モノクローム・ファクター

モノクローム・ファクター

普通の高校生が謎の人物に導かれ、影の世界の住人となって化け物と戦うファンタジーバトルアクション。設定や世界観が練りこまれており、ちょっとした出来事が壮大な物語の伏線となって展開していく。「コミックブレイドMASAMUNE」2004年初夏号から連載が開始され、その後「月刊コミックアヴァルス」に移籍し、2007年9月号から2011年6月号まで連載された作品。

正式名称
モノクローム・ファクター
ふりがな
ものくろーむ ふぁくたー
作者
ジャンル
ファンタジー
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世界観

世界そのものが光と影という二対の世界によって構築されているという設定がある。光と影は完全に表裏一体であり、人物・物質を問わず、光の世界にあるものは影の世界にも必ず存在する。しかし、物語開始時点で何らかの原因によってこの均衡が崩れてきており、「綻び」や「穴」と呼ばれる空間の隙間から「コクチ」という影世界の化け物が出現。光の世界の存在に被害をもたらしている。

あらすじ

私立霧葉高校に通う二階堂昶はある日、「白銀」と名乗る謎の男性に声をかけられる。白銀は「自分は人間ではなく、人型の影のようなもの」であると告げ、ずっと昶のことを探していたと言う。いぶかしむ昶に対し、白銀は「今夜10時に学校に来れば影のことを教える」と、その場を去る。元々応じるつもりはなかった昶だったが、止むを得ない状況で夜間の学校へと足を向けることとなる。そして、昶は夜の学校で謎の化け物「コクチ」に襲われ、絶体絶命の危機に陥ってしまう。

掲載情報

「コミックブレイドMASAMUNE」2004年初夏号から連載を続けていたが、同誌の廃刊に伴い新創刊された「月刊コミックアヴァルス」(移籍当時の雑誌名は「月刊コミックブレイドアヴァルス」)に移籍。2007年9月号から2011年6月号まで連載された。

メディアミックス

TVアニメ

2008年4月から9月にかけて、テレビ東京、テレビ大阪などで全24話のTVアニメが放送された。ストーリーはほぼオリジナルで、アニメオリジナルの登場人物が多数登場する他、キャラクター設定も一部原作と異なる部分がある。特にアニメ版では白銀二階堂昶に対してより親密な感情を持っており、2人のキスシーンがあることなどが話題を呼んだ。

TVゲーム

2008年11月27日にプレイステーション2用ゲームソフト「モノクローム・ファクター cross road」が発売された。キャラクター設定はTVアニメ版を踏襲し、その後日談を描いた作品となっている。ジャンルは恋愛アドベンチャーで、プレイヤーはTVゲーム版オリジナルの女性主人公である「春宮芹那」となって、シンコクチと戦いながら、二階堂昶をはじめとする男性陣との仲を深めていくというもの。

ドラマCD

コミックスの限定版や「月刊コミックアヴァルス」の付属特典として、何度かドラマCD化がなされている。内容は過去に人気のあったシーンの音声ドラマ化などで、付属するコミックスの内容であるとは限らない。またアニメ放送前と後では一部の声優キャスティングに違いがある。

登場人物・キャラクター

二階堂 昶 (にかいどう あきら)

私立霧葉高校に通う男子。いわゆる不良で、茶色に染めた髪と鋭い眼光が特徴の、自己中心的で傲慢な性格の持ち主。入学当初は整った容姿から他の生徒に話しかけられることもあったが、性格の悪さが露呈してからは周囲から距離を置かれ、いまだに付き合いがあるのは浅村賢吾と鈴野綾ぐらいのもの。学校をサボって街をうろついている時に白銀から声をかけられるものの、最初はその怪しさから関わらないようにしていた。 しかし、綾を装った白銀の術式によって夜の学校に誘い出され、そこで影世界に落ちてしまう。これがきっかけとなってシンとなり、影世界の住人との闘いに巻き込まれていくことになる。なおシンとなった時には髪の毛が黒く染まり、綾からは「ついに不良を卒業したのか」と喜ばれる。 身長は175センチ、スリーサイズは上から80・66・76。

白銀 (しろがね)

学校をサボって街に繰り出した二階堂昶の前に現れた謎の青年。地面につくほど長い白髪を大きな三つ編みにした特徴的な髪型に、黒いコートにシルクハットを身に着け、丸いサングラスをかけている。自分のことを「人型の影のような存在」と言い、昶を探していたと語る。また、出会ったその日の晩に昶を学校に呼びつけた。昶を含め基本的に人と話す時は丁寧語を使うが、特定の人物を相手にする時には地が出て、かなり乱暴な言葉遣いになる。 素の口調などの小さなことから、影世界やシンについての情報など重大なことまで、昶に隠していることが多く、突っ込まれてもはぐらかすため、昶とはよく衝突している。身長は181センチ。

鈴野 綾 (すずの あや)

私立霧葉高校に通う女子で、二階堂昶の同級生。生まれた時から父親や祖父に木刀を握らされており、身体能力に大きな差があるシンと同等に渡り合えるほどの剣術の腕前を誇る。また、非常に強い正義感と独自の死生観を持っており、学校では「鬼の風紀委員」の異名を持つ。昶に対して唯一はっきりとした物言いができる存在のため、教師の千原などからは昶の保護者のように扱われ、何かと関わることが多い。

浅村 賢吾 (あさむら けんご)

二階堂昶とクラスメイトの友人であり、小学校の頃からの付き合いである幼なじみ。明るく天然気味の楽天家で、滅多なことでは怒らない穏やかな性格をしている。友人である昶や鈴野綾の個性が強すぎるためか、身内のなかではもっぱらイジられる役回りで、何かにつけて無茶な要求をされたり、暴力を振るわれたりしている。しかし、そのおかげか精神的にも肉体的にもかなり打たれ強くなっている。 霊媒体質で簡易なお祓いができる姉を持つが、気付いていないだけで実は自身も強力な霊媒体質。とある理由により霊を惹きつけやすく、またなぜか心に抱える闇の許容量が極めて大きい。

我妻 秋一 (わがつま しゅういち)

二階堂昶たちが住む街でバー「Aging Bar」を営む盲目の男性。目で物を見ることはできないが、強力な能力者で、雰囲気や気配だけで人物の動きなどを察することができる他、影世界の住人である白銀の姿をとらえることもできる。さらに治癒の特殊能力を持っており、肩を貫通するほどの傷であっても数分で治すことができる。 しかし、昶が傷を治してもらった際は、傷口に直接指を突っ込む荒々しい方法で行われ、昶いわく「もう二度と世話になりたくない」ほどの痛みを伴った。白銀と長い付き合いがあるような振る舞いや、影世界やシンについて詳しい知識を持つなど多くの謎を抱える人物。

焔緋 (ほむらび)

影世界の王を自称する謎の青年。前髪を大きく逆立てて長い後ろ髪を持つ独特のヘアスタイルに、眉がなく鋭い目、額に十字の模様を持つ特徴的な容姿をしている。澤木をはじめとする5人のシンを子として従える。性格は残忍で冷徹。表の世界に繰り出して傷を負って帰ってきた七夜に対しては、結果的に表の世界にいる謎のシンの情報を持ち帰った功績を認めながらも、独断行動に対し死をもって償わせた。 白銀のことを「かつての上司」と言い、なんらかの因縁を匂わせる。

七夜 (ななや)

焔緋の子の1人。顔に3本の爪痕のような大きな傷を持ち、右目に眼帯をつけた青年。シンとしての力の特性は雷。自分の力を誇示したいがために、表の世界に現れて無差別に人間を殺傷する連続通り魔事件を起こす残忍な性格。次なる標的に鈴野綾を選んで襲い掛かったところ、綾の危機に駆けつけた二階堂昶や白銀と対峙する。 その後、戦闘で昶に致命傷を与えるものの、覚醒した昶の力と激昂した白銀の攻撃で右腕を失い、影世界に敗走。しかし、命からがら逃げ落ちた影世界でも惨めに逃げ帰った姿を焔緋に咎められ、死亡する。

ルル

焔緋の子の1人でピンク色の明るい髪を二つ結びにした少女。七夜が表の世界で白銀らしき人物を見たという話を聞き、コクチを伴って表の世界に白銀を探しに来る。その際、鈴野綾のことを貧乳呼ばわりしたため、戦闘になった。いわゆる「ぶりっ子」のような性格だが、その見た目や言動とは裏腹に綾の攻撃を軽くいなすほどの実力者。 昶や白銀とは対立しているはずの焔緋陣営に身を置きながら敵対心はないと断言し、過去の白銀のことを知り、「白銀様」と呼ぶなど謎が多い。シンとしての力の特性は吸収。鞭を操り、武器に触れた者の体力・気力を奪うことができる。

志紀 (しき)

焔緋の子の1人で、キャップをかぶった金髪の少年。焔緋の命令によって、山中の廃病院で二階堂昶たちを襲った。性格は卑怯で残忍。昶たちを襲う際も、最も戦闘力が低そうな浅村賢吾を影世界に引きずり込んだり、戦闘で不利になると自分の幼い見た目を逆手にとって、許しを請うフリをして油断を誘うなど姑息な戦略を用いる。 また傲岸不遜な性格でもあり、焔緋によって七夜が処分された時は「自業自得」と一笑に付す面もある。シンとしての力の特性は弾の材質を自在に操る能力。影を固めた弾丸を破壊力を伴う球状や貫通力に優れる槍状などに変え、卓球のラケットのような武器で打ち出して戦う。

澤木 (さわき)

焔緋の子の1人で、後ろ髪をリボンでまとめた髪型が特徴の壮年の男性。焔緋の子の中では最も年上であり、その見た目に違わず焔緋の子たちのまとめ役を担う。七夜が焔緋に処刑されるのを止めようとしたり、山中の廃病院で洸に襲いかかろうとした志紀を制止したりと、比較的温和な性格。洸と面識がある他、昶が劉黒の因子を持つことも知っているなど、かなり古くからの因縁がある。 また子でありながら王である焔緋のことを呼び捨てにするなど、腹に一物を抱えている。

氷瀏 (ひりゅう)

焔緋の子の1人で、幾重にも折り重なったきらびやかな和装姿に羽衣をまとった女性。髪型は金髪のパッツンロング。表の世界に現れた焔緋に付き従って登場し、二階堂昶たちに攻撃を仕掛けたが、焔緋の登場によって闇の力を増幅させた白銀の技の前に屈し、重傷を負う。その後、焔緋とともに姿を消した。この時、焔緋から「氷瀏の傷を癒さなければならない」と発言されるなど、焔緋の子の中でも特殊な立場にあり、謎を抱える人物。 シンとしての力の特性は氷。分厚い氷で攻撃を防御することができる他、受け止めた相手の武器から冷気を流し、体を凍らせることも可能。氷塊をいくつも作り出し、自在に操ることができ、攻撃にも転用可能。

(こう)

二階堂昶と浅村賢吾の知り合いの青年。左目の下に1本の傷があり、眼鏡をかけている。かつて昶と賢吾が不良に絡まれて廃工場街に逃げ込んだ際、いつの間にかケンカに仲間入りしたことから付き合いを持つ。非常に腕っぷしが強く、シンになった昶ですら「あの人より強い人間は見たことがない」と言わしめるほど。その正体はレイであり、劉黒の子。 白銀とも古くから付き合いがある。その正体を明かした後は昶に忠誠を誓い、焔緋討伐に協力するが、昶には「白銀を信用するな」と言葉をかける。

劉黒 (りゅうこ)

七夜との戦闘で窮地に陥った二階堂昶が無意識に能力を覚醒した際、白銀がその力を見て口走った人名。また、のちにルルが、昶の顔を見て「似ている」とした人物。その正体は、かつてレイの直結王族であった人物であり、白銀の対になっている存在だった。焔緋に命を奪われたことで因子が転生し、現在は覚醒しないまま昶の中に宿っている。

祀翠 (しすい)

表の世界に存在しているレイの王。焔緋の凶行によって影側に傾いてしまった世界のバランスを元に戻すべく、各地に子を放って綻びの修復を行うなど、今も健在である様子。

千原 (ちはら)

私立霧葉高校で二階堂昶たちのクラスの担任を務め、世界史の授業を担当している女性教師。髪型は肩にかからない程度にそろえたミディアムボブ。大雑把でサバサバした性格の持ち主で、姉御肌な人物。よく授業をサボる昶のことを鈴野綾に探しに行かせ、自分はそのまま授業をしたりと、割と面倒くさがりなところがある。

浅村 麻結 (あさむら まゆ)

浅村賢吾の姉。弟に輪をかけて明るく能天気な性格をしており、色男にめっぽう弱い。幽霊などを見ることができ、簡単なお祓い程度ならば可能な霊媒体質を持つ。バー「Aging Bar」の常連でもあり、そこで二階堂昶とシン状態の白銀に遭遇した際には、その特殊な体質から普通の人に見えないはずの白銀の姿も視認できていた。 その後、昶たちと自宅で再会した際、何らかの理由でコクチに憑依されてしまうも、賢吾の呼びかけと好みのタイプである白銀に急接近されたことで自ら意識を取り戻し、事なきを得た。スリーサイズは上から92・58・85。

綾の祖父 (あやのそふ)

鈴野綾の祖父。左目と右頬に大きな傷を残し、大きくV字型になった前髪と鋭い眼光が特徴。自宅の剣道場で師範を務める厳格な人物で、孫娘である綾に対しても容赦のない性格。武道家として卓抜した力を持っており、能力もなしにコクチの気配やルルの存在を認識することができるほど。またルルの張った結界内にも侵入することができた。 座右の銘は「勝つまで殺れ」。

鈴野 文徳 (すずの ふみのり)

鈴野綾の父親であり、綾の祖父の実子。綾と祖父が自宅の道場でルルと戦闘をした後に現れた。戦闘の傷と返り血で血まみれになった綾と義足を食われて無くした祖父の姿を見て、祖父が綾に対して度を越えたシゴき稽古をしたと勘違いし、祖父に襲い掛かる。普段は温厚で娘想いの良い父親。

アリサ

祀翠の子の1人で、前髪をヘアピンで留めて斜めに分けた髪型の女性。通常時は人間に扮して、二階堂昶たちが住む街の病院で看護士として働いている。

辰巳 (たつみ)

かつてまだ白銀が影世界から追放されていなかった当時、その子だった人物の1人。劉黒が焔緋に身体を貫かれて重体に陥った際、その傷を治すべく治癒の力を持つ祀翠を呼びに行った。しかし、ちょうど祀翠を呼びに向かったその時、焔緋によって白銀が王宮から追放されることになり、王と子の契約も消滅。祀翠の目の前で存在を消した。

木村 (きむら)

ダイニングバー「AQUARIUM」のマスターをしている、太い黒ぶちの眼鏡をかけた好青年。店の常連である浅村麻結とは軽口をたたき合うほど仲がいい。

相沢 (あいざわ)

かつて二階堂昶と浅村賢吾が通っていた小学校で、クラスのボスとして君臨していたガキ大将。一緒にいると変なものが見えるといって賢吾をいじめており、また転校してきたばかりの昶に因縁を吹っ掛けた。かなり大きな体格の少年だったが、昶には敵わず返り討ちに遭う。

バンドマン

私立霧葉高校でバンドを結成している男子生徒たち。授業をサボって屋上に来た二階堂昶を巻き込んで演奏をしていた。なお、昶とはこの時が初対面だったが、昶の歌声とギターの腕前を聞いてバンドを組まないかと誘う。

場所

私立霧葉高校 (しりつきりはこうこう)

二階堂昶や浅村賢吾、鈴野綾が通っている私立高校。男子の制服は青を基調にした学ランタイプで、黒のラインで縁取りがされたデザイン。また襟部には長方形にアルファベットの「K」の文字をあしらった校章がある。女子の制服は一般的なセーラー服タイプ。高校入学の際、霧葉高校を受験するという昶に対し、賢吾が「入学試験に受からない」と発言していることから、一定以上の学力水準であることが分かっている。

Aging Bar (えーじんぐばー)

二階堂昶らが住む街にあり、我妻秋一が経営しているバー。表の世界では力を満足に発揮することができない白銀が我妻にさまざまなサポートを受けていることから、白銀たちの作戦会議の場所として活用されていた。なお、浅村賢吾の姉である浅村麻結はこの店の常連。店の表の看板には店名のほかに「since2001」という表記がある。

影世界 (かげせかい)

二階堂昶たちが住む世界を表の世界として、その世界と境界線を隔てて存在しているもう1つの世界。表の世界と影世界は表裏一体となっており、双方のバランスが保たれることで世界は崩壊を防いでいる。しかし、最近になってバランスが影世界に傾きがちになっており、到るところに綻びが出現。影世界からコクチなどが表の世界に出てくることで、さまざまな悪影響が出ている。 なお、コクチやシンを含め、影世界の住人は表の世界の人間には認識できないため、これらによる影響は心霊現象などとして認識されている。

廃工場街 (はいこうじょうがい)

二階堂昶たちが住む街のはずれにある廃工場が集まる地帯。人気のない場所のため、不良のたまり場になったり、怪しいバイヤーがうろついていたりと治安はかなり悪い。実は常に巨大な綻びによって危険にさらされている場所で、洸が住処代わりにしながら綻びを修復していた。

山中の廃病院 (さんちゅうのはいびょういん)

二階堂昶たちが住む街の近くにある心霊スポット。かつて1人の女性患者による惨殺事件が起き、その怨念が残っているとされる。表の世界で心霊スポットとされている場所の中には、綻びが出現してコクチが暴走している場所もあると予想され、その場合は光と闇のバランスを保つためにその綻びを塞ごうと昶たちが訪れている。

要塞の廃墟 (ようさいのはいきょ)

過去の大戦時に要塞として使用されていた場所。現在は廃墟になっており、写真家などが訪れるのみで放置されている。磁場が非常に安定しており、ゲートを開くにはうってつけの場所として、影世界へ二階堂昶たちが攻め入る際の入口として訪れる。

影の王宮 (かげのおうきゅう)

通常の世界とは完全に独立した別の世界に存在する、レイやシンの王たちが座す場所。王宮に存在する王が焔緋のみになって以来、自然に増殖、改築を繰り返す構造になっており、まるで迷路のような要塞になってしまっている。なお普通の世界とは違うが、王宮にも光と影、二対の側面が存在する。

AQUARIUM

二階堂昶たちが王となり、その存在が最初からなかったことになった世界で、バー「Aging Bar」と同じ場所にあるダイニングバー。木村というマスターが店主を務めており、鈴野綾が訪れた時には5年以上も前から経営していることになっていた。なお、改変する前の世界と同じように浅村麻結はこの店の常連。

その他キーワード

シン

影世界にのみ生きる特殊な存在のこと。存在が完全な影となるため、表の世界でのドッペルゲンガーを必要とせず生きることができる。ただし、光の属性を持つ表の世界とは存在が反目してしまうため、周囲の人物などから認識されなくなってしまう。

レイ

影世界にのみ生きるシンと異なり、光の世界にのみ存在している特殊な存在。シンとは逆に影世界でのドッペルゲンガーなしで表の世界に居続けることができる。

コクチ

影世界に存在する生物。容姿や形状には個体差があるが、共通してトカゲなど爬虫類のような頭部を持ち、全身が黒く影のような色合いであるのが特徴。本来、影世界にのみ存在し、固有の意志を持たない無害な存在だが、綻びから表の世界に出現すると性格が非常に獰猛になり、目についた者に無差別に襲い掛かるようになる。

ハクア

表の世界と影世界のように、コクチと対になって表の世界にのみ存在するとされる生物。見た目はコクチと瓜二つだが、唯一の違いとして体の色が光のように白いのが特徴。作中では存在に触れられるだけで実体や個体は登場しない。

ドッペルゲンガー

表の世界から見た時に、影世界に存在するもう1人の自分のこと。表の世界と影世界は境界線を挟んで表裏一体となっており、人物・物質を問わず、まったく同じ存在が両方の世界に在ることで均衡を保っている。そのため、ドッペルゲンガーは自分の存在を確立するためになくてはならないものであり、ドッペルゲンガーがなくなると、対の世界における自分も消えてしまう。 ただし、シンやレイは例外となっている。

綻び (ほころび)

表の世界と影世界を隔てる境界線が割れてできてしまった穴。綻びがあると互いの世界が侵食され、世界に悪影響を及ぼす。どちらの世界にも多少はあるものだが、小さなものはハクアやコクチが勝手に塞ぐ役割を果たしてくれるため、大事には発展しないのが普通だった。しかし、表の世界と影世界の均衡が崩れてしまったことで綻びが大きくなり、コクチが表の世界に出てくるきっかけとなってしまっている。 シンやレイなどのほか、特殊な能力を持つ者であれば塞ぐことができ、また逆に故意に広げることも可能。

影分子 (かげぶんし)

コクチの体やシンの使う武器や能力など、影世界特有の物質を構成しているもの。影世界特有のものであるため、基本的に表の世界の住人には見たり触れたりすることは不可能。しかし、一部の能力者や特殊な因子を持つ人間はこれに干渉することができる。

(おう)

表の世界と影世界を統べる王のこと。それぞれの世界に2人ずつ存在し、世界の光と影のバランスを取る役目を果たす。しかし、現在は影世界に焔緋が君臨するのみで、もう1人の王であるはずの白銀は影世界から追放されて干渉することができずにいる。また表の世界の王は劉黒と祀翠だが、劉黒は焔緋によって殺され、二階堂昶の中に因子として残るのみ。 祀翠は名前だけが登場するのみで、どのような人物であり、今どこで何をしているのかなど、まったく明らかにされていない。

(こ)

王と契約を交わし、シンやレイとなった人物のこと。契約を交わした王から力を授かり、世界のバランスを調整する補佐を行うのが役目。1人の王に対して基本的に5人の子がいるとされる。契約を交わした都合上、自身の王に追従するのが基本姿勢だが、強制力が働くわけではなく自由な振る舞いも可能。契約を交わせるのは「因子」と呼ばれる特殊な素質を持つ者に限られる。 なお、王と契約を交わすということは、シンやレイになるということであり、周囲の人間から認識されなくなり、現世での存在が消滅するということでもある。

直結王族 (ちょっけつおうぞく)

表の世界と影世界にはそれぞれ2人ずつ王がいるとされているが、このうち片方は元人間であり、王に選出された人物である。残るもう片方が直結王族と呼ばれる。直結王族はその名の通り、世界と直結している存在であり、いわば光と影それぞれの世界そのものという存在である。

因子 (いんし)

特定の人物のみが持ち得る特殊な素質。先天的なものであり、基本的には後天的に得られることはない。因子を持つ者は王と契約して子となり、レイやシンとなることができる。ただし、因子はそれぞれ光因子と影因子に分かれており、反属性側の王と契約をすることはできない。

ゲート

表の世界と影世界を行き来することのできる通行手段。レイやシンが互いの世界を行き来するための穴とは異なり、王にしか開くことができないが、王が認めた者であれば自由に出入りすることができる。焔緋によって影世界から追放された白銀を影世界に運ぶため、祀翠が開いた。

即席ドッペラー (そくせきどっぺらー)

シンは影世界でのみ存在するもののため、表の世界では周囲の人間が存在を認識することができない。しかし、即席ドッペラーをまとうことで一時的に影世界の自分と対になるドッペルゲンガーを作り出すことができ、表の世界でも存在を許されるようになる。踏みつけることで即座に使用することができるが、ちょっとでも余計な動きをすると外れてしまう欠陥品。 結局ほとんど使うことはなく、影世界での昶のドッペルゲンガーを白銀が代行することで落ち着いた。

無装擬界 (むそうぎかい)

我妻秋一が使う術式。指定した範囲の物質などをすべて複製した閉鎖空間を作り出すことができる。表の世界に焔緋が現れた際、騒ぎを聞きつけた一般人が戦闘に巻き込まれないように使用した。術式の発動には非常に高い練度と負荷がかかるため、発動後は一時的に能力が落ちる。

欺絡鏡 (きらくきょう)

白銀が使う術式。人間や物質は自分の属性に応じた世界にしか対応しておらず、境界線を隔ててもう一方の世界に足を踏み入れるとその存在を保てなくなってしまう。しかし、この術式を使用することで反する属性側の世界においても存在を保護することができる。山中の廃病院において、浅村賢吾が影世界に引き込まれ、そのドッペルゲンガーが表の世界に現れた際、存在を保つために使用した。 ただし、効果時間は無限ではなく、多少の引き伸ばししかできない。

アニメ

モノクローム・ファクター

学校嫌いで、平凡な毎日に退屈していた高校2年の男子・二階堂 昶はある日、白く長い髪を三つ編みにした怪しげな男に声をかけられる。変なことに関わりたくなかったためその場を去った昶であったが、その夜、コクチ... 関連ページ:モノクローム・ファクター

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