概要・あらすじ
人徳の高い陛下と忠実な臣下の虎百は、山中を進んでいたところ、敵国の兵に囲まれてしまう。飛竜が駆けつけるも時すでに遅く、陛下は殺害された後だった。たまたまそこを通りかかった菊とその母親は、陛下が殺害されたことを知られる訳にはいかないと、虎百に殺されそうになる。そんなか、菊は虎百に「陛下を蘇らせるから見逃して欲しい」と申し出る。
菊の紙抜けの術で別となり、生前とまったく違う邪悪な存在となって蘇った陛下は、その場で虎百を惨殺してしまう。暴君となった陛下を止めるため、飛竜は陛下率いる国との厳しい戦いに身を投じていく。
登場人物・キャラクター
飛竜 (びりゅう)
長髪の屈強な兵士。14歳の時、平民の少女を見捨てて自殺させてしまったことに心を痛め、それ以降死者の霊を見るようになる。父親である虎百の願いにより、菊が陛下を残忍な暴君として蘇らせたため、その暴虐を止めることを使命だと思っている。
菊 (きく)
母親と2人で暮らす少女。紙抜けという術を使い、死者を蘇らせることができる。普段は気丈に振る舞っているが根は優しい。自らの術で陛下を残忍な暴君として蘇らせた責任を感じており、飛竜と行動を共にすることになる。紙抜けで赤ん坊を救った際にできた傷跡が体中にある。
陛下 (べは)
元々は人徳の高い建国の王であったが、菊の紙抜けにより別として蘇った結果、残忍な暴君となってしまった。家臣にも人民にも容赦ない圧政を進める。また自分を蘇らせた菊の能力に興味を持ち、捕えて自分の配下にしようと策略する。
虎百 (ほべく)
飛竜の父で陛下に古くから仕える、忠実な家臣。自らの力で陛下を守れず、息子の目の前で自害しようとする寸前に菊と母親に会う。菊によって別になった陛下に惨殺されてしまう。
キルム
飛竜と菊に偶然を装い近づいてきて行動を共にする。普段は飄々としているが戦闘では毒針を扱うかなりの手練れ。飛竜と菊の危機をしばしば救うが、その正体と意図は不明。
その他キーワード
紙抜け (かみぬけ)
菊が持っている、紙に描いた絵に生命を吹き込み転写して、死者を蘇らせる能力。しかし、蘇った者は別と呼ばれ、その本性が変ってしまう。唯一、心の中に悪の芽を持っていない赤ん坊のみ、元のまま蘇らせることができる。この能力で他者を蘇らせると、蘇った者が死んだ時と同等の苦痛を術者が受けることになる。
別 (べつ)
紙抜けによって蘇った者の総称。蘇る者が人徳者であればあるほど、抑え込んでいた悪の芽が噴出して凶悪な者に変貌してしまう。蘇った者は影がなくなるが不死になる訳ではなく、生前と同様に殺傷によって殺すこともできる。
クレジット
- 原作