概要・あらすじ
パプアニューギニアの少年コドワと日本の少女篠原波子の出合いがきっかけのひとつとなり、コドワの一族が古くから伝えてきた恐ろしい神が現代によみがえる。古き伝統文化を守ることを選んだコドワは、文明化へ向かおうとする不可避的な時代の流れだけでなく、神話にも描かれている人間社会に混沌をもたらす大いなる存在とも戦っていくことになる。
登場人物・キャラクター
コドワ
パプアニューギニアの少数民族・ガワン族の酋長の息子で、一族に伝わる特別な入墨が全身に施されている。日本に留学し語学など高い教育を受けているが、現代では迷信とされる古い呪術を使うこともできる。
篠原教授 (しのはらきょうじゅ)
人類学の教授で、15年前からパプアニューギニアのガワン族を研究を続け、酋長の一族以外知ることのできない秘密を探るためコドワを連れて日本に帰国したが、タブーを犯したその行為が仇となり命を落とす。
篠原 波子 (しのはら なみこ)
篠原教授の娘で、日本に留学中のコドワと一緒に暮らし家族として認められ、お守りの首飾りをもらっている。父の死後も、コドワとは何度も再会し、行動をともにすることとなる。
エリザベス・バートン
メルボルン大学の研究者で、何年もガワン族の村で暮らし、村の人々に言葉や文明世界の知識を伝える教師役も務めている。篠原波子とは幾度も行動をともにする。
一樹 (かずき)
篠原教授の義弟で、篠原波子の叔父にあたる人物。義兄と同じ人類学者の助教授でもある。日本に現れたコドワを追って行方不明となる。
ジェームス・マオリ
国外からの来訪者を案内するパプアニューギニアのパトロール役人。古い習慣を嫌い、パプアニューギニアを文明的な国に変えたいと考えており、篠原波子やスミス博士らにカヌーの男の伝説を話して聞かせた。
峰 隼人 (みね はやと)
行方不明となった一樹を捜し、再びパプアニューギニアを訪れた篠原波子と行動をともにする若い比較民俗学者。ニューギニアの民族文化には、日本の縄文文化と共通する要素が数多く見られると篠原波子に話す。
ピキちゃん
東京の住宅造成地で地中から発見された男性。記憶を失っていたが、パプアニューギニア奥地の言葉を話したことから、篠原波子とエリザベス・バートンとともにパプアニューギニアへ向かう。名前がわからなかったため篠原波子がつけた「ピキちゃん」という愛称は「赤ん坊」という意味。
ン・バギ
『マッドメン』に登場する、ガワン族の守り神。深い森の中にいると信じられており、戦いの神として崇拝されている。ガワン族に伝わるさまざまなタブーが破られると災いをもたらす畏怖の対象でもある。酋長の一族しかその姿を見ることはできないとされ、恐竜にも似たその姿は親族以外見ることの許されない特別な入墨として、コドワの胸にも彫り込まれている。
アエン
『マッドメン』に登場する悪霊。パプアニューギニアの神話にも登場する伝説上の存在で、オンゴロと呼ばれる岩に封印されていたとされるが、巨大なひとつ目の面を被った人間の姿で現実世界に現れ、文明化を進めようとするパプアニューギニアの人々に混乱をもたらした。
場所
パプアニューギニア
『マッドメン』の主人公コドワの故郷で、物語の舞台のひとつ。太平洋、オセアニアのニューギニア島にある実在する国家。
その他キーワード
マッドメン
『マッドメン』に描かれている、ガワン族に古くから伝わるシング・シングの祭りの参加者が被る、泥で作った仮面。被ると死んだ祖先の霊(アイオス)が宿るとされ、霊自体が仮面を被った村人の姿で現れることもある。
カヌーの男
『マッドメン』で語られる、パプアニューギニアに古くから伝わるとされる伝説。世界が災厄に見舞われたとき、カヌーで川を遡ってパプアニューギニアにやってきたとされ、災厄が去ったかどうかを鳥を放って確認しようとしたという伝説が残っている。
大いなる仮面 (おおいなるかめん)
『マッドメン』に登場する霊的存在。ニューギニアの文明化を進めるべきか悩むコドワに、さまざまな助言を与える。