式名称
紫電改のマキ
ふりがな
しでんかいのまき
作者
ジャンル
アクション
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世界観

ヒコーキ」と呼ばれる戦闘機、飛行機が、通学などに日常的に使われたり、また、不良集団が乗り回していたりと、現実社会でのオートバイに近い存在として描かれている。ヒコーキは現実に存在した各国の戦闘機をモデルにしており、基本性能などもそれに準じている。武器による空中戦や爆撃も可能。それによる被害も発生し、被弾すれば破損、さらには墜落することもある。ただし、乗員が負傷し、建物が破壊されることはあるが、死者は出ていない。なお、地域社会においても、ヒコーキ乗りによる家屋や田畑などへの被害に対しては概ね寛容である。ちなみに、西東京を舞台としているが、実在の地名に混じり、「石神(石神井)」「清背(清瀬)」「子金井(小金井)」「高縞平(高島平)」などと、実際の地名とは違っているものもある。

あらすじ

ヒコーキ」と呼ばれる戦闘機が、通学の手段として日常的に使われている世界。九州の田舎の中学校から西東京にある石神女子高校に進学した羽衣マキは、人と会話ができるヒコーキ紫電改と出会う。その紫電改こそ、かつて東京の空にその名を轟かせたヒコーキ乗り「紫電改のマキ」の僚機だった。はからずも二代目「紫電改のマキ」の名を受け継ぐこととなってしまったマキは、ヒコーキ通学の生徒を護衛する「石神新選組」の古嵐蛍甘粕みやびらとともに活動することとなる。新たな「紫電改のマキ」の名が知れ渡り始めた頃、「西東京四天王」と呼ばれる4つの実力校のトップが相見え、かつての名門校だった石神女子高校の復活を懸念しつつ、互いに牽制し合う。そんな中、四天王の一角であるダビンチ高等専門学校の吉川二美が、石神女子に対して単独で挑発行為を仕掛けてくる。迎え撃つマキだったが、仲間である「風神」こと矢島風子がダビンチ側に掠(さら)われてしまう。風子を取り戻しに敵地に乗り込むマキたち。そこで待ち受けていたのは、西東京の空の制圧に動き出したダビンチ校による宣戦布告であった。

タイアップ

模型・プラモデルメーカーの株式会社ハセガワから、「CREATOR WORKS」シリーズとして、作中に登場した紫電改飛燕、スピットファイアなど11体(2017年4月現在)の機体が、プラモデルとして販売されている。なお、作品準拠のデカールの他、レジン製のキャラクターミニフィギュアも同梱されている。

登場人物・キャラクター

羽衣 マキ (はごろも まき)

石神女子高校一年生の女子。九州の田舎の中学校を卒業後、東京の石神女子高校に進学。田舎にいた頃にヒコーキ通学をしており、ある時からヒコーキの声が聞こえるようになった。高校入学後、友人の長谷川素子が見つけてきた紫電改に乗ることとなる。高い飛行技術と度胸の持ち主で、腕を買われて石神新選組の一員となる。 口癖は「よだきい(面倒くさい)」。甘い物に目がない。手乗りウサギのカボスと一緒に搭乗する。

古嵐 蛍 (こがらし けい)

石神女子高校二年生の女子。ロングヘアーに赤いフレームの眼鏡を着用している。石神新選組の一番機。搭乗機は飛燕。かつては、先代の「紫電改のマキ」の下、ダビンチ校の吉川一美とともに「西東京の竜虎」として活躍。西東京の乱の後、先代の「紫電改のマキ」が姿を消してからは、石神新選組として同校の生徒の護衛を一手に担ってきた。 「飛燕のお蛍」の二つ名を持つ。

甘粕 みやび (あまかす みやび)

石神女子高校一年生の女子。石神新選組の二番機。搭乗機は零戦。フライングシャークスのベルスターとは、子供時代から一緒に飛んでいた仲間だった。またその頃、スクラップ部品を集めて、零戦を組み上げた。中学生の頃は「狂犬のみやび」として暴れ回っていたが、飛燕のお蛍に敗れてからは、蛍を姉のように慕っている。 ゴーグルを常に着用している。

矢島 風子 (やじま ふうこ)

石神女子高校一年生の女子。風紀委員。搭乗機は鍾馗。中学生の頃からヒコーキ乗りとして名を馳せていたが、石神女子に入学。風紀委員になることを条件に、空を自由に飛ぶことを生徒会から許可されていた。生徒会の依頼で「雷神」こと北島雷奈とともに石神新選組を潰しに行くが、羽衣マキの前に敗北。以後、石神新選組の一員となる。

北島 雷奈 (きたじま らいな)

石神女子高校一年生の女子。風紀委員。搭乗機は鍾馗。中学生の頃から「風神」こと矢島風子と組んで空で暴れ回っていた。好き勝手に飛んでいいことを条件に、石神新選組を潰しに来るが、飛燕のお蛍の圧倒的実力の前に完敗。石神新選組の一員となる。

長谷川 素子 (はせがわ もとこ)

石神女子高校一年生の女子。高校でできた羽衣マキの最初の友達。紫電改の整備担当。入学式の日に破損した紫電改を見つけ、秘かに整備して飛べるようにした。自身は飛行免許を持っていなかったため、マキに操縦を託している。実家は飛行機を祀る飛行機神社で、長谷川素子自身も巫女を務める。そのため、ヒコーキの声を聞くことができる。

青島 イサミ (あおしま いさみ)

石神女子高校一年生の女子。羽衣マキのクラスメイトにして友人。語尾に「なのねん」とつけるのが口癖。クラスメイト2人とともに九七式艦攻を整備して、通学用の機体とした。

鷹司 恵 (たかつかさ めぐみ)

石神女子高校三年生の女子。生徒会長。右目に石神女子のマークが入った眼帯をしている。かつては一人で200機もの機体をコントロールしたと言われ、凄腕の管制官として名を馳せた。西東京の乱以降、弱体化した石神女子を守るべく、非戦闘路線を取ったこともあって、当初は石神新選組および羽衣マキを排除する姿勢を見せていたが、後に力を合わせて戦うこととなる。

仲善 みかげ (なかよし みかげ)

石神女子高校一年生の女子。小学生ながら飛び級制度で石神女子に編入してきた。搭乗機は雷電で、尾翼に「なかよし」と描かれている。小学校時代は周囲に馴染めず、保健室登校をしており、放課後に一人でヒコーキを組み上げて乗っていた。甘粕みやびに憧れており、自分の力を誇示するために、各校の通学機を無差別に襲撃していた。 その後、高縞平騎士女に狙われたところをみやびに助けられ、みやびに懐くようになる。

鮫島 はるか (さめじま はるか)

清背市を根城とする不良飛行団・フライングシャークスの首長の女子。多勢で取り囲んで攻撃するという、数を頼りにした戦法を得意とする。羽衣マキを潰しにきたが、逆に撃墜され、マキの技量を認める。

ベルスター

フライングシャークスの一員の女子。搭乗機はヴィッカース・ウエリントン。子供の頃、甘粕みやびと一緒に行動していたが、みやびが飛燕のお蛍の下に向かったのを機に、袂を分かった。その後、みやびの守る通学機を襲撃したが、羽衣マキに撃墜された。

藤堂 蘭 (とうどう らん)

吉祥時女学園所属の女子。西東京四天王の一人。お嬢様らしく優雅に振る舞う。紅茶が好き。搭乗機はスピットファイアMk.9。フライングシャークスの鮫島はるかとは、浅からぬ因縁がある。

吉川 一美 (よしかわ かずみ)

ダビンチ高等専門学校所属の女子。西東京四天王の一人。三人姉妹の長女。搭乗機はマッキC.202。かつて先代の「紫電改のマキ」の下で、飛燕のお蛍とともに「西東京の竜虎」として知られていた。ダビンチ高等専門学校対石神女子高校の3対3の決闘では、次鋒を務め飛燕のお蛍と相対した。

吉川 二美 (よしかわ ふたみ)

ダビンチ高等専門学校所属の女子。吉川三姉妹の次女。搭乗機はM.33。姉の吉川一美以上の才能の持ち主と言われ、次期四天王入りが噂される名パイロット。気に入った同性を片っ端から食いまくる悪癖の持ち主。石神女子高校との決闘では、大将として羽衣マキと戦った。

吉川 三美 (よしかわ みみ)

ダビンチ高等専門学校所属の女子。吉川三姉妹の三女。搭乗機はRe.2002。おしゃれが好きで、拉致した矢島風子にかわいい服を着せて楽しんでいた。石神女子高校との決闘では先鋒として登場。北島雷奈と戦って敗れた。その後、決闘に負けた見返りとして石神女子高校にやってきた。

留萌 礼子 (るもい れいこ)

下北服飾専門学校所属の女子。搭乗機はB-29。語尾に「っぴ」を付けて喋る。下北の町に遊びに来た羽衣マキと意気投合し、素性を知らぬまま友人となる。過去の西東京の乱での経験から、石神女子高校を危険視しており、翼を持たせないために、高度1万メートルからの爆撃を敢行した。その後、ともに爆撃に見せかけて、大根と米俵をそれぞれの高校に送り届けることで和解を果たした。

田村 香矢 (たむら かや)

高縞平騎士団女子高校所属の女子。西東京四天王の一人。「熟練者(エクスペルテン)」の二つ名を持つ。同校の精鋭「七騎士」の序列第1位で、他の七騎士が束になってかかっても、かなわないほどの実力の持ち主。秩序を重んじ、そのためなら力による支配も必要と考えている。

湯音・ヘルシュタイン (ゆねへるしゅたいん)

高縞平騎士団女子高校所属の女子。七騎士の序列第6位。搭乗機はメッサーシュミットBf109G-6。ハイネの詩集を愛読している物静かな少女だが、一機でダビンチ高等専門学校を圧倒するほどの実力を持つ。甘味屋で羽衣マキと知り合い、仲良くなる。田村香矢の信奉者。香矢の強引なやり方にも黙って従い、迷いながらも友人だったマキの乗る紫電改を撃墜する。

平野 飛鳥 (ひらの あすか)

都内でも最凶といわれる足立地区を牛耳っている「足立パイレーツ」の頭の女子。都内各域に出没しては荒らし回っていた。高縞平騎士団女子高校に団を潰され、自棄になって西東京空域に侵入してきたが、「なかよし」マークの正体不明機に撃墜される。

弦念 エルサ (つるねん えるさ)

紗山スオミ水産高校所属の女子。西東京四天王の一人。搭乗機はF2A。石神女子高校と高縞平騎士団女子高校との争いは静観していた。先代の「紫電改のマキ」と思われる人物の指示で行動しており、騎士女を追われた田村香矢を救い、先代の「紫電改のマキ」に引き合わせた。また、「山田」という偽名で羽衣マキに接触してきた。

先代の紫電改のマキ (せんだいのしでんかいのまき)

元石神女子高校の女子生徒で現在は消息不明。紫電改の先代のパイロットで、「紫電改のマキ」の二つ名で崇められていた。古嵐蛍や田村香矢、吉川一美らを率いて西東京空域を守っていたが、西東京の乱の最中に戦闘を放棄して行方をくらませ、結果的に石神女子の凋落および現在の混沌とした状況を生み出す原因となった。 消息不明とされているが、弦念エルサを使って、秘密裏になにかを企んでいるようである。

神月 瑠亜 (かみづき るあ)

東京都小笠原村の緑ヶ島で民宿「神月」を営む女性。石神女子高校の卒業生。ヒコーキ乗りとしても優秀で、零式水上観測機を操って、羽衣マキ、矢島風子、北島雷奈、吉川三美と対戦し、1対4という状況もものともせず、マキたちを翻弄した。

藤見 はじめ (ふじみ はじめ)

石神女子高校技術加工室の二年生の女子。紫電改のプロペラを製作した加工屋を祖父に持つ。撃墜された紫電改を修理した際に、新しいプロペラ製作を依頼される。最初は断っていたものの、「祖父の作ったもの以上のものを作って欲しい」と、羽衣マキにいわれて職人魂に火が付き、紫電改のための新たなプロペラを製作した。

集団・組織

石神新選組 (いしがみしんせんぐみ)

ヒコーキ通学をする石神女子高校の生徒を護衛する組織。代表は古嵐蛍。他に甘粕みやび、羽衣マキ、矢島風子、北島雷奈がいる。当初、他校とのトラブルを怖れた生徒会に潰されそうになるが、マキらの活躍でその存在が認められる。

場所

石神女子高校 (いしがみじょしこうこう)

羽衣マキらが通う都内の女子高校。先代の「紫電改のマキ」がいた頃までは、ヒコーキの名門校として知られていたが、西東京の乱以降、先代の「紫電改のマキ」がいなくなってからは、凋落して弱小校となっている。

高縞平騎士団女子高校 (たかしまだいらきしだんじょしこうこう)

田村香矢や湯音・ヘルシュタインの所属する女子高校。実力は西東京の学校の中でも随一と言われており、足立や埼玉の不良ヒコーキ乗りと対峙する武闘派。秩序と戒律を重んじており、「空飛ぶ修道女」の異名を持つ。校内での序列のうち、上位七人を「七騎士」と呼んでいる。

その他キーワード

紫電改 (しでんかい)

羽衣マキが乗る戦闘機。一部の人や他の戦闘機とコミュニケーションが取れる。基本性能、武装などは実在した紫電改に準じる。照準器のない状態で放置されていたものを長谷川素子が発見。整備して乗れるようにしてマキに渡した。喋る時は俺様口調で話すが、湯音・ヘルシュタインに撃墜されて修理された際、オネエ言葉で喋るようになってしまった。 藤見はじめが作った新しいプロペラを装着して元に戻った。

飛燕 (ひえん)

古嵐蛍が乗る戦闘機。かつて蛍の姉が搭乗していたものを、蛍が譲り受けた。紫電改とは以前からの知り合い。ヒコーキの声を聞ける者とは会話が可能。武士のような口調で喋る。一人称は拙者。

ヒコーキ

作中に登場する飛行機、戦闘機の総称。実在したかつての戦闘機が、そのままの姿で使用されている。基本性能や武装はオリジナルの機体に準じており、空中戦や爆撃も可能。被弾すれば破損、墜落することもある。

西東京の乱 (にしとうきょうのらん)

かつて西東京地域で起こった大規模な空戦。当時、石神女子高校に在籍した先代の「紫電改のマキ」が中心となって東京の全空域を統一すべく戦っていた。戦闘の最中に先代の紫電改のマキが失踪すると終結。結局、大きな混乱を招いただけに終わり、石神女子は凋落。代わって西東京四天王による均衡状態へと突入するきっかけとなった。

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