海賊王を超えるため、新世界を目指すエースの冒険譚
尾田栄一郎著『ONE PIECE』の主人公モンキー・D・ルフィの義兄でもある人気キャラクター、ポートガス・D・エースの若き日の冒険を描く。物語の始まりの地は、脱出不可能とされる東の海の無人島シクシス。コルボ山の海岸から旅立った17歳のエースは、遭難してこの島にたどり着き、マスクド・デュースと出会う。紆余曲折を経て意気投合した二人は「スペード海賊団」を結成。メラメラの実で得たエースの火の能力とデュースの知恵で島を脱出する。「海賊王」と呼ばれたゴール・D・ロジャーの息子であるエースの目標は父を超えること。そのためにエースは、かつて父と互角に渡り合った男、生ける伝説「白ひげ」ことエドワード・ニューゲートの首を狙い、「偉大なる航路」後半の海である「新世界」を目指す。
火拳のエースの知られざる物語が語られる
本作の特徴は、「スペード海賊団」の第一クルーであるデュースの視点で物語が進行する点。本編でエースが死んだ後、デュースの手記という形で物語が綴られている。エースとデュースの出会いと「スペード海賊団」の結成、エースがメラメラの実を食べた経緯など、本編では描かれなかったエピソードが語られる。また、「白ひげ」との戦いを経て、エースが白ひげ海賊団2番隊隊長になる様子が、より丁寧に描かれており、本編を補完する外伝として楽しめるようになっている。
原作者に認められた二人によるスピンオフ
本作のネーム構成を担当したのは、尾田栄一郎のアシスタント経験を持つ石山諒。作画は高い画力で定評のあるBoichi。単行本に寄せられたBoichiのメッセージによれば、「Boichiさんの絵柄でエースのアクションが見たい」という尾田のリクエストがあったという。作品の出来について、尾田は「ありがとうとしか言えません!!! すげー迫力」と、単行本第2巻の帯で絶賛している。ちなみにBoichiは、本作以前に『ONE PIECE』の第51話「ロロノア・ゾロ、海に散る」をカヴァー(リメイク)している。これは『ONE PIECE』の名場面をさまざまな作家がカヴァーする「『ONE PIECE』カヴァーコミックプロジェクト」の第1弾だった。また、その後もBoichiは、第411話「ナミ vs カリファ」のカヴァーを担当。これらのカヴァー作品は、それぞれ本作の単行本の第1巻と第2巻の巻末に収録されている。
登場人物・キャラクター
ポートガス・D・エース
「火拳のエース」の異名を持つ海賊の男性。モンキー・D・ルフィ、サボとは、子供の頃に兄弟の杯を交わした仲で、ルフィの義兄にあたる。東の海の無人島に流れ着き、難破船にあった「メラメラの実」を食べたことから炎を操る能力者となった。同じくこの島で遭難していたマスクド・デユースと出会い、力を合わせて島を脱出。二人で「スペード海賊団」を結成。かつて海賊王と互角に渡り合った、大海賊「白ひげ」エドワード・ニューゲートの首を狙う旅に出る。
マスクド・デュース
仮面をつけた青年。航海の途中、遭難して東の海の無人島シクシスにたどり着き、同じく遭難したポートガス・D・エースと出会う。子供の頃に読んだ「ブラッグメン」という冒険記に触発され、皆が驚く冒険記を書くことを夢見ている。「メラメラの実」で能力者となったエースの炎の威力を動力源とする小型船「ストライカー」を制作。二人で島を脱出する。素顔とともに本名も捨てた名無しだったが、「1(エース)」を支える「2(デュース)」という意味で「マスクド・デュース」となり、二人で「スペード海賊団」を結成する。
エドワード・ニューゲート
白ひげ海賊団船長。「偉大なる航路」後半の海域である「新世界」に君臨する四皇の一人。「海賊王」ゴールド・D・ロジャーと互角に渡り合ったという大海賊。常人の数倍はある巨体、黒いバンダナ、三日月型の立派な白い口ひげが特徴。通称は「白ひげ」。悪魔の実「グラグラの実」の能力者で、振動を起こすことによって地震や津波を引き起こすことができる。仲間を逃すために、一人で自分に立ち向かったポートガス・D・エースを気に入り、白ひげ海賊団に誘う。
クレジット
ベース
ONE PIECE (わんぴーす)
尾田栄一郎の初連載作品にして代表作。麦わら帽子を被る少年、モンキー・D・ルフィが、海賊王になるためにひとつなぎの大秘宝、ワンピースを探し、仲間たちと共に航海の旅をしていく。集英社「週刊少年ジャンプ」1... 関連ページ:ONE PIECE
書誌情報
ONE PIECE episode A 2巻 集英社〈ジャンプコミックス〉
第1巻
(2022-08-04発行、 978-4088832234)
第2巻
(2022-08-04発行、 978-4088832241)