主人公は『ニセコイ』の小野寺小咲
本作は、古味直志『ニセコイ』のヒロインの一人でもある小野寺小咲が主人公を務めており、一条楽や橘万里花をはじめ、原作でおなじみのキャラクターも登場する。だが、本作はラブコメ作品ではありながらアクション要素の強い魔法少女もので、『ニセコイ』とはあくまで別の世界線の物語となっているため、原作を知らなくても楽しむことができる。ちなみに、本編と比べてセクシー描写が多いのも特徴となっている。
人間界と魔法の国、そして魔法少女
小咲たちが暮らす人間界は、対となる魔法の国と魔素が正常に循環することで状態を保っているが、最近、人間界を巡る魔素の均衡が乱れ始めている。その事態を重く見た女王キョーコは、人間界を守る魔法少女の契約を行うため、魔法動物のルーリン、ツグミャー、ホンダーソンを派遣する。それぞれの魔法動物に選ばれた小咲、桐崎千棘、万里花の三人は、魔法少女マジカルパティシエ小咲ちゃん、マジカルゴリラ千棘ちゃん、マジカルポリスまりかちゃんとなり、人間界の平穏を乱す黒魔素を排除する戦いに身を投じていく。そんな中、敵の黒幕であるドクター・マイコーや新たな魔法少女の登場により、戦いは激しさを増し、ついには人間界と魔法の国、双方を巻き込んだ大騒動へと発展する。
小咲と楽の複雑な関係
原作『ニセコイ』と同様に、本作でも小咲は楽に恋心を抱いている。一方の楽は、とある事件で自分を助けてくれた、マジカルパティシエ小咲ちゃんに思いを寄せている。ちなみに、正体が人間界の一般人にバレると、魔法少女はタニシになってしまう。また、変身時には服がはじけ飛んで全裸になってしまうこともあり、人前で魔法少女に変身することはご法度となっている。そのため、小咲は楽にマジカルパティシエ小咲ちゃんが自分であると言い出せず、結果的に、自分自身が恋敵という状態になってしまう。さらに、小咲の妹・春は小咲の恋を応援しているが、マジカルパティシエ小咲ちゃんの正体を知らないがゆえに、結果的に楽とマジカルパティシエ小咲ちゃんの関係を邪魔することになり、どんどん複雑な人間関係が形成され、小咲の恋路は前途多難の様相を呈する。本作では魔法少女の軽快なバトルアクションに加え、ドタバタなラブコメディも楽しめて、原作とは一味違った小咲の恋の行方からも目が離せない。
登場人物・キャラクター
小野寺 小咲 (おのでら こさき)
凡矢理市で暮らす少女。前髪の一部分だけを長く伸ばした黒髪のショートヘアで、眼鏡をかけている。内向的な性格で友達も多くない。生徒会長の一条楽に思いを寄せている。実家は洋菓子店「パティスリーONODERA」を営んでおり、小野寺小咲自身もお菓子作りに強い興味を持つ。ちなみに、小咲の作るお菓子は、見た目はいいが味は壊滅的で、楽には「独創的な味」と評されている。しかし、お菓子に込めた愛情は本物で、楽にもその思いは認められている。楽が銀行強盗事件に巻き込まれた際、魔法の国からやって来たルーリンの勧誘を受け、楽を助けるために契約を交わし、魔法少女・マジカルパティシエ小咲ちゃんとなった。以降、黒魔素に侵されて洗脳された人々を解放するために日夜戦っている。
一条 楽 (いちじょう らく)
小野寺小咲と同じ学校に通う男子で、世界有数の大財閥「一条コンツェルン」の御曹司。小咲の先輩にあたり、生徒会長を務めている。オールバックの髪型で、左のこめかみ部分にヘアピンをクロスの形に留めており、眼鏡をかけている。文武両道の爽やかなイケメンで、誰に対しても分け隔てなく優しく、落ち着いた口調で話す。また、大事な者や弱い者を守るためなら自らの身の危険を顧みない、強い正義感の持ち主。そのため、女子生徒からも非常に人気が高い。何かとトラブルの現場に居合わせる間の悪いところがあり、銀行強盗事件に巻き込まれた際、マジカルパティシエ小咲ちゃんに助けられたことをきっかけに、彼女に思いを寄せるようになる。ちなみに、小咲とはほとんど接点がないながらも同じ学校に通う生徒として認知しているが、マジカルパティシエ小咲ちゃんと同一人物であることには気づいていない。
クレジット
- 原作
関連
書誌情報
マジカルパティシエ小咲ちゃん!! 全4巻 集英社〈ジャンプコミックス〉
第1巻
(2015-06-04発行、 978-4088804019)
第2巻
(2015-11-04発行、 978-4088805559)
第3巻
(2016-06-03発行、 978-4088806648)
第4巻
(2016-10-04発行、 978-4088808598)