顔のない女

顔のない女

黒衣に身を包んだ殺し屋専門の女殺し屋「顔のない女」が、11人の人知を超えた能力を持つ凄腕の殺し屋たちと戦う姿を描いた、幻想ハードボイルド連作集。「ミステリマガジン」2010年1月号から12月号にかけて掲載された作品と、書き下ろし1話を含む全13話からなる連作短編。

正式名称
顔のない女
ふりがな
かおのないおんな
作者
ジャンル
殺し屋
レーベル
早川書房(早川書房)
巻数
全1巻完結
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概要・あらすじ

殺し屋専門の女殺し屋・顔のない女が、いつもの行きつけのBAR・顔なしに顔を出すと、先客の男性がいた。その男は殺し屋組織の殺し屋の1人・影男だった。顔のない女は顔なしのマスターに1時間ほど席を外して欲しいと告げると、拳銃で影男の額に3発の銃弾を撃ち込む。ところが、影男は倒れることも、血を流すこともなく、飄々とソファーにもたれかかっていた。

かくして、殺し屋同士の壮絶な戦いが幕をあける。

登場人物・キャラクター

顔のない女 (かおのないおんな)

殺し屋の女性。長い黒髪で、黒衣に身を包んでおり、黒いつば広帽子を目深にかぶっているため、顔の表情はわからない。殺し屋組織最強の女スナイパーで、殺し屋専門の殺し屋。素人には決して手を出さないことを、プライドとしている。彼女への依頼は、すれ違い様だったり、屋根の上からだったり、後ろからだったりと、さまざまな場所で、連絡員から唐突に告げられる。 敵の持つ能力を一瞬で奪うという能力を持ち、決め台詞は「あなたの術は顔のない女がいただいたわ、ついでに命もね」。ひと仕事終えた後に、BAR・顔なしで祝杯を上げるのが何よりの楽しみ。

顔なしのマスター (かおなしのますたー)

BAR・顔なしでバーテンダーを務める男性。七三に分けて左に流した黒髪で、白いワイシャツの襟を蝶ネクタイで締め、黒いベストを着用している。どんな客に対しても、丁寧な言葉遣いで接客をしている。普段はマスター自らお酒の銘柄を勧めたりはしないが、顔のない女が風邪でくしゃみをしていたときには、彼女の体調を気遣い、ホット・ラムにバターを浮かべた酒を勧めていた。

影男 (かげおとこ)

殺し屋の男性。スキンヘッドで眉毛もなく、顔は縦に長い。ロングコートの中に黒いシャツを着ている。影が本体であり、肉体は不死身のダミー。影の中には、過去に影男にターゲットとして殺された者たちが取り込まれており、影の中から沢山の亡者たちが、新たな犠牲者を取り込もうとする。

歌い手 (しんがー)

殺し屋の女性。肩までの黒髪で、八重歯が鋭い。黒いドレスを着用し、黒いマントを羽織っている。普段は劇場で歌手をしているが、本当の姿は、声を武器にしてターゲットを仕留める殺し屋。彼女の喉から発せられる振動波は爆弾以上で、ミサイルにも匹敵する破壊力を持つ。水中だとさらに威力が増す。音波という武器の性質上、一度ロックオンされたターゲットに、逃れる術はない。

液体男 (うぉーたーまん)

殺し屋の男性。ドロドロとした液体状の体を持つ。自らの体を液状化させてターゲットの体内に侵入。喉頭や肺腑に至るまで液体で満たし、溺死させる。電気男の兄で、顔のない女に倒された弟の恨みを晴らすべく、彼女の寝ている部屋に忍び込む。

電気男 (えれきまん)

殺し屋の男性。鼻が長く、耳や歯がギザギザに尖っている。黒髪を逆立て、白いワイシャツの襟を蝶ネクタイで締め、ストライプ柄のタキシードを着用している。手のひらから高圧の電流を流すことができる。液体男の弟で、顔のない女に一度は倒されたが、奇跡的に一命をとりとめた。顔のない女に倒された兄の恨みを晴らすべく、BAR・顔なしで顔のない女を待ち伏せる。

キラーピエロ

殺し屋の男性。ピエロの格好をしている。普段は、街角で芸を披露して小銭を稼いでいる「ピエル」という大道芸人。実は多重人格者で、もう1人の人格は、残忍非道な仕事を確実にこなす殺人マシーン。しかし、本人は自分が多重人格者であることを自覚していない。

ポリアナ

「ピエル」でいるときのキラーピエロの恋人の女性。白いドレスを着用しており、リボンの付いたパンプスを履き、長い髪を左右で束ねてリボンで結んでいる。ピエルのもう1人の人格であるキラーピエロを表に出させるために、顔のない女にロープで縛られ、列車の走る線路の上に放り出されてしまう。

年盗み (ゆーすていかー)

殺し屋の女性。ドレスを着用しており、首と腰にリボンを巻いている。少女の姿をしているが、本当の姿はシワだらけの老婆。ターゲットの手のひらから生気を吸い取り、白骨化させてしまう。このとき、共に歳を吸い取ることによって、見た目の若さを保っている。瀕死の状態になると、体力を激しく消耗して元の姿に戻ってしまうので、非常用の食料として、若い少女を誘拐して自宅に監禁している。

人形使い (ぱぺっとますたー)

殺し屋の男性。真ん中で分けて逆立てた黒髪の短髪で、鼻の下に髭を生やしている。黒いスーツに身を包み、蝶ネクタイを締めている。能力は人形を操ること。ターゲットにした人物の子供に人形をプレゼントして自宅に潜入させ、深夜に人形を操ってターゲットを暗殺する殺し屋。

スネーク

殺し屋の男性。もみあげの毛先がクルクルと巻いた黒髪で、長い髪を後頭部で盛っており、インバネスコートを羽織っている。暗示をかけて幻を見せる天才で、たとえ幻の毒蛇でも、それに噛まれた相手は、自分の体内で毒物を勝手に製造してしまい、死に至る。

ハーピー

殺し屋の女性。小さくて丸い眼鏡の奥に鋭い眼光の瞳を宿し、唇に濃く口紅を塗り、黒いワンピースを着ている。普段は、僕のために叔父さんが雇った家庭教師に扮し、人の姿をしている。本当の姿は、黒くて大きな翼と鋭い鉤爪を持つ、半人半鳥の怪物。

(ぼく)

7歳の少年。縦長のボリュームのある髪型をしている。白いワイシャツにネクタイ、黒いジャケットを羽織って、黒い短パンの下に黒いタイツを履いている。両親は交通事故で車ごと崖から落ちて亡くなり、現在は両親の遺した屋敷に、叔父さんと2人で暮らしている。体が弱くて学校へは通っておらず、叔父さんに家庭教師を雇ってもらっている。

叔父さん (おじさん)

中年の男性。頬骨の張った細長い顔に前髪をまとめて垂らし、鼻の下と顎に髭を生やし、コートを羽織って水玉のスカーフを首に巻いている。交通事故で亡くなった僕の両親が遺した屋敷で、僕の面倒を見ながら生活している。体の弱い僕を気遣い、家庭教師を雇っている。

モンスター・メイカー (もんすたーめいかー)

殺し屋の男性。白髪の長い髪に、口の両はしと顎に髭を生やしている。黒いスーツの上から白いロングコートを羽織り、黒いシャプカのような帽子をかぶっている。かつてはさまざまな怪物を造って人々を殺めてきたが、現在は年老いて現役を引退。屋敷で、ソフィやかつて自分が造り出した怪物と共に生活をしている。

ソフィ

モンスター・メイカーが造った女性。全体的にウェーブのかかったショートカットで、メイド服を着用している。モンスター・メイカーと共に屋敷に住んでいて、モンスター・メイカーの造り出した怪物を兄弟、モンスター・メイカーをお父様と呼んで慕っている。モンスター・メイカーの造り出した怪物のなかでも、最高傑作とされる。

ドリーム・キャッチャー (どりーむきゃっちゃー)

殺し屋の男性。頭部が異様に大きく、脳が見えてしまっている。猫のようなギロッとした目をしており、口はすぼみ、口内には牙状の歯が並んでいる。手の指は4本しかなく、小柄で黒いスラックスを履き、白いインバネスコートを羽織っている。ターゲットの見る夢を支配して思い通りに操り、夢の中で殺してしまう。

殺し屋候補生 (ころしやこうほせい)

殺し屋候補生の少年。目の周りが黒く、毛皮のコートを羽織り、黒い手袋とウシャンカ帽をかぶっている。コートの下には白いタートルネックのシャツの上に黒いジャケット、白いパンツを着用。殺し屋組織の候補生で、歌い手や電気男、スネーク、ハーピーの弟子だった。師匠たちの仇を討つべく、顔のない女が行きつけにしているBAR・顔なしを訪れる。

召喚者 (さまなー)

殺し屋組織に利用されている少年。小柄で短髪、ストライプ柄のパジャマを着用している。異界からさまざまな怪物を、無意識に引き寄せてしまう能力を持ち、殺し屋組織から、その能力をテロの道具として利用されている。

集団・組織

殺し屋組織 (ころしやそしき)

殺し屋が所属する組織。影男をはじめ、さまざまな人並み外れた能力を持つ者たちがいる。候補生を一流の殺し屋に養成するための教育もしており、そこでは一流の殺し屋が師匠となって、直々に指導を行っている。顔のない女は潜入捜査官としてこの組織に潜り込み、連絡員からの指令を受けて殺し屋たちを始末している。

場所

BAR・顔なし (ばーふぇいすれす)

顔のない女が行きつけにしているバー。看板はなく、アルファベットで「BAR」とデザインされたネオンライトが、壁面に設置されているのみ。店内はカウンターとソファーがあるだけのシンプルな造りで、顔なしのマスターが1人で経営している。どんな人でも入店可能だが、ペットの持ち込みだけは禁止している。主に酒を扱っているが、耳栓や栄養ドリンクなど、普通のバーでは常備していない物も取り扱っている。

書誌情報

顔のない女 全1巻 早川書房〈早川書房〉 完結

第1巻

(2011年1月7日発行、 978-4152091864)

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