女性プロ野球選手を主人公にしたリアルな野球ストーリー
抜群の身体能力とキュートな容姿を併せ持ったマリが、偏屈な専任コーチの辺里の教えを受け、プロ野球選手として成長していく姿を描いたスポーツ漫画。NPB(日本野球機構)史上一人も存在しない女性プロ野球選手を主人公にしている点が最大の特徴だが、舞台となる日本プロ野球界は、実在する球団や選手をモデルにしたものが多い。また、マリが決め球として習得する「シンカーチェンジ」「ツーシーム」なども実在する変化球であり、リアルな野球ストーリーが展開される。
野球理論やうんちくが満載
マリの武器は、球速以上に速く見える「伸びるストレート」。女性特有の柔軟さを活かし、ボールに強いバックスピンをかけることで沈下・減速しにくいストレートを投げることができる。また、マリの新たな武器となるツーシームの歴史や握り、理論も詳しく解説される。本作はこういった投球理論をベースに、創意工夫をこらして活躍するマリの姿が魅力である。また、現実世界で導入されることもある野球統計学「セイバーメトリクス」や、配球をめぐるマニアックな心理戦、有能なスコアラーによる情報収集・分析といった、野球のうんちくが満載である点も特徴となっている。
ハートフルな野球漫画
辺里は、東都エンジェルスの元投手である。16年前、身ごもった妻と生まれるはずだった娘の鞠を亡くした過去を持つ。引退後、同球団のスカウトになった辺里は、なかなか成果を挙げられずに球団をクビになりかけていたが、妻の墓前で16歳の高校生、マリと出会う。亡き娘と同じ名前、同じ年齢の天才野球少女、マリとの出会いに運命を感じた辺里は、球団を説得しマリの専属コーチとなる。一方、マリも両親を亡くしており、祖母に育てられた少女だった。コーチと選手になった二人は、様々な試練を乗り越え、二人三脚で厳しいプロ野球界を生き抜いていく。本作は、実の父娘以上の関係となったマリと辺里を軸にしたハートフルストーリーでもある。
登場人物・キャラクター
神堂 マリ (みどう まり)
東都エンジェルス所属の女性投手。サウスポーで背番号は18。NPB(日本野球機構)史上初の女性プロ野球選手である。初登場時は18歳で、180センチメートルの長身、金髪ロングヘアーが特徴。キュートなルックスでデビューまもなくスター選手になる。16歳の時、辺里と運命的な出会いを果たし、プロ選手になる夢を実現した。球速130キロメートル前半のスローボーラーだが、抜群のキレ、伸び、制球により、体感140キロメートル超えのストレートを投げる。
辺里 教武 (へんり のりたけ)
元・東都エンジェルス投手の男性。妻とは死別しており現在は独身。同球団スカウトを経て、マリの専属コーチとなる。初登場時は50歳。48歳の時、マリと運命的な出会いを果たし、2年間でプロ野球選手に育て上げた。現役時代はマリ同様、最高球速130キロメートル台のサウスポーのスローボーラー。多彩な変化球とインサイドワークで「クセ者」と称されていた。
書誌情報
マウンドファーザー 全6巻 小学館〈ビッグ コミックス〉
第1巻
(2014-07-30発行、978-4091863492)
第2巻
(2014-12-26発行、978-4091867001)
第3巻
(2015-05-29発行、978-4091870506)
第4巻
(2015-09-30発行、978-4091872302)
第5巻
(2016-01-29発行、978-4091874405)
第6巻
(2016-03-30発行、978-4091875280)







