殺されたい女子と殺さないといけない男子
ハワード不動産の社長令嬢の依茉・ハワードは自滅願望があり、支配的な父親から逃れるために殺し屋の月島蓮に殺され、早世した母親のもとに行きたいと考えている。一方の蓮は、月島一族を継ぐための条件として依茉を殺害しなければならない立場にある。蓮の殺し屋一族の後継者としての立場から殺してもらおうとする依茉と、殺害対象に一目惚れしてしまった蓮の複雑な恋愛関係が描かれる。
殺し屋に殺されることを望むヒロイン
ヒロインの依茉は父親から、殺し屋一族の後継者である蓮と親しくなり、その巨大な権力を手に入れろと命じられ、黒金坂ブルームバーグ高等学校に転校する。父親から使い勝手のいい道具としてしか見られておらず、娘としての愛情も注がれずに育った依茉は、蓮が自分の命を狙っていることを知り、蓮に殺されることを待ちわびるようになる。
恋の障害は相手の心を読めてしまう能力と殺し屋稼業
依茉と蓮の恋の大きな障害となるのは、触れるだけで相手の心を読めてしまう依茉の能力と、蓮が殺し屋を生業としていること。息もつかせぬスリルとバイオレンスな日常生活の中で、他人との距離を置いてしまいがちな依茉と、彼女を殺さなければならないという葛藤に苛まれる蓮の戸惑いとすれ違いが、物語のスパイスになっている。
登場人物・キャラクター
依茉・ハワード (えま はわーど)
ハワード不動産の社長令嬢。年齢は16歳。金髪のロングヘアを低い位置でツインテールにしている。相手に触れると心を読み取ることができる能力の持ち主で、幼い頃から気味悪がられていた。そんな中、唯一自分を肯定してくれる場所が、君主である父親が経営するハワード不動産だったが、その能力を父親に利用される人生を送っている。父親から殺し屋一族の後継者・月島蓮と友達になるように指示を受け、黒金坂ブルームバーグ高等学校に転校してきた。早世した母親からの、「最後には幸せだったと思える人生にしてね」という最後の言葉を胸に刻んでいる。蓮と初対面の際、握手をして好意を抱かれていることを知るが、一目惚れするような人間は信用できないと考えていた。しかし次第に蓮の優しさと、殺し屋としての葛藤に苦しんでいることを理解し、心惹かれていく。友人の大和田蓮華子からは「E」と呼ばれている。
月島 蓮 (つきしま れん)
黒金坂ブルームバーグ高等学校の理事長の息子で、殺し屋一族の後継者。年齢は17歳。日常生活でも不測の事態に備え、つねに敵の襲撃を模した過激なトレーニングを繰り返している。ハワード不動産の社長令嬢の依茉・ハワードは、月島一族を継ぐために抹殺すべき標的ではあるものの、一目惚れしてしまったため、せめて依茉を幸せにしてから殺そうとの思いに至り、依茉の幸福と安全を最優先に考えて行動している。妹の月島蘭と後継者争いをしている状況ではあるが、父親には蓮に殺し屋を継いでもらいたくない節がみられる。