ホライズンブルー

ホライズンブルー

「子供の虐待」をテーマに、母親から愛されていないと感じながら育った娘が、自分も娘を虐待してしまうというジレンマに陥った原因を紐解いていくヒューマンドラマ。「月刊ガロ」1988年9月号から1990年1月号に掲載された作品。作者の近藤ようこは「虐待した母親と、虐待された子供は、どうしたら両方救われるか」という答えを出したかったと、あとがきで述べている。ちなみに近藤ようこは、のちに同じテーマで別の方向から答えを探った『アカシアの道』も執筆している。

正式名称
ホライズンブルー
ふりがな
ほらいずんぶるー
作者
ジャンル
親子
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概要・あらすじ

子育て中の母親である佐伯春子の精神状態はすでに限界に達しており、泣き止まない赤ん坊の牧田由季を放置することしかできなかった。そんな春子も、娘を産んだ直後は自分が誇らしく、実家の母親や妹の佐伯秋美に子供を見せに足繁く通っていたのだった。由季の泣き声に気が狂いそうな春子に、小学生の頃の忘れられない記憶が頭をよぎる。

それは帰宅した春子の前で、母親が作文コンクールで優勝した秋美を抱き寄せるシーンだった。春子はその時、自分が一度も母親にそんな愛情を示してもらった記憶がないことに気付く。このことをきっかけに、春子は母親の愛情を感じられずにいた過去の記憶を紐解いていく。

登場人物・キャラクター

佐伯 春子

母親との関係に苦しむ女性。人前で自分を表現するのが苦手で、小学生の頃の通知表には必ず「内向的で消極的」と書かれていた。母親が妹の佐伯秋美ばかりを可愛がっていたこともあり、どんどん意地っぱりで扱いにくい性格になってしまう。就職後、会社の後輩である牧田啓介と結婚し退職、牧田由季が産まれる。「佐伯」は旧姓。

佐伯 秋美

佐伯春子の妹。頭が良く美人で、おおらかな女性。正直でわかりやすい性格であることから、昔から母親の愛情を受けて育った。異性が自然に集まってくるような魅力の持ち主だが、そのぶん同性に嫌われがち。名門女子高校から4年制の大学を経て、現在は働いている。

母親 (ははおや)

佐伯春子と佐伯秋美の母親。出来の良い秋美ばかりを可愛がり、春子にはいつもそっけない態度で接していた。実は母親自身も子供の頃から「男の子だったらよかったのに」と言われて育った寂しい背景がある。

父親 (ちちおや)

佐伯春子と佐伯秋美の父親。穏やかな男性で、子供たちが幼い頃はいつも仕事で帰りが遅かったが、春子も秋美も分け隔てなく可愛がっていた。2人を甘やかしていたが、母親に横槍を入れられることも多く、家庭ではあまり存在感がない。

牧田 啓介 (まきた けいすけ)

佐伯春子の夫。もともと春子の会社の後輩で、年齢は2歳年下。人懐っこい明るい性格。母一人子一人の家庭で育ったため、多少マザコン気味。年下の気安さから春子に急接近し、子供ができたことで結婚することになった。

啓介の母 (けいすけのはは)

牧田啓介の母親。保険の外交員を務めていたキャリアウーマン。啓介を女手一つで育ててきたため、啓介にはめっぽう甘い。一方で他人には厳しく、年上の佐伯春子が啓介をたぶらかしたと思い込んでおり、春子にはとげとげしい態度を見せる。

牧田 由季 (まきた ゆき)

佐伯春子と牧田啓介の子供で、まだ赤ん坊。春子の母親が、佐伯秋美の小さい頃に似ていると言ったことがきっかけとなり、春子の精神状態に異変をきたすこととなった。その後、啓介の母に預けられることになる。

カウンセラー

佐伯春子がカウンセリングを受けている中年女性。小学校時代の春子の担任であった教師にどことなく似ていているため、春子は苦手意識を持っている。しかし、カウンセリング中に苛立ちを隠せない春子の話も丁寧に聞く、柔軟性のある考え方を持った女性。

教師 (きょうし)

佐伯春子の小学校の1年から4年までの担任の女性教師。教師としてはベテランだが、春子に真面目で愚鈍というレッテルを貼る。自分の消極的なところを直したいと、本読みに手を挙げた春子に対しても何の対応もしなかった。ただ手厳しく注意するだけの無神経で独善的な性格。

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