おたくの娘さん

おたくの娘さん

オタクで人の好い守崎耕太と、突然現れた娘の幸村叶は、ギクシャクしながらも親子として徐々にお互いへの理解を深めていく。オタクをテーマにしたギャグ満載のハートフル・ストーリー。コミックス第1集第10話までは作者のすたひろがWEB上にて公開していた作品で、第2集収録作品以降が「月刊ドラゴンエイジ」2006年12月号から2011年11月号にかけて掲載された。2008年にはドラマCD化、さらにノベライズ化もされている。

正式名称
おたくの娘さん
ふりがな
おたくのむすめさん
作者
ジャンル
親子
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概要・あらすじ

ある日突然、住人がオタクばかりという彼岸荘に訪ねてきた幸村叶は、守崎耕太(コータ)に「自分は娘である」と告げ、母親である幸村望から預かったという手紙をコータに渡す。コータは高校時代に望に憧れ、かつて一回だけ関係を持ったことがあった。手紙には、「路頭に迷ったのでしばらくの間、叶の面倒を見てほしい」と書かれてあった。

うろたえるコータだったが、放り出すこともできず、「いいお父さんになる」と決心し、叶と暮らし始める。オタクな父親にたじろぎながらも、父親という存在に憧れていた叶と、筋金入りのオタクゆえ娘とどう接してよいかわからないコータは、奇妙で個性的な彼岸荘の住人たちに見守られながら、新たな生活をスタートさせるのだった。

登場人物・キャラクター

守崎 耕太 (もりさき こうた)

アパート「彼岸荘」の住人、26歳の青年で筋金入りのオタク。人気漫画家「クレアラシル☆森羅」のアシスタント兼同人誌作家。高校時代、憧れだった幸村望に迫られ一回関係を持つが、望とは自然消滅。以降デートや手をつないだ経験のない非モテ人生だが、背が高く人柄も良い。望の娘、幸村叶が突然目の前に現れ、一緒に暮らすことになるが、オタクならではの楽しみをやや制限されながらも、叶との生活で、人間としての深みを育んでいく。 同人誌では「防人」というペンネームで活動している。

幸村 叶 (ゆきむら かなう)

幸村望の娘の9歳の小学生。母親である望が借金を抱えたため、父親と聞かされていた守崎耕太(コータ)を訪ねてくる。コータがオタクであることに戸惑いを隠せないが、徐々にオタクについても理解を深めていく。しっかり者でコータに気を使うことも多いが、アパート「彼岸荘」の住人や管理人の麻生妙子らと関わり合うなかで、コータの優しさに気付かされることも多い。 小学校では男子にスカートめくりの隙を見せない、強い女子。学校では田村知美や香川リコと親しく、3人で一緒にいることが多い。

幸村 望 (ゆきむら のぞみ)

幸村叶の母親。高校時代、守崎耕太(コータ)と仲が良く、一度自分から誘って関係を持ったことがある。借金を抱え、生活が立ち行かなくなったため音信不通の関係となっていたコータに叶を預ける。バイタリティーはあるが、気が強すぎるため仕事を転々とし、時折写真を叶に送っている。彼岸荘の住人であり、自身の幼なじみでもある新田千尋に叶の様子を報告させるなど、コータの知らぬ所で動いていることも多い。

麻生 妙子 (あそう たえこ)

アパート「彼岸荘」の管理人で、女子高校生。老け顔で「熟女」扱いされることが多く、学校の友達からは「マダム」と呼ばれている。彼岸荘の住人のことを家族のように思っていて、幸村叶のよき相談相手。母親の麻生公子との間には暗い過去があり一線を引いているが、誰にでも親切で、彼岸荘の住人である有坂遥とは親友。 人の恋愛事情には鈍感。

森田 宗助 (もりた そうすけ)

アパート「彼岸荘」の住人、38歳。80年代が青春だった古いタイプのオタク。「ラムちゃん」の大ファンで夏のコミックマンケットに参加した際には自身がコスプレし、守崎耕太と幸村叶をドン引きさせた。実は人気漫画家「クレアラシル☆森羅」であるが、公にはしていない。彼岸荘の住人には先生と呼ばれ、人間的に成熟しているため、頼りにされている存在。

新田 千尋 (にった ちひろ)

アパート「彼岸荘」の住人、守崎耕太(コータ)の高校時代の先輩。無職で、真性のロリコン。甘いものが切れると少女への欲求を抑えきれなくなるため、麻生妙子がいつもお菓子を用意している。ルックスは良く、モテないわけではないのだが、10代以上には興味がない。幸村望とは幼なじみであり、何故かコータに隠れて望に協力することもある。

有坂 遥 (ありさか はるか)

アパート「彼岸荘」の住人、麻生妙子と同じ高校の女子高生。大手同人作家兼クレアラシル☆森羅のアシスタント。人を楯にしないと話せない人見知りだが、守崎耕太にはズケズケと上からモノを言う。妙子とは親友で、周囲が人気者の妙子とオタクの自分を比べることが耐えられず、不登校になる。コミックマンケットではハルハル亭のハルルン先生として大人気。

長門 (ながと)

アパート「彼岸荘」の住人、いつもマントのような布を頭からかぶっていて、存在感がない。ハルルン先生のストーカーが彼岸荘に押し入って幸村叶を人質にとった際には、自分の認知度アップのためにカッターナイフを叩き落とす大活躍を見せるが、彼岸荘の住人たちは犯人が勝手にカッターナイフを落としたと思っている。家族で住んでいるが、そろって存在感が急に消えたりする謎の住人。

北村 真美 (きたむら まみ)

守崎耕太(コータ)の妹で、既婚者。勘が鋭く、コータの家にやってきた際、前とは違う気配を感じとった。管理人である麻生妙子の娘だと紹介した幸村叶を見て、すべての事情を理解する。気が強く、モデル時代に御園京華に意見して現場を干されたことがあり、京華とは犬猿の仲。

ソーイチロー

幸村叶が裏の空き地で拾ってきた白い犬。アパート「彼岸荘」の緊急住人会議で、叶が世話するということで飼ってもよいということになり、漫画『めぞん一刻』にちなんで名前も「ソーイチロー」に即決した。実はメス。御園麗華の血統書付きの愛犬グロリアスと対決した際には、オタクグッズを川に飛び込み手でキャッチするという大技を披露する。 「サモエド」というブランド純血種ではないかという疑惑もある。

田村 知美 (たむら ともみ)

幸村叶の小学校のクラスメイトで親友。引っ込み思案だが、漫画家「クレアラシル☆森羅」先生の大ファンで漫画「ニキビな魔法」が一番好き。「ニキビな魔法」の話題になるとテンションが上がり、機関銃のようにしゃべる、オタクな少女。学校では叶と香川リコと3人で一緒にいることが多い。

御園 麗華 (みその れいか)

幸村叶の小学校のクラスメイト。父親は政治家の御園晴人、母親は女優の御園京華。お嬢様気取りで、オタクをバカにした発言をしたことから叶に暴言を吐かれ、それが原因で叶に食って掛かるようになる。守崎耕太の服を買いに出かけた叶親子に出会った際には、「自分の押しつけに付き合ってくれているお父さんは、叶と一緒の時間を過ごしたいからだ」と諭す大人びた面がある。

御園 晴人 (みその はると)

御園麗華の父親で、衆議院議員。おしゃれでスマート。父兄参観で出会った守崎耕太がゲームのカードで叶のクラスメートの人気者になったさまを見て、プライドが高い娘のために、カードを交換してほしいと頼みに来る。娘想いだが、妻の御園京華の高飛車な態度は止められない。

御園 京華 (みその きょうか)

御園麗華の母親で、女優。プライドが高く世間知らず、思ったことをズケズケ言う性格。家族で出かけた際、守崎耕太親子と北村真美に出会い、因縁の仲である真美に「おしゃれ=高いもの、と考えてる時点で終わっている」と毒づかれる。

有坂 陵 (ありさか りょう)

有坂遥の姉。「久遠寺みつね」はペンネームでコミックマンケット、通称「コミケ」の女王といわれている。「コミケ」では参加サークル3万人以上の頂点で一番人気の作家。日に売り捌く本の数は2万以上。アパート「彼岸荘」に引きこもり不登校になっていた遥に、「普通の人と同じ道を歩めないで、人に支持されるものが描けるのか」と彼岸荘を引き払うよう命令する。 支配的だが、自分の非は素直に認めるさっぱりした性格。

香川 リカ (かがわ りか)

麻生妙子の高校の友達。また、幸村叶の友達である香川リコの姉。市民プールで妙子から「にっち」こと新田千尋を紹介され、にっちに興味を持つが、「10代には興味がない」と言われたことで大人の女性が好きなのかと思い込み、ややへこんでしまう。夏祭りではにっちに気に入られようと大人っぽい浴衣を選ぶが、逆効果であることに気付いていない。 有坂遥の恋愛感情にいち早く気付いたことで、遥と急速に仲良くなる。

香川 リコ (かがわ りこ)

幸村叶の小学校のクラスメイトで、香川リカの妹。ボーイッシュな少女で、叶のことを「叶っち」と呼ぶ。明るく率直にモノを言う性格で、「お父さんとケンカした時、仲直りしないと気まずくない?」と聞く叶に、「変なこと気にするね」と返したりする。学校では叶と田村知美と3人で一緒にいることが多い。

小谷 世莉緒 (こたに せりお)

小谷の娘。「セリオ」という名前はある成人向けPCゲームのキャラクターが由来。初めてコミックマンケットに来た幸村叶の初々しい姿を見て、数年前に初めて買った同人誌「異世界のエリカ」の作家を探していることを叶に打ち明ける。これをきっかけに、後日、叶は意外な場所で「異世界のエリカ」を発見することになる。周囲の人たちに対して、オタクだからと境界線を引いていたが、叶と出会ったことで自分の考え方に問題があったことに気付き、感謝している。

小谷 (こたに)

小谷世莉緒の父親。コミックマンケットで守崎耕太(コータ)のサークルの隣であったことからコータと言葉を交わすようになる。サークル名「まんまる一家」のペンネーム「まるちち」。コテコテの関西弁でロン毛にメガネがトレードマーク。妻が美人で自分にべた惚れだと自慢し、コータにうざがられる。子育てに気張っているコータに、同じオタクパパとして「子供目線になれるオタクは理想の父親」だとアドバイスをする。

柿村 (かきむら)

幸村叶の小学校のクラスメイトの男子。仲間内では叶のことを「眉毛女」を呼び、生意気だからギャフンと言わせてやると粋がっているが、実は叶のことが気になっている。守崎耕太が夏祭りの約束を忘れていたことに腹を立てた叶と、ひょんなことからデートをすることになり、打ち解けて楽しむが、仲間に見られたため、叶の浴衣をめくりあげる照れ屋な男の子。

麻生 公子 (あそう きみこ)

麻生妙子の母親で、麻生城太郎の娘。女子高生のコスプレをしているので、妙子の母親には見えない。心の病気を患っていて、自分のことを「キミちゃん」と呼ぶ。城太郎の愛人の娘で、麻生家に引き取られるも誰も味方がおらず、人を信用できなくなった結果、心の病を発症している。

麻生 城太郎 (あそう じょうたろう)

麻生妙子の祖父で、麻生公子の父親。大会社を一代で築き上げた豪傑。公子を愛人に産ませ麻生家で引き取るが、当時は仕事に明け暮れ公子を構わなかったため、彼女が心の病を発症する遠因となった。引退してからサバイバルゲームなどに目覚め、立派なオタクジジイになったと同時に、公子への罪滅ぼしのために孫の妙子を盲目的に可愛がるようになる。 金の世界にどっぷり浸かっていた俗物だったが、騙し合いや罵り合いのない、ただひとつのモノを皆で共有しお互いが理解し合えるオタクの世界に魅了され、オタクの世界を称賛してやまない。

麻生 満 (あそう みつる)

麻生城太郎の長男。麻生剛史がアパート「彼岸荘」を手に入れようとした際に、麻生公子や麻生妙子を不幸にしてしまった罪滅ぼしの意味で、森田宗助に妙子を助ける方法を教えるなど問題解決に尽力した。悪人ぶっているが、愛情の示し方に関しては城太郎と似ている部分がある。

麻生 剛史 (あそう たけし)

麻生城太郎の次男。会社の経営に行き詰り、アパート「彼岸荘」が建っている高騰中の土地を手に入れようと企んでいる。未成年者の財産は親権者に管理の権限があるということに目を付け、「彼岸荘だけは麻生公子と麻生妙子のために守ってやる」という兄弟での約束を破り、妙子の親権を公子から奪おうと策謀を巡らせる。

(しま)

有坂遥と同じ高校に通う、漫研の部長。漫画の本質はあくまで娯楽だという持論を持ち、流行をキャッチしているハルルン先生を信奉している。ハルルン先生が自分に利害関係以上の感情を持っていないとわかっていたが、行動なくして望むものは手に入らないとの思いから遥に告白する。

前沢 琢郎 (まえさわ たくろう)

大宮で開業医をしている男性。大晦日のコミックマンケットの準備で皆が忙しくしているせいで、幸村叶が寂しさに耐えられず守崎耕太(コータ)に黙って出かけてしまった際に、「自分の息子が以前叶と仲良くしていたことから、家に遊びに来た叶を送ってきた」とコータに自己紹介する。コータは叶が大宮にいたことがないといぶかしく思うが、「いずれまた」と含みを持たせた様子で去って行く。

新田 鞍馬 (にった くらま)

新田千尋の叔父。千尋の両親が多忙だったため、幼少の頃より千尋の面倒を見ていた。千尋のプレゼントに子猫を買うよりも、児童福祉の方が将来金になると思い、孤児を預かることにしたという、風変わりな感性の持ち主。子供たちには「社会に出たら何でも言うことを聞く便利な下僕を一人は作れ」と言い聞かせており、守崎耕太を千尋の下僕だと思っている。

守崎耕太の母 (もりさきこうたのはは)

守崎耕太(コータ)と北村真美の母親。コータをよく理解しており、部屋が片付いているのを見ても、コータに彼女がいるわけがないと見抜いていた。一方でコータに幸村叶を娘だといきなり紹介された際は、初孫ができたことに大喜びする。コータは真美に比べ要領が悪く、欲がないことを心配している。

守崎耕太の父 (もりさきこうたのちち)

守崎耕太(コータ)と北村真美の父親。コータに幸村叶を娘だといきなり紹介され、真美の娘は赤ん坊なので退屈していた、と大喜びする。「これからがもっと大変になるが、今のおまえなら大丈夫だろう」と成長したコータを頼もしく思っている。コータに「メイド喫茶」に行ってみたいと耳打ちするなどお茶目な男性。自称「和製ジェームス・ディーン」。

ハルルン先生のストーカー (はるるんせんせいのすとーかー)

自称、多重人格者の男性。ハルルン先生こと有坂遥の漫画の大ファンで、アパート「彼岸荘」に押し入り、間違ってクレアラシル☆森羅先生の原稿を盗むが、ハルルン先生の原稿と交換しろと再び「彼岸荘」に現れる。警察に対しては、これら一連の行動は一番危険な人格の「ジョーイ」の仕業だと言い張る。大晦日のコミックマンケットに現れ、「ハルハル亭」を閉め初心に戻った遥の同人誌を見つけ出し、「ハルルン先生を見つけた」とネットに拡散する。

場所

彼岸荘 (ひがんそう)

守崎耕太が住む共同アパート。食堂は住人の触れ合いのスペースとして開放されている。住人が自分の部屋に入りきらない漫画を持ち寄ったため、本棚には漫画がギッシリ詰まっている。食堂は住人会議が開かれる場所でもある。常に何処かしらの部屋からアニメソングが流れ、管理人が女子高生のコスプレをしている等との噂が絶えず、近所からは「オタクアパート」と言われている。 朝食は管理人である麻生妙子が作っている。

コミックマンケット

半年に一度行われるオタクの祭典、通称「コミケ」。世界最大の同人誌即売会。夏と大晦日に開催される。この日に備えて、オタクたちは各人各様、制作に打ち込み、物欲のための資金を稼ぐ。サークルで参加するが、夏のコミケに守崎耕太は抽選に外れ、有坂遥の「ハルハル亭」で参加する。幸村叶はここでオタク文化に対する理解を深めた。 また小谷世莉緒と出会い、半年に一度親交を深める友人ができた場所でもある。

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