ニコイチ

ニコイチ

訳あって、血の繋がらない息子の美人ママとして、女装する日々を送るサラリーマン・須田真琴の、恋と苦難を描いたラブ・コメディ。金田一蓮十郎の代表作で、二重恋愛コメディ路線は、『ライアー×ライアー』に引き継がれることとなる。「ヤングガンガン」2004年創刊号から2012年3号まで掲載された作品。

正式名称
ニコイチ
ふりがな
にこいち
作者
ジャンル
親子
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概要・あらすじ

平凡なサラリーマンである須田真琴は、血の繋がらない息子・須田崇の前では女装し、美人ママとして8年間生活してきた。女装して家を出て、電車に乗り、公園で着替えて会社に行く生活。子育てに少し余裕も出てきたある日、女装した真琴は、以前から気になっていた女性・藤本菜摘を、痴漢から助けることになる。以降、女装姿の真琴は「戸田須磨子」と名乗り、菜摘と急速に仲良くなる。

ところが偶然、彼女が自分と同じ会社に勤めていることを知る。真琴は、男性としての自分と菜摘の仲を進行させようと試みるのだが、やや男性恐怖症気味の菜摘にことごとく嫌われる。逆に菜摘は、同性同士による禁断の関係とわかっていながらも、戸田須磨子に恋心を抱くようになっていく。

登場人物・キャラクター

須田 真琴 (すだ まこと)

29歳のサラリーマンの男性。丸井紡績(株)の営業課に勤務する。亡き恋人・成美の子供である須田崇を、女装して育ててきた。綺麗好きで凝り性のため、女性のメイクやファッション、料理などは、研究に研究を重ね、今や完璧。思いやりが強く、他人に合わせる性格で、ややM気質。女装のときの仮名は「戸田須磨子」。普段は冴えないサラリーマンだが、女装のときのモテ度・好感度は、男女問わず高い。

須田 崇 (すだ たかし)

須田真琴の小学校5年生の息子。今は亡き、真琴の元恋人である成美の子供。真琴とは血が繋がっていない。真琴が女装していることをまったく知らず、本当のお母さんだと思っている。背が高くキレイなお母さんが自慢で、かなりのマザコン。お母さんも早く恋人を見つけて、幸せになってほしい、と願っている優しい子。

藤本 菜摘 (ふじもと なつみ)

丸井紡績(株)の経理課のOL。会社ではメガネをかけた「仕事の鬼」と見なされている。しかし、プライベートではぼんやりしていて、トロいところがある。包容力があり、ややS気質ながら、若干男性恐怖症の気がある。「戸田須磨子」こと女装した須田真琴と知り合い、男性としての真琴ではなく、女性としての須磨子に急速に惹かれていく。 甘いものが好きで、デブ関連の言葉に過剰に反応する。お金の計算が得意。

成美 (なるみ)

須田崇の実母。須田真琴が、大学時代に付き合っていた年上の彼女。施設育ちで天涯孤独の身であった。メイクアップアーティストへの道を進もうとしていたが、事故死してしまう。崇の実父である安部武明とは、成美が勤める喫茶店で出会った。

武内 隆平 (たけうち りゅうへい)

丸井紡績(株)の営業課に勤務するサラリーマンの男性。須田真琴の後輩。明るくノリが軽い性格で、社内の女子社員と出来ちゃった結婚をすることになる。写真で見た「戸田須磨子」に恋い焦がれており、結婚前に合わせて欲しいと、真琴の家に押しかけてくる。

須田真琴の母 (すだまことのはは)

須田真琴と須田司の母親。真琴の女装について文句を言う割には、「私の子が育てたから、あんな真っすぐに育った」と、真琴の子育てを評価し、須田崇の面倒もよく見てくれる。藤本菜摘と真琴が結婚することを切に願っており、菜摘に「早く子供を産んでほしい」などと発言し暴走する。

須田真琴の父 (すだまことのちち)

須田真琴の父親。真琴から女装を初めてカミングアウトされたとき、「似合ってるじゃないか」と微笑んだ。真琴が女装して須田崇を育てていることについて文句を言う須田真琴の母に対しては、「若い頃のお前に似て美人じゃないか」と諫める。器が大きいのか、とぼけているのかは、判断がつかない。いつもにこにこしており、声を荒げて怒ることがない。

須田 司 (すだ つかさ)

須田真琴の弟で大学生。真琴を「ねえちゃん」と呼ぶ。真琴とは正反対に、衝動的な性格。彼女と結婚することになったので、大学を辞めて働く、といきなり告げて、真琴を驚かせる。家庭を持ち教育費を捻出することがいかに大変か、教育を受ける環境を与えてくれた親は、卒業してほしいと思うのではないか、と藤本菜摘に説得され、あっさり結婚を延期する。 教師になるのが夢。

十萌 (ともえ)

須田司の彼女で大学生。結婚相手に会ってほしい、と司に頼まれた須田真琴が、女装した状態で十萌と会うことに。日本語の使い方がおかしく、自己紹介もしないなど、脳内がお花畑のような幼稚さがあって、真琴を驚かせる。司同様、教師になるのが夢。しかし、2人とも夢を断念した方がいいのではないか、と真琴には思われている。

長井 愛耶 (ながい あや)

須田崇の彼女で小学5年生。崇の母親好きに嫉妬し、女装の須田真琴に敵意を抱いている。通常時の真琴に、長井愛耶の父に対する度が過ぎるわがままを諭され、異常なまでに怒り狂う。それは、奇怪ではあるが、彼女なりの好意の表し方であった。いつも上から目線で女王様然としているが、自分のした間違いは認める素直なところもある。

杏野 (あんの)

須田崇の担任教師の男性。崇の母親として女装している須田真琴に、恋している。暴走しがちだが真っすぐな性格。真琴に好きな人がいると言われた際には、潔く身を引いた。

松井 悟 (まつい さとる)

丸井紡績(株)に勤務するサラリーマンの男性。須田真琴の後輩。女性にさりげない好意を示すのが上手な遊び人。武内隆平とは、モテ度を競うライバル関係にある。真琴が女装し、「戸田須磨子」として参加した合コンの場では、須磨子をホテルにお持ち帰りしてしまう。

嘉村 名保子 (よしむら なおこ)

藤村菜摘の大学時代の友人。はっきりものを言う、ロングヘアーのシャープな印象の女性。須田真琴との関係に悩む菜摘を心配している。洞察力はあるが、一番肝心なところは見抜けず、KYぶりを発揮することもしばしば。

藤本 智 (ふじもと さとし)

藤本菜摘の1つ年下の弟。整体師をしている。親が再婚同士のため、菜摘とは血が繋がっていない。イケメンで女性にモテるが、何を考えているかわからないところがある。彼女は作らずに、彼氏持ちの女性とばかり遊んでいる。菜摘には、ピュアで特別な感情を抱いており、須田真琴の天敵といえる存在。しかし、概ね交際には協力的であり、須田崇にも慕われている。

藤本 祥子 (ふじもと しょうこ)

藤本菜摘と藤本智の母親。聡の実母だが、菜摘とは血が繋がっていない。思春期の菜摘の反抗的な態度に泣かされた日々があり、菜摘と子持ちの須田真琴との結婚に反対している。ひょんなことから、女装の真琴と菜摘を交えて定期的に会うようになり、真琴のファンとなる。

高橋 (たかはし)

須田真琴の高校時代の同級生の男性。同窓会で真琴と再会する。昔からモテるタイプで、今は既婚者。彼が経営するイタリアンレストランは、高校時代の友人たちの溜り場となっている。女装した真琴が、いい女に見えれば見えるほど、本来の姿を知っているだけにイライラを募らせる。真琴の子育てに関しては、素直に称賛する。仲間内では「ハッシー」と呼ばれている。

八倉 (やぐら)

須田真琴の高校時代の同級生の男性。同窓会で須田真琴と再会する。お気楽な性格の持ち主。高校時代は彼女が欲しくてたまらなかった。下に見ている須田に彼女ができたため、ひどく落ち込み、周りにいじられまくるイジラレキャラだった。

三澤 (みさわ)

須田真琴の高校時代の同級生の男性。同窓会で真琴と再会する。頭が良く、皮肉屋だがストレートに人を誉めることも多い。真琴には、大人になった今でも、いい奴なのか悪い奴なのか、判断に苦しまれている。結婚は面倒くさいのでしない主義。キツイことも言うがアドバイスは的確。「無責任な意見にすぎんよ」と、軽くフォローも忘れない。

多田 理沙 (おおた りさ)

須田真琴の高校時代の彼女。現在は既婚者。同窓会で真琴と再会することを楽しみにしていた。真琴は多田を心から好きになれなかったため、当時の付き合いに罪悪感を抱いていた。それもあって再会後、強引な多田に振り回されることになる。

長井愛耶の父 (ながいあやのちち)

長井愛耶の父親。娘を溺愛してわがまま放題に育てており、いつも愛耶の言いなりになっている。だが愛耶には、娘を叱って嫌われたくない、自分が悪者になりたくない、という「甘え」を持つ人間だ、と見抜かれている。外見は、メガネをかけたソフトな雰囲気の男性。愛耶の強烈な性格を知る須田真琴には、「意外とまともな親御さんなのね」と評される。

安部 武明 (あべ たけあき)

須田崇の実父。成美の元恋人。大阪在住。当時、成美が妊娠したことを知っていたが、堕ろして欲しいとお金を渡していた。病気の母親が、死ぬ前に孫に会いたいと言い出したのをきっかけに、成美を捜索し、崇の存在を知る。基本的には、礼儀をわきまえた常識のある人間だが、事情により、強引なやり方で、崇に実父と名乗り出ることになる。

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