ぼくらのじかん。

ぼくらのじかん。

子供だけど多感な時期の、どうしようもない気持ちと葛藤する日々。そしていつの間にか忘れてしまった、楽しい事や悲しい事すべてが新鮮だった日々。そんな毎日を送る少年少女達の家族や友達、周囲の人達との些細な触れあいを描いたフルカラーオムニバス作品。

正式名称
ぼくらのじかん。
ふりがな
ぼくらのじかん
作者
ジャンル
日常
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概要・あらすじ

小学1年生になったばかりの中野健太郎は、新しい鉛筆や消しゴム、自転車と、新しい物に囲まれているにもかかわらず、全然楽しく思えない日々を送っていた。というのも、赤ちゃんが来てからというもの、お父さんもお母さんもずっと赤ちゃんに付きっ切りだからだった。さらに、同じクラスのまことに「すねてるんだ」と言われ、健太郎はますます苛立つ事となる。ある日、健太郎が帰宅すると、そこには赤ちゃんのとなりで疲れて寝ているお母さんの姿があった。それを見た健太郎は、赤ちゃんに対して「俺の宝物を貸してあげるから、母ちゃんを起こすなよ」と、自分の宝物を手渡すのだった。小さな心で戸惑いと葛藤しながらも、健太郎は新しい家族を少しずつ受け入れていく事になる。(エピソード「健太郎の場合」)

白石奈々子は、両親からは「いつも平均、何をやっても普通」と言われ続けていた。そんなある日、授業で作った花瓶を先生から褒められた奈々子は、お母さんに見せようとその花瓶を持って帰るが、奈々子が話す前に、お母さんから習い事を勧められてしまう。この事に奈々子は、モヤモヤした行き場のない気持ちを抱えて苛立ち、初めて学校の授業をサボってしまう。そこで奈々子は、学校で名の知れたヤンキーの池谷由紀と知り合う。飾らない自分を知ってほしいと望む奈々子は、自分を変えようと決意し、由紀に髪を染めてほしいと頼み込む。(エピソード「奈々子の場合」)

幼稚園の頃からいつもいっしょだった松永良介は、中学生への進学を来年に控え、これからも当たり前のようにいっしょだと思っていた。しかし、明は将来を見据えて中学受験を決めていたのだ。こうして、二人はそれぞれ別の道を歩む事になる。いつもは弱々しく思えていた明が、どんどん大人になって、自分とは違う世界に行ってしまうように感じ、良介はまるで友達を失うような寂しさを覚える。明も同じ思いだと考えた良介は、彼を呼び出して「ずっと友達でいよう、そして20歳になったら掘り起こそう」と、タイムカプセルを埋めて誓いを立てる。そして良介は野球選手、明は医者になるという、それぞれの夢を追いかけ始めるのだった。(エピソード「良介の場合」)

笹本和美にとって、自分の住む町の外は、まだ見ぬ大きなジャングルのような、あこがれの場所だった。数日かけて、お菓子や懐中電灯、そして鍋をリュックに入れて冒険の準備を整えた和美は、友達ののんちゃんを冒険に誘う。駅にやって来た二人は、初めて自分で切符を買って、となりの駅を目指すが、間違えて特急電車に乗ってしまう。こうして二人はまったく知らない場所へとたどり着いてしまったものの、互いに励まし合いながら逆境を乗り越えていく。(エピソード「和美の場合」)

クラスでプロレスごっこばかりしている稲垣太一は、度胸試しのつもりで、学校で怖いと有名な「パンくれじいさん」の家のピンポンダッシュに挑戦する。しかしそこで太一は、じいさんが外で鳥達にパンをあげている姿を目撃する。それ以来、太一は毎日のようにじいさんの家に通うようになる。相変わらず学校で、プロレスごっこばかりする太一は、乱暴者扱いされており、友達から孤立し始めていた。それでも貴之は太一を心配し、「パンくれじいさん」のところに行かないように諭す。これをきっかけに二人は喧嘩をしてしまうが、太一はじいさんの本当の姿を教えるべく、貴之を連れ出す。(エピソード「太一の場合」)

登場人物・キャラクター

中野 健太郎 (なかの けんたろう)

エピソード「健太郎の場合」に登場する。小学生の男子。1年3組に在籍している。小学生となり、さらに新しい家族である妹が生まれたため、両親の態度も変わった事で、あまりにも急激な環境の変化に困惑する毎日を送っている。そのせいか、進学にあたって新しい物をいろいろと買いそろえてもらったものの、まったく嬉しく感じていない。妹なんていらないと思いつつも、母親の疲れた姿を見て妹と仲よくしようと努力している、家族思いの優しい少年。

白石 奈々子 (しらいし ななこ)

エピソード「奈々子の場合」に登場する。小学生の女子。5年5組に在籍している。少々引っ込み思案な性格で、両親からは「普通」である事をたびたび非難されている。一方で、学校をサボったり自分を変えようと試みるなど、一度決めると思いもよらない行動力を発揮する。

松永 良介 (まつなが りょうすけ)

エピソード「良介の場合」に登場する。小学生の男子。6年2組に在籍している。明とは幼稚園からの親友で、素直で友達思いな性格。快活な少年で、夏休みは大好きな野球や虫捕りなど、毎日遊び回っている。将来の目標を定めてどんどん先に向かっていく明に対して寂しさを覚えながらも、彼の夢を応援している。

笹本 和美 (ささもと かずみ)

エピソード「和美の場合」に登場する。小学生の女子。3年1組に在籍している。本で読んで以来「冒険」にあこがれるようになり、家族が寝静まった夜にキッチンへ忍び込んで、用意周到に冒険の準備を進めていた。行動派である一方で、予定外の事が起きると落ち込んでしまう、少々打たれ弱いところがある。

稲垣 太一 (いながき たいち)

エピソード「太一の場合」に登場する。小学生の男子。4年2組に在籍している。プロレスごっこばかりしているせいで乱暴者扱いされ、少々クラスでは孤立している。しかし、じいさんと出会って交遊を深めていくうちに、ぶっきら棒ながら優しい少年へと変わっていく。

まこと

エピソード「健太郎の場合」に登場する。小学生の女子。中野健太郎と同じ1年3組に在籍している。お姉さんらしく面倒見のいい落ち着いた性格で、弟にも優しい。かつて自分も「弟なんていらない」と思っていた事があり、現在の健太郎の気持ちをよく理解している。

池谷 由紀 (いけたに ゆき)

エピソード「奈々子の場合」に登場する。小学生の女子。5年1組に在籍している。茶髪で耳にピアスを開けており、同学年の生徒達からは「ヤンキー」と呼ばれて恐れられている。世間一般の尺度で見れば問題児だが、実際はただ自分の気持ちに正直なだけであり、周りに迎合しない独自の考えの持ち主。

(あきら)

エピソード「良介の場合」に登場する。小学生の男子。6年2組に在籍している。松永良介とは幼稚園からの親友。父親が医者という事もあって自身も医者を目指しており、小学生ながらに毎日塾に通い、まじめに勉強している。中学では親友の良介と離れてしまうのを寂しく思いつつも、その気持ちを抑えて努力を重ねている。

のんちゃん

エピソード「和美の場合」に登場する。小学生の女子。3年1組に在籍している。笹本和美とはクラスメイト。和美とは気の合う友達で、毎日公園でいっしょに遊んでいる。行動力もあり、和美が冒険に出掛ける際も、「おもしろそう」という理由だけで同行した。駅で迷子になった際には、泣きそうな和美を励ましたりするなど、マイペースながら逆境に強い一面がある。

じいさん

エピソード「太一の場合」に登場する。小学生のあいだで「パンくれじいさん」と呼ばれている老人。小学生がふざけてパンを投げ合っていたところを、「粗末なことをするなら、鳥の餌にするから寄こせ」と怒ったため、そう呼ばれるようになった。妻に先立たれ、自分もこのまま消えてしまいたいと考えていたが、稲垣太一が遊びに来るようになり、考えを改めるようになった。 口は悪いが面倒見がよく、太一にも草笛などを教える優しい人物。

貴之 (たかゆき)

エピソード「太一の場合」に登場する。小学生の男子。4年2組に在籍している。稲垣太一とはクラスメイト。いつも太一にプロレス技をかけられ、痛い思いをしていた。だが太一の事は友達だと思っており、彼がよくない噂のあるじいさんのところに毎日通っている姿を見て心配している。

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