病弱な令嬢と殺し屋の衝撃的な出会いから始まる危険な関係
桐ヶ谷家の華族令嬢、桐ヶ谷紗都子が、父親に贈り物をしようと町へ出掛けた際、何者かに雇われた輩(やから)に誘拐されるところから物語が始まる。監禁された紗都子は殺し屋の後藤進平に殺されそうになるが、紗都子はとっさに結婚することを条件に進平に助けを求める。彼女に興味を持った進平はその提案を受け入れるが、これは進平に輩から自分を守ってもらうと同時に、いつか桐ヶ谷家に帰るための偽装結婚で、紗都子にとって生き延びるためのウソであった。追っ手から逃れながら、紗都子と進平の危険な結婚生活が始まる。
狂気のヤンデレ殺し屋青年×余命わずかな美少女
主人公の桐ヶ谷紗都子は心臓を患っており、医者から余命は数年程度と言われている。だが紗都子は、その美貌から縁談話が引く手あまたながら、病気が枷(かせ)となって縁談がまとまらないうえに、継母や義妹から疎まれている薄幸美少女。しかし、父親思いの優しさと逆境にも屈しないメンタルの強さを持ち、見た目だけでなく内面でも多くの男性を魅了している。そんな紗都子に惚れた謎多き殺し屋の後藤進平は愛が重すぎるヤンデレで、どんな逆境でも紗都子を守ろうとするが、彼女と自分の邪魔をする者は容赦なく殺害する狂気を抱えていた。
進平を利用するつもりだった紗都子の変化
序盤は桐ヶ谷家とその周辺だった舞台は、遊女たちが色を売る島「天女島」へ移る。島を出るためには桐ヶ谷紗都子が遊女となって誰かに身請けされる必要があり、紗都子は脱出が成功した暁には進平から離れるつもりだった。そんな中、紗都子は警視総監の息子、新渡戸栄進に気に入られるが、彼には暴力的な一面があった。そんな栄進に戸惑いながらも紗都子は、これまで自分を健気に守り続けてくれた進平を利用して切り捨てることに躊躇(ちゅうちょ)する。そして紗都子は身請けを断り、進平との複雑な関係はその後も続くこととなる。このように紗都子の進平に対する心境の変化や、彼女を翻弄し続ける進平の予想できない奇行や謎めいた言動が、本作の見どころとなっている。
登場人物・キャラクター
桐ヶ谷 紗都子 (きりがや さとこ)
桐ヶ谷家の伯爵令嬢。年齢は16歳。優れた才知と美しい容姿ながら、生まれた時から体が弱く、長くは生きられないだろうと医者から告げられている。幼少期に母親を亡くし現在は実父と継母、義妹の美和子の四人で暮らしている。継母や義妹からは疎まれており、心から信頼できるのは父親のみで、結婚して幸せになって恩返しをしたいと考えている。買い物中に人攫(さら)いにあって拉致されるが、殺し屋の後藤進平と出会い、その危機を脱するため彼に一目惚れしたと、その場限りのウソをついて結婚を持ちかけた。その後は進平と共に追手から逃れながら逃避行を続け、いつかは父親のもとへ帰ることを望んでいる。
後藤 進平 (ごとう しんぺい)
桐ヶ谷紗都子を攫った男たちに雇われた殺し屋の青年。黒髪短髪で、和服を着崩している。瞳に生気がなく、不気味な笑みを浮かべている。身軽で戦闘力が高く、特に日本刀の扱いに長(た)けている。紗都子を殺すよう依頼されていたが、彼女に結婚を持ちかけられたことで気が変わり、彼女と共に逃亡を図る。その後は追手の追跡を逃れながら逃避行を続けている。遊女たちの島「天女島」で育ったため、島の遊女から慕われており、過去や生い立ちには謎が多い。紗都子に対して重い愛を抱く狂気的なヤンデレで、彼女からは面倒くさいと思われている。
書誌情報
ホタルの嫁入り 5巻 小学館〈裏少年サンデーコミックス〉
第1巻
(2023-06-19発行、 978-4098521470)
第2巻
(2023-09-12発行、 978-4098528257)
第3巻
(2023-12-19発行、 978-4098530649)
第4巻
(2024-04-18発行、 978-4098532117)
第5巻
(2024-08-19発行、 978-4098535262)