引っ込み思案の少女がメイドカフェ店員に就任
主人公のお茶の水あけびは、幼い頃から引っ込み思案な性格で、何事にも自信が持てずにいた。そんなある日、あけびは姉のお茶ノ水びわから、自らが経営するメイド喫茶「ミッシリー」のアルバイトを頼まれる。あけびは姉の力になりたい一心でアルバイトを引き受けようとするも、コミュ障ゆえに最後の一歩を踏み出せずにいた。だが、ミッシリーの前で出会った金髪碧眼の美少女・ザクロから容姿と性格を称賛されたうえ、彼女がミッシリーのアルバイトを希望していることを知り、あけびはアルバイトをする決意を固める。こうしてミッシリーの従業員となったあけびは、自らの引っ込み思案な性格と慣れない職場に苦労しながらも、「ひっこみゅ~ず」のメンバーと共に日々の業務に勤しむことになる。
八王子市に集う引っコミュ系女子たち
本作には、さまざまな理由からコミュニケーションが苦手で、その結果引っ込み思案になってしまった女子たちが多数登場する。心理学教授のお茶ノ水びわは、そんな彼女たちのことを「引っコミュ系女子」と称し、引っ込み思案は短所ではなく立派な個性であると主張する。びわが経営するメイド喫茶「ミッシリー」には、他人の目を気にしすぎるあまり挙動不審になってしまう「キョドり系ひっコミュ」のお茶ノ水あけびのほか、自分を偽ったコミュニケーションを続けて自信喪失する「こころぼっち系ひっコミュ」のザクロ、自らの存在感を消して周囲に壁を作る「バリア系ひっコミュ」のマンゴスチンをはじめ、「オンオフ系ひっコミュ」のランブータン、「意識高い系ひっコミュ」のチェリモヤ、「職人系ひっコミュ」のプルーンと、個性的な引っコミュ系女子が集う。彼女たちは「ひっこみゅ~ず」というアイドルグループを組み、お互いの個性を認め合いながら活動している。
世界一のアイドルを決める祭典「アイドリンピア」
アイドルグループ「ひっこみゅ~ず」のメンバーたちは、引っ込み思案な性格を魅力に変える訓練を受け、自分たちの個性を磨いて信頼関係を築いていく。そんな中、政財界のリーダーたちによって、日本最大のアイドル大会「アイドリンピア」の開催が宣言される。アイドリンピアは日本全国のアイドルたちがパフォーマンスを披露する大会で、決勝に進むためには選考委員会の認可を受けたうえで国民投票で上位を目指さなければならない。お茶ノ水びわは、ひっこみゅ~ずを人気アイドルとして売り出そうともくろんでアイドリンピアへの参加を宣言し、いち早く参加を表明した「Aqumors」や「G-GIRLS」「水圧フレンドリー」といった強豪アイドルたちと競い合うべく、ひっこみゅ~ずの魅力を引き出そうと奔走する。
登場人物・キャラクター
お茶ノ水 あけび (おちゃのみず あけび)
メイド喫茶「ミッシリー」の従業員を務める少女。誕生日は8月8日で、血液型はO型。料理が趣味で、多忙な姉・お茶ノ水びわのために家事を一手に引き受けている。びわを尊敬しているが、自分に過干渉すぎることにやや困惑している。褒められることに慣れておらず、自己肯定力が非常に低い。その影響から、自分が周囲に迷惑をかけていないか過度に心配する傾向にあり、他人の目を気にするあまり挙動不審になることから、ミッシリーの中では「キョドり系ひっコミュ」と呼ばれている。しかし、ほかの「ひっこみゅ~ず」のメンバーと交流を経て、人間関係に対して苦手意識がなくなり、気遣いのできる女子として頼られるようになる。
お茶ノ水 びわ (おちゃのみず びわ)
荒矢田大学で臨床心理学の教授を務める女性で、お茶ノ水あけびの姉。あけびを溺愛しており、資料収集と称して彼女の写真を所構わず撮影している。学会では才色兼備の若き天才として知られ、多くのテレビ番組に出演している著名人。ふだんは大学でコミュニケーションに関する研究をしている。大学で講義を行ったり、論文の発表以外にもコミュニケーションが苦手な人の相談に乗ったりするなど、精力的に活動している。のちに引っ込み思案な女子の魅力を引き出す企画「メイド・イン・引っ込み思案プロジェクト」を立ち上げた。その一環として、お茶ノ水びわ自身が経営している喫茶店「ミッシリー」に、あけびを含む六人の引っ込み思案の女子を雇い入れた。また、全日本妹自慢選手権の特別賞を受賞している。
書誌情報
メイド・イン・ひっこみゅ~ず 全7巻 集英社〈ヤングジャンプコミックス〉
第1巻
(2019-05-17発行、 978-4088912684)
第7巻
(2021-01-19発行、 978-4088917580)