ヤヌスの鏡

ヤヌスの鏡

非常に厳格な祖母にきつく躾けられた少女が、冷酷で自由奔放なもう一つの人格を発生させてしまい、様々な事件を引き起こしていくサイコ・サスペンス長編漫画。番外編として、祖母の少女時代を描く番外編『ヤヌスの鏡-原説-(オリジナル)』がある。2007年には、20年後の物語である続編、『ヤヌスの鏡 メタモルフォセス』が描かれた。

正式名称
ヤヌスの鏡
ふりがな
やぬすのかがみ
作者
ジャンル
サスペンス
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概要・あらすじ

出生に秘密のある女子高校生小沢裕美は、非常に厳格な祖母小沢タカにきつい躾を受けて育ったため、本来の真面目で内気かつ他人の指示を断れない性格とは別の、自由奔放で冷酷な悪魔のような人格ユミを形成してしまっていた。ユミは夜の繁華街を派手に遊び歩き、敵を作ってはそれを排斥し、様々な事件を巻き起こしていく。

そして、裕美ユミに気づいたとき、物語のクライマックスは訪れる。

登場人物・キャラクター

小沢 裕美 (おざわ ひろみ)

高校1年生の少女。生徒会で書記をやっている。清潔な服装を好む、短いおさげの可愛い娘。昭和41年6月6日生まれ、血液型はAB型。とても厳格で世間体を気にする祖母に、きつく躾けられた。真面目で内気な性格で、男女関係に関して異常なほど潔癖であろうとする。生徒会長の進東健一にほのかな好意を抱いている。 実の母親は、男にもて遊ばれて裕美を産んだあと自殺してしまい、裕美は母の兄の子どもとして育ったという秘密がある。そういった抑圧から、ユミという悪魔のような人格を発生させてしまい、多重人格者になってしまう。

ユミ

『ヤヌスの鏡』の主人公のもう一つの人格。「裕美」が「ゆみ」とも読めることから、ユミと名乗る。ユミの時は、結った髪をほどき、化粧をし、服も体型がはっきり出るようなものを好んで着る。遊ぶ金は、言い寄ってきた男を酔わせ、財布を盗むなどして得る。群れることを嫌い、仲間を作らず、自由奔放に行動し、冷酷で頭の回転も早い。 目ざわりな存在を許さず、排斥しようとする。ユミの正体を知りたくて近づいてきた進東健一を翻弄した。ユミはヒロミの行動を記憶しているが、ヒロミはユミの存在にかなり終盤まで全く気づかず、ユミとしての行動を夢の中の出来事だと思っている(もしくはユミが気が付かないような工作をしている)。 夜の繁華街を派手に遊び歩き、女性だけの暴走族「魔女軍団」を罠にかけ警察に逮捕させた。また、裕美の実の父親後本一郎に対し、母を捨てた罪を思い知らせてもいる。

小沢 タカ (おざわ たか)

小沢裕美の母方の祖母。プライドが異常に高く、必要以上に世間体を気にかけ、古い慣習に縛られている。ガリガリに痩せた魔女のような外見をしている。ずっと和装で、作品中で一度も洋服を着ていない。裕美の母が、自分の管理を離れて男と付き合い、捨てられて裕美を産んだあと自殺したことにずっと拘泥し、裕美を責め続けている。 裕美が男性と付き合うことを決して許さず、折檻と言葉の暴力で裕美を苦しめる。ユミを産んだ元凶。

小沢 由起子 (おざわ ゆきこ)

小沢裕美の母。18歳のとき厳格な母タカに反抗し、好きな男と生きる道を選ぶが、男は出世のために彼女を捨ててしまう。実家に戻って裕美を産んだあとも、タカの叱責は止むことがなく、精神的に追い詰められ北陸の海に身を投げて自殺した。

小沢 一樹 (おざわ かずき)

小沢裕美の伯父に当たるが、母タカの命令もあり裕美を娘として育てている。何かと人の欠点を探してあげつらう母を嫌っており、仕事に逃避して家庭を顧みず、裕美の問題も基本的に無関係を装う。

小沢 みどり (おざわ みどり)

小沢一樹の妻。裕美を娘として育てている。性格は悪くなく、それなりに裕美をやさしく扱ってはいるが、タカの攻撃から彼女を守るまでにはいたらない。夫との間に子供ができないことを、ときどきタカに責められる。

進東 健一 (しんどう けんいち)

小沢裕美が通う高校の生徒会長。2年生。背も高く、美男子。生徒会で書記をやっている裕美に交際を求めるが、祖母の異常な躾けに染まっている彼女から、「不良のようなことを言わないで」と拒否された。しかしその後も裕美を思い続け、街でユミを見てからは、彼女の姿を求めて夜の街をさまようようになり、様々な事件に巻き込まれる。

阿部 純子 (あべ じゅんこ)

小沢裕美の小学校の頃からの友人で、同じ高校に通う少女。ショートカットの明るく可愛いい親切な娘で、裕美の相談に真摯に答えてくれたり、シャイな彼女を守ったりする。作品冒頭で裕美から、鏡に向かってユミをつくり出して一人遊びしていたという話を聞く。

堤 達郎 (つつみ たつろう)

夜の街でユミに出会い、彼女に心を奪われてしまう17歳の家出少年。悪人ではないが、自転車屋に住み込みで働く傍ら、店の親父から買ったトルエンを瓶に分けて売っている。ユミの様々な行いを恐れるが、その魅力に抗えない。結末近くで、少年院を脱走した東涼子と行動を共にすることになってしまう。

東 涼子 (あずま りょうこ)

女性だけの暴走族「魔女軍団」のヘッド(頭領)。19歳。髪型はストレートのショートカットだが、長く伸ばした前髪で左目を隠しており、染めてはいない。世間に反抗し、大型バイクを乗り回し、グループのてっぺんにいることを良しとする。トルエンや覚せい剤は大嫌いな硬派。トルエン売人の達郎にヤキを入れようとして、ユミに出会う。 ユミとバイクのタイマン(チキンレース)で引き分け、その後ユミの提案で深夜に宝石店へ窃盗目的で侵入を行う。が、幹部に不信感を抱いていた「魔女軍団」の下部構成員がユミにそそのかされて警察に通報、気づいた時には宝石店内にはユミの姿は無く、涼子と幹部は逮捕されてしまう。 しばらく後に、涼子は執念で少年院を脱走し、ユミの正体を突き止め、復讐のため堤達郎を連れ回しながら小沢裕美へと迫る。

あゆみ

女性だけの暴走族「魔女軍団」のNo.2。ヘッドの東涼子を、大型バイクの運転の腕だけしか認めておらず、それがなければ自分が頭になっていると話す。クールな人格の持ち主だが、ユミの罠により警察に捕まる。

かおる

女性だけの暴走族「魔女軍団」の下部構成員。兄がスナックRIM(リム)を経営しており、普段はその手伝いをしている。少し太めで三白眼の女。硬派で何かとうるさい東涼子と幹部たちに嫌気がさしていた。宝石店窃盗の際、外で見張りをしているはずだったが、ユミにそそのかされて東涼子と幹部たちを裏切ってしまう。

後本 一郎 (のちもと いちろう)

宝石店「貴譚」(きだん)の経営者で、小沢裕美の実の父。「魔女軍団」に窃盗目的で店舗に侵入される。高校3年の小沢由起子が裕美を身ごもったことを知りながら、出世のために上司の娘との縁談を選び、由起子を捨てた。裕美が後本に会いに行き、母のことを問うた際には、「付き合っていたが由起子はプレイガールでいろいろな男と付き合っていたから、自分が父親である証拠はない」と言い放った。

亀田 (かめだ)

小沢裕美たちが通っている高校の、生徒指導の教師。前髪の生え際が大きく後退し、痩せてエラが張って眼鏡をかけている。一度素行などに目を付けられると際限なくうるさく言われることから、生徒たちからは「スッポン」と呼ばれ、忌み嫌われている。ユミを探して成績の落ちた進東健一に、厳しく説教をした。

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