ホットギミック

ホットギミック

社内の上下関係がそのまま反映される、社宅という恐ろしい世界で暮らしている女子高校生の成田初は、天敵であり幼なじみの橘亮輝に弱みをにぎられたことがきっかけで、もう一人の幼なじみの小田切梓や義兄の成田凌も巻き込んで、自分たちの親の過去に起因する複雑な人間関係を知ることとなる。さまざまな問題に悩みながらも、亮輝との関係を深めていく初の姿を描く青春ラブストーリー。『Betsucomi』2000年12月号から2005年8月号にかけて連載された作品。

正式名称
ホットギミック
ふりがな
ほっとぎみっく
作者
ジャンル
恋愛
 
青春
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あらすじ

第1巻

成田初の住んでいる「東菱(とうびし)商事東ヶ丘社宅」は、社内の上下関係が社宅内でそのまま反映される、恐ろしい世界である。特に、社宅内の最高権力者である橘柊一郎の妻、橘奈津江には誰も逆らえず、成田家は肩身の狭い思いをしながら暮らしていた。そんなある日、初は妊娠の疑いのある妹、成田茜の代わりに妊娠検査薬を買いに行く。しかし、その場面を奈津江の息子であり、幼なじみでもある橘亮輝に目撃されてしまう。亮輝は子供の頃に初を階段から突き落としてケガをさせたことがあり、それ以来、初の恐怖の対象となっていた。もしそんな亮輝に妊娠検査薬の件を奈津江に告げ口されたら、成田家の立場はますます弱くなってしまう。そのため初は、この件を秘密にしてもらう代わりに、亮輝の奴隷になる契約を交わすのだった。結局茜は妊娠していなかったが、この日から初は亮輝にいいように使われるようになってしまう。それでも最近社宅に戻ってきた幼なじみの小田切梓だけは初の味方だったが、亮輝は初が梓と親しげにしていることが気に入らず、初と亮輝の怪しげな関係を吹聴するような行動を取っていた。初はせめて梓の誤解を解きたいと考えるものの、そのためには妊娠検査の件を話さなくてはならず、茜のプライバシーを守るため、自分を犠牲にし続けるのだった。

第2巻

成田初は、たとえ成田家が「東菱(とうびし)商事東ヶ丘社宅」から追い出されることになったとしても、橘亮輝の奴隷をやめて、小田切梓に本当のことを伝えようと決意する。しかし、亮輝に会いに行く前に梓の父親の小田切実に頼まれ事をされ、梓の仕事先へ行くことになってしまう。そこで初は、自分と亮輝が交際していないことを伝え、誤解が解けた二人は交際を始めることとなる。しかし亮輝はその後も主従関係を解消しようとはせず、知人男性に初を紹介したかと思えば、ほかの男性と親しくしないようにと言い出すなど、矛盾した行動を取って初を振り回すのだった。そんな週末、東菱商事東ヶ丘社宅ではバザーが開かれ、初や成田茜も手伝いとして参加することになる。ここでも亮輝は初のもとへ現れて強引にせまるが、これを初の父親の成田徹に目撃されてしまう。結果、初は不純異性交遊をしていたと疑われ、徹から外出禁止令が下される。しかしその直後、初は梓に呼び出され、こっそり会いに出かけるが、そこでなぜか大量のお酒を飲まされてしまう。その場所が偶然成田凌のアルバイト先だったことで初は事なきを得て帰宅するが、凌は梓の行動に不信感を抱く。その翌日、初は再び梓に呼び出されるが、その途中で亮輝が現れる。

第3巻

成田初橘亮輝から逃れられず、二人で小田切梓に会いに行くことになった。しかし、指定されたマンションに梓の姿はなく、代わりに梓のモデル仲間と思われる男性たちがいるだけだった。初と亮輝は不審に思いつつも彼らとパーティを始めるが、彼らの目的はあとから合流する梓と共に、初を集団強姦することだった。梓は亡き母親の小田切美宝成田徹が不倫関係にあったと疑っており、3年前に美宝が孤独のまま病死したのは、徹のせいだと恨んでいたのだ。そこで、梓は徹に復讐するために初に近づき、最終的に初を裏切って傷つけようとしたのである。これによって初と亮輝は絶体絶命の危機に陥るが、そこに梓の所属事務所「LOOTS」の社長である葛城リナがやって来たことで事なきを得る。こうして二人は無事帰宅するが、初は梓に裏切られたショックで深く落ち込んでいた。その翌日、初のもとにリナが訪れる。初は昨日の梓とリナの親しげな様子から、二人が交際していると誤解するが、リナはここで衝撃の事実を初に告げる。梓は数年前から徹への復讐を考えており、そんな梓と、ある日偶然街で出会ったリナは、この話を聞いたうえで自分の事務所に所属させ、事務所が所有するマンションに住まわせていたのである。

第4巻

仕事でしばらく沖縄県に行っていた小田切梓が戻ってきた。梓と再会した成田初は、梓がまだ復讐をやめる気はないことを知って傷つくが、これを目撃した東菱(とうびし)商事東ヶ丘社宅の主婦たちは、初と梓が不純異性交遊をしているとカンちがいし、橘奈津江に告げ口する。これによって成田家は住民たちから無視されるようになり、社宅内の保育ルームに通う成田輝までもがいじめられるようになってしまう。初はこれに責任を感じるものの、その原因は橘亮輝が奈津江を利用して住民たちに命令したからだと誤解していた。そこで初は亮輝に、今後も自分は奴隷で構わないので嫌がらせを止めてほしいと頼み込むが、身に覚えのない亮輝は混乱する。しかしその後も嫌がらせは続き、成田家は精神的に追い詰められていくが、ここでようやく事態を把握した亮輝は、東京大学を受験するので成田凌を家庭教師にしたいと奈津江を説得する。こうして奈津江は成田家を身内とみなし、嫌がらせを撤回する。これで成田家に平穏が戻るが、亮輝は初に今回助けた報酬として今後は自分と主従関係ではなく、恋人になれと言い出すのだった。

第5巻

成田初は、橘亮輝に交際する意思はないと告げたものの、先日の一件から亮輝のことが気になるようになっていた。一方の亮輝は、成田凌の初に対する距離感が兄妹にしては近すぎることを疑問に思っていた。そんなある日、初は亮輝と映画を見に行くことになるが、その前夜に凌が突然家を出ていくと言い出す。これまで初は知らなかったが、凌は以前から一人暮らしするための準備をしており、理想の物件が見つかったために出ていくのだという。これにショックを受けた初は、翌日暗い気持ちのまま亮輝との待ち合わせ場所へ向かうが、その途中で小田切梓から衝撃の事実を伝えられる。それは凌は養子であり、きょうだいの中で一人だけ血がつながっていないということだった。初は梓がまた自分を騙そうとしているのではないかと考えるが、真相を確かめるために結局映画を見に行かず、亮輝と共に凌の新居へ向かうのだった。こうして凌と会った二人は、凌が以前から成田徹の不倫の件を知っていたが初には話さなかったことや、不倫のせいで成田家が梓に恨まれていることを、徹が出張から戻ってきた際に相談しようと考えていることを聞かされる。しかし、結局養子に関しては不明なまま帰ることになってしまう。

第6巻

成田凌成田徹の話し合いの日となり、二人は東菱(とうびし)商事東ヶ丘社宅の住民には見つからない場所へと出かけていく。一方、成田初は二人の居場所を知っているという小田切梓と共に現地へ向かい、隠れて話を聞こうとする。しかし二人に見つかってしまい、とうとう梓と徹が対面することとなる。しかし徹は謝罪するばかりで、これを見た凌は徹が本当に小田切美宝の不倫相手なのかと疑問に思うものの、この件は一応決着する。そんな中、期末テストの時期となり、成績のあやうい初は橘亮輝に勉強を教わることになる。しかし亮輝は、よい成績が取れたら一晩いっしょに過ごすようにと、一方的に約束を取り付けて去っていく。初は混乱するが成績を落とすわけにはいかず、最終的に成績が上がったため、大みそかは亮輝といっしょに過ごすことになってしまう。

第7巻

大みそかの日、成田初橘亮輝は約束どおり伊豆のホテルで一晩いっしょに過ごすが、疲れからか亮輝がすぐに眠ってしまったために関係は進展しないままだった。しかし翌朝、亮輝は自分の責任であるのにもかかわらず怒り出し、初を置いて一人で帰ってしまう。途方に暮れる初だったが、このホテルで偶然成田凌とその友人の風間柊司がアルバイトしていたことで事なきを得る。こうして凌たちに送ってもらい、無事に帰宅した初だったが、自宅に戻ると家が空き巣に遭っていた。犯人と遭遇した初は危機に陥るが、そこに亮輝が訪問してきたことで助かり、犯人は捕まるのだった。亮輝に感謝する初だったが、亮輝は成田家に来る直前に自分たちの関係を橘奈津江に打ち明け、交際宣言したことを告げる。これによって二人の関係は、東菱(とうびし)商事東ヶ丘社宅の住民全員に知られてしまうことになる。さらにその直後、葛城リナが成田家を訪れ、初は小田切梓が年末から行方不明になっていることを伝えられる。翌日梓は見つかったものの、彼が自宅に戻らない理由は小田切実が再婚を控えていることにあると知った初は、梓を放っておけずに成田凌に相談を持ちかける。

第8巻

成田初は、家に戻りたくない小田切梓成田凌のもとに預けたのをきっかけに、凌が成田家から離縁しようと考えていることを知ってしまう。これにショックを受ける初だったが、橘亮輝からは自分以外の男性のことは考えるなと言われているため、誰にも相談できずに思い悩んでいた。そんなある日、凌のアルバイト先であるカフェに欠員が出たことを知った初は、八木すばるの姉の八木あさひと共に立候補して、しばらく二人で店を手伝うことになる。そんな中、アルバイト後に初とあさひは、凌が梓と会っているところを目撃する。初は何をしていたのかと凌に尋ねるものの答えないため、初は離縁の準備をしているのかと聞いてしまう。凌はこの問いに頷き、ショックを受けた初はその場を去ってしまう。初は、凌にとって自分たち家族はそんなに頼りない存在だったのだろうかと落ち込むが、一部始終を見ていたあさひからは、凌は初のことを女性として愛しているために離縁を決意したのではないかと指摘され、混乱する。

第9巻

高校の学年末テストの時期が近づくが、成田凌橘亮輝の家庭教師をやめようとしていた。元々家庭教師になったのは、成田家が橘奈津江から攻撃されないようにするためのものだったため、成田初と亮輝が交際を始めた今では、もう必要ないと考えたのである。そこで凌は亮輝に相談するとともに、小田切梓と調査した結果、成田徹小田切美宝の不倫はカモフラージュで、実際に美宝と不倫関係にあったのは別の男性らしいこと、自分たちは今後それが誰なのかを明らかにするつもりであることを伝える。亮輝はその話を聞いても自分とは無関係であると、今後も静観しようとするが、これを盗み聞きしていた高遠万里子が、「美宝」の名前に聞き覚えがあると言い出す。亮輝の父親の橘柊一郎が、生涯愛していると公言している女性の名前が奈津江ではなく「美宝」なのだという。これを不審に思った亮輝は柊一郎を問い詰め、柊一郎はついに自分と美宝がかつて不倫関係にあり、徹には連絡係をさせていただけだと白状する。それでも亮輝はこれを初に黙っていることにするが、時を同じくして、初は梓から徹と美宝の不倫はカモフラージュであり、自分たちは現在本当の不倫相手を探していると教えられていた。

第10巻

橘奈津江成田凌が養子であり、成田家がこれを秘密にしていることを知ってしまう。奈津江はこんな問題を抱える家庭は信頼できないと言い出し、橘亮輝成田初と別れるようにせまる。しかし凌は、自分は近日中に養子縁組を解消するので問題は解決すると反論。そのまま凌は一人暮らしの家に戻ってしまうが、納得のいかない初と亮輝は奈津江に反発して、二人で家出を決意。その後、橘柊一郎に伝えたうえで、彼がよく利用する伊豆のコテージに泊まることにする。一方その頃、二人の家出を知った奈津江は、初の母親である成田志保子を呼び出し、一方的に責め立てていた。しかし、そこに小田切梓と凌が現れ、さらに柊一郎も帰宅したことで事態は一変。凌と高遠万里子が、伊豆まで初たちを連れ戻しに行くことになるのだった。しかしその頃、初は以前から亮輝が、小田切美宝の真の不倫相手が柊一郎であることを知っており、自分たちには無関係であると捉え、黙っていたことを知ってしまう。そんな亮輝の人間性に耐えられなくなった初は、一人コテージを去る。

第11巻

親たちの不倫の真相を知った成田初は、東菱(とうびし)商事東ヶ丘社宅にいるのも嫌になり、成田凌の家に身を寄せることにした。しかしそこに成田徹が訪れ、初と凌はさらなる事実を知る。徹は確かに身代わりとして橘柊一郎の罪をかぶっていたが、その対価として多額の金銭を受け取っていた。これは凌の本当の両親が残した借金を返すために使われており、徹は納得したうえで不倫に協力していたのである。徹は、自分と成田志保子はそれほどに凌を愛しているのだと伝え、離縁の件は考え直してほしいと頼む。しかし凌はそれに応じず、自分が離縁を望む理由は初を女性として愛しているからだと告白する。その話を聞いて初は混乱するが、このまま二人で同じ家に住むことはできないと考え、ひとまず成田家に戻るのだった。しかしその頃、社宅では、橘一家がしばらく社宅を離れるということで騒ぎになっていた。そんな中、橘亮輝は一人社宅に戻るが、ちょうど初が凌に送られて帰ってくる場面に遭遇。亮輝は二人が交際を始めたとカンちがいし、初に暴言を浴びせる。これによって初はもう亮輝との関係は終わったと覚悟するが、亮輝は初が離れていくショックで倒れてしまう。

第12巻

成田初橘亮輝は、亮輝が倒れたことであらためて話し合い、まだお互いに思いがあることを確かめ合う。しかし、初が何度も亮輝に傷つけられたことを知る成田凌小田切梓は、二人の交際を反対する。それでも初は、梓にどれだけ凌が自分を思ってくれても、自分には亮輝しかいないことを伝える。こうして二人が話していると、そこへ橘奈津江がやって来る。奈津江は橘柊一郎との離婚を決意しており、成田家には口止め料を支払い、亮輝と共に兵庫県にある実家に戻ろうとしていた。そこに亮輝が現れ、奈津江と柊一郎が離婚したあとはどちらにもつかず、高校の寮に住むこと、18歳になり次第初と結婚することを宣言する。何も聞かされていない初は衝撃を受けるが、亮輝は無理やり初をその場から連れ出し、返事をせまる。

メディアミックス

実写映画

2019年6月、本作『ホットギミック』の実写映画版『ホットギミック ガールミーツボーイ』が公開された。監督と脚本を山戸結希が務め、成田初役を乃木坂46の堀未央奈、橘亮輝役を清水尋也、小田切梓役を板垣瑞生、成田凌役を間宮祥太朗が演じた。

小説

2005年11月、本作『ホットギミック』の小説版『ホットギミックS』が刊行された。こちらは、本作がもし違う結末を迎えていたらという前提で書かれており、成田初成田凌の関係をメインに描いた内容になっている。著者は西崎めぐみ、イラストは原作者である相原実貴自身が担当している。

ドラマCD

2004年にソフトガレージから本作『ホットギミック』のドラマCD版『hgcd』と『hgcd2』が発売された。こちらは、成田初役を堀江由衣、橘亮輝役を鳥海浩輔、小田切梓役を吉野裕行、成田凌役を三木眞一郎が演じている。また、「Betsucomi」2003年2月号では応募者全員サービスとしてのドラマCDも制作されている。こちらはキャストが異なり、成田初役を仲西環、橘亮輝役を小尾元政、小田切梓役を山本泰輔、成田凌役を荻野義範が演じた。

登場人物・キャラクター

成田 初 (なりた はつみ)

私立高園学園高校2年A組に在籍する女子で、年齢は16歳。東京都S区にある東菱(とうびし)商事東ヶ丘社宅のA棟302号室に住んでいる。胸の上まで伸ばした茶色のセミロングヘアで、清楚でかわいらしい印象を与える。そのため、異性からはひそかに人気があるが、一部の同性からはこれを妬まれ、地味な女であると不当な評価を受けている。さらに、過去の恋愛がことごとくうまくいかなかったことから、成田初自身は自らの魅力に気づいていない。心優しくお人よしな性格だが、押しに弱く、頼み事を断れない。さらに自分に自信がなく、周囲に理不尽に虐げられたり、利用されたりすることが多い。これで、ますます自分に自信をなくすという悪循環に陥っている。橘亮輝、小田切梓、八木すばるとは幼なじみだが、子供の頃に亮輝にケガをさせられてからは亮輝と疎遠になっており、初恋の相手である梓は小学2年生の時に引っ越してしまったため、現在ではすばるとしか親交がない。そんな高校2年生のある日、妹の成田茜のために妊娠検査薬を買いに行ったところ、亮輝に見つかり、この件を秘密にする代わりに亮輝の奴隷になる契約を結んでしまう。また、これと同時期に梓が東菱商事東ヶ丘社宅に戻り、自分の味方をしてくれる梓にひそかに思いを寄せつつ、亮輝の奴隷として暮らすという、複雑な日々を送るようになる。そしてこの過程で、自分たちの親に隠された秘密を知ることとなる。身長は158センチで、体重は48キロ。胸が小さいことを気にしている。

橘 亮輝 (たちばな りょうき)

神奈川県にある私立開星(かいせい)学院高校に通う2年生の男子。東京都S区にある東菱(とうびし)商事東ヶ丘社宅のA棟最上階に住んでいる。成田初、小田切梓、八木すばるとは幼なじみだが、今も交流が続いているのはすばるのみ。端正な顔立ちをしているが神経質で気難しい性格で、ウルフカットに眼鏡を掛けている。顔立ちは父親の橘柊一郎と瓜二つだが、雰囲気や横暴な人柄は母親の橘奈津江によく似ている。体裁を気にする奈津江に幼い頃から英才教育を施され、超進学校である開星学院高校に合格する。その結果、社宅内でも十年に一度の天才として知られるようになるが、それ故に他者を学歴で判断しがちで、自分より低学歴の人間を見下すところがある。さらに、自己中心的で高圧的なことから周囲には煙たがられており、友人はすばるしかいない。また、自分の感情に鈍く、幼い頃から初に思いを寄せているが、その自覚がないまま現在に至る。そのため、子供の頃は初に意地悪ばかりしていたが、6歳のある日、初を階段から突き落としてケガをさせてしまい、以来疎遠になっていた。しかし高校2年生のある日、偶然初が妊娠検査薬を買うところを目撃し、これを奈津江に報告しない代わりに初を奴隷にするという契約を結ぶ。また、この時に初を性にだらしない女性だと誤解し、いいように扱うようになっていく。性行為の経験がないことに強いコンプレックスを感じており、早く初とセックスすることでこれを解消しようとしている。身長は177センチで、体重は61キロ。なお、初や梓と同じ公立小学校に通っていたのは、入試の日に体調を崩し、私立小学校の受験ができなかったためである。特技は英語で、中学校時代は海外留学していたため、ネイティブ並みに話せる。

小田切 梓 (おだぎり あずさ)

私立高園学園高校2年A組に在籍する男子。母親の小田切美宝は3年前に亡くしており、父親の小田切実と二人で、東京都S区にある東菱(とうびし)商事東ヶ丘社宅のA棟705号室に住んでいる。また、芸能事務所「LOOTS」に所属するモデルとしても活動しており、ファッション雑誌「Revolver」や「メンズキュート」をメインに、携帯電話のCMにも出演している。成田初、橘亮輝、八木すばるとは幼なじみで、初とすばるとはクラスメートでもある。たれ目のイケメンで、長めのウルフカットにしている。そのため、モデルとしての人気も相まって、異性から非常に人気があり、美形で知られていた美宝似でもある。一見穏やかで人当たりがいいが、実際は敵とみなした者に対しては容赦のない、攻撃的な性格をしている。また執念深く、目的のためには手段を選ばない残忍な一面がある。初たちとは小学校2年生の頃までは親しくしていたが、この頃引っ越してしまって疎遠となる。死の間際まで母親の美宝が孤独だったのは、美宝と成田徹が不倫関係にあり、最終的に徹が美宝を裏切ったことにあると考えている。そこで、徹に復讐するため、初に近づこうとする。しかしその過程で、成田家と小田切家、そして橘家に起きた一連の事件の真相を知ることとなる。モデルは復讐のための資金稼ぎに始めたもので、一時期は事務所社長の葛城リナの所有するマンションに身を寄せていた。趣味はファッションの勉強と寝ること。特技は料理だが、作った料理を自分ではあまり食べない。身長は182センチで、体重は60キロ。身長は現在も伸び続けている。

八木 すばる (やぎ すばる)

私立高園学園高校2年A組に在籍する男子。東京都S区にある東菱(とうびし)商事東ヶ丘社宅のA棟503号室に住んでいる。成田初、橘亮輝、小田切梓とは幼なじみで、初と梓とはクラスメートでもある。髪全体をツンツンに立てた短髪に小柄の体型で、中性的なかわいらしい顔立ちをしている。一見活発な印象だが、実際は気が弱くオタク気質で、引っ込み思案な性格の持ち主。気難しい亮輝とも親しくなれるほどの実直な人柄ながら、自分に自信が持てないため、社宅内や学校では虐げられがちである。幼なじみの初、亮輝とは個別に親しくしていた。そのため、初の亮輝への恐怖心や亮輝の初への複雑な感情も理解していたが、何もできずにいた。そんな高校2年生のある日、初と亮輝が突然再び交流を始めたことを不思議に思いつつも、変わらず親しくしている。また、この過程で成田茜の初に対するコンプレックスを理解し、次第に親しくなり、やがて交際を始める。趣味はゲームやアニメで、特に「機動戦士ガンダム」シリーズのプラモデルを集めたり作ったりすることが大好き。身長は165センチで、体重は45キロ。ファッションには疎いが、姉の八木あさひの指導のもと、おしゃれさせられている。

成田 凌 (なりた しのぐ)

国立一橋大学法学部に通う1年生の男子で、年齢は19歳。東京都S区にある東菱(とうびし)商事東ヶ丘社宅のA棟302号室に住んでいる。成田家の長男だが養子で、一人だけ血がつながっていないため、成田初、成田茜、成田輝の義兄で、成田徹と成田志保子の義息。落ち着いた知的な性格で、誰にでも優しく人当たりがよいが、初と茜であれば初を優先しているために茜はこれを察しており、初に攻撃的になっている。幼い頃に両親を亡くし、志保子の強い意向で成田家に引き取られ、初たちきょうだいには血がつながっていないことを隠して暮らすことになる。しかし両親の残した多額の借金を抱えており、この借金を徹と志保子が肩代わりした結果、二人の関係に亀裂が入ったことを知っている。それでもよき兄として初たちに接していたが、やがて初への思いを自覚し、少しでも早く自立したいと願うようになる。そのため、小中学生の家庭教師をしながら、夜もアルバイトづけの日々を送っている。さらに大学のサークルにも所属しており、友人宅に泊まることが多く、成田家にはいないことが多い。身長は178センチで、体重は65キロ。

成田 茜 (なりた あかね)

東京都S区立東ヶ丘中学校に通う3年生の女子。東京都S区にある東菱(とうびし)商事東ヶ丘社宅のA棟302号室に住んでいる。成田家の次女で成田初の妹、成田輝の姉、成田凌の義妹にあたる。初からは「アカちん」と呼ばれている。顎の高さまで伸ばした黒のボブヘアで、社宅一の美少女として知られている。異性から非常に人気があり、成田茜自身も恋愛に積極的で不特定多数の男性と乱れた性生活を送っている。しかし、これまで本命とだけはうまくいかず、自分はつまらない男性にしか好かれない女であると思い込んでいる。わがままな性格で、面倒事は他者に押しつけがちな傾向がある。特に初に対しては、凌や橘亮輝、小田切梓といった自分好みの男性たちから好意を寄せられているにもかかわらず、受け身な態度を取っていることを快く思っていない。その結果、初には対抗意識を抱くあまり意地悪を繰り返し、理不尽な態度で接している。しかし初を嫌っているわけではなく、初のお人よしな人柄に甘えすぎているところがある。中学3年生のある日、自分が妊娠したと思い込み、初に妊娠検査薬を買いに行かせたことで、初と共に疎遠になっていた亮輝たちと再びかかわることになる。またその過程で、まったく好みではなかった八木すばるに思いを寄せるようになり、やがて交際を始める。身長は154センチで、体重は42キロ。

成田 輝 (なりた ひかる)

幼稚園に通う男子で、年齢は4歳。東京都S区にある東菱(とうびし)商事東ヶ丘社宅のA棟302号室に住んでおり、社宅内の保育ルームも利用している。成田家の次男で、成田初と成田茜の弟、成田凌の義弟にあたる。明るく素直な性格で、中性的な雰囲気のかわいらしい顔立ちをしている。年齢的に幼いこともあり、社宅内の住民たちとは接する機会はあまりないが、橘奈津江の差し金によって成田家が住民たちから無視された際には、保育ルームに通う子供たちからいじめられてしまう。

成田 徹 (なりた とおる)

東菱(とうびし)商事で働く中年男性で、営業三課の係長を務めている。東京都S区にある東菱商事東ヶ丘社宅のA棟302号室に住んでおり、成田志保子の夫。成田凌の義理の父親で、成田初、成田茜、成田輝の父親。短髪の撫で付け髪に眼鏡を掛けた、気難しい印象を与える。周囲にもまじめすぎる堅物として知られており、初には20歳まで男女交際を禁じている。一方、茜のことはまるで管理できておらず、気が弱い初にばかり強い締め付けを行っている。大阪府に短期の単身赴任をしており、社宅にはたまにしか戻ってこないため、初と住民たちとの人間関係に関してはよく知らずにいた。しかしある日、当時交際していた初と小田切梓の関係を知ってからは、初に厳しく当たるようになる。橘柊一郎と小田切実とは大学の先輩と後輩の関係で同じ会社に勤め、同じ社宅で暮らしている。かつて凌を引き取った際に、凌の亡くなった両親の借金を肩代わりすることになり、その返済に悩んでいたところを柊一郎に声を掛けられ、柊一郎と小田切美宝の不倫に加担。柊一郎から多額の金銭を受け取る代わりに、二人の連絡係になった。美宝の死後もこの件を隠して暮らしていたが、梓が真相を調べ始めたのを機に、すべてが明るみに出ることとになる。

成田 志保子 (なりた しほこ)

パート事務員として働く中年女性。東京都S区にある東菱(とうびし)商事東ヶ丘社宅のA棟302号室に住んでおり、成田徹の妻。成田凌の義理の母親で、成田初、成田茜、成田輝の母親。肩まで伸ばした巻き髪ロングヘアにしている。穏やかな印象ながら、実際は徹の保身と昇進、輝の幼稚園受験を最優先に考え、社宅内でのトラブルを恐れる事なかれ主義者。その結果、いつも住民たちの機嫌を取っては媚びへつらっているが、トラブルメーカーの初に対しては冷淡である。そのため、初が住民たちとトラブルを起こしても、初の味方をするどころか、初を家族の平和を脅かす存在と捉えている。また、橘奈津江のことを非常に恐れるあまり、初には橘亮輝とだけは交際してないでほしいと釘を刺していた。一方で凌には甘く、自らの強い意志で凌を引き取ったという経緯もあり、非常に大切にしている。

橘 奈津江 (たちばな なつえ)

中年女性の主婦で、東京都S区にある東菱(とうびし)商事東ヶ丘社宅のA棟最上階に住んでいる。橘柊一郎の妻で、橘亮輝の母親。苗字が「橘」であることから成田茜には陰で「タッチー」と呼ばれている。また、社宅住民の中で最も立場の強い柊一郎の妻であることから、社宅内では絶対的な権力を振りかざしており、その姿は社宅内の「エリザベス女王」と揶揄されている。肩につくほどまで伸ばしたセミロングヘアに眼鏡を掛け、顔立ちや雰囲気が亮輝と非常によく似ている。出身地は兵庫県で、かつてはミス神戸に選出された美形。しかし、今はいつも険しい顔をしていることから、その美貌には触れられることはない。ヒステリックで横暴な性格で、少しでも気に入らないことがあると、相手を徹底的に糾弾する。特に弱い者いじめが大好きで、ターゲットにした住民を呼び出して理不尽な命令をしたり、住民たちを使って集団で無視したりすることもある。柊一郎の妻として周囲から腫れ物に触るような扱いを受けているが人望はなく、柊一郎や亮輝にも距離を置かれている。特に、お見合い結婚である柊一郎から愛されていないことは理解しており、この鬱憤を社宅内で横暴な振る舞いをすることで発散していた。しかし柊一郎と小田切美宝の関係や、柊一郎と成田徹の関係についてはいっさい知らなかった。趣味は茶道と華道と俳句。

橘 柊一郎 (たちばな しゅういちろう)

東菱(とうびし)商事の常務を務める中年男性。東京都S区にある東菱商事東ヶ丘社宅のA棟最上階に住んでいる。橘奈津江の夫で、橘亮輝の父親。短髪の撫で付け髪で、丸眼鏡を掛けている。穏やかで落ち着いた性格で、顔立ちは亮輝とよく似ている。いつも冷静で人当たりがよいが、奈津江のことは両親が決めた結婚相手と割り切っており、奈津江と亮輝に対して愛情がないことを公言している。そのため、ふだんは会社近くのホテルで寝泊まりしており、社宅の人間関係にもいっさい関心がない。小田切美宝とは学生時代から交際していたが、親によって引き離され、奈津江と結婚させられる。その後、美宝が大学時代の後輩である小田切実と結婚したことを知りながら不倫関係になり、これを隠すために大学時代の後輩である成田徹を利用している。お金に困っている徹に多額の報酬を支払う代わりに、徹を連絡係にしたり、徹の名前を使ったりして不倫を続けた。この時、美宝に駆け落ちしようと相談するが断られ、その後は美宝が東菱商事社員と不倫しているという形で、明るみに出た。これによって実は、美宝の責任を取る形で海外赴任となり、その後美宝は病死したが、橘柊一郎だけは難を逃れて働き続けている。

高遠 万里子 (たかとお まりこ)

橘家に仕えるメイドの女性で、年齢は23歳。顎の高さまで伸ばしたボブヘアで、いつもメイド服を着ている。穏やかで上品な雰囲気を漂わせており、橘家の人間だけでなく、誰に対しても丁寧な口調で接する。一見控えめに見えるが頑固なところがあり、正しいと思ったことは無理にでも押し通す気の強さがある。両親の仕事の都合で幼い頃から橘家で働いており、橘亮輝とは小学生の頃からの付き合いである。そのため、亮輝の数少ない理解者でもあり、他者とうまくコミュニケーションの取れない亮輝のことを、いつも案じている。また、長年橘柊一郎に思いを寄せており、柊一郎の生涯の思い人が橘奈津江ではなく「美宝」という名前の女性であることを知っていた。それでも橘家の人間関係には口を出さないようにしていたが、23歳のある日、「美宝」の正体が小田切美宝かもしれないと知ってからは、橘家や成田家、小田切家で起きた不倫事件の真相解明を手伝うようになる。

小田切 実 (おだぎり みのる)

東菱(とうびし)商事で働く中年男性。息子の小田切梓と東京都S区にある東菱(とうびし)商事東ヶ丘社宅のA棟705号室に二人で住んでいる。小田切美宝の夫で、成田徹と橘柊一郎の大学時代の後輩でもある。短髪の撫で付け髪の糸目で、いつも目を閉じているように見える。温厚で気弱な性格で、社宅に戻ってくるまでは海外赴任をしていた。この間に美宝が亡くなり、梓は当時美宝の実家と、葛城リナの用意したマンションで生活していたことから、梓といっしょに暮らすのは久しぶりである。この海外赴任は美宝と東菱商事社員の不倫によるものだが、その不倫相手が誰であるかは知らない。現在は再婚を考えており、梓の様子をうかがいながら話を進めようとしている。

小田切 美宝 (おだぎり みほ)

小田切実の妻。小田切梓の母親で故人。橘柊一郎の元恋人で不倫相手でもあり、成田徹の大学時代の後輩でもある。肩につくほどまで伸ばした巻き髪セミロングヘアの美女で、梓と顔立ちがよく似ている。柊一郎とは学生時代から交際していたが、柊一郎が親に決められた相手である橘奈津江と結婚したことで別れた。その後、実と結婚して梓を出産したが、柊一郎と不倫関係になる。この時、柊一郎から駆け落ちしようと持ち掛けられるが、梓がいるために断る。その後、自分と東菱(とうびし)商事社員の誰かが不倫しているという形で不倫が明るみに出たため、実は責任を取って海外赴任となり、美宝は梓と社宅から出て実家に身を寄せたあと、病死した。この時、柊一郎はいっさい姿を現さなかったことから、梓は美宝の不倫相手を激しく憎むようになった。

八木 あさひ (やぎ あさひ)

美容師としてインターン修業中の女性で、八木すばるの姉。年齢は19歳。両親とすばるの四人で、東京都S区にある東菱(とうびし)商事東ヶ丘社宅のA棟503号室に住んでいる。前髪を眉が見えるほど短く切ったツンツンのベリーショートヘアにしている。社交的な性格で、成田初や成田凌とも親しい。すばるとの姉弟仲もよく、すばるがファッションに疎いにもかかわらずおしゃれなのは、あさひが髪を切ったり、服装のアドバイスをしているためである。実はひそかに凌に思いを寄せているが、自分が凌に釣り合わないと考え、言い出せずにいる。そのため、友人として凌に接していたが、それ故に凌の初への思いに気づいてしまう。

葛城 リナ (かつらぎ りな)

東京都港区にある芸能事務所「LOOTS」の社長を務める女性。肩につくほどまで伸ばしたセミロングヘアにしている。眼鏡を掛けたかわいらしい容姿で、実年齢よりも若く見える。そのため、所属モデルである小田切梓との男女関係を疑われることもあるが、どちらかというと姉と弟のような関係である。一見おとなしく気の弱そうな印象だが、怒ると非常に怖く、所属芸能人たちも葛城リナにはいっさい逆らえない。3年前、街をふらふらしている梓を不審に思って声を掛けたところ、梓が家出中であることを知る。そこで梓の容姿を見込んで、所属モデルとして雇うこととなった。また、自宅に戻りたがらない梓を案じて、小田切実が海外から戻るまで、事務所所有のマンションでいっしょに暮らしていた。梓がお金を稼ぐ理由は、亡くなった母親の死亡が原因であることは理解しつつも見守っていた。しかし梓が高校2年生のある日、モデル仲間と共にマンション内で成田初を集団強姦しようとしたことから危機意識を持つようになる。そこで初とコンタクトを取り、梓について自分が知っていることを話すようになる。

西園寺 瑠璃 (さいおんじ るり)

帝徳女学園高校に通う2年生の女子で、橘亮輝と同じ学習塾に通っている。肩の下まで伸ばした巻き髪セミロングヘアで、眼鏡を掛けている。橘奈津江と似た雰囲気を漂わせた美女。気が強くてプライドも高く、自分より低学歴の者を見下しては嫌みな態度を取っている。超進学校の帝徳女学園高校においてもトップクラスの学力で、さらに父親は銀行の次期頭取である。そのため学歴も、家柄も申し分のない女性として、奈津江に気に入られている。亮輝のことは以前から模試で競い合う関係として名前だけを認識しており、高校2年生のクリスマスにパーティで知り合った。その後、奈津江とは母親同士が親しいのもあって橘家を訪れるが、亮輝にはまったく相手にされず腹を立てる。これによって亮輝を見返したい、振り向かせたいと考えるようになり、同じ学習塾に入ってアプローチを開始する。

水野 由香 (みずの ゆか)

東京大学に通う大学生の女子で、橘亮輝の家庭教師を務める。肩につくほどまで伸ばした外はねセミロングヘアにしている。プライドが高く負けず嫌いな性格で、自分以下とみなした者には容赦ない態度を取りがち。亮輝のことを気に入っており、自分に相応しいと考えてせまっていたが、相手にされず歯がゆい思いをしていた。そんなある日、成田初の存在を知って対抗意識を燃やすが、亮輝を悪く言ったことで初に反論され、恥をかかされる。これに腹を立て、亮輝の家庭教師を辞めてしまう。

風間 柊司 (かざま しゅうじ)

国立一橋大学法学部に通う1年生の男子で、成田凌の友人。肩につくほどまで伸ばしたセミロングウルフヘアにしている。明るく社交的な性格で、関西弁でしゃべる。凌の家庭事情をよく知っており、凌のルームメイトとなる。これによって成田きょうだいともかかわりを持つようになり、特に成田茜のことを気に入っている。

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