世界でいちばん優しい音楽

世界でいちばん優しい音楽

両親から受け継いだ大切な家で暮らす母と子が、穏やかな生活のなかで小さな幸せを見つけていく、心温まるストーリーの作品。第19回講談社漫画賞を受賞している。「Monthly Kiss」1993年1月号に第1楽章、「mimi Carnival」1993年4月号に第2楽章が掲載され、「Monthly Kiss」1999年7月号から1999年16号にかけて連載。「Kiss」1999年20号、22号、24号、2002年の「Kissスペシャル増刊Kiss20TWENTY」に特別楽章が掲載された。

正式名称
世界でいちばん優しい音楽
ふりがな
せかいでいちばんやさしいおんがく
作者
ジャンル
親子
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概要・あらすじ

OLとして「Kプランニング」で働く高原菫子は、社内で男性の目を引く存在として、同僚の女子社員たちから何かと疎まれていた。董子が社内行事に参加することはなく、毎日5時になると素早く帰社する毎日を送っている。そんな董子に好意を寄せている西園寺誠は、勇気を出して董子をボーリング大会に誘う。しかし、西園寺の想いも空しく、董子は帰路へと急ぐ。

なぜなら董子は、保育園に預けている娘を迎えに行く必要があるからだった。

登場人物・キャラクター

高原 董子 (たかはら すみれこ)

広告企画会社「Kプランニング」に勤めている22歳の女性。若くして、3歳の娘である高原のぞみを、働きながら育てている。芯が強い性格で、会社で陰口を叩かれながらも頑張る姿勢を見せ、徐々に周囲の理解を得るようになる。かつて10代の時に交通事故で両親を亡くしてからは、たった1人で生きてきた。高校生になって、かつて両親が暮らしていた空き家を訪れた際、大学生の稲垣晧と出会う。 やがて晧との間にのぞみを授かるが、出産前に不慮の事故で晧を失い、未婚の母となった。家族の繋がりを何よりも大事に考え、のぞみをとても可愛がっている。仕事と育児を両立させることの難しさに、日々頭を悩ませている。

高原 のぞみ (たかはら のぞみ)

高原董子と稲垣晧の間に生まれた一人娘。董子からたくさんの愛情を受けて育ち、いつも明るく元気いっぱいの女の子。平日は董子が働いているため、「たんぽぽ保育園」に預けられている。写真でしか見たことがない父親の稲垣晧に会いたい、といつも思っているが、なかなかその願いは叶わない。

稲垣 晧 (いながき あきら)

「稲垣グループ」の跡取り息子。高原董子より1つ年上。董子と出会った時は大学生だった。裕福な家庭に生まれ、何不自由なく暮らしていた。しかし、お互いに無関心な両親を見て育ったせいか、家族というものに不信感を抱いていた。唯一、稲垣家の家政婦である佐伯志津には心を開き、家族のように何でも相談している。董子と家庭を築きたいと思うようになるが、両親に董子との結婚を反対され、すべてを捨てて彼女と生きる道を選んだ。 勤務先の建設現場で突然の事故に遭い、帰らぬ人となる。

佐伯 志津 (さえき しづ)

稲垣晧の家で家政婦として働いていた年配の女性。とても面倒見が良く、晧の良き相談係として一役買うだけでなく、母親のような役目も担っていた。晧の死後も高原董子と高原のぞみのことを気にかけ、実の娘と孫のように接する。かつて若い頃に「沢野」という男性に恋をしていたが、想いを打ち明けられなかったことを後悔している。 「エコー朗読会」に所属し、朗読したテープを、目の不自由な人に届ける活動を行っている。

毛利 貴子 (もうり たかこ)

広告企画会社「Kプランニング」に勤める女性。竹を割ったようなさっぱりとした性格で、高原董子の良き理解者の1人。高原のぞみとも仲が良く、董子の家を訪れた際は一緒に遊ぶことが多い。

西園寺 誠 (さいおんじ まこと)

広告企画会社「Kプランニング」に勤める男性。ミステリアスな雰囲気を漂わせる高原董子に想いを寄せているが、男性に目もくれない董子からは相手にされていない。やがて毛利貴子の存在の大きさに気づき、女性として意識するようになる。

海江田 透子 (かいえだ とうこ)

広告企画会社「Kプランニング」に勤める女性。第二企画課課長。仕事には非常に厳しく、社内の誰もが一目置くほどのキャリアウーマン。実は未婚の母。息子である海江田柊野とは離れて暮らしていたが、のちに引き取って一緒に暮らし始める。働く母親として高原董子と共感し合い、お互いに持ちつ持たれつの関係を築く。

海江田 柊野 (かいえだ しゅうや)

海江田透子の一人息子。高原のぞみよりも1歳年上の男の子。ずっと祖母と暮らしていたが、透子に引き取られて一緒に暮らすようになる。透子と暮らし始めた当初は、透子に対してどう接すればいいのか分からず、戸惑っていた。小学校卒業後は、有名私立中学に進学する。

三枝 匠 (さえぐさ たくみ)

広告企画会社「Kプランニング」に勤める男性。社内きっての甘いマスクで、女性社員に非常に人気がある。入社当時から、高原董子のことを何かと気にする素振りを見せていたが、彼女がシングルマザーであることを知ってからは、近づかなくなった。それでも時々董子を気にかけ、気遣っている。

稲垣 巌 (いながき いわお)

「稲垣グループ」の社長。稲垣晧の父親。かつて、晧と高原董子の結婚に大反対した。晧の死後は、董子と高原のぞみの行く末を案じている。豊上正宗の采配で、のぞみとの面会を果たしてからは、周囲も呆れるほどの溺愛ぶりを見せる。

稲垣 蘭子 (いながき らんこ)

「稲垣グループ」の社長夫人。稲垣晧の母親。18歳の時に稲垣巌の後妻として稲垣家へ嫁いで来た。稲垣巌が自分に干渉してこないため、好き勝手に振る舞っている。晧を死なせたのは高原董子だと思い込んでおり、董子を許すことができずにいる。

豊上 正宗 (とよがみ まさむね)

稲垣晧の家庭教師をしていた男性。大学時代の3年間、当時中学生だった晧を教えた。現在は稲垣巌の忠実な部下として「稲垣商事」に勤めている。高原董子と高原のぞみの暮らしぶりを陰ながら見守り、密かに巌に報告している。あるきっかけから董子と関わるようになり、次第に惹かれ合っていく。

塔堂 北斗 (とうどう ほくと)

写真家として世界中を飛び回っている男性。記者クラブ報道写真家グランプリを受賞し、約10年ぶりに日本に帰国した。かつては広告業界に身を置き、海江田透子とともに仕事をしていたこともある。男らしく気さくな人柄で、偶然知り合った海江田柊野に懐かれる。

星野 聖良 (ほしの せいら)

高原のぞみの保育園時代からの友達。弟思いの優しい女の子。育児で疲れきった母親から一時的に虐待を受け、どうすることもできずに1人で苦しんでいた。高原董子の働きかけにより、本来の明るさを取り戻すことになる。

豊上 正之 (とよがみ まさゆき)

豊上正宗の弟。豊上家の二男にあたる男性。小説家で、「グレース」という雑誌でエッセイ「以心伝心」を連載中。自宅で執筆活動のかたわら、よく女性を連れ込んでいる。不真面目そうに見えるが、実はとても兄思いで優しい性格。学生時代、不倫関係にあった主婦と真剣に付き合っていたが、一方的に振られた過去がある。

豊上 正彦 (とよがみ まさひこ)

豊上正宗の弟。豊上家の三男にあたる男性。小学校の教師をしており、同僚の女性教師に想いを寄せている。豊上正之と同じく兄思いで、病気がちだった母親に代わって、自分たちの面倒を見てくれた正宗の幸せを、誰よりも願っている。

苅野 光一郎 (かりの こういちろう)

高齢の男性。病で目が少し不自由なので、「エコー朗読会」に朗読テープを届けてもらっている。かつて「沢野」姓を名乗っていたが、婿養子に入ったため「苅野」姓になった。初恋の相手である佐伯志津に、自分が「沢野」であることを名乗り出ることができず、ひそかに志津を見守り続けるつもりでいた。

山下 しのぶ (やました しのぶ)

豊上正之の学生時代からの友人。「中松出版」の「群青」編集部に勤務している女性。正之の文才にいち早く気づき、ずっと応援してきた。正之にひそかな想いを寄せつつも、正之との関係を壊してしまうことを恐れ、恋愛関係に陥らないように踏みとどまっている。

樫宮 絹 (かしみや しるく)

高原のぞみの保育園時代からの親友。ツインテールを縦ロールに巻いた髪型がチャームポイントの女の子。とても気が強い性格で、ケンカは負け知らずだが、わがままなところがあり、いつものぞみを困らせている。「聖ミカエル女学館」という私立小学校を受験したが、失敗した。

稲垣 瞭一 (いながき りょういち)

「稲垣商事」の専務を務める男性。稲垣巌と前妻との間に生まれた息子。巌からは後継者としての器に疑問を持たれていたが、豊上正宗を支持する一派と副社長一派との次期社長争いで本来の資質を発揮し、高い評価を得る。

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