雪嶋周を救うために奔走する人々
真帆は高校時代に尊敬していた漫画部の部長、周の死をきっかけに、彼の妹である紗香から周が遺した設定ノートを受け取る。そのノートを基に描いた作品は大ヒットを記録するが、作品を完結させたあとはスランプに陥り、担当編集の嵐景政に「何も描けない」と手紙を送る。そんなある日、真帆は足を滑らせて高校時代にタイムスリップしてしまう。彼女は未来の記憶を活かして周を救おうと試みるが、周が死ぬと同時に同じ日時に戻るタイムループを繰り返すようになる。最初は一人で行動していた真帆だったが、やがて同じくタイムスリップを経験する人物がいることを知り、彼らと協力しながらタイムスリップの原因と共に、周を救う方法を模索し始める。
設定ノートがタイムスリップの鍵を握る
真帆をはじめとするタイムスリップを繰り返す人々には、共通の特徴が存在する。それは雪嶋周が遺した設定ノートを読んだことがあるということ。それまでタイムループを経験していなかった景政も、真帆が2度目のタイムループをした際にこの設定ノートを読み、タイムスリップするようになる。しかし、タイムスリップの原因は依然として不明で、真帆たちは互いに情報を共有しながら、事態の真相解明に乗り出す。
周の妹・紗香は何者なのか
周の妹、紗香は、真帆のアシスタントとして長年活動してきたが、二人のタイムスリップの回数には違いがある。紗香が真帆のアシスタントを務めていたのは、彼女にとって6回目のタイムスリップ時のみである。このタイムスリップの中で、紗香は真帆とタイムスリップの秘密を共有した直後、数十年分の時間を異なる次元で過ごすという過酷な経験をしていた。周のことを話す際、紗香は時おり表情を曇らせることがあり、これに対して真帆の協力者である景政は、紗香がなんらかの秘密を抱えているのではないかと疑念を抱くようになる。
登場人物・キャラクター
晴田 真帆 (はるた まほろ)
少女漫画家の女性。高校時代に漫画部の部長だった周が亡くなり、周が遺した漫画の設定ノートを基に売れっ子漫画家になったが、連載終了後は創作活動に行き詰まっている。そんなある日、足を滑らせて高校生時代にタイムスリップし、真帆は周の病気の進行を阻止するため、未来の記憶を活用して行動を起こす。真帆は担当編集者であり元同級生だった景政にタイムスリップのことを打ち明け、共に行動するようになる。さらに、周囲の人々もタイムスリップを繰り返していることが判明し、周の妹である紗香や漫画家仲間のゴリラ丸男と共に、タイムループから抜け出して周を救うために奔走する。
嵐 景政 (あらし かげまさ)
真帆の担当編集者の男性。高校時代は特進クラスに所属し、生徒会副会長を務めていた。兄が意識不明の重体となった交通事故の原因を作ったことに罪悪感を持っている。また、義姉が初恋の相手であり、彼女の勧めで小説家を目指すようになった。真帆からタイムスリップの話を聞いた際には疑念を抱いていたが、周の設定ノートを読んで以降、景政自身もタイムスリップを経験し、真帆に協力するようになる。そして、周の妹である紗香の言動に矛盾を感じ、彼女の情報に対して疑いを持つようになる。
書誌情報
世界で一番早い春 全5巻 講談社〈KC KISS〉
第1巻
(2018-10-12発行、 978-4065135174)
第4巻
(2021-02-12発行、 978-4065222485)
第5巻
(2021-06-11発行、 978-4065236888)