雪夜の告白

雪夜の告白

美しい母親に愛されなかった醜い自分と決別し、整形手術で顔を変えて生まれ変わった1人の女性が、心の安息を求めさまよう姿を1話完結の連作短編形式で描く。「グランドチャンピオン」1992年9月1日号から1994年6月21日号にかけて掲載された作品。

正式名称
雪夜の告白
ふりがな
ゆきよのこくはく
作者
ジャンル
親子
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概要・あらすじ

雪の降る夜に生まれ、病院の窓から見た雪が余りに美しかったことから、「雪夜」と名付けられた少女・貴宮雪夜は、美しい母親にまったく似ていなかった。それを気に病んでいた雪夜は大人になって整形し、「鈴木正子」と名前を偽って、小さい会社で働いていた。ある日、会社のテレビで1年前に自宅で事故死した女優・貴宮美子の特集が行われ、彼女が未婚で産んだ娘の雪夜が、現在消息不明だという情報が流れる。

美子のファンだった社長奥さんはTVに映った雪夜の姿を見て「えらいブスだ」「母親に全然似ていない」と盛り上がっていたが、当の「鈴木正子」こと雪夜の心中は複雑だった。

登場人物・キャラクター

貴宮 雪夜 (あてみや ゆきよ)

女優・貴宮美子の娘。女優である母親の一番身近な引き立て役だった、醜い自分の顔に自信を持てずに育った。美子の死後、整形手術で美しく生まれ変わり、過去を捨てて「鈴木正子」を名乗り新たな人生を歩むこととなった。美子に似ていない自分は、母親に愛されていなかったと思い込んでいる。

貴宮 美子 (あてみや よしこ)

貴宮雪夜の母親で女優。旧華族の血を引く上品で知的な美貌を持ち、「最後の映画女優」といわれた。未婚の母として雪夜を出産して以来、女手一つで雪夜を育ててきたが1年前に自宅で事故死した。幼い頃に父親を亡くし、病気の母親を抱えて芸能界デビューをした苦労人でもある。

桃山 安良 (ももやま やすら)

貴宮雪夜の高校時代の友達で、学校一の美少女。雪夜の醜さを気にすることなく、自分の美しさにも無頓着だった。当時、貴宮美子の娘だと勘違いしたプロデューサーの目に留まり、映画デビューを果たした。現在は平凡な男性と結婚し一女をもうけているが、今も昔も雪夜を遠くから見守っている良き理解者。

社長 (しゃちょう)

「第1話」に登場する。有限会社内田商事の社長を務める中年男性。夫婦2人で会社を切り盛りしており、若くて美人な「鈴木正子」こと貴宮雪夜が働きに来てくれたことに感謝している人の好い人物。昔は貴宮美子のファンだった。

奥さん (おくさん)

「第1話」に登場する。有限会社内田商事の社長の妻である中年女性。若くて美人な「鈴木正子」こと貴宮雪夜が、自分たちの会社のような小さな会社に勤めていることをいぶかしく思い、おどおどした態度や名前にも何か違和感を覚えている。

ユカリ

「第2話」に登場する。イベントなどのコンパニオンをしている若い女性。明るくオープンな性格で、マンションの隣の部屋に住んでいる「鈴木正子」こと貴宮雪夜とは自然に言葉を交わすようになった。金づるの中年男と付き合い、若い恋人のヒロシに貢いでいる。

ヒロシ

「第2話」に登場する。ユカリの年下の恋人で、大学を2年留年している若い男性。「鍵をなくしたので部屋で待たせてほしい」と強引に「鈴木正子」こと貴宮雪夜の部屋に上がり込んで来るなど、自信過剰で遊び慣れたところがある。

武田 (たけだ)

「第4話」に登場する。「鈴木正子」こと貴宮雪夜が勤める、有限会社内田商事の取引先の若いサラリーマン。自分のことを冴えないブ男と卑下しているが、雪夜と1回デートしたことから自信を持ち、急に馴れ馴れしい態度で接してくるようになる。

岸和田 (きしわだ)

「第4話」に登場する。三木商事に勤める若くハンサムなサラリーマン。「鈴木正子」こと貴宮雪夜に定期券を拾ってもらったことで知り合い、デートする関係になる。女性の扱いが上手く、すべてにおいてスマートな男性。

マミ

「第5話」に登場する。「鈴木正子」こと貴宮雪夜と同じマンションに住む小学生の女の子。男の子たちから「ブス」といじめられていたところを、雪夜に助けられた。雪夜に「かわいい」と言われ、戸惑いながらも嬉しさを隠せない。

マミの母 (まみのはは)

「第5話」に登場する。マミの母親。娘をいじめっ子から助け「かわいい」と言ってくれた「鈴木正子」こと貴宮雪夜をお茶に誘い、ブスと言われ続けた自分の悲惨な子供時代の話を打ち明ける。家庭的で良いお母さんだが、ひがみ根性が抜けきれないところがある。

マミの父 (まみのちち)

「第5話」に登場する。マミの父親。マミの母親の家庭的なところに惹かれ結婚した男性。会社の女の子を美人と言っただけでひがむ妻に、「心までブスだ」と言ってマミを泣かせてしまうなど、善人ではあるが女性の心理に疎いところがある。

西条 元次

「第6話」に登場する。自分の初恋の相手である貴宮美子に死ぬ間際に一目会いたいと、貴宮雪夜宛てに「S」という差出人名で手紙を書いた老人。学生時代、貧しい母子家庭で育った美子に勉強を教えていたが、美子の芸能界デビューが決まり、失意に暮れて南米行きの移民船に乗ってしまった過去がある。

桃山安良の夫 (ももやまやすらのおっと)

「第7話」に登場する。桃山安良の夫で、平凡で穏やかな若いサラリーマン。娘の美里は美しい安良に似ず父親にそっくりだが、安良はそのことを嬉しく思っている。貴宮雪夜が家に遊びに来た際に初めて会うが、その美しさにドキドキしてしまう純朴な性格。

業田 大介 (ごうだ だいすけ)

「第8話」に登場する。政界の影の実力者と言われた老齢の男性。貧乏な子供時代から人からの愛情を受けたことがなく、いつか金持ちになり世間を見返してやろうとのし上がってきた苦労人。業田大介が倒れたという記事を見た貴宮雪夜は、直観的に大介が自分の父親ではないかと思ってしまう。

業田 英一郎 (ごうだ えいいちろう)

「第8話」に登場する。業田大介の息子で年齢は40歳間近。自分の両親の冷え切った関係を見てきたせいで結婚に関心がなく、父親を蔑んだような態度を取るイヤミな男性。お手伝いとして家にやって来た貴宮雪夜の態度を少々いぶかしんでいる。

業田大介の妻 (ごうだだいすけのつま)

「第8話」に登場する。業田大介の妻。大介が外に女性を作って家庭をかえりみなかったため彼に対しては無関心で、世話はすべてお手伝いに任せている。息子だけを溺愛しているが、他にはギスギスした態度を取る意地悪な人物。

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