世界観
普通の中学校、月杜中学校の美術部が舞台となっており、そのメンバーの日常が描かれている。基本的には少し変わった個性を持った美術部員たちを描くギャグメインの学園モノだが、ラブ・コメディの要素も色濃い。常識人の少女・宇佐美みずきと重度の二次元オタク・内巻すばるの関係性の変化も見どころとなっている。
あらすじ
月杜中学校美術部の部員は一癖も二癖もあるメンバーばかり。部活にはやって来るものの、毎回ソファで寝ている部長、トラブルメーカーで、いつも何かとトラブルの火種を起こすコレット、そして絵の実力があるものの、「最強の二次元嫁を描き出すこと」を夢見る内巻すばる。この個性豊かなメンバーを前に、美術部唯一の常識人の宇佐美みずきがツッコミを入れる日々を送っている。しかし、みずきは密かに同じ部員のすばるに想いを寄せていた。そのため、みずきはさまざまな方法で自分をアピールするが、すばるの心はまったく揺らがない。すばるは三次元にはまったく興味を示さず、「二次元に生きる男」だったのだ。
メディアミックス
TVアニメ
2016年7月から9月まで及川啓監督によるTVアニメ版がTBS、BS-TBS、CBC、サンテレビにて放送された。キャラクターデザインは大塚舞、脚本は荒川稔久が担当している。主なキャストは宇佐美みずき役を小澤亜李、内巻すばる役を小林祐介が、それぞれ演じている。
webラジオ
2016年7月7日から10月13日まで、「アニメイトタイムズ」にてwebラジオ『この美術部ラジオには問題がある! ~アトリエこの美!~』が配信されていた。パーソナリティは宇佐美みずき役の小澤亜李と内巻すばる役の小林祐介の2名。
登場人物・キャラクター
宇佐美 みずき (うさみ みずき)
月杜中学校の美術部に所属する2年生の女子。変人ばかり所属している美術部では唯一の常識人。美術部をなんとか一般的な美術部のレベルにするために努力している。しかし、他の部員は問題のあるメンバーばかりで、普段から彼らの奇抜な言動に振り回されている。そのため、常識人ポジションを活かしたツッコミ役として立ち回ることが多い。 実は怒ると恐く、時には武器を使って相手を血みどろにするなど、凶暴な一面もある。内巻すばるに好意を抱いており、本人はそれを隠しているつもり。だが、部長やコレットには勘づかれて、何かと茶化されている。
内巻 すばる (うちまき すばる)
月杜中学校の美術部に所属する2年生の男子。かなり酷い二次元趣味の持ち主で、最大の夢は「最強の二次元嫁を描き出すこと」。そのため、三次元の女子にはまったく興味を示さない。普段からアニメタッチの絵を描いて、二次元嫁を量産している。実際に絵は上手く、アニメタッチのキャラクターを描いて、コンクールで受賞したこともある。 普段はクールだが、二次元嫁に対する情熱は並々ならぬものがある。性格の設定はもちろん、絵には表れない下着の設定も行う、というこだわりよう。そんなオタク気質全開の人物。整った顔立ちで、一般的に「可愛い顔」と評されている。
部長 (ぶちょう)
月杜中学校の美術部部長を務める3年生の男子。部室にはやって来るものの、美術部の活動には積極的でなく、いつもソファーに寝転がって、だらだらと過ごしている。また勝手にフランス製の快眠枕を購入するなど、困った部費の使い方をしている。そのため、「外に絵を描きに行こう」などと部長らしいことを言うと、部員たちからは驚かれてしまう。 周りからは勉強しているイメージを持たれていないが、実は成績優秀。幼なじみのののかには「ヨウちゃん」と呼ばれているが、本名は不明。
コレット
月杜中学校の美術部に所属する1年生の女子。外国人ながら、小さい頃に両親の仕事の都合で日本に来た。そのため、日本在住歴は6~7年になり、日本語が堪能。天真爛漫な明るい性格だが、イレギュラーな行動に出ることが多く、部内一のトラブルメーカー。お金持ちで、いつもリムジン乗って移動している。
伊万莉 まりあ (いまり まりあ)
月杜中学校に転校して来た2年生の女子。アニメや漫画が好きで、席が隣同士になった内巻すばるとは、転校初日に意気投合した。運動神経が良く、本人も体力に自信を持っているが、絵心はあまりない。自分が創設した漫画研究会に所属している。アニメや漫画の影響で、重い中二病を患っている。
小山 幸夫 (こやま ゆきお)
月杜中学校の新聞部と美術部顧問を務める男性教師。部長にやる気を出させるために「ぐっすり睡眠講座」という本を送るなど、部員の指導方法には定評がある。のちに新聞部専属顧問となり、美術部顧問を立花夢子に任せた。その際に、夢子が美術部の生徒と仲良くなれるように上手く取り計らうなど、気遣いのできる人物。 ちなみに既婚者だが、妻とは別居中。
立花 夢子 (たちばな ゆめこ)
月杜中学校の美術部の顧問を小山幸夫から引き継いだ女性教師。心優しい性格だが、新米教師ということもあり、まだ頼りないところがある。本人に自覚はないが、部員が仕上げた絵画を見て、その上から花丸を描いてしまうなど、かなりの天然。普段からメガネをかけており、これを外してしまうと、ほとんどなにも見えなくなるほどに目が悪い。
諸星 (もろぼし)
月杜中学校で内巻すばると伊万莉まりあのクラス担任を務める男性教師。比較的普通の感性の持ち主だが、時には冗談を言ってクラスの生徒を笑わせ、場を和ませている。まりあから「暗黒魔道書探求の宴」という名前の同好会を作りたいという話を持ちかけられた時は、すぐに却下した。
マヤ
月杜中学校の養護教諭を務める女性。普段は保健室にいる。立花夢子とは、夢子の机の上にあるアメを勝手に食べたり、お互いのことを名前で呼び合うなど、かなり親しい間柄。
武田 (たけだ)
月杜中学校の男性教師で、宇佐美みずきの1年生時の担任。みずきが迷子になっていた萌香を助けて学校で表彰された実績を買っており、生徒会に立候補させようとしていた。みずきが返事を渋っていても、勝手に生徒会の立候補の申請を行うなど、少々強引なところがある。
ののか
月杜中学校に通う3年生の女子。部長の幼なじみで、部長のことを「ヨウちゃん」と呼んでいる。正義感の強い人物で、弱い者いじめやルール違反をしている者を見つけると、必ず注意する。大きくなりたいと願っていた幼少期の部長に、「寝る子は育つ」と言ったことがあり、これが部長が現在ぐうたらと寝てばかりいる一因となった。悩みは胸が小さいこと。
美術に自信のある男子 (びじゅつにじしんのあるだんし)
月杜中学校に通う2年生の男子。絵を描くことにかなり自信を持っており、コンクールなどで入賞したことのある内巻すばるを、一方的に敵視している。美術の専門書は100冊以上読み漁っているため知識も豊富。しかし、コンクールでは入賞したことがなく、結果が伴っていない。現在もすばるを付け狙っている。
小枝木 由佳 (さえき ゆか)
月杜中学校に通う1年生の女子。内巻すばるにラブレターを出して告白した。三次元に興味がないすばるには振られて結果となったが、その際、すばるは宇佐美みずきが好きなのではないかと勘繰っていた。
綾瀬 かおり (あやせ かおり)
月杜中学校に通う2年生の女子で、宇佐美みずきの友人。元気いっぱいで、友人グループの中では発言する機会も多い。絵心がまったくなく、本田さやかや国川涼子と行った絵描き対決では、ずば抜けて下手な絵を披露していた。
本田 さやか (ほんだ さやか)
月杜中学校に通う2年生の女子で、宇佐美みずきの友人。新聞部に所属しており、内巻すばるとみずきが間接キスをした時は、そのことをネタに校内新聞を書いたことがある。また、ゴスロリの服を所有しており、美術資料としてみずきに貸したこともある。
国川 涼子 (くにがわ りょうこ)
月杜中学校に通う2年生の女子で、宇佐美みずきの友人。周りの友達と比べて一番の長身で、性格も大人っぽく落ち着いている。しかし、みずきを内巻すばる関係の色恋沙汰でからかう時は、友達と一緒になってはやし立てるなど、子供らしい一面もある。
宇佐美みずきの母 (うさみみずきのはは)
宇佐美みずきの母親。かなりの巨乳の持ち主で、見た目も若々しい。自分の娘が内巻すばるに好意を抱いていることを知っており、みずきの恋路を陰ながら応援している。しかし、みずきとすばるの会話をこっそり聞いていたり、すばると電話する時には、みずきの隣についてその会話を聞こうとしたりと、行き過ぎた行動をとることもある。
萌香 (もえか)
静香の5歳の娘で小山幸夫の孫娘。静香とはぐれ、コレットに手をひかれて歩いていたところを、宇佐美みずきと内巻すばるに発見された。最初はみずきとすばるを警戒していたが、すばるが描いた静香の絵を見て、自分の母親の知り合いだと確信し、警戒心を解く。これがきっかけで、萌香も絵を描くことが好きになった。 将来の夢は「びじつぶ」。
静香 (しずか)
萌香の母親で小山幸夫の娘。少し目を離した隙に萌香を見失ってしまう。偶然通りがかった当時中学1年生の宇佐美みずきと内巻すばるに声をかけ、一緒に娘を探してもらうことを依頼した。
ウサミ
内巻すばるが愛するキャラクター。兎の力を持つ14歳の少女という設定。性格は天真爛漫で、誰とでも仲良くなれるタイプ。兎の力により、人間離れした跳躍力を持っている。すばるは、ウサミという名が、宇佐美みずきの名字と読みが同じでややこしいと、みずきのことを下の名前で呼ぼうとしていた。のちにウサミには彼氏がいることが発覚し、失望したすばるに「女狐」呼ばわりされる。
マダムラビット
「悪の暴力女幹部」という設定の女性キャラクター。新しいストラップを買おうとして迷っている宇佐美みずきに、内巻すばるが「ピッタリ」だとして紹介した。すばるは、怒るとすぐに手が出るみずきと、このキャラクターを重ねあわせていた。キメ台詞は「イイコトするやつは鉄拳制裁だよ」。
ボブ
コレットが生み出した黒人のキャラクター。もともと、内巻すばるが新しい嫁の髪型で悩んでいる時に、宇佐美みずきが「例えばショートボブとか」と提案したことがきっかけ。しかしボブは髪がなく、すばるからは「ハゲてるじゃないですか」とツッコまれていた。
ロイヤル・マリアンヌ・エルフィンデール (ろいやるまりあんぬえるふぃんでーる)
内巻すばるが描いた二次元嫁の1人。名家出身のおっとりとしたお嬢様。婚約者がいながら、街の画家と恋に落ちてしまい、家を捨てているという設定。しかし、宇佐美みずきからは「目とか鼻を輪郭と一緒に描いちゃダメ」と、その絵の描き方を指摘され、そのうえ切り刻まれて「福笑い」として活用されてしまっている。
集団・組織
美術部 (びじゅつぶ)
月杜中学校にある部活動。絵を描く才能はあるが、二次元嫁ばかり描いている内巻すばる、常にソファで寝ていて、やる気のない部長、トラブルメーカーのコレットと、問題のあるメンバーが所属している。それでも密かに美術活動はしており、コンクールや街の美術関係イベントなどにしばしば参加している。
オカルト研 (おかるとけん)
月杜中学校にあるオカルト関係を取り扱う部活動。小山幸雄が美術部の宣伝を兼ねて、他の部活動のポスター作りをする際に、テーマとなった部活動でもある。宇佐美みずきと内巻すばるの2人は、もっとメジャーな部活動のポスターを描く構想を立てていた。そのため、マイナーで陰鬱な雰囲気のあるオカルト研のポスターを制作するという話を部長から聞いた時は、あまりピンときていなかった。
漫画研究会 (まんがけんきゅうかい)
月杜中学校にある同好会。伊万莉まりあが創設したもの。部員数はまりあ1人のみなので、部活動として認められていない。この同好会に入るためには、まりあの出すアニメ関係の問題に答えなければならない。なお、まりあは当初同好会名を「暗黒魔道書探求の宴」とする予定だったが、担任教師の諸星に却下された。
場所
月杜中学校 (つきもりちゅうがっこう)
宇佐美みずきたちが通う中学校。かなりの数の部活動が存在しており、なかには他の学校では見られないような珍しい部活動も存在する。そのため教師は、小さな部活動であれば、複数の顧問を兼任することもある。
Book Begin (ぶっくびぎん)
月杜中学校の近くにある本屋。宇佐美みずきや内巻すばるも学校帰りに立ち寄ることがある。みずきはここで漫画を手に取っているところをすばるに偶然見られ、照れ隠しにコレットに頼まれたと嘘をつき、罪悪感に苛まれたことがある。万引き行為に対しては厳しく対応しており、見つけ次第有無を言わさず警察へ通報する。
美術室 (びじゅつしつ)
月杜中学校の美術部が活動する時に使用する教室。中には部長がいつも寝ているソファがあったり、内巻すばるが勝手に持ってきた等身大パネルの二次元嫁がロッカーの中にしまわれているなど、何かとフリーダムな場所となっている。
イベント・出来事
写生大会 (しゃせいたいかい)
部長が突然考案した活動。日曜日に行われた。遊具に乗って遊んでいたコレットが宇佐美みずきにぶつかって、2人の関係がギクシャクしたり、釣りをしていた内巻すばるが、釣り上げた長靴をみずきの頭に乗せてしまい、みずきが怒ったりと、かなり騒がしいイベント。ちなみに言いだしっぺの部長は、寝坊のため不参加だった。
プール掃除 (ぷーるそうじ)
月杜中学校が毎年行っているプールの清掃作業。各部顧問の先生がクジを引き、当たりを引いてしまった部の部員が、プール開きに備えて学校のプールを掃除する、という決まりになっている。立花夢子がこのクジの当たりを引いて、美術部のメンバーがプール掃除をする羽目になり、やはり騒動を巻き起こす。
つくもり絵画コンクール (つくもりかいがこんくーる)
月杜中学校の美術部のメンバーが参加している絵画コンクール。これまで既に14回開催されている。13回目のコンクールでは、内巻すばるが自分の描いた二次元嫁を出展し、見事銀賞に輝いた。コンクールで賞をとった作品は、会場で展示されることになっている。
町内アート展示会 (ちょうなあーとてんじかい)
宇佐美みずきの町で開かれる美術の展示会。テーマは「リサイクルアート」で、このイベントに目を付けた立花夢子が、空き缶アートで参加しよう、と美術部のメンバーに持ちかけた。途中、空き缶がゴミと間違われて捨てられたりと、作品の制作は大変なものだった。最終的に、巨大な絵の具チューブの形をした空き缶アートを完成させた。
その他キーワード
3本の矢 (さんぼんのや)
部長が宇佐美みずきと内巻すばるにプレゼントした矢。「1本の矢では折れてしまうが、3本の矢を束ねれば折れない」と、自分とみずき、すばるを当てはめて話し、その後に、「これからも協力しよーぜ」と言って実際に2人にプレゼントしたもの。しかし、2人からは「いらない」と言われてしまう。
ロケット
コレットが大事にしているペンダント。コレットはこのロケットを紛失し、内巻すばると一緒に校内を探し回った。しかし、結局コレットが制服のポケットの中に仕舞ったまま忘れていただけ、という騒動を巻き起こした。すばるは、ロケットの中にコレットの家族の写真が入っているものだと予想していたが、実際はコレット1人が映ったプリクラが入っている。 コレットいわく「すごく大切な写真」。
ぐっすり睡眠講座 (ぐっすりすいみんこうざ)
小山幸雄が部長のやる気を引き出すために送った本。部長の居眠りを増長するようなもので、部長は「昼寝というのは意外と健康にいいんだぞ!」と本の内容を取り上げて、昼寝の効能を力説していた。また、この本は各部員に5冊ずつ、計20冊も贈られている。
井戸端会議作戦 (いどばたかいぎさくせん)
新しく美術部の顧問となった立花夢子を逃がさない作戦。適度に部長が話題を振りつつ、夢子をその場に引きとめておく。宇佐美みずきと内巻すばるが、美術部の顧問となった夢子の絵を描くというサプライズのために、この作戦を使用した。
宝の地図 (たからのちず)
宝のありかが示されている地図。美術室にあった漫画の間に挟まっていた。卒業した美術部の部員が残していったもので、クイズ方式で謎解きをして宝のありかに行きつくようになっている。ちなみにその宝とはエロ本のこと。
暗黒超会議 (あんこくちょうかいぎ)
伊万莉まりあとコレットが開いた会議。2人が部長のことを「ヨウちゃん」と呼ぶののかを目撃したために開いた。会議内容は部長の本名のことで、「ヨウタロウ」「ヨウキチ」「ヨウジロウ」「ヨウサク」「ヨークシャーテリア」などの予想がされていた。のちに部長に対してその名で呼びかけてみたが、部長はどの名前にも反応を示さなかった。
魔法少女マジカルリボン (まほうしょうじょまじかるりぼん)
内巻すばるが研究のために見ている魔法少女モノのアニメ。いわゆる「萌え絵」で描かれた魔法少女が主人公。宇佐美みずきの人物画を描く際、すばるは直前にこのアニメを見たため、みずきを魔法少女の主人公の顔で描いていた。
よしだと先生 (よしだとせんせい)
美術室の本棚にしまってある漫画。主人公の吉田という男子と、女性教師の日常を描いている。立花夢子が美術室で気を失った時には、すばるがこの漫画を参考にして、夢子に人工呼吸をしようとしていた。
書誌情報
この美術部には問題がある! 15巻 KADOKAWA〈電撃コミックスNEXT〉
第1巻
(2013-05-27発行、 978-4048916455)
第2巻
(2013-11-27発行、 978-4048661003)
第3巻
(2014-06-27発行、 978-4048666664)
第4巻
(2015-02-27発行、 978-4048692342)
第5巻
(2015-10-27発行、 978-4048653497)
第6巻
(2016-06-27発行、 978-4048921244)
第7巻
(2016-09-27発行、 978-4048923392)
第8巻
(2017-05-26発行、 978-4048929103)
第9巻
(2018-02-26発行、 978-4048936002)
第10巻
(2018-09-27発行、 978-4049121414)
第15巻
(2022-10-27発行、 978-4049144864)