概要・あらすじ
私立比良方高等学校の水球部に所属する寺澤は、水球の勝負そっちのけで技の美しさにこだわっていた。そんなある日、寺澤は梅軒と出会い、彼の華麗でダイナミックな技に魅了される。そして水泳部の天野から、寺澤が求めているのはシンクロナイズドスイミングではないかと指摘され、それをきっかけにシンクロ部を設立しようと思い立つ。
最初、寺澤は水球部の部員を騙してシンクロ部を作ろうと考えていたが、部長らの理解を得たことにより、徐々に水球部はシンクロ部へとシフトしていくようになる。そしてその間に、梅軒とのシンクロ勝負など、さまざまな試練を乗り越えていく。
登場人物・キャラクター
寺澤 (てらさわ)
私立比良方高等学校の水球部に所属する男子。水球の勝敗には興味がなく、とにかく美しく華麗にゴールを決めることにこだわっている。視力が悪く普段は眼鏡をかけているが、試合中は外しているため、オウンゴールすることもある。ある日、遊園地の池で梅軒と出会い、華麗でダイナミックな泳ぎに感銘を受け、天野には寺澤が目指しているのはシンクロナイズドスイミングではないかと指摘される。 それをきっかけに、シンクロ部の創設を決意。その際に天野や栗下を巻き込み、また水球部の部員たちを騙して部を作ろうとするなど、卑怯な手口を使った。しかし、梅軒率いるシンクロチームと対戦するうちに、水球部をシンクロ部にシフトさせることに成功している。 のちに天野と付き合うことになる。
天野 (あまの)
私立比良方高等学校の水泳部の女子高生。華麗な技への妙なこだわりさえなければすごい才能の持ち主であると、寺澤のことを高く評価している。ある日華麗な泳ぎを目指していると言う寺澤に、それはシンクロナイズドスイミングだと指摘したことで、寺澤がシンクロ部を作るきっかけとなる。その際に栗下とともに勝手にメンバーに入れられ、最初は嫌がっていたが、流れでそのまま参加することになる。 普段はクールだが、寺澤と付き合うことになった時には乙女な一面も見せる。
栗下 (くりした)
私立比良方高等学校の水球部に所属する男子で、寺澤の後輩。寺澤がシンクロ部を創設する際、勝手にメンバーに入れられてしまう。寺澤のことは崇拝しているものの、ツッコむべきところはしっかりとツッコむ。女子のような可愛らしい見た目で、水球部のメンバーからは性的な目で見られることも多い。寺澤が梅軒と勝負する時には勝手に賭けの賞品にされてしまった。 それが後々まで、寺澤たちと梅軒が勝負を繰り返す要因にもなっている。
部長 (ぶちょう)
私立比良方高等学校の水球部で部長を務める男子。がっしりした体格の持ち主で、水球での寺澤の妙なこだわりに対して、鉄拳を食らわせることもある。水球部をやめてシンクロ部を作りたいと言った寺澤に対して水泳勝負を持ちかけ、卑怯な手口で勝利を収める。梅軒との勝負に向けてシンクロを練習するうちに興味を持ち、水球部をシンクロ部と兼ねることを了承。 ちなみに部は、その後次第にシンクロの占める割合が大きくなっていく。のちに、生徒会長と付き合うことになる。
芝野先生 (しばのせんせい)
私立比良方高等学校のセクシーな女性教師。当初、寺澤がこっそり水球部兼シンクロ部という形で部の申請をした際、何も知らずにそれを受け入れ、顧問への打診もあっさり了承した。だが、のちに寺澤が水球部を騙してシンクロ部を作ったと知ると激昂し、仲間を集めて改めてシンクロ部を作るように諭す。シンクロの演目を考えることもあるが、そのアイデアはかなり奇抜である。
梅軒 (ばいけん)
いつも遊園地の池に出没している老人男性。5分間の無呼吸運動や水中からのジャンプなど華麗な技術で、寺澤の目をくぎ付けにした。この時、栗下を賭けの賞品にして寺澤と勝負を行い、梅軒が勝利したにも関わらず、栗下を引き渡す約束をすっぽかされてしまう。これを恨み、自らが抱える外国人の弟子たちを率いて私立比良方高等学校の水球部兼シンクロ部に勝負を挑む。 シンクロの腕は確かで、この勝負を通して結果的に水球部がシンクロ部にシフトするきっかけを与えた。美少年好きで、それゆえに栗下にも執着している。
生徒会長 (かいちょう)
私立比良方高等学校で生徒会長を務める女子。当初シンクロ部を兼ねるようになった水球部のことを快く思っていなかった。しかし、離れ小島に流されてしまった栗下を水球部メンバーが救出したドキュメント映像を見て考えを改め、水球部兼シンクロ部に部費を捻出した。以降、部の活動を監視するようになる。実は部長のことが好きで、部長と交換日記を始め、流れで告白して付き合うようになる。
オジさん
梅軒がよく出没する遊園地の池を管理する中年男性。池で毎回大暴れする水球部兼シンクロ部に目をつけており、池で練習するのを見かけては追い出そうとする。しかしのちに寺澤とは家族同然の付き合いとなり、寺澤が引き連れてきた水球部兼シンクロ部にお小遣いを渡すまでになる。
館長 (かんちょう)
水族館「比良方マリーン海館」の館長を務める男性。建物の建設に金をかけすぎたため館内で展示する生き物を購入できなくなり、経営難に苦しんでいる。起死回生をかけたアイデアとして、私立比良方高等学校の水球部兼シンクロ部と梅軒率いる外国人軍団との試合を、館内のイルカスタジアムで行うことを提案する。
江戸 (えど)
水族館「比良方マリーン海館」でただ1人働く男性職員。経営難に陥って苦しんでいる館長に対し、起死回生の手段として水中バレエを提案する。これがきっかけとなり、館長が私立比良方高等学校の水球部兼シンクロ部に声をかけ、梅軒と外国人軍団との勝負をイルカスタジアムで行うこととなった。
オーナー
「ゴッドペンション上下ミラクル荘」のオーナーの男性。しかし、今は借金まみれでペンションは営業していない。ちなみにこの借金は、当時付き合っていた女性に全財産を奪われたため。私立比良方高等学校の水球部兼シンクロ部に、合宿のためにペンションを利用させてほしいと提案される。
村の長 (むらのおさ)
水族館「比良方マリーン海館」のイルカを海に帰そうとした栗下が流れ着いた離れ小島の村長。島の食物連鎖の頂点に立つマンドリルを恐れ、毎日マンドリルが現れる時間になると村人たちとともに洞窟に隠れている。島に流れ着いた者をマンドリルを倒す刺客として送り込んでいるが、刺客はすべて返り討ちに遭い、命を落としている。
マンドリル
村の長が治める村を荒らし、島の食物連鎖の頂点に立っている動物。毎日同じ時間にエサを求めて現れ、畑を荒らしたり家畜を食ったりしている。対峙した村人たちはことごとく倒されており、村人はマンドリルにおびえた生活を余儀なくされている。栗下を探しに来た私立比良方高等学校の水球部兼シンクロ部は、マンドリルを倒す作戦を立てる。
水っ球さん (すいっきゅうさん)
私立比良方高等学校の水球部兼シンクロ部がピンチになった時に現れる謎の助っ人。正体は、天野のスクール水着をかぶって変装した寺澤である。雑な変装であるため、天野など一部の人間には既に正体がバレているが、部長たちは一切気付いておらず、水っ球さんに感謝すらしている。かぶっている水着で眼鏡が固定されるため、敵味方のゴールを見誤ることなくボールを投げることが可能で、普段の寺澤よりも高い能力を誇る。
集団・組織
水球部 (すいきゅうぶ)
私立比良方高等学校に設立され、部長を筆頭として寺澤や栗下が所属している部活。当初シンクロ部を創設しようとした寺澤は、水球部に黙ってシンクロ部と兼ねることで部の申請を通していた。その後、梅軒との対決を通して部長はシンクロ部と兼ねることを正式に了承し、徐々にシンクロ部へとシフトしている。
応援団 (おうえんだん)
私立比良方高等学校に設立された応援団。シンクロ部を兼ねるようになった水球部が、シンクロを導入したことですっかり弱くなってしまったことを嘆き、喝を入れようとする。しかし、梅軒のもとで山にこもって特訓を受ける水球部兼シンクロ部を見て、ひとまずは様子を見ることを決める。
北マリアナ諸島連合 (きたまりあなしょとうれんごう)
オットー国際シンクロ大会に毎回出場している強豪チーム。過去に梅軒率いる外国人軍団と勝負した際、梅軒らが真剣白羽取りの演技中に北マリアナ諸島連合のメンバーが集中をそらせたため、誤って梅軒の頭が刀で真っ二つにされるという事態を引き起こしたことがある。水に竜巻を起こす「スぺシャルローリングドラゴンライザー」などのダイナミックな技を得意としている。
場所
私立比良方高等学校 (しりつひらかたこうとうがっこう)
寺澤たちが通う私立高校。この学校に設立された水球部は、寺澤の思惑によりシンクロ部と兼部にされており、部員全員が掛け持ちすることを条件にシンクロ部の設立が認められた。最初は水球部が騙される形になっていたが、のちに梅軒の影響によって水球部の部員たちが理解を示すようになり、徐々にシンクロ部にシフトしていくことになる。
比良方マリーン海館 (ひらかたまりーんかいかん)
経営難にあえいでいる水族館。「ふるさと創成基金」まで使用して立派な建物を建設したが、建物に金をかけすぎたため展示する魚を購入できない状態にある。館長の他、職員は江戸1人だけしかいない。起死回生の手段として、客寄せのために私立比良方高等学校の水球部兼シンクロ部と、梅軒率いる外国人軍団の試合を館内で行うことになった。
イベント・出来事
オットー国際シンクロ大会 (おっとーこくさいしんくろたいかい)
毎年1回開催されるシンクロナイズドスイミングの大会。参加資格は男女問わないが、出場する選手は強さと美しさを求める男性ばかりで、女性は恐れをなしてほとんど出場していない。それを逆手に取り、私立比良方高等学校の水球部兼シンクロ部は、女性である天野と生徒会長を出場させた。屈強な外国人チームが多く、北マリアナ諸島連合は強豪として名を馳せている。
クレジット
- 原案