概要・あらすじ
ドラフト5位で、プロ野球東京コスモスの選手になった森村幹明。一軍の第三捕手のため、あまり試合に出られない森村だったが、同チームのベテラン投手の塩柳純に認められ、今年は26試合に出場することができた。そのきっかけとなったのが7か月前・5月中旬の対富士ハイランダーズの試合だった。ピッチャー塩柳、3対1、コスモス2点リードで迎えた9回表、2死満塁という局面で、4番北川の空振りしたバットが、捕手の後頭部を直撃。捕手はケガで退場となり、森村が代わりに捕手を務めることになった。塩柳は力投するが、北川はファールで粘ってカウントは3-2。すべての球種を投げ尽くし、北川の弱点のはずである低めも、今日は見極められている。そこで森村は、ある事に気づいた。北川の愛車はメルセデスベンツのSクラス。しかし、今日彼はメルセデスのGクラスで球場入りしている。おそらく最近購入したのであろう。Gクラスは全高2メートル弱あり、運転席が高いため、見下ろすように運転しなければならない。北川が苦手な低めを見極められているのは、Gクラスの運転で低めに意識を集中していたからではないか。そう考えた森村は、インハイのストレートを塩柳に要求。そしてみごとに北川を討ち取った。子供の頃から「プロ野球選手名鑑」を愛読書とし、車マニアでもある森村ならではの一手だった。この一件で、塩柳は森村を自分の運転手とし、試合でも捕手として起用するようになる。そんなわけで26試合もの試合出場を果たした森村だったが、シーズンを終え、塩柳はFAで千葉サザンウインズに移籍することになった。塩柳がいなくなれば、自分の試合出場の機会も減るが一生懸命がんばろう。そんなことを考えている森村に球団から呼び出しがかかる。契約更改には一日早いが、まさかクビになるのだろうか。不安を抱えながら森村は球団事務所で、編成担当部長らと面会。部長の話によると塩柳が、サザンウインズ移籍条件に、森村の獲得を挙げたのだという。サザンウインズは、森村の獲得に難色を示すが、最終的には森村もサザンウインズに移籍することになった。こうして塩柳によって道を開かれた森村は、選手名鑑やその他さまざまな情報を駆使して、プロの道を歩んでいくのだった。
登場人物・キャラクター
森村 幹明 (もりむら みきあき)
25歳のプロ野球選手。ポジションは捕手で、身長182センチメートル、体重78キログラム。千葉湾岸高校からアケボノ自動車を経て、ドラフト5位でプロ野球東京コスモスに入団。プロ4年目で一旦自由契約後、千葉サザンウインズに入団した。小さい頃から「プロ野球選手名鑑」を読むのが大好きで、選手のデータは大体頭に入っている。カーマニアでもあることから、特に選手が乗っている愛車については詳しい。
塩柳 純 (しおやなぎ じゅん)
37歳のベテランプロ野球選手。ポジションは投手で、身長183センチメートル、体重85キログラム。リーゼントと立派な口ひげ、あごひげが特徴。最多勝、最多奪三振、最優秀投手に二回ずつ輝いた実力派。ある試合で捕手を務めた森村幹明の、独自の視点からの情報分析を評価し、森村を自分の運転手にし、さらに試合に起用した。東京コスモスから、FAで千葉サザンウインズに移籍する際も、森村獲得を移籍条件に挙げた。
クレジット
- 原作
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