概要・あらすじ
公園前郵便局には、手紙を投かんすると恋が叶うと有名なポストがある。山城芽依は、そんな公園前郵便局に新たに配属されることになった。そして勤務初日、芽依は早速伝説のポストに願掛けをして手紙を投かんする女子高生の姿を目撃する。その姿を過去の自分自身と重ね、芽依は複雑な思いを抱くが、純粋に彼女の恋を応援していた。
一方で、新たに配属された芽依を温かく迎えた局員たちは、さらなる親睦を深めるために、芽依の歓迎会を計画。そこで芽依は突然の配属に至った理由を語り、局長の黒田忠臣をはじめとする局員たちは、そろって彼女を仲間として受け入れた。すっかり打ち解けた様子ではあったが、その帰り道、芽依と2人きりになった八木和文が、手紙に関する苦い思い出を口にすると、芽依も手紙へのトラウマを語り始める。
皆それぞれに、郵便や手紙にさまざまな想いを持ちながら、この仕事に携わっていることを改めて認識した芽依は、新たな気持ちで仲間たちとともに仕事に臨むのだった。
登場人物・キャラクター
山城 芽依 (やましろ めい)
公園前郵便局に配属された新人女性局員。基本的に世話焼きで、思ったことがすぐ顔や口に出てしまうタイプ。もともと他の支局に配属されていたが、同僚の友人A子の悩みを解決してあげようと奔走した結果、「生意気で扱いづらい新人」と上司に認識され、自分が所属していた「木下部会」を事実上の出入り禁止となり、公園前郵便局がある「朝陽部会」に飛ばされることとなった。 高校1年生の頃に、橋本に公園前郵便局前のポストからラブレターを出して振られたことが今でもトラウマになっており、何かが起こる前触れとして、未だにその時の夢を見る。
八木 和文 (やぎ かずふみ)
公園前郵便局の男性局員。クールで口数が少ないイケメンで、今どき珍しく携帯電話を持っていない。日本の城や城跡、石垣などについて語り始めると止まらないないほどの歴史マニア。中学時代、想いを寄せていたカナと手紙のやり取りを通じて苦い思いをし、一時的に心の傷を負っていたことがある。一方で、それがきっかけで手紙の良さを知ったこともあり、今でも手紙を書くことが好き。
黒田 忠臣 (くろだ ただおみ)
公園前郵便局の局長を務める中年男性。口ひげがダンディーな人物で、明るくノリは軽い。各都道府県を象徴するモチーフで作成されている郵便局限定販売の「ご当地フォルムカード」をコレクションするのが趣味。しかし、かつて自宅に置いておいたところ、妻に捨てられそうになったことがあるため、現在は職場に置いてある。
紙村 虎之助 (かみむら とらのすけ)
公園前郵便局の男性局員。猫と文具を愛する人当たりの良いイケメン。結婚はしていないが、猫のほかに、どうやら彼氏とも同棲中らしい。有名な絵本の猫のキャラクター「ポッケ」が大好きで、切手の発売イベントなど、猫に関する情報収集に余念がない。絵を描くのが得意。
白川 和泉 (しらかわ いずみ)
公園前郵便局の女性局員。山城芽依と同じ20代くらいの若さに見られるが、実はアラフォー。ちなみに詳細な年齢は不明。超がつくほどのクールビューティーで、彼女を目当てに公園前郵便局に通うファンも少なくない。語学好きで、英語が堪能。過去の男性遍歴により、フランス語とドイツ語を話すこともできる。
風見 優人 (かざみ ゆうと)
郵便局の新人男性配達員。幼い頃から郵便配達員に憧れていたため、この職業に就いた。たくさんの人に郵便物を届けるということに誇りを持っており、語尾にはいつも「!」が付くほど元気いっぱい。犬が苦手なことが災いしてある時郵便物を破損し、落ち込んでしまう。
各務 (かがみ)
郵便局の男性配達員。新人の風見優人を指導する先輩として、行動をともにしながら配達員としてのさまざまなことを教えている。新人としてまだまだ不安定な優人をフォローすべく、見えないところで気を遣っている。
女子高生 (じょしこうせい)
朝陽高校に通う女子。この春に卒業した部活の先輩が海外留学することになり、出発に間に合うようにと公園前郵便局前のポストに急いでラブレター投かんした。しかし後になって切手を貼らずに出してしまったことに気付き、何とかして手紙を取り戻せないかと窓口に相談に訪れる。
A子 (えーこ)
山城芽依の同僚であり友人の女性。以前、入社後の研修中に、「木下部会」内で既に勤め先が決まっていたものの、局長や先輩との人間関係や、業務成績の不振に悩み、仕事を続ける自信をなくしていた。それを芽依に相談し、結果的に芽依が公園前郵便局に飛ばされる原因を作った。現在も精神的にナーバスな状態は続いており、仕事に対する意欲を失っている。
カナ
エピソード「3通目」に登場する。八木和文が中学生だった頃、想いを寄せていた女子。他の女子がラブレターというものについて否定的な意見を持っていた中で、彼女だけは「好きな人からもらう手紙は宝物にして大切にしたい」と好意的だった。八木からのラブレターがきっかけで付き合うようになったものの、日を空けず手紙をもらい続けるうちに手紙の存在が重くなり、最終的には破局を迎えることとなった。
大塚 晴子 (おおつか はるこ)
山城芽依が高校生だった頃の友人の女子で、ともに学祭実行委員を務めた。互いに相手を明かさずに、公園前郵便局前のポストからラブレターを出して告白し、結果を報告しあうことを芽依に提案する。
橋本 (はしもと)
山城芽依が高校生だった頃の先輩の男子で、学祭実行委員長を務めた。後輩にも気さくに話しかける優しい先輩で、芽依に想いを寄せられていた。しかし、彼が想っていたのは大塚晴子だったため、ラブレターをくれた芽依に対しては、お礼を言ったうえで丁寧に断った。
おじいちゃん
公園前郵便局に道を聞きに来た老人。近隣の寺社をまわるスタンプラリーに参加するため、スタートの駅で仲間と待ち合わせをしていたが、電車を乗り過ごして遅刻。その後は先にスタートした仲間を追っていたが、道に迷ってしまい、偶然通りかかった公園前郵便局に助けを求めた。山城芽依の道案内により無事仲間と合流することに成功。 その際、途中で見つけた洋菓子屋で郵便局員に対してお礼のお菓子を購入し、感謝の気持ちを示した。
春花 (はるか)
朝陽高校に通う女子で、里佳子の親友。アーティストのファンクラブに入会するため、入会金の払い込みしようと里佳子とともに公園前郵便局を訪れた。ATMの使い方を間違えて困っていたところを、八木和文に助けてもらう。
里佳子 (りかこ)
朝陽高校に通う女子で、春花の親友。春花に付き添って公園前郵便局を訪れた時、ATMの使い方を間違えて困っていたところを八木和文に助けてもらった。その時の八木の姿に一目惚れし、猛アタックを開始。携帯電話を持っていない八木から、手紙での連絡を指定されたため、手紙を書いては足しげく郵便局に通っている。荒っぽい態度が目に付くが、性格は意外と素直。
集団・組織
日本郵政 (にほんゆうせい)
日本国内の郵便や物流事業、金融、生命保険業等を営む子会社の経営管理を行う組織。その中でも「日本郵便」は、本社、地区連絡会、部会と細分化され、その下に郵便局各所が存在する仕組みとなっている。晴れて入社となった新人は、最初に数週間の研修を受け、その後各部会に所属する。その部会内の局を1週間おきに放浪し、大体最初の1年でその新人が正式に勤める局が決まることになる。
場所
公園前郵便局 (こうえんまえゆうびんきょく)
黒田忠臣が局長を務める郵便局。「朝陽部会」に所属している。公園前郵便局の前にある、レトロな円柱型のポストからラブレターを出すと恋がかなうというジンクスがあり、近くにある朝陽高校の女子生徒の間では有名。ちなみに、局員全員の名前に童謡「やぎさんゆうびん」を連想させるキーワードが含まれており、これが局長である黒田の密かな自慢となっている。